アーセナルバード

登録日:2020/06/05 Fri 15:10:32
更新日:2024/02/05 Mon 11:28:57
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アーセナルバードはエースコンバット7 SKIES UMKNOWNに登場する超大型無人全翼機である。


◆概要

作中に於いて、オーシア主導で開発した国際軌道エレベーターの防衛システムとして、前期型の「リバティ」と改修型の「ジャスティス」の二機が建造され、軌道エレベーターのあるセラタプラから半径1200kmを周回している。この範囲の警戒網に敵が引っかかると、戦略AIがどちらか一機を選択して派遣し敵を殲滅する。
「自由」「正義」の兄弟機?

二基のメインプロペラ、六基のサブプロペラの合計八基からなる二重反転プロペラで推力を得て、全幅1.1km、重量100,000tの巨大な機体を飛ばしている*1

ボディやプロペラはかなり硬い素材で作られており、戦闘機の携行する兵装では直接破壊することができない。*2

軌道エレベーターで発電した電力をマイクロ波の形で供給することでプロペラを稼働させており、理論上半永久的な運用が可能となっている。


◆兵装・装備

  • MQ-101
アーセナルバードの下面に80機搭載された小型無人戦闘攻撃機。アーセナルバードのメインウェポン。現実世界におけるアメリカ軍の実験機X-47B「ペガサス」のようなフォルムをしている。武装は機銃とミサイル。

小柄な無人機だけあって機動性が高く、そんなものがスーパーコンピューターで制御され大群で襲ってくるというだけで大抵の戦闘機にとっては脅威となる。
また、母機や軌道エレベーターが攻撃されている時には攻撃を身代わりとなって受けることもある。

  • APS
アーセナルバード中心部の円形ユニットから放出するバリア。電磁エネルギーの一時的な放出によって通常兵器を完全無効化することができる。APSはActive Protection Systemの略。

改修のおかげなのか軌道エレベーターに近かったからかは定かではないが、劇中観測された限りでは「ジャスティス」の方がシールド展開速度や再展開までのチャージ速度が速い。ミッション19では驚くことに飽和攻撃のミサイル発射を察知してからシールドを展開し、作戦そのものを無効化せしめた。

無人機と並ぶアーセナルバードの大きな特徴の一つで、キャンペーンモードの作劇的にも大きな役割を果たした。詳しくは後述。

  • 長距離巡航ミサイル「ヘリオス」
遠方の敵機を空間ごと焼き払う空中炸裂弾頭を持った巡航ミサイル。特殊な爆発物が使われており、起爆すると一定範囲に青白い爆発が広がる。

アーセナルバードが直接出てこないミッションでも攻撃目標にヘリオスの弾頭を積んだトラックや機体が指定されていることがあり、撃破すると同じような炸裂が起きる。

  • 空対空ミサイル(AAM)
本体防衛用の空対空ミサイル。上面に垂直発射管が12基ある。誘導性能が高く危険。

  • パルスレーザー砲(PLSL)
本体防衛用のレーザー機銃。改修によって下面に2基搭載されたジャスティス専用武装。
やたらと追尾性能が高く、下方から重要目標を狙う際に最大の脅威となる。

  • 高出力レーザー砲(LASER)
地上目標攻撃用の大出力レーザー。改修によって機首に1基搭載されたジャスティス専用武装。
艦艇を一撃で溶断するほどの出力を誇る。自機は(ゲームバランス的に)一撃でやられたりはしないものの、手痛いダメージを受けることになる。

  • サプライシップ
アーセナルバードの弾薬補給に使われる航空機。
タイラー島のマスドライバーによって給弾機と廃棄物輸送機が二機セットで射出され、アーセナルバードにドッキングする。


