Pauper(MtG)

登録日:2015/02/04 Wed 14:02:18
更新日:2025/04/26 Sat 19:31:01
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Pauper(パウパー)とは、TCG『Magic:the Gathering』のフォーマットの一つである。
元々はデジタル版である『Magic Online』上でのみサポートされていたが、現在は公式フォーマットとして紙媒体でもサポートされている。



概要

このフォーマットの主題はコモン限定戦。つまり「最低レアリティで収録された経験を持つカード」のみでデッキを組んで戦うというもの。

そんな貧乏人(Pauper)の極致といえるフォーマットのデッキなんて弱いのばっかなんじゃないの?と思ったそこのあなた。
まずはPauperの【赤単バーン】(火力でひたすら相手のライフを攻めるデッキ)の主力カード達をご覧いただきたい。

  • 《稲妻》1マナ3点、しかもインスタント。モダンやレガシーなどでおなじみの言わずと知れた汎用火力の最高峰
  • 《稲妻の連鎖》1マナ3点ソーサリー。撃たれた側が(赤)(赤)を支払えばコピーして撃ち返せる
  • 《溶岩の撃ち込み》1マナ3点ソーサリー。ただし対戦相手本体にしか撃てない
  • 《批判家刺殺》:3マナ3点ソーサリー。ターン中に対戦相手本体に既にダメージを与えていたら1マナ3点になる
  • 《裂け目の稲妻》:3マナ3点ソーサリー。待機経由で唱えればタイムラグは発生するもののこれまた1マナ3点になる
  • 《火炎破》:6マナ4点インスタント。山を2枚を生贄にすれば0マナ4点になる。これ1枚と上記の1マナ3点火力2枚で山2枚から計10点が出せる
などなど。

……あれ?これレガシーのデッキだっけ?

コモンのみとはいっても、一度でもコモンで収録されたことがあればどんなに昔のカードでも使用できる。
確かにコモンには《神の怒り》のような派手なカードや《悪斬の天使》のような1枚で劣勢を覆せるようなパワーカードこそ少ない。
しかし長いMtGの歴史上には、最低レアリティ故に基本で堅実、そして強力なカード達が数多く存在するのである。
あの《対抗呪文》も《暗黒の儀式》も《怨恨》も、全てコモンであったのだ。

レアリティの都合上「プレインズウォーカー」や「バトル」といった後出のカードタイプを持つカードは現状一切使えない。
このことと往時の名カードが多く使えることから「古き良きマジック」「昭和のマジック」*1などと呼ばれることも。

最低レアリティ限定のフォーマットということもあって、参入費用が(比較的)安いことも特徴の一つ。
一部の希少だったり高需要なものを除けばほとんどのカードが非常に安価。
(相対的に)高額なカードをガン積みにしたガチデッキを組んでも、かなり安く組めてしまったということもしばしば。
「いろんなデッキで遊んでみたいけど、予算が……」
「広いカードプールでデッキを考えたいけど、モダンやエターナルは高くつくし……」
という人でも参戦しやすいフォーマットである。

……しかし、そのトップメタ環境はレアの暴力に痛めつけられた他フォーマットのプレイヤーが羨むような温い環境ではない。
実際はカードプールの大元がエターナルである事から、小規模なレガシーといえるほどのストイックな環境である。
上記の【赤単バーン】がほぼレガシーの如く組めるように、動けるデッキの動き方は他のフォーマットと比べても遜色ない。
それでいてレアの暴力に甘えることが出来ないため「雑なアド取りができない」ことが多く、資産差や雑なプレイで強引に勝利することもできない。
つまり勝ち抜くにはプレイングと環境理解が高い精度で求められるという、安く始められる割にはかなり上級者向けの環境であるのだ。
実際同じデッキリストを使っても使用者によって強さに残酷なレベルの差が出たり、強いプレイヤーの解説が全く理解できないなんてこともある。
特に青系の【クロックパーミッション】は他フォーマットの経験者ですら「俺には使いこなせない」と匙を投げることも珍しくない。
コモン限定ではあるが、カードにおいてもプレイヤーにおいても黎明期から現在までの強者を纏めてきた筋金入りのガチフォーマットなのである。

