超天篇(デュエル・マスターズ)

登録日:2020/02/29 Sat 19:28:36
更新日:2023/09/16 Sat 23:25:41
所要時間:約 14 分で読めます



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水文明のマスターはジョーカーズだけでなく、他の文明のマスターにも超GRの力を共有し、

それぞれの「超GRゾーン」が作られていった。




超天篇(ガチャレンジ・シリーズ)とは、TCGデュエル・マスターズ」18番目のシリーズ。シンボルは「超」。


エキスパンション

  • DMRP-09「超天篇 第1弾 新世界ガチ誕! 超GRとオレガ・オーラ!!」
  • DMRP-10「超天篇 第2弾 青きC.A.P.と漆黒の大卍罪」
  • DMRP-11「超天篇 第3弾 零誕! 魔神おこせジョルネード1059!!」
  • DMRP-12「超天篇 第4弾 超超超天!覚醒ジョギラゴン vs 零龍卍誕」

概要

前シリーズと同様、切札ジョーが主人公を務めるシリーズ。「超天篇」と書いて「ガチャレンジ・シリーズ」と読む。
双極篇と同様に「編」ではなく「篇」なので、検索や筆記の際には注意。

新章からの種族が変わらずに主要種族を務め、背景ストーリーも前回から完全な地続き。
しかし、水文明にはムートピアに代わってトリックスが主要種族の座に就くことになり、勢力図に変化が起きている。

超次元ゾーンの以来の9年ぶりとなる新ゾーン「超GRゾーン」が考案され、そのGRゾーン専用の山札である超GRとGRクリーチャーが登場した。
クロスギアやドラグハート・ウエポンを連想させる性質を持つGRクリーチャー専用のカードタイプ「オレガ・オーラ」も登場。
ツインパクトが登場した前シリーズに続き、DMのシステムは大きな変貌を遂げることになった。

エキスパンションは前シリーズ同様に基本単色推しだが、前シリーズに続いて続投したツインパクトでは多色カードが多く収録されるようになった。
そして、超天篇では水文明が積極的に推された。
水プッシュに連動する形で主人公種族であるジョーカーズにも新たに水文明に新規カードが登場した。

ちなみに新ゾーンのGRゾーンは、以前に新ゾーンを推奨した覚醒編ドラゴン・サーガの商業的不振の反省からか、商品数の増加や100円(税抜)パックの販売などの策が施行することでの普及が試みられた。

評価

エキスパンションによって様々な批評が行われるのは長期TCGの宿命だが、超天篇は特に評価に関する激しい議論が目立った。

ゲーム環境

特筆すべき最大の要素は、DM史上でも屈指の勢いと評されるインフレとゲームスピードの激化だろう。
革命ファイナルや双極篇はインフレの激化が指摘されていたが、超天篇はそれすら上回る勢いとすら言われる。
新ゾーンでのインフレの激化自体は覚醒編という前例があったため、ここに関しては想定内というユーザーも少なくない。

特にGR召喚の暴力を見せつけた《BAKUOOON・ミッツァイル》は衝撃を呼び、登場当初からトップメタに食い込む強さを見せ超天篇環境はこのカードに支配された。
荒廃した環境は「ミッツァイル・マスターズ」「ミサイルマスターズ」などとも呼ばれた。
ミッツァイルは短期間で殿堂入りしたために長期で暴れたわけではないが、登場1年未満で殿堂入りという快挙(?)を達成した。

しかし、ミッツァイルのスペック以前に超GRのシステム自体がそもそも壊れているという指摘が多数出るように。
更に新能力・マナドライブを持つGRクリーチャーは全体的にカードパワーが高く、環境のトップに君臨した。
「ミッツァイル・マスターズ」と呼ばれたその現象は、「GRマスターズ」へと変貌するようになる。

最終的に超天篇の環境は、ループデッキか3ターンキルが可能な速攻デッキに二分化したことでゲームスピードは特に速攻デッキでもないのに平均4ターンでゲームが終わるという異次元の領域に突入した。
それでも新ギミックの登場で様々なデッキが開発される賑わいはあったが、その「賑わい」に対する認識は考え方によって評価は割れるだろう。
革命編以降の高速化を耐えた現役ユーザーでもインフレへの疲労を覚えた者は少なくなく、インフレについての議論が活発化。
現行カードのインフレが激化しすぎたことから、ブロック構築戦自体の存在意義を疑う声も出始めている。

