伏黒甚爾(呪術廻戦)

登録日:2020/08/11 Tue 15:21:00
更新日:2024/03/23 Sat 00:12:47
所要時間:約 7 分で読めます





気にすんな俺も苦手だ

男の名前覚えんのは


伏黒(ふしぐろ)甚爾(とうじ)(旧名:禪院(ぜんいん)甚爾(とうじ)とは『呪術廻戦』に登場するキャラクターである。



●目次


プロフィール


誕生日:12月31日(やぎ座・大晦日)
趣味・特技:ギャンブル
好きな食べ物:肉とモツ
嫌いな食べ物:酒(全く酔わないため)
ストレス:禪院家


概要


劇中最強の特級呪術師・五条悟の学生時代篇のラスボスポジション。
「術師殺し」の異名を持つ裏社会の住人であり、出身は呪術界御三家の1つ「禪院(ぜんいん)*1」。そして伏黒恵実父。
息子である恵を禪院家に売り払った張本人だが、恵と名付けたのも彼である。

作者や読者からの通称は「パパ黒」
劇中ではとある人物の暗殺依頼のため学生時代の五条ならびに夏油らと対立した。


人物像


ビジュアルは細身ながら極めて筋骨隆々な細マッチョのイケメン。
髪は黒い短髪で、右の口元に古傷があるのが特徴的。恵とは五条が初見でドン引きするレベルで顔が似ている。
服装は基本黒無地のTシャツと白のカンフーパンツというラフな格好。

普段は競馬などのギャンブルに手を染めてやる気のない態度が目立つ飄々とした人物だが、本性は非常にダーティかつ狡猾。
仕事の邪魔になる人間には一切容赦しない冷酷な殺し屋。五条曰く「僕が引くレベルのろくでなし」
ギャンブルなどは好きなようだが博才はなく、知人である仲介業者・孔時雨からは「楽して稼ぐのは向いてない」と言われている。


お金が無いので普段は複数の女性の所を転々として渡り歩いており、一度の仕事で大金を荒稼ぎした後、一気に使いまくって無一文になるサイクルを繰り返しているまごうことなきダメ人間。
一応稼いではくるので、作者曰く「リターンのあるヒモ」「プロのヒモ」
そんな生活を送っているので、女性相手には例えクッソ失礼な暴言であっても言い回しが(本来のキャラに比べると)若干優しくなる……らしい。

「呪霊を祓えない」という理由で禪院家からの扱いは非常に悪く、呪霊の群れに放り込まれる*2などといった虐待に晒されていたが、恵の母親と出会ったことで丸くなる。
しかし恵を産んで間もなく妻が亡くなり、そのことによって性格が暴走し今に至っている。*3

禪院家26代目当主である禪院直毘人は叔父に当たる*4
また禪院真希真依とは従兄妹同士ではあるが、互いに面識は無い。


戦闘能力



だがその恵まれたオマエらが 呪術も使えねえ俺みてえな猿に負けたってこと

長生きしたきゃ忘れんな


天与呪縛で得た超人的肉体と様々な呪具、直接戦闘に依らない狡猾な戦術・策略を使いこなして標的を仕留める武闘派。
呪具以外にもナイフや拳銃といった近代兵器も武器として使う。
学生とはいえ当時の五条や夏油を単独で圧倒したトリッキーなパワーファイター。
恐らく五条が「基礎でゴリ押しするタイプ」が苦手になった元凶と推察される。

ただし超人とはいえども呪力がないため呪霊を祓うには呪具が必須。
術式を持った相手とのアドバンテージの差もやはり大きいので、劇中では謀略を駆使して「徹底的に相手の精神力を削いで致命的な隙を作るように暗躍し、作られた隙を突いて仕留める」という戦術を駆使した。
とはいえ、呪具や裏工作、策略抜きにしても2級術師程度なら呪具を持たず策略に依らずとも素手だけで叩きのめして致命傷を負わせられる凄まじい身体スペックを持つ。
学生時代だったとはいえ本気の五条と夏油相手に正面からの勝負で完勝できるのだからその実力は折り紙付きである。

加えて劇中の戦いが異端だっただけで、普段ならば依頼を達成すれば一目散にスタコラ逃げ出すクレバーな戦術を取っている様子。


天与呪縛(てんよじゅばく):フィジカルギフテッド

生まれながらに強制的に肉体に「縛り」が課されるある種の特異体質。
先天的に重い身体障害を持つ代償に強力な呪力を、逆に一般人並みの呪力しか持たない代償として超人的な身体能力を得るケースが多い。
これも術式の範疇なので、呪縛の内容を説明した場合ステータス強化が見込める。