◆本編での活躍


灯台戦争序盤に軌道エレベーターごとエルジア軍に接収・鹵獲されてしまい、オーシアの兵器でありながら終始トリガー達オーシア空軍に牙を剥く。

直接アーセナルバードと対峙するのは3ミッション。その他いくつかのミッションでアーセナルバードが関わる場面がある。

+ ミッション02「進撃開始」
Operation : Eastern Wind

緒戦の攻撃を退けた国際停戦監視軍がエルジアへ向けて進撃を開始するこのミッション、実は地上のトラックの中に一台だけヘリオスの弾頭を積んだものが存在する。

現場の兵士たちには存在が知られていなかったのか、爆発すると驚きの声が上がる。

+ ミッション03「両面作戦」
Operation:Dual Wielder

このミッションがトリガーとアーセナルバードの初対峙となる。

チョピンブルグ上空でエルジア軍を退けた国際停戦監視軍に、突如として大量のミサイルが襲い掛かった。雲の中から姿を現したアーセナルバードに対し司令部は攻撃を命令するも、大量の無人機と、APSバリアの前には成すすべもなく、撤退を余儀なくされた……

このミッションではアーセナルバード撃墜より撤退する味方の援護が優先され、イベントで死亡する一部キャラを除き全員撤退させることでミッションは完了する。

+ ミッション04「灯台守」
Operation:Lighthouse Keeper

今後の趨勢を占うハーリング元大統領救出作戦のさなか、ハーリングを乗せたオスプレイ「マザーグース・ワン」が離脱しようとする。そのタイミングで、遠方からMQ-101の大群が押し寄せた。更に……



国際停戦監視軍司令部「HQよりガーゴイルリーダー、いまだ」

ガーゴイル隊隊長「ガーゴイル隊全機へ、バベル、バベル、バベル」

ガーゴイル隊三番機「ガーゴイル3、バベル了解」*3


一枚岩となり切れない*4国際停戦監視軍は、別動隊「ガーゴイル隊」に軌道エレベーターの破壊を命令する。
それに対し、ガーゴイル隊のF-14が次々と放つミサイルから軌道エレベーターを庇うMQ-101。オーシア軍として上層部の決定を複雑に感じながらも、まずは何とか元大統領を逃がしたいメイジ・ゴーレム両隊。
混乱した戦場の中で、マザーグース・ワンは無情にもミサイルを受け墜落してしまった。

そしてついに駆けつけたアーセナルバード「リバティ」*5の姿を見て、国際停戦監視軍はまたしても大切なものを失い撤退をするしかなかった。

+ ミッション08「生命線を断て」
Operation:Three of kind

無人機の補給を断つためにアルティーリョ港の石油関連施設を攻撃するミッションの後半で、砂嵐に紛れて少量でも燃料を運ぼうとするタンクローリーを潰していくと、そのうちの一台が青白く大爆発する。
ミッション02と同じくヘリオスの炸裂弾頭(に入れる爆発物)を輸送する部隊が紛れていたのだ。

石油から爆発物(気化燃料?)が精製されるとみて間違いないだろう。このことを考えると、ヘリオスの弾頭のメカニズムはこいつのメインウェポンと同じだったりすると思われる。

+ ミッション09「顔のない兵士」
Operation:Flush

ワイアポロ山脈のレーダー施設を破壊した懲罰部隊の前に突如として現れた「オーシア軍のIFFを持つ」F/A-18Fの飛行隊。これに対し、スペア11《タブロイド》の奇策で一丸となって敵味方の識別を付けた懲罰部隊。

両者のガチンコ勝負のさなか、どこからか巡航ミサイルが飛んできた。ミサイルは謎の部隊の巻き添えなど構うものかと青く大爆発する。

バンドッグ「司令部より入電。攻撃の正体は、コードネーム「ヘリオス」!アーセナルバードに搭載された長距離ミサイルだ」

敵に運用されているとはいえ、元はオーシアが作ったもの。情報がすぐにAWACS《バンドッグ》へと伝えられ、次弾以降は炸裂範囲が表示されるようになった。

タブロイド「仲間がいる空域に平気で撃ち込んできやがる。パイロットの命はどうでもいいのか!?」

損害を気にせずに突っ込める、衛星経由のIFFを偽装した部隊。その援護に出るアーセナルバード。
この時点で敵部隊はエルジアなのが状況証拠的に明らかなのだが、それが確定するのはもっと後のこととなる。