因みに同時期には兄貴分のMTGでも凄まじいカードパワーを持つカードを乱発し、環境を一色に染め上げてしまった事で大量の禁止、制限カードを発生させるという事件が起きており、デュエマも合わせてこの年のウィザーズのデペロップはどこかおかしかったと評される事が多い。

開発陣は「GRは強すぎた」と反省しており、次の十王篇では露骨なGRメタカードが刷られた。

1パックの価格が高騰

このシリーズから1パックの本体価格が150円から160円への値上げが行われた。
値上げの理由としては原材料費の高騰であるとしており、他TCGでも同様の値上げが行われていた事情もあってこの点は特に批判されていない。
価格高騰の悪影響を考えてか、低レアリティのカードでも有能なカードが増えている。
これによって露骨なハズレカードは減少傾向にあり、パック自体の質は上昇したとされる。

しかし、GR関係の高レアリティカードは封入率が絞られた影響で価格は高騰。*1
双極篇で指摘されていた汎用カードが高レアリティに用意される手法も改善の傾向はなく、ユーザーの出費は激しくなった。

ゴールデンリストの終焉

デュエマゴールデンリスト指定のカードを再録禁止期間中に再録する例が発生し、ルールを反故にするミスが見当たるようになった。
DMEX-08で再録された《堕魔 ヴォーミラ》では、公式は収録したカードをゴールデンリストから削除する対処を取った。
公式側でリスト内容の後出し変更を行えるという事実を見せたことは禁止指定の効力を失い、ゴールデンリストは実質崩壊を迎えた。

結末

環境の超高速化と資産ゲー化により新規プレイヤーの参入が減少、更に相次ぐ裁定変更や高額カードのプロモ化*2等販売戦略に対して疑問を感じた既存プレイヤーの引退が相次ぎ、売上はかなり低迷。
最終的にタカラトミーの総決算において名指しで業績悪化の主因として上げられてしまい、公式で謝罪文が発表される結果になってしまう。

背景ストーリー

バラギアラはジョーカーズによって大地へと還る形で撃退され、世界の滅亡は防がれた。

しかし、闇文明の侵略によって水文明は滅亡の道へと向かっていた。
水文明のマスターは、超GRとオレガ・オーラという新たな技術を完成させ、闇文明のマスターへと接触する。
その一方で、水文明のマスターのから水文明の滅亡の危機を聞かされたジョーカーズのマスターは、それを食い止めるための活動を開始した。

水文明の施設《パラダイム・パラダイスLab.》から、トリックスとデリートロンという種族が生み出される。
闇文明と水文明の協力体制の元、デリートロンはオレガ・オーラを悪用し続ける。
デリートロンに対して、ジョーカーズ・火文明・光文明・一部トリックスで構成されるワンダフォースと呼ばれる対抗勢力が誕生した。

超GRやオレガ・オーラの力が世界を再び混乱の渦に巻き込むのであった。

用語

パラダイム・パラダイスLab.で創造された悪夢のような種族。
種族名は「世界をデバッグし楽園を作るもの」という意味を込めて名付けられた物である。
トリックスやマフィ・ギャングに存在し、オレガ・オーラを使いこなす。

デリートロンに対抗するためにジョーカーズ・火・光・一部トリックスによって構成された集団。
種族名は超獣世界の住人達が「驚異的な力」という意味を込めて名付けた物である。
超GRゾーンから仲間を呼び出す力を持っている。

  • オレガ・オーラ
水文明が生み出したデータ生命体。水・闇・自然に存在している。
超GRの力で生み出したチップと融合することによって実体を持って戦うことができる。

  • パラダイム・パラダイスLab.
水文明の柱の中に存在する、超GRとオレガ・オーラの研究室。
水文明のマスターにより、新種族のトリックスとデリートロンがここから作り出された。

  • 超天フィーバー
マスタークリーチャーが持つ力。仲間との友情パワーで限界突破する強力な力である。
ゲームではマスターカードのマスター能力であり、バトルゾーンやマナゾーンに特定の種族・クリーチャーが一定数以上いることで使える。

  • C.A.P. アアルカイト
水のトリックス/ワンダフォースのGRクリーチャー。
水文明の住人を天国に避難させるための避難船であり、その姿は水のマスターが幼い頃に兄と2人で作り上げた船を模している。
真の力が解放されれば時間操作能力を使うことが可能で、水の分子運動すら止め氷と成すその力はFZゲイザーと呼ばれる。

  • バタフーライ・エフェクト
改心した《歩く賄賂 コバンザ》によって設立されたレジスタンス組織。
《はぐれ海賊 コルピオ》や《貪欲な若魔導士 ミノミー》が構成員。
ところが、カリヤドネのゲームセンターの誘惑に敗北してしまった。

