板歩きの刑/Walk the Plank

登録日:2020/10/23 Fri 17:32:57
更新日:2020/10/25 Sun 13:54:53
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板歩きの刑とは、海賊によって行われたとされる行事である。



【概要】

船べりから海に突き出すように板材などを渡し、処刑したい奴を海に向かって歩かせる。
そいつが海にドボンしたらおしまい。



【現実世界での板歩きの刑】

実際に行われていた慣習かというと怪しいらしい。
18世紀の海賊の黄金時代以降、板歩きの刑があったとする証言はいくつかあるが、信憑性のある記録として残されている例はほとんどない。

板歩きの刑は「海に落ちた奴は板の上を歩いたらそうなっただけで、俺達が殺したんじゃない」という主張をするための方法だったとも言われている。
しかしこれはどこからどう見ても筋の通らない屁理屈であり、処刑の実行者が罪に問われることを免れるのに効果があったとは言い難い。



【文学作品等での板歩きの刑】

歴史上の板歩きの刑の事例は実在性に乏しいものであるが、創作作品ではよく登場する。
とくに海洋冒険小説の古典であるロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』では複数回にわたって言及され、海賊の処刑の残虐さを大いにアッピールした。
こうして、板歩きの刑は創作作品における海賊の殺人、とくに海賊が襲撃して占拠した船の乗組員に対して行う処刑のやり方として定着化、定番化した。

今となっては、フィクション作品で古典的な海賊が登場すれば、たいてい板歩きの刑も登場する。
ピーター・パンのフック船長、タンタンの冒険旅行のレッド・ラッカムといった子供向け作品の中の海賊も、当たり前のように板歩きの刑を実施している。



【ゲーム作品での板歩きの刑】

Cookie Clicker

ひたすらクッキーを焼き上げるゲーム。
クッキー生産施設のひとつである、Antimatter condenser(反物質凝縮器)に関連する実績に、Walk the planckというものがある。
板歩きの刑と、量子論の発展に貢献した物理学者マックス・プランクの名前をかけたシャレである。
どういう意味かはよくわからない


Magic the Gathering

板歩きの刑/Walk the Plankという名前のデッキやカードがある。

板歩きの刑/Walk the Plank(デッキ)

オンラインの対戦プラットフォームであるMagic: The Gathering Arenaで使用可能な構築済みデッキ。
デッキカラーは。クリーチャーを展開し、除去でサポートしながら攻撃するスタイルのデッキである。

なお、後述するカードのほうの板歩きの刑/Walk the Plankはデッキに1枚も入っていない


板歩きの刑/Walk the Plank(カード)

《板歩きの刑/Walk the Plank》 (黒)(黒)
ソーサリー

マーフォーク(Merfolk)*1でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。

エキスパンション「イクサラン」にて初登場。レアリティはアンコモン。
海賊の処刑になぞらえてクリーチャーを死亡させるが、泳ぎが達者なマーフォークは殺せないというフレーバーである。

性能評価
リミテッドでは他の除去が潤沢に揃うことも、対戦相手のクリーチャーがマーフォークしか出ないこともまずないので腐ることはない。
唱えるのに黒マナが2点必要なことだけは注意が必要。

一方で、構築のトーナメントシーンではあまり活躍した話を聞かなかった。
スタンダードで同居していた有力な単体除去の致命的な一押し/Fatal Push*2、貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra*3等の後塵を拝していたようだ。
とはいえ前者はモダン以下でも引っ張りだこの軽量汎用優良除去、後者も数々の実績がある除去内蔵クリーチャーであるため、これらと比較される環境なのが不運だったともいえる。

そんなことより!
だが、カードの価値は強さだけで定まるものではない。
イラストを眺めたり、ストーリーに思いをはせたりするのも立派な楽しみ方だ。

先程の解説にて、「泳ぎが達者なマーフォークは殺せない」と述べた。
しかし、水棲の種族はマーフォークただ一種類だけ、なんてことはない。
マジックの歴史の中で、ファンタジーの世界の住人であるリバイアサンやクラーケン、実在の動物である魚、イカ、タコ、カニ等、さまざまな種族が登場している。
それに、泳ぐまでもなく海の上を移動できる飛行クリーチャー、すなわち鳥や天使やドラゴン等の種族も多数の種類がある。

マーフォークでさえなければ、水中の生き物も空中の生き物も海に落として殺せてしまう。なんともおかしな光景だ*4
少し想像力をはたらかせて、いろんなクリーチャーに板歩きの刑を使ってみよう。どんなことになるのだろうか?



小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとすることで有名なエルフ。
しかし海賊はエルフに木でできた板を踏ませたあげく、海に突き落としてしまう。

「見たら焼け」の格言で知られる皆様ご存知マナバード。
板歩きの刑でも除去できる。鳥だけど。
板歩きの刑で水死する。飛んでるけど。

  • 《シラナの岩礁渡り/Silhana Ledgewalker》
危機回避に長じたならず者のエルフ。処刑しようにもつかまえられないもよう。
なお名前の「岩礁」は海の中にある岩礁ではないとする説が有力。

我らがミラディンの英雄も海に落ちれば一巻の終わり。
死にたくなければ光と闇の剣を装備して立ち向かえ!