+ ミッション12「ストーンヘンジ防衛」
Operation:Dragon Breath

オーシア軍ユージア大陸駐留部隊の反攻作戦の目玉として、超兵器には超兵器をという発想の下に立案された

大陸戦争でISAF空軍に破壊されなかった隕石迎撃砲ストーンヘンジの一基*6を修復させてアーセナルバードを狙撃する作戦

が実行段階に移った。極秘*7で進められていたこの作戦を察知したエルジアの陸空攻撃部隊からストーンヘンジを防衛せよ、という命令がロングレンジ部隊に下った。

  • 原子炉などの周辺施設が復旧できなかったため、多数の電源車や測量車を無理やり接続して、女傑ディアナ・マコニー少佐の指揮の下、一度きりの発射に懸けるオーシア軍。

  • 一機やられるだけでアーセナルバードの防空圏が大幅に縮小する(詳細は後述)ため撃たせるわけにはいかないと、戦車隊、爆撃部隊、ヘリボーン部隊にロケット砲部隊、果ては暗殺部隊まで投入するエルジア軍。

両者の戦いは苛烈を極める。

マコニー少佐「エネルギー充填率、40%、42%、もどかしい(Come on, damn it!)

オーシア陸軍「いやーっほう! 助かった! 3本線のマークの機体! あいつが命の恩人だ!」

エルジア陸軍「おかしい。攻めているのはこちらのはずだ。なのになんだこのプレッシャーは」

エルジア軍工作員「グリトニルだ。目覚まし時計は黙らせた。これよりストーンヘンジを遺跡に戻す(It's time to bomb Stonehenge back to Stone Age.)。抵抗はほとんどないだろう」

ロングレンジ部隊の活躍により何とか発射まで漕ぎつけたタイミングで、アーセナルバード「リバティ」が到着した。ありったけの無人機を発進させてストーンヘンジを己が手で直接壊そうとする「リバティ」を、砲撃の名手であるレーマン准尉が照準に捉えた、その時だった……

マコニー少佐「最終カウントダウンに移行!」

レーマン准尉「了解! 最終カウントダウンを開始します。テン、ナイン、エイト、セブン、シックス、ファイブ、フォー、スリー、ツー」

レーマン准尉「ダメだ、カウントダウン中止! 目標消失!」

オーシアの技術者「測量データの更新止まっています! 観測員応答なし!」

なんとエルジアの工作員「グリトニル」の暗躍により、この作戦の「」となる測量車のメンバーが殺されて*8しまい、オーシア軍はアーセナルバードの正確な位置を把握できなくなってしまったのだ。
敗色濃厚、漂う暗い空気。だが一人、諦めない男がいた。

レーマン准尉「少佐、諦めるな。センサーはまだ残っている。世界最古のセンサー、目ん玉がね

技術士官のマコニー少佐からすれば、人間の目など信頼性が低すぎるものでしかない。しかし、日々遠くの敵を見ている戦闘機パイロットは口々に「悪くない」「面白い」などと言い出す。その間にもアーセナルバードと共に迫る、作戦のタイムリミット……

マコニー少佐「もどかしい(Come on, damn it!)

マコニー少佐「全員傾注! 作戦を変更し、直接照準射撃でアーセナルバードを撃ち堕とす」

マコニー少佐「中央のプロペラを攻撃して。それが破壊できればアーセナルバードは速度を落とすわ」

マコニー少佐の決断にストライダー1《トリガー》とサイクロプス1《ワイズマン》、ロングレンジ部隊の二人の隊長が応え、「リバティ」目掛けて飛ぶ。
APSの準備を始め、MQ-101を盾にしてでも身を守ろうと必死な「リバティ」のメインプロペラに攻撃を仕掛ける隊長機編隊。
そのころ地上では、ストーンヘンジの「遺産」が見つかっていた。