  • 魔導管理室 カリヤドネ
バタフーライエフェクトなどのムートピアがCode:1059に対抗するための最後の砦として利用した超大型ムートピア。
古今東西のゲームを揃えたゲームセンターが存在し、バタフーライ・エフェクトの活動を事実上食い止めた。

  • 灼熱の町 アチーチ・タウン
灼熱の荒野と呼ばれる未開拓地「アチーチ・デ・バス」が開拓されて誕生した町。
バッドドッグレストランの本店も軒を連ねる《スチームネオン・ストリート》はアチーチ・デ・バスに近く、開拓ブームの波で繁盛する。

  • ウェポス・マッドネス
1日を100時間労働のブラック企業っぷりに反旗を翻した一部の凶鬼による労働組合。スローガンは「使い捨て反対!」。
当初は構成員は《凶鬼51号 ハーシル》一人だけということなので、創始者は彼。後に構成員は増えた模様。
ところが構成員達に原因不明の事故が相次ぎ、運び込まれた先の病院《窮泣血療室》で謎の怪死を遂げている。

勢力別の動き

ジョーカーズ

ジョーカーズのマスターは水文明や水のマスターを救うために行動を開始する。

ジョラゴンが超GRの力を得て《The ジョラゴン・ガンマスター》へと変貌。
そして、ジョーカーズのマスターは水のマスターの救出のために闇のマスターと激突するが、《大卍罪 ド・ラガンザーク 卍》の力を前に敗走。
更に強くなることを望んだジョラゴンは、水のマスターの助言で《The ジョギラゴン・アバレガン》へと強化。
ジョニーの兄《ジョリー・ザ・ジョルネード》も創造され、ジョニーも最強の竜騎士《ジョギラスタ・ザ・ジョニー》へ覚醒。

零龍とジョギラゴンの最終決戦は世界を崩壊に導くが、ジョギラスタとなったジョニーが虹の力で暴走するジョギラゴンは制御される。
ジョニーとジョラゴンの力は奇跡のフィーバー「ジョギライド・ファイナルフィーバー」を起こし、その力で零龍を撃破した。

水文明

超GRとオレガ・オーラが開発され、新種族トリックスが誕生。
トリックスの生存圏拡大の影響で従来の主要種族のムートピアは活動範囲が縮小し、外の世界に逃げ出す者が続出。

水文明のマスターには実は双子の兄が存在したのだが、彼らは方針が微妙に食い違っていた。
兄は水文明最初にして最強のオレガ・オーラ《ア・ストラ・ゼーレ》を使う。それには、世界をリセットして自分だけの楽園を生み出すプログラムがセットされていた。

やがて水マスターの兄の研究が完成し、全てをデータ化させる力を持つ電脳のドラゴン《Code:1059》が誕生。
水文明に住む者の多くは自分達の楽園が訪れると信じ込み、データ化後に滅ぼされることに気が付かなかった。

水文明の汚染を食い止める最後の方法である至宝ブレインがあったのだが、水マスターの兄によって超宮城へと運ばせて使わせない工作が施されていた。
ブレインを奪うために、闇文明から100万体のジュージュ軍団と改造されて闇堕ちしたシャークウガが送り込まれる。
ムートピアの精鋭によるブレイン防衛作戦が始まったが、その最中に実は闇堕ちしていなかったシャークウガによる離反が勃発。シャークウガたちの奮闘によってジュージュの軍勢は撃退された。
ブレインの防衛は見事成功したが、物量によって満身創痍となったシャークウガは死亡してしまった。

闇文明

水文明のマスターによってオレガ・オーラの技術を提供され、闇文明のマスターは知識を急速に発展させる。

闇のマスターはジョーカーズのマスターとの戦闘で重傷を負うが、闇の炎の力で生まれ変わった上にドラゴンの力を欲するようになる。
ジョラゴンのデータを利用して《大卍罪 ド・ラガンザーク 卍》が誕生するが、しかし贋作。完全なドラゴンには至らなかった。

傷が回復したマスターは、闇の太陽の消滅と「無月」の世界に存在しないはずの月の出現を確認する。
闇文明の世界の暗雲からの掛け声に応じた闇のマスターは、暗雲の中で謎の卵と戦う。
激闘の果てに謎の卵が倒されると、闇のマスターはドラゴンの始まりにして終わりの世界「龍頭星雲」へと辿り着き、零の龍の力を手に入れた。