  • 《鉄面提督ベケット/Admiral Beckett Brass》
船団を連合させた偉大な海賊であっても、板子一枚下は地獄。
リミテッドで板歩きさせられると反乱を起こされて処刑されたみたいで悔しい。
それからオバハンって言った奴は後で板歩きな。

  • 《轟く声、ティシャーナ/Tishana, Voice of Thunder》
川守りを束ねる長老はマーフォークなので刑に処されない。
それからBBAって言った奴は後で板歩きな。

  • 《原初の潮流、ネザール/Nezahal, Primal Tide》
イクサランでフィーチャーされた恐竜、陸棲恐竜も水棲恐竜のコイツも板歩きで水死する。
でもコイツの場合、手札3枚捨てると水に潜ってスカせるんだよな*5。これもうわかんねぇな。

  • 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
名前がアンコウである通り魚だが、板歩きの刑を使えばあんこう鍋に破壊できる。
板歩きの刑がコモンだったらPauperで暴れてるアンコウをあんこう鍋に処理するのに悩まずに済んだんだけどな。
もっとも、コイツがPauperで幅を利かせてるのはゾンビだからっていうのも大きいんだが*6

  • 《嵐潮のリバイアサン/Stormtide Leviathan》
海の王者リバイアサン。中でもコイツは戦場の土地をすべて島にした上で、飛行と島渡り持ち以外は攻撃できなくさせる。
まさに戦場全体を大海原に変えてしまうかのような能力の持ち主だ。
しかし板歩きの刑にされると水死する。

  • 《まどろむ島、アリクスメテス/Arixmethes, Slumbering Isle》
海上で休んでいる姿が陸地と間違われるほどの超巨大なクラーケン。
こんな海の大怪物を板歩きで何とかできるのも謎なら、寝ている間は手出しできないのに目覚めて動き出したら沈められるのも謎。

  • 《浅瀬蟲/Reef Worm》
ゴカイのようなクリーチャー。水中で生きているのに、板歩きで海に落とされると死んでしまう。
蟲が死ぬと魚がやってくるが、水中で生きているのに、板歩きで海に落とされると死んでしまう。
魚が死ぬと鯨がやってくるが、水中で生きているのに、板歩きで海に落とされると死んでしまう。
鯨が死ぬとクラーケンがやってくるが、水中で生きているのに、板歩きで海に落とされるとやっぱり死んでしまう。

  • 《テーロスの神々》
顕現した神々だって板歩きで処刑してしまう。でも破壊不能だから死なない。
よかった、神様の威厳は板子一枚で保たれたよ。

マーフォークでもないし被覆や呪禁もないクリーチャー、板歩きで普通に処刑できる。
え?後続のタルモがふたまわり大きくなって襲ってきたって?知らん。

  • 《解放の樹/Tree of Redemption》 《地獄の樹/Tree of Perdition》
板歩きの刑の対象にできるのはわかる。タフネスが初期値で13もあるので、ダメージでない効果で破壊するのが有効なのもわかる。
でもでっけぇ木を掘り起こしてきてわざわざ船に乗せて板の上から海に投げ込むって光景、シュールすぎない!?

  • 《アメーバの変わり身/Amoeboid Changeling》
キモカワイイと人気の多相持ちクリーチャー。マーフォークでもあるので板歩きでは処刑できない。
本体が貧弱だからといって放っておくと、能力でマーフォークに板歩きの刑を当ててきたり、他のクリーチャーを対象にした板歩きの刑を不発にされたりするので地味に厄介。

板歩きの刑に処することはできるけど、破壊不能なので死亡しません。
ダークスティールはサビにも強い!
たぶん海に沈んでしまっても、海底を歩いて帰ってくるんだろうな。

空だって飛べる大悪魔なのにとっつかまって板歩きで処刑されるとかちょっと情けなさすぎんよー。
とはいえ、苦し紛れにでもライフを貢げばこの世界にあらずを引っ張ってきて助かったりもするぞ。

宇宙しいたけは有色の呪文へのプロテクション持ち、こんなん処刑できるワケありません!
ていうか、何から何まで規格外のコイツをどうやって捕まえて板に乗せるんだ。

  • 《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》
イニストラードをえらいことにした新エムラクール。気が変わったのか、プロテクションがインスタントになっているので処刑されてくれる。
でも、戦場に出たときのプレイヤーコントロールで板歩きを使わされてエムラを除去させられたら精神的に敗北した気分になるね*7

肉体派のギデニキだが、クリーチャー化したときに破壊不能がないヤツとあるヤツがおり、板歩きさせると前者は死亡、後者は生還する。
プレイズウォーカーたるもの水練も鍛えておかないとね。

  • 《静かな潜水艇/Silent Submersible》
パワーの合計が2以上になるようにクリーチャーをタップすることでパワー2のアーティファクト・クリーチャーになれるカスレア機体*8
板歩きの刑が組み合わさったことにより、船上から海面に投下したら壊れてしまう、完全なるポンコツ潜水艇が出来上がった。

  • 《レガシーの兵器/Legacy Weapon》
ウルザ「こいつはクリーチャーでは…」
テゼ「そらよ!捕えて板の上を歩かせろ!!」
ウルザ「」

甲鱗様は神になられたのじゃ……。船乗りたちを見守ってくださる海の神に……。





追記・修正は、高飛び込みプールで板歩き体験をしてからお願いします。

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最終更新:2020年10月25日 13:54