彼の場合呪力が完全にゼロ*5となった結果一際超人的な身体能力を得ただけでなく、呪いに対する耐性を獲得。
五感が研ぎ澄まされた事で呪具無しで呪霊を認識*6できる上に、呪霊を体内に取り込んでも平然と行動できる規格外の逸材である。
また一切の呪力を持たない為呪力による探知、結界を完全に無効化可能な常時ステルス状態となっている。


この規格外の呪縛が産んだ身体能力は桁違い。
指3本を取り込んだ段階の両面宿儺を上回る身体能力を持ち、いざ戦闘となればドラゴンボールじみた超高速移動からの強襲を難なくこなし、呪力ゼロ故のステルス効果も合わさったその動きは五条の六眼を掻い潜り気配すら捉えられない。
格納呪霊や呪具を展開すれば感知も可能だが、その状態であっても(学生時代とは言え)六眼を操る五条でさえ完全に捕捉しきれず「動きがまるで読めねぇ!!」「速すぎんだろ!」と内心で悪態を吐く凄まじい域に達している。
復活後はさも当然のように難なく水面をダッシュで駆け抜け移動するというとんでもない真似まで披露した。

パワーとタフネスも凄まじく、同じフィジカル強化の天与呪縛を受けた禪院真希を圧倒する怪力と術式反転「赫」によるダメージすら軽微に抑えることが可能な耐久力を持つ。
五感も呪縛で強化されており、残穢に頼らずとも足跡と臭跡だけで標的を追尾し居場所を探り当てられる。
おまけに上述の通り、天与呪縛の特性ゆえに呪縛を解説すれば超人的な身体能力が更に強化されてしまう。

特級術師の九十九曰く「呪力が完全に0なのは世界中探しても彼1人だった」「正に超人」



格納呪霊

自身の体内に格納して使役している呪霊。
等級は3級レベル。
外見は人間の顔と頭を持つ不気味な茶色い体色の芋虫で、体外から出ると甚爾の身体に巻き付く。

攻撃力こそ皆無だが口を介して体内に呪具を格納することができる武器庫の様な珍しい呪霊であり、格納した呪具の呪力は探知不可能で、質量も加算されない為非常に便利。
更に尾を飲むような形で自身を格納してサイズを落とす事もでき、この状態で甚爾の体内に収納されればこの呪霊も同様にステルス状態となり、あらゆる呪具を携帯したまま結界を素通りできる。*7
武器以外にも人1人くらいなら容易く呑み込んで体内に格納できるので、死体の運搬にも使える。

戦闘では天逆鉾を筆頭とした各種呪具、更にはチャフ兼目晦まし代わりに夥しい数の蠅頭まで格納。時には呪霊そのものを鞘代わりにして居合斬りの真似事までできる。
状況に応じて武器を使い分けるが、体内に格納している呪具は5億もの値が付く呪具も平然と存在する。
甚爾との間に主従関係が成立しているため夏油の呪霊操術で取り込めなかった。
+ ネタバレ
甚爾の死後は夏油に取り込まれた。
少なくとも『呪術高専』時点まではそのまま彼に使役されていたが、夏油死後の動向は不明。


装備

  • 拳銃
オートマチック式の拳銃。牽制や標的の暗殺などに用いる。
呪具でも何でもなく呪霊には全く効かないと思われるが、初見の不意打ちであれば術師に感知される事なく先制できるメリットもある。

  • 釈魂刀(しゃくこんとう)
鍔にファーのような装飾がある以外はシンプルな形状の日本刀。等級は不明。
あらゆるものの硬度を無視しその魂を切り裂く力を持つ。
ただ、その効果を十分に発揮するには、無生物の魂すら観測する目がいる。
劇中では、当時の夏油が持っていた呪霊でも最高硬度だった虹龍を斬り裂いた。
なんと価格は5億円にもなるらしい。

  • ナイフ型の呪具
鋭利な刀身を持つナイフのような短刀型呪具。
名称や等級は不明。
天逆鉾で致命傷を負わせた後五条悟にトドメを刺す為使用したが、逆にこの呪具でトドメを刺そうとしたことが五条悟に回復のチャンスを生んでしまい、そのまま敗北に繋がった。