各文明に侵略の四天王(ヘルエグリゴリ、シャークウガ、ワークマン、ドケイダイモス)を送り込み、侵略作戦を進める。
その中には闇文明で改造された「魚人覇王団」のリーダーであるシャークウガも存在したが、四天王は各文明でそれぞれ撃退された。

闇のマスターは、零龍のために4騎の零の使徒「零星」を作り出し、それで各文明の生命エネルギーを吸収する。
零星が暴れる最中に忘れられし九番目の王・幻王ザインが目覚めるが、彼は零龍の儀の触媒として破壊された円卓を目撃する。
卍誕した零龍は全ての生命を無に還そうとするが、ジョーカーズとの戦闘の末に撃破された。

自然文明

バラギアラが撃破され、自然文明の新たな姫が就任して支持を集め、戦いの傷が癒されていく。
ハニーQとでんでんは姫を自然のマスターにするための教育に追われる。

復興を進めている最中、闇文明から最古の凶鬼・ドケイダイモスが姫の暗殺に向けて襲来。
しかし暗殺計画は失敗に終わり、最後はオウ禍武斗が9日間の激戦の末に撃破した。

光文明

光文明の奥底に眠る裁きの調べであるサバキノオトを手に入れたことで、サッヴァークは《煌銀河 サヴァクティス》にパワーアップ。
水文明のマスターによって超GRの力が光文明のマスターに渡ると、音楽をテーマとした超GRゾーンが完成した。

一方で、闇文明を遮っていた《ディスペネ・ユグラシル》の壁にヒビが入り、闇文明のマスターが侵入を許す。
闇文明との間の光の壁を強化すべく、音奏たちによる音楽祭「ガチャレンジは光文明を救う」が開催。
しかし祭の途中に闇の星が壁を突き破って次々と落下。その危機を《奇石 シロート》達が迎え撃つ。
だがシロート達では強大な巨大な星の落下を食い止めきれず、その事態シロートが絶望しかけた時、音楽祭を無事に続けるために生み出された《白皇世の意志 御嶺》が彼らを救った。

光文明に代々伝わる「白の書」に記された「闇が月を覆いし時、世界に危機が訪れる」という予言の時が近づいていた。
「白の書」の予言の先は文字が読めなくなっていたが、メタリカ解読班によって何者かが人為的に消した可能性が指摘される。

零龍の覚醒を感じ取った光文明のマスターは、闇文明のマスターとの決戦に挑む。
決戦時に《煌銀河の弓 ラルクメシア》を持ったサヴァクティスは、《煌銀河最終形態 ギラングレイル》へと強化を遂げた。
ところが、零龍の前に光文明のマスターは完敗し、ジョーカーズのマスターに思いを託して虚空へと消えてしまった。

火文明

超GRの力を手に入れた火文明のマスターは、カッコいいという理由だけで爆発をテーマにした超GRゾーンを作る。
火文明のマスターは水文明と闇文明が手を組んだことを知るが、戦いに敗れてその記憶を消された。
その後は、他文明の隆盛に遅れまいと修行とアチーチ・デ・バスの開拓に乗り出す。

光文明をあわや崩壊まで追い込んだ闇の星は火文明にも落下してくるが、《“魔神轟怒”ブランド》によって全て迎撃された。
ブランドによってアチーチ・デ・バスの開拓は急速に進行し、灼熱の町「アチーチ・タウン」が完成。

その後、闇文明随一の拷問の達人であるアドレック・ワークマンが火文明に侵略。
アチーチ・タウンを守るために住民達がワークマンと戦うが、ゾンビ化してしまう奇病の影響もあって徐々に劣勢へと追い込まれる。
ゾンビ化は火文明の実力者すら屈服させるが、バッドドッグをゾンビ化現象の治療薬となることを火文明のマスターは突き止めた。

危機に駆け付けた《“魔神轟怒”ブランド》は《“極限駆雷”ブランド》へとパワーアップする。
ブランドとワークマンは決闘のルールで長期間揉めるが、《“FLG”レフェリー》の合図で開戦するとブランドが圧勝した。



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最終更新:2023年09月16日 23:25

*1 更にGRの仕様上最低でも2枚は必要なため余計に価格が高騰する事になった。

*2 CS上位入賞者プロモの価格が凄まじい事になり入賞者がそれを売って新しくデッキを組み再び入賞→採用されたカードのシングル価格の高騰といったサイクルができてしまい経済力のあるプレイヤーとそうでないプレイヤー間の格差が広まってしまった。高年齢層向けTCGならまだしも低年齢層向けTCGとしては致命的である。