マコニー少佐「信じられない。ストーンヘンジにも射表*9なんてものが備えつけられてるの?」

レーマン准尉「先人の知恵に助けられましたね」

ユリシーズという「人類の危機」に使えるものは、例えアナログであっても持たせておく。ストーンヘンジの存在意義的には、直接照準射撃も想定の内であった。
射表から割り出した砲射角、UTM座標、風力、コリオリ、レーマン准尉の勘……絶対に外せない一発のために様々な情報が集められ、再びロックオンされた「リバティ」。
「リバティ」も狙いを定められた事に気が付いたのか、或いはエルジア側から指令を受け取ったのか、APS展開と同時に残存したMQ-101のすべてをストーンヘンジに向かわせる。だが、遅すぎた。

レーマン准尉「仰角修正」*10

マコニー少佐「発射! 当たれ!(Hit, damn it!)

「リバティ」のAPSをぶち抜いて、機体のど真ん中で炸裂する対隕石用徹甲榴弾。真っ二つに折れた白い鳥がサンサルバシオンの荒野に落ちていった。
そして竜の息吹を吐き終え、役目を終えたストーンヘンジの最後の一基も、荒野に首を垂れるのであった。

マコニー少佐「作戦終了を宣言する。今回の成功はレーマン准尉、あなたのおかげね」

マコニー少佐「あらゆるシステムにはマニュアル操作を実装すべきだと思い知ったわ」

測量員の暗殺。観測手段を失ってなお諦めない敵。
この作戦ではストーンヘンジとアーセナルバード双方が絶体絶命とも言うべき不測の事態に見舞われたが、両者の明暗を分けたのはまさに人間のとっさの対応力だったといえよう。


+ ミッション17「残された島」
Operation:Reflux

衛星通信網が寸断され孤立無援となったロングレンジ部隊は、味方が取り返していると思しき拠点、タイラー島へと向かった。*11
しかし蓋を開けてみれば、そこは奪還など全くできていない上に通信ダウンの影響をもろに受け、オーシア、エルジア*12ともに誰が敵なのか分からないまま、民間人も巻き込んで撃ちあう地獄*13と化していた。

目的を切り替えて撤退戦を支援していく中で、タイラー島奪還のため以前より派兵されていたスクラップクイーンら元懲罰部隊と連絡がつき、航空攻撃*14で彼らを救助する代わりに重要な情報を得た。

エルジア軍「ターミナルカウントダウン開始。電圧安定、冷却システム稼働中」

エイブリル「ロングキャスター、約束だ、情報を渡す。エルジアの脱走兵から聞いた話だ。「まもなくサプライシップが打ち上げられる」」

アーセナルバードにこれ以上餌やりをさせてはならぬと、マスドライバーで加速されたサプライシップに追いすがるトリガー。積乱雲が生み出した稲光の中、ミサイルを撃ち込むといつぞやの青白い爆発再び。
ちなみにサプライシップには「ERU RADICAL」のタグが付いているため、アーセナルバードはエルジア急進派により運用されているのがわかる。

ヘリオスの補給を何とか阻止はしたものの、戦果はそれぐらいなもので、元懲罰部隊とは再び離れ離れとなり、部隊は乱気流に吹かれながら物資の尽きた基地へ後戻りすることとなった。

+ ミッション19「灯台」
Operation:Daredevil
物語としてクライマックスに突入するこのミッションで、無事にタイラー島を脱出したスクラップクイーンの飛ばした激を聞きつけたオーシアやエルジアの停戦派が有志連合を組み、軌道エレベーター奪還及びアーセナルバード破壊作戦が決行された。