  • 天逆鉾(あまのさかほこ)
術師殺しの要となる特級呪具。見た目は二又の分厚い短刀。
刀身に触れた発動中の術式を問答無用で強制解除させる効果を持つ為、術式による攻撃・防御を無効化できる。
扱うタイミング次第では術式による遠距離攻撃を防ぐ盾にもなる様子。
唯一の欠点はリーチの短さだが、甚爾の場合は万里ノ鎖を連結させることで鞭のように振るい欠点のリーチを補っている。
後にミゲルの黒縄と並んで獄門彊の封印を解除できる希少な呪具と判明。しかしその行方は天元すら知らず、悟の手で海外に封印されたか破壊されたと見られている。

  • 万里ノ鎖(ばんりのくさり)
鎖状の特級呪具。
どちらか一方の末端が観測されない限り何処までも鎖が伸びる効果を持つ伸縮自在の鎖。
使役する呪霊の体内に片方の末端を飲み込ませておくことでデメリットを帳消しにして運用している。
存在が明らかになったのは単行本のおまけページ。

  • 游雲(ゆううん)
蛍光灯を三本繋げたみたいな赤い三節棍の特級呪具。
釈魂刀程ではないが、こちらも数億はくだらない呪具。特級呪具の中では唯一術式効果を一切持たないが、しかしそれ故に特級呪具クラスの呪力を内包する純粋な力の塊。
よって所有者の膂力に破壊力と殺傷力が大きく左右される性質を持つ。
超人的な身体能力を持つ甚爾とは極めて相性のいい武装だが、暴走した彼の場合、更に末端同士をぶつける*8ことでわざと破損させ両端を鋭利な槍のように研ぎ澄ませて牙突めいた攻撃を披露するなど、殺傷力を飛躍的に高めて運用した。

オガミ婆の降霊術により復活した際に真希から強引に奪う形で使用するが、実は元々格納呪霊の体内に保管されていた代物。
甚爾の死亡後夏油の手に渡り、更に禪院家に回収されていたものを五条の介入により禪院真希の手に渡った*9


劇中での活躍


懐玉編

もう禪院じゃねぇ 婿に入ったんでな

今は伏黒だ

いいぜ その話受けてやる


2006年、盤星教「時の器の会」から3000万円の報酬で「星漿体・天内理子の暗殺」の依頼を受け暗躍。
昔幼少時代の五条悟と出逢った経験から五条を徹底的に危険視し、五条の能力を出来る限り削ぎ取る作戦を立案し実行に移す。
まず天内の護衛をする五条の神経を削らせるために、同化の2日前から当日まで闇の匿名掲示板で天内に3000万円*10の懸賞金をかけて3000万円を呪詛師を呼び寄せる餌に使い、五条と夏油を賞金目当ての呪詛師と闘わせて五条と夏油を消耗させていく。

そして天内理子の同化当日を狙い
  • 「懸賞金の失効後」という最も警戒心が薄れたタイミング
  • 天与呪縛により呪術高専の結界を素通りできる特異体質者
の2点を利用し、自ら単身で高専に潜入し五条に奇襲を仕掛けると時間稼ぎを図る五条と交戦し、特級呪具「天逆鉾」で五条を殺害。
そのまま自身の嗅覚で夏油達を追い、高専最深部「薨星宮」で天内の従者だった「黒井美里」と天内本人を殺害し、更に親友と守るべき人を奪われ怒り狂う夏油すらも打ち負かし天内の遺体を回収して撤収。
そうして盤星教に天内の遺体を引き渡してまんまと報酬を手にしたが……


よぉ 久しぶり

……マジか

大マジ 元気ピンピンだよ

反転術式!!

正っ解っ!!


しかし死の淵で反転術式を発現させ復活を果たし、新たな領域へと至り現代最強の術師となった五条と再戦、激闘を繰り広げる。
当初は五条の各攻撃に対する万全の想定もあり勝機を十分に見出していたが、その際自身の行動に違和感を覚えながらも無視して戦いを続行させる。
だが五条家の奥義と言うべき「虚式・茈」の存在は知らずその対策が取れなかったため、最終的に左半身を抉られ致命傷を負う。
そうして死の間際、違和感の正体が「自身を否定した禪院家と呪術界の頂点を捩じ伏せて否定したかった」という屈折した自己肯定感情によるものだと気づく。


(自分を肯定するために いつもの自分を曲げちまった)
(その時点で負けていた)

自尊心(それ)は捨てたろ

(自分も他人も尊ぶことない そういう生き方を選んだんだろうが)

最後に言い残すことはあるか?

