迅帝

登録日:2020/09/28 (曜日) 00:59:00
更新日:2024/03/12 Tue 01:33:30
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その目でしっかりと見届けてくれ。
お前に出会ったことで取り戻した、俺の走りを――――。

迅帝とは、元気株式会社制作のレースゲーム「首都高バトル」シリーズに登場するボスの名称である。

概要

作品ごとに細かい設定の違いがあるが、ここでは大まかに共通している事柄について記述する。

本名は「岩崎基矢」。本職はなんと医師である*1。元ネタは多分「湾岸ミッドナイト」の島達也だが、暴走族の医者って……。

混沌とした首都高の勢力争いの中、ある夜たった一人で戦場に舞い降り、走り屋たちを打ち負かし、頂点に上り詰めたというとんでもない経歴を持つ。その際に、迅帝に最も近い場所にいると言われる13人の走り屋は「十三鬼将」と呼ばれ、迅帝と共に恐れられた。

モットーは「一撃離脱」*2。彼の操るマシンのスペックは、「スピードだけが真実」という思想をそのまま反映したかの如く極めて高く、本人のドライビングセンスも最早神の領域に達している。その癖プレイヤーと戦う時のAIは雑魚とか言ってはいけない。

初登場は「首都高バトル0」だが、その前作「首都高バトル2」の主人公が後の迅帝であると考えられる記述が存在する*3

搭乗するマシンは大抵、日産・スカイラインGT-R(BNR34)の場合と、スバル インプレッサ(GDB)の場合の二種類。何かと仏像に縁のある男でもある。

各作品ごとの活躍


首都高バトル0

ある暑い夜、突然、首都高に現われ、次々と走り屋たちのチームのリーダーを打ち負かして頂点に登りつめた。その正体は謎に包まれているが、噂ではまだ20そこそこの若者だという。いつも突然、現れる。スタート時点で圧倒的な加速力を見せ、一気に最高速まで引っ張る超ド級のエンジンと、それを完全に乗りこなす高い技術力はもはや人間業とは言えない。一般車の動きを完璧に予測して、相手を封じ込めてしまうことも。

初めてボスとして登場した作品。ボス群の十三鬼将(13 Devils)を全員倒すことで出現する。

2000年のカルソニックスカイラインと非常に似たエアロで武装したスカイライン・GT-Rを駆る。マシンの両サイドには「壱・撃・離・脱」と書かれ、登場シーンではこれがアップになり、その後マシン全体を映してから大きく「迅帝」と表示されるという演出が入る。彼を表すアイコンは、目を閉じ微笑みを浮かべる青い大仏となっている。

取り敢えず彼はどこにでも現れるが、直線の多い場所(特に湾岸線)で勝負を挑むとまず勝ち目が無い程の速度を出してくる為、橋脚の多い銀座辺りで勝負を仕掛けると勝ちやすい。その辺りは彼の紹介文に嘘偽りなし、と言える。

街道バトル

ある寒い夜、突然峠に現れ次々とライバルを打ち負かし頂点に登りつめた。まだ18歳の免許取り立てという噂も。峠の皆がその腕を認めたがらず、追い出そうとしている。

第一いろは坂・ヒルクライムをホームグラウンドとする走り屋として登場。丸目のGDB-A前期型インプレッサに乗っている。しかしカラーは白で、しかも「壱撃離脱」が書かれていない。時系列的には首都高バトル0に於ける岩崎が20代前半で、この作品では18歳と噂されていることから、もしかしたら街道バトルは迅帝が首都高に現れる前の物語という可能性もある。

第一いろは坂・ヒルクライムのライバルを全て倒した上で、掲示板の書き込みに反応することで勝負できる。前作と違い暴力的に速いというわけでは無いが、少しでも油断すると普通に再起不能になるレベルではあるので、その後に挑むラスボスの為にもマシンに妥協をしない方がいい。

よく見ると、紹介文の冒頭が首都高バトル0の物と対になっている。

首都高バトル01

ある夜、突然、首都高に出現し、あっという間に頂点に昇りつめた走り屋。その後、とある走り屋に敗れ、首都高を永遠に去ったかと思われていたが、さらにパワーアップして戻ってきた。その存在自体が首都高の走る伝説。アザーカーの動きを読んで、それさえも利用してしまう天才的な走り。スタートの時点で思いっきり差をつけた後、さらにグングンと引き離していく。驚異的な馬力に耐えられるボディ剛性と足回りを完備。奇跡のような速さを実現した。