作戦内容は
  • 第一段階:エルジア急進派の航空兵力撃滅
  • 第二段階:アーセナルバードへの飽和攻撃

有志連合はオープン回線で連絡を取りながら急進派の航空兵力を削ぎ、エイブリル達が軌道エレベーター本体をジャックして機能停止への一部始終を生放送していた。

ヘリオスの着弾やコゼット王女の暴走といったトラブルはあったものの、作戦はおおむね順調。アーセナルバードが軌道エレベーター周辺空域へと近づいたタイミングで、戦闘機、爆撃機、艦艇がありったけの兵器を叩きつける……



……筈だったが、「ジャスティス」はAPSの高速展開でそのすべてを無効化、レーザー砲で反撃し艦艇を焼き払う。それを見た司令部は有効な作戦を「今から考える」という。APSの防御力と無人機の大群に手を焼き、有志連合の士気はみるみるうちに落ちていく……

そんな中、APSのエネルギーが軌道エレベーターから供給されているという情報を聞きつけたストライダー隊二番機《カウント》は、「俺が何とかしてやる」と大見得を切る。

エイブリル「コゼット、さあ、やっちまいな。六基全部!それで送電が止まる」

コゼット「…………」(破壊音が二つ)

軌道エレベーターの風防の歪みを観測する位置マーカー。これを壊してしまえば「風防に異常があった」とみなされ、フェイルセーフとして軌道エレベーターからの電力供給はカットされる。そして風防の頂上、上空12,000mにはコゼットがいる*15
……つまり、アーセナルバードのバリアを破れるかどうかは、コゼットの手に掛かっていたのだ。

カウント「くそったれのバリアめ、消えろ!(Damned shield! Just go away!)

コゼット「…………」(割れる音)

戦場にいる者達は、エイプリル達の生放送には気づいていない。
しかし航空部隊の中でただ一人、機内にラジオを持ち込み彼女達の放送を聞いていたカウントは状況を全て把握していた。

カウント「消えろ!(Be gone!)

コゼット「…………」(叩く音)

だが自軍回線はオープンチャンネル。よって求められるのは、敵に行動が筒抜けにならないように「バリアを消す工作の演技」をすること。

カウント「消えろ!(Disappear!)

コゼット「…………」(潰れる音)

カウントが一世一代の芝居を演じる裏側で、コゼットは無言で、粛々と、言葉にできない思いを込めて位置マーカーを破壊していく。そして……

カウント「消えちまえ!(Away with you!)

コゼット「…………」(荒い息と、ひときわ大きく響く破壊音)

王女という立場に振り回され遠回りはしたものの、世界で一番高い場所に立ち己のすべきことを果たすコゼット
撃墜数水増しなどというチンケな嘘をついていた昔と違い、味方の士気が上がる嘘をつくカウント
その両者を繋いだエイブリル
本来なら交わることのない物語が奇跡的に交錯した果てに……



魔法のように解けていくバリア……



カウント「魔法じゃねえ、詐欺さ(It wasn't magic. It's a scam.)



無尽蔵の電力源を失ったことでバリアが消え、無人機を制御できなくなったアーセナルバード。
カウントの「詐欺」で士気を回復した有志連合。
戦いの流れは変わった。

さらには有志連合に与していたエルジア実験飛行隊*16がレクテナを破壊する作戦を提案。
最後は電力を受け取るレクテナの役割を果たしていたAPS展開ユニットをトリガーが破壊したことでエネルギーが暴走、アーセナルバードの最後の一羽は見事に焼き鳥になって海の藻屑と消え去った。


※こぼれ話

ミッションの後半で流れる曲「Daredevil」は、飽和攻撃失敗、バリアを破る手段なしという絶望的な状況から流れ始め、コゼットの決死の作業とカウントの一世一代の詐欺のパートを経て、バリアが破れる瞬間にサビの解放感ある独唱が始まるようにタイミングが調整されている。

この曲は、このミッション、この瞬間をクライマックスにするためだけにデータフィックスの締め切りを過ぎてから発注され*17、実装してみたら無線演出*18や他のミッションの演出*19にも影響を与えたため、それまで2017年の予定を延期して2018年としていた発売予定を、さらに2019年に延期することとなってしまった。