……ねぇよ


亡き妻の姿を思い浮かべ皮肉を込めて自嘲し死のうとする甚爾だが、最後に息子の顔が浮かんだ瞬間ある言葉を口にする。


2、3年もしたら俺の子供(ガキ)が禪院家に売られる 好きにしろ


最後の最後で息子を案じる本心を零し、天与の暴君は息絶えた。
……はずだった。


渋谷事変


術師は殺せか…

テメェも術師だろ


そうして時は流れて渋谷事変にて呪詛師・オガミ婆の降霊術により伏黒甚爾の肉体が顕現する。
依代であるオガミ婆の孫に操られるまま呪具の素手だけで2級術師・猪野琢真を瞬殺するが、
規格外の天与呪縛の影響により「降ろされた甚爾の肉体」が霊媒だった「孫の魂」を打ち負かすという常軌を逸した逆転現象により、本来呼び込む筈の無かった「禪院甚爾」の魂の情報まで獲得。
結果的に伏黒甚爾は完全に復活を果たした。

完全復活すると震撼し動揺していたオガミ婆に即座に反逆してオガミ婆を容赦なく殴殺。
オガミ婆の術式はそのまま消えるはずだったが、天与呪縛で呪力を一切持たないが故に術式発動中も呪力を一切消費せず肉体を維持できるバグじみた現象が発生し、依代であるオガミ婆の孫の肉体が破壊されない限り顕現し続ける状況に陥る。
結果術式が暴走して自我を失った甚爾は誰にも制御できず常に強者に戦いを挑む殺戮人形へと変貌した。

そうして禪院真希+伏黒恵+七海健人+禪院直毘人VS特級呪霊・陀艮の戦いに突如乱入。
恵が開いた陀艮の領域の穴から無理矢理割り込んで参戦すると、真希から強奪した游雲を駆使して陀艮を一方的に叩きのめし遂には陀艮を殺害する。
結果だけ見れば圧勝だったが伏黒が領域展開を発動したことにより陀艮側が術式の必中効果を使えなかったという点も考慮しなければならない。


陀艮との戦いを終えるとそのまま標的を息子である恵に定め、意思なく猛攻を仕掛け圧倒し続けるが、恵の姿を見て突如直毘人に息子の受け渡しの取引をした過去の記憶を想起させる。


(俺にとってはゴミ溜めでも 術式(さいのう)があれば 幾分ましだろ)

(もうどうでもいい どうでもいいんだ)




オマエ 名前は

……? 伏黒……

……禪院じゃねぇのか



よかったな




恵の答えを聞き、どこかほっと安堵したような皮肉げな笑みを浮かべながら、自分の頭を游雲で自ら刺し貫くことで破壊。
父の顔も何も知らず終始困惑する恵を置いて、再び天与の暴君は息絶えた。



第2部




追記・修正はプロのヒモの人にお願いします。


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  • 異端児
  • 毒親の犠牲者
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最終更新:2024年03月23日 00:12

*1 伏黒は亡くなった妻の苗字

*2 口元の傷はその時についたもの

*3 妻と出会う前の状態に逆戻りしたのか、更に面倒臭いやさぐれ方をしたのかは不明。

*4 父は直毘人の兄

*5 似たような呪縛を持つ真希はあくまでも「一般人並」であり、完全にゼロというのは後述のように全く前例の無いレアケースである

*6 後に呪力0の者が至る境地に開眼した真希が周囲の空気の密度などに関することも言及しているので、天与呪縛レベルになればそこに空気以外の『何か』が在ることを逆に感知出来るが故と思われる。

*7 原理としては、甚爾曰く「透明人間は臓物まで透明」との事。この場合は「透明人間は体内に取り入れた物(食事など)も本人同様透明になる=甚爾が飲み込んだ物の呪力も同様に感知できなくなる」といった意味合いかと思われる。

*8 原作の絵では叩きつけているように見えるが、アニメ版では「研いでいる」という台詞を強調するためか、こすり合わせるような動きになった(「游雲同士をぶつけて」という台詞はそのまま)。

*9 所有権があるのはあくまで五条家であり、真希が必要な時は許可を得て持ち出している

*10 金の出所は暗殺の手付金

*11 一応、直毘人の助力が無かったら勝てなかったかもしれないことは明記しておく。