0の時代でとある走り屋(=プレイヤー)に迅帝が敗けたことで、首都高の勢力が変わったのみならず、阪神・名古屋の走り屋もそれに呼応した。当初首都高は元・十三鬼将である「ユウウツな天使」がトップとして立っていたが、彼女含めた各エリアの走り屋がプレイヤーに敗れると、それを上回る存在が出現した。首都高に現れたのは、勿論迅帝。

どう見てもC-Westのエアロを着けたBNR34スカイラインGT-Rで参戦。この作品からは自分のマシンには必ず「壱撃離脱」のステッカーを貼っている(首都高バトルXの序盤とコラボを除く)。勿論ボンネットには大仏の顔が貼られている。今回のマシンはエアロ自体は普通に買える物なので、プレイヤーもカスタムカーを買わずに再現することができる。

初登場の演出では首都高のボスを全員撃破した直後、画面が暗転。その後、「壱 撃 離 脱」の四文字が現れ、それが迅帝のマシンと重なる。今までのエリアボスと違い、ただ画面を覆いつくすように「迅帝」と表示されるその演出は鳥肌物。一度見てしまうと二周目になるまで見ることができなくなるため、できるだけ目に焼き付けておこう。

彼に限らず、この作品のAIはかなり頭が悪い為、速さがそのまま戦闘力に直結する湾岸線で勝負を挑まなければ、自分のマシンスペックに翻弄されて勝手にアザーカーか分岐に激突して自滅してくれる事が多い。なので、ラスボスとしての難易度はシリーズの中でも低い。但し、湾岸線で勝負を挑むとなると厳しい戦いを強いられる。

因みに、この作品から迅帝は稲妻のオーラを纏うようになる。

首都高バトル(PSP)

ある夜、突如として首都高に現われて、あっという間に頂点ヘと昇りつめた驚異の走り屋。【パープルメテオ】から走りを学んだということ以外は、その経歴は多くの謎に包まれている。新十三鬼将よりも自分を上に格付けすることで、トップの地位を確立している。はるか前方のアザーカーの動きを読み、それさえも利用する走りは、まさに天才的。スタートの時点で一気に差をつけ、さらに引き離す。驚異的な馬力に耐えられるようにボディー剛性と足回りも常に万全。バトルに勝つためだけに生まれてきたマシンとドライバーである。

今作ではボスではなく、ワンダラー(特定のチームに入らない走り屋)として登場する。ただ、新・十三鬼将なるものを作っているらしく、その中には0時代の十二覇聖(The Zodiac)に所属していた人物、及び初代首都高バトル(DC)で四天王(The 4 Devas)として君臨していた人物も居る。

再びBNR34スカイラインGT-Rで参戦。但し、今作のエアロはガレージ籠谷のBNR34デモカーにそっくりという意見もある( 参考 )。本来同車は6速なのだが、迅帝は5速に換装している。お馴染みの「壱・撃・離・脱」は健在だが、ボンネットの大仏が今作では(より写実的な)厳つい顔に変わっており、寧ろ「金剛力士像」の吽形に近い。

スタート時にニトロを使わないとあっという間に追いて行かれる程速く、しかもAIの思考がかなりマシになっている為、前作のように自滅を待つ戦法では難しい。しかし、直線番長ではやはりコーナーが辛いらしく、減速した隙を狙えば十分勝つチャンスはある。いずれにせよ、シリーズでもかなりの強敵と言っていい。

尚、同じくワンダラーの「パープルメテオ」を仲間にするには迅帝のカスタムカーで勝負に勝つ必要があるため、クリアに必要ではないとはいえ、やりこみ要素としては欠かせない存在となっている。また、迅帝自身を仲間にするには、新・十三鬼将を全員倒す必要がある*4為、最低でも二回以上戦うことになる。

レーシングバトル -C1 GRAND PRIX-

【C1GP、SPバトル出走ドライバー】。公道のバトルでは、その存在自体が走る伝説と言われている走り屋。ある日、突然、C1GPに参戦し周囲を驚かせると、あっという間に頂点に昇りつめてみせた。他車の動きを読んで、それさえも利用してしまう天才的な走りは、まさに奇跡と呼ぶに相応しい。