だがプレイアブル状態のまま、戦闘の興奮を維持したまま、バリアが消えて流れが変わるシーンはエースコンバット史上屈指の名シーンであり、何度見ても感涙鳥肌ものである。

名前通り「命知らず」の行動が、劇中の戦争の行方を、現実でもエースコンバットシリーズの運命を大きく変えることになったのだ。


◆余談

  • 「ジャスティス」戦において、レクテナ兼APS展開ユニットを破壊すると、円形のユニットがなくなった分の大穴がぽっかり空く。
    この穴は所謂「スキマニア」達にはくぐり映えする場所であり、中にはコブラやクルビットをしながらくぐる猛者もいる。

  • ミッション12で「リバティ」が撃墜されたあとの防空圏は大きく縮小したが、具体的にどのくらい縮小させれば防空圏を維持できるのか、防空圏の縮小で何が見えてくるかを考えてみよう。

    アーセナルバードの機数が1/2なので、単位時間当たりの合計巡航距離が1/2に減ってしまう
    周回円の反対側を守る機体がないので、単位時間当たりの周回数を2倍程度に増やす必要がある

    という条件より、一機体制の場合、アーセナルバードの速度据え置きで周回の角速度を二機体制の時の4倍としたときに回れる円形範囲を防衛するのが妥当と思われる。
    角速度の公式*20に当てはめると、周回半径は1/4、防空面積は1/16にまで減少してしまう。作中地図の目測でも大体それくらいの減少が起きていた。

    二機体制の防空圏の中には、首都ファーバンティ横浜アンカーヘッド、アルティーリョ港、シエラプラタ、タイラー島などの拠点が含まれていたが、一機体制の防空圏では外れてしまっている。
    さらに大陸を横断する防空エリアが消え、エルジア北部やスプリング海がガラ空きになったことで、ロングレンジ部隊はレイニー岬に橋頭保を築いてからファーバンティへ侵攻したり、味気ない名前の(P X 8 0 4 4 3)海域でアリコーンを撃沈したりもしている。
    (上記で_のある場所は本来のエルジア領内)

    エルジア本土での作戦や、シエラプラタの弾道ミサイル阻止、アリコーン阻止のことを考えると、ミッション12のドラゴンブレス作戦こそが灯台戦争の天王山だったと言えるだろう。
    また、二機体制での防空範囲とエルジアの領土が重なりすぎていることを考えると、オーシアが運用したかったアーセナルバード本来の防空圏は「ジャスティス」単機でガンター湾周辺を守っていた時の範囲程度であった可能性も考えられる。*21

  • アーセナルバードはその名前、白一色の優美なビジュアル、無人機とレーザー兵器、オーシア製でありながら敵に悪用された経緯などから、エースコンバット5に出てきた「白い鳥」ことアークバードとよく比較される。

    ・スペースデブリ除去という使命を何度も捻じ曲げられたアークバード
    ・軌道エレベーター防衛という使命を守り通したアーセナルバード

    平和利用を目的としながら全くもって平和的に運用されなかった両者は、ストレンジリアルにおける「パクス・オーシアーナ*22」の限界を象徴するものとも言えるだろう。




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最終更新:2024年02月05日 11:28

*1 こんな巨体なので通常の航空機の様に滑走路から離陸なんていうことは出来ず、後述するタイラー島のマスドライバー施設を使用して空に打ち上げられている。ただマスドライバーだけでは打ち上げるには力不足だったらしく、打ち上げの際には別個機体に取り付けられた固体ロケットブースターがマスドライバーと併せて使用された

*2 攻撃によってプロペラを一時停止させたり、爆弾の衝撃で重要部分の機能停止をさせることはできたりする

*3 このセリフ、嘘字幕で「ガーゴイル3、タベル了解」という改変ネタがある。

*4 このシーンの直前に「しかし灯台が……いや港が破壊されれば彼らは帰還できなくなります」「あれは我が国の船ではない」という不穏な会話がある。これらが指す意図はクリア後に判明する。

*5 「戦略AIはジャスティスではなくリバティを選択」という敵側の無線より、この場に現れたのは「リバティ」とその子機であることが分かる。

*6 八基のうちこの一基は、ユリシーズの破片が至近に落着したダメージから復旧中であったために空爆の対象から外されていた。04で撃ち漏らした一基が7でこのような形で帰ってきたことは、全国のメビウス1兼任トリガーに大きな衝撃を以て受け止められた。

*7 ミッション07でスペア6《フルバンド》が「遺跡」というワードを口にする。これはトリガーが入る前のロングレンジ部隊がストーンヘンジを偵察していたことを暗に示すものであるが、もし彼がこれ以上にセキュリティレベルの高い極秘中の極秘をペラペラと喋り散らした場合、最悪関わった人物全員が抹殺対象になりかねないため、バンドッグはやむなくミッション09ラストの対応を取ったと思われる。

*8 黒い手段を、とお思いの方もいるかもしれないが、それが戦争である。ついでに言うと、グリトニルの「兵器の測量員に民間人など使いやがって」という無線より、オーシアも民間人徴用などというもっとブラックな手段を使っている。

*9 火砲の仰俯角を決める計算表

*10 ちなみにこのセリフは発射カウント中、それも残り3秒と少しというギリギリのタイミングで発せられたもの。彼の腕前に作戦の成否が掛かっていることを考えると恐るべき度胸と冷静さである

*11 自部隊の補給のほかに、軌道エレベーターへの進軍拠点確保やアーセナルバードの補給遮断の目的も兼ねていた。実際、オーシア軍が大規模に集まる可能性が一番高いのはタイラー島なので、どのみち一度は向かう必要があったと思われる。

*12 前ミッションでも同様だが、エルジア軍に至っては派閥抗争のタガが外れたのか急進派(ERU RADICAL)と保守派(ERU CONSERVATISM)に分裂、内戦状態に陥っている

*13 民間人の遺体を発見したオーシア地上部隊の通信に曰く「戦闘に巻き込まれたのではありません きれいに並んで死んでいます」「いえ 戦闘員ではありません 靴を履いていない遺体まであります」「何が起こったのか想像はつきますが…あまり考えたくない事態です」。恐らくエルジアの保守派が、非戦闘員(アーセナルバードの技術者とその家族)、しかも子供まで手にかけた事がうかがえるセリフもある。また。靴を履いていないという台詞から、寝ているところを引き摺り出し、殺害したと思われる。

*14 元懲罰部隊及び民間人らを包囲していたエルジア急進派のAPCや戦車を撃破した

*15 先行したコゼットだけがその場に到着しており、瓦礫で足止めされたエイプリル達は後方から指示を飛ばしている。

*16 もっとも、この時点では混乱に乗じてエルジアから離反・独立し、ボスルージ共和国空軍を名乗っていたが

*17 河野ブランドディレクター曰く「一箇所でイイ。鳥肌立てて涙したい。」「1曲、どうしても名曲が要る、今から創って欲しい。」「〆切後に新曲を追加する。狂気だ。」とのこと

*18 「サビ前で無線をシンクロさせたい。」という指示。カウントの詐欺周辺のセリフだろうか。

*19 明確に言及されているのはミッション12。ストーンヘンジのぶち抜きシーンはもっと地味だったのだろうか。

*20 v=rω:v=速さ、r=半径、ω=角速度

*21 ジャスティスにのみ様々な改修が施されていたのも、この考えの根拠となっている。それでもリバティの建造費や維持費を丸々無駄遣いするのは考えにくいので、オーバーホールのためのローテーション説やタイラー島との分散配置説なども考えらえる

*22 「オーシアによる平和」の意。ストレンジリアルの覇権国家であるオーシアの支配権拡大による平和主義は、現実世界での「古代ローマによる平和=パクス・ロマーナ」や「アメリカによる平和=パクス・アメリカーナ」と重なる部分が大きい。