お前どの作品でもあっという間に頂点に昇り詰めてるなとか野暮なことを言うのはNG。

やはりBNR34スカイラインGT-Rで参戦。2003年のJGTCエアロで武装しているが、肝心のエンジンは直列六気筒(恐らくRB26)のまま。「壱・撃・離・脱」の文字の後ろには満月と高波が描かれ、ボンネットには何故か雷神があしらわれている。更に、本来リアエンブレムのある位置には三つ巴の紋章が付けられていたり、リアバンパーの右下には「追越不可」というステッカーが貼られていたりと、今作の迅帝はかなり攻撃的。もっとも、この作品では往年のレースカーやD1全盛期の車両、その他独特な車両がてんこ盛りの為*5、攻めているとはいえ埋もれている感は否めない。

AIにまだ問題があるのか頻繁に壁にぶつけるが、今作のコースは総てクローズドサーキットの為、アザーカーが走っていない。なので、今までのようにアザーカー嵌めで勝つことは出来ない。ただ、コーナーで大きく減速してしまうという特性は残っており、追い上げの加速を上手くブロックできれば十分勝てる。

KAIDO -峠の伝説-

首都高の伝説のチーム「十三鬼将」のリーダー。その首都高の伝説と言われた男が、首都高最強の集団、THIRTEEN DEVILSを率いて舞い戻った。街道でも「走る伝説」を作り出そうとしているが、何故かその行動に疑問を感じている。

首都高から街道を征服する為に乗り込んできた「THIRTEEN DEVILS」の頭領として登場。ラストステージとなる北海道で待ち構える。

実際には、彼らは街道を自らの理想郷として作り変えようと企む「街道プレジデント」に唆されていたことが明らかになる。迅帝が抱いていた違和感はこれである。
その街道プレジデントは、プレイヤーに倒されたことで野望を打ち砕かれた。
「私の完璧な作戦がすべて台無しだっ!! あの走り屋の存在さえ無ければっ・・・!! しかしだ、俺にまんまとだまされ、のこのことやってきたTHIRTEEN DEVILSの迅帝があの走り屋を打ちのめすハズだ!!」

今作では街道バトルと同じくインプレッサ GDB-Aを駆る。しかし、カラーは青に変更されており、ボディには般若心経がびっしりと書かれ、サイドには「壱撃離脱」の文字(今作では点が入っていない)、そしてそれに挟まれるようにして描かれた、ついに目を見開いた厳つい大仏という迫力満点のマシンとなっている。エアロは恐らくCHARGE SPEED製の物にWRCウィングを組み合わせたモノ。

彼と戦うことになる北海道ヒルクライムは全面ダートコースなので、きちんと対策を踏めば迅帝とも互角に戦える。他のボスもそうだが、粘り強く貼りついてくる為、なかなかぶっちぎるということは難しい。

首都高バトルX

お前の考えてること、当ててやろうか?首都高でトップに立ちたい――。違うか?この場所を走っている連中の考えていることなんて、だいたい似たり寄ったりだ。だが、実際にそれを成し遂げられる者はほとんどいない。

この作品では最初にCPV35型スカイラインクーペに搭乗する「岩崎」という人物とチュートリアルとして戦うことになる。以降も幾度となく再登場し、新人の走り屋であるプレイヤーに助言を与える。その正体は…。

ある夜、突然、首都高に出現し、あっという間に頂点に昇りつめた走り屋。その後、突然、姿を消してしまったが、以前よりもパワーアップして戻ってきた。Egの限界を試すようなパワーチューン、それを載せるボディと足回りの強化。はるか前方を走るクルマの動きを読み、それさえも利用する走りは「天才」以外の言葉が思いつかない。走りに対する姿勢はストイックで、スピードだけがこの世の中でたった1つの真実だと信じて疑わない。

言うまでもなくラスボス、迅帝である。

Xのストーリーを簡単に説明すると、01で彼が敗けた後、迅帝は首都高を去り*6、入れ違いに彼にリベンジを果たしに来た「スネークアイズ」がアメリカから帰国し、首都高の走り屋を潰して回っていた…というもの。スネークアイズがある走り屋(=プレイヤー)に敗れた後、プレイヤーの成長に感銘を受けた迅帝が首都高の頂点として、一部の古参のチームと共に復活した。

今作ではGDB-Fインプレッサ、所謂「鷹目インプ」を駆る。先代のBNR34は事故で大破してしまったらしい*7。800馬力に到達した超大出力のマシンだが、車重はなんと2tを越えている。これはスーパーカーのブガッティ・シロンに匹敵する。何を積んだらそうなるのか。*8サイドの「壱撃離脱」の四文字は今まで以上に派手になっており、ボンネットには彼の大仏のアイコンと「迅帝」の文字が描かれている。
KAIDO -峠の伝説-で描かれていた厳めしい大仏はどこに行ったのかって?決戦の登場カットインでちゃんと出てきます。しかも最初は青く穏やかな顔だが、途中で赤く厳つい顔に変わるという凝った演出付き。

その目でしっかりと見届けてくれ。お前に出会ったことで取り戻した、俺の走りを――――。

加速は車重を感じさせないほど速いが、その重さが災いしてスムーズにコーナーを曲がることは不可能。しかも今作では湾岸線は削除されている為、過去作品よりも倒すのは楽。

湾岸ミッドナイト(PS3)

同じ元気株式会社制作のレースゲームだからか、ゲスト参戦している。マシン自体は首都高バトルXの物と同一。

サバイバルモードの「MONSTER」等で登場。速いと言えば速いが、プレイヤー側が使えるマシンのスペックがスペックなので、あまり苦戦しない。因みに、特定条件を満たすと迅帝含めた首都高バトルの歴代ライバルたちのマシンが使用できるようになる。

首都高バトルXTREME

2017年7月18日のイベント「高難易度ゲリラバトル 黎明の帝王出現!」で登場。再びBNR34スカイラインGT-Rを駆る。Xのインプレッサのラッピングを流用している。

ドリフトスピリッツ

2023年7月の首都高バトルコラボで登場。「0」仕様の迅帝と「X」仕様の迅帝・改が実装された。
しかし何故か「壱撃離脱」の文字も大仏も削除されてしまっており、ユーザーから嘆きの声が上がった。同イベントでは他にもユウウツな天使のリバリーから天使が消えていたりするので、何か大人の事情があるのかもしれない。

備考

横羽線のチーム「Speed Master」に所属しているブラックエンジェルこと岩崎彩子は、迅帝の妹である。行方不明になった兄の事を探しているらしいが、首都高バトル2の時点で彼女はライバルとして出現するため、「『2』主人公=迅帝」の考察に則る場合、二人は一度首都高の上で再会しているということになる。

また、迅帝の歴代カスタム(特にBNR34)は知る層には絶大な人気を誇り、数多のレースゲームで再現されている他、なんと実車で再現してしまった猛者も存在する。

追記・修正は、首都高最速の称号を手に入れてからお願いします。

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最終更新:2024年03月12日 01:33

*1 『レーシングバトル -C1 GRAND PRIX-』ではプロ―レーサー扱いとなっているが、他のドライバーもレーサーとして登場している為、医師を辞職したわけではないだろう

*2 実際の意味は所謂「ヒットエンドラン戦法」を指す。つまり、相手を攻撃してから直ぐに撤退するということなのだが、恐らく彼の言う一撃離脱は、たった一度の加速で戦線から離脱させてしまうという意味だろう。

*3首都高バトル0」では前作のラスボス「白いカリスマ」の説明文が「彼を正面から捉えた者は、今までいないと噂される」から「【迅帝】に敗れ姿を消していた」に変更されている。

*4 その中にはパープルメテオがいる

*5 中にはUNKNOWNのように、Z33ベースなのにフロントの左半分だけがS30Zになっているという極めて奇抜なスタイルのマシンも存在する

*6 恋人の病死が原因で走りに対するモチベーションを失ってしまった。

*7 メタ的に言うと、今作ではかつて日産車に搭乗していたライバルたちが(???等の例外を除き)軒並み別メーカーの車に乗り換えている。大人の事情が絡んでいるのは明白である

*8 おそらく数値の設定ミスだと思われる。数字に限らず、誤植は元気作品に於いては恒例でもある。