ヴィンテージや統率者戦と並ぶ魔境でありながらその内情は外部にはあまり知られておらず、参戦して初めて知るプレイヤーも多い。
多くのプレイヤーは「このカードコモンだったの!?」と驚くところから始まるだろう。

また、セットの追加によるカードプールの増加と環境への影響の頻度が他のフォーマットに比べても高い。
これは他のフォーマットにも影響を与える通常のセット以外にも、カードの再録に主眼を置いたセットでもカードプールが増えうるからである
そういったセットが発売される度に、レアリティが変更されて使用可能になるカードが増える、いわゆる「コモン落ち」が発生するのだ。
再録のみのはずである「マスターズ・シリーズ」で環境の激変を気にするのもPauperの恒例行事である。
これによって
  • スタンダードでは他の陰に隠れて空気だったが、Pauperでは定番カードになった出世組(《流浪のドレイク》《ディンローヴァの恐怖》など)
  • 他環境の名カードがついにPauperデビュー(《暴走の先導》《僧院の速槍》など)
というのがそこそこ発生する。《流浪のドレイク》《僧院の速槍》《きらきらするすべて》とかは暴れすぎて禁止になったが
《葬儀甲虫》や《闇住まいの神託者》のように、レアからコモン落ちして活躍している例も存在する。
しかし中には
  • レアからコモンに落ちたが鳴かず飛ばずだった……(《皇帝クロコダイル》《野生の末裔》など)
なんてこともある。

統治者やイニシアチブ*2といった、多人数戦用のシステムが大きな影響を及ぼすことも良くある。
前述したように雑なアドバンテージ獲得ができない環境なので、多人数戦用に設計された継続的なアドバンテージ源は重宝されやすいのだ。

ここ最近は1年で出る大型エキスパンションが4つになった事に加え、「モダンホライゾン・シリーズ」や統率者戦用セットといった特殊セットも増加。
ユニバースビヨンドやジョークセットといった所からも環境クラスのカードが出てくるなど、環境の変化も激しいものとなっている。




フォーマットの歴史


長らく公式では『Magic Online』上のみでサポートされ、紙媒体では非公式フォーマット扱いであった。
その時期は、使用できるカードは正確には「『Magic Online(MO)』でコモンでリリースされているカード」とされていた。
例えば《トーラックへの賛歌》は紙ではコモンとして印刷されているが『MO』ではアンコモンの収録しかされていないため使用できなかった。
正直使えなくて助かったが
逆に《尊大なワーム》や《堂々巡り》は紙ではコモンとして印刷されたことはないが、『MO』ではコモンで収録されたことがあるため使用可能であった。
おかげで当時のPauperでも往年と同じような【マッドネス】が組めたりしていた。

その後2019年7月から遂に公式フォーマットに昇格。
公式化に際しデジタルと紙媒体両方で基準を合併統一、「『MO』か紙のどちらかでコモン収録されていれば使用可能」となった。
これにより意外なカードが使用可能になったりした。ちなみに《トーラックへの賛歌》は公式化と同時に当然のように禁止入り(詳細は個別項目参照)。
公式フォーマットということはモダンやスタンダードと同じ扱いであり、店舗イベントやプロの世界大会にも参戦する可能性があるということである。
今後の展開が期待される。

なお公式フォーマット化前後でリリースされた『Magic: The Gathering Arena(MtGA)』においても、そちら限定のコモンが何枚か存在する。
それらについては基準として合併されず、公式で使用不可になっている。
Pauperはデジタルである『MO』由来ということもあって「同じオンラインの『MtGA』だけ区別するのか?」という点で議論も発生したりした。
しかし、『MtGA』では『MO』と異なりイベントなどでのプレイ中にデッキに完全な外部からカードを加える動きが存在しうる。
このように加えられるカードには、『MtGA』以外ではコモンでないカードがデータ上コモンとして扱われてしまうことがあった。
他にも色々と議論点はあったようだが、特にこれが問題視され『MtGA』は基準として数えないことになった模様。
該当カードにはかの《剣を鍬に》も含まれており、もし解禁されていたら相当な環境変革が起こっただろう。
そもそもMtGAは収録カードプールの都合で(フォーマットとしての)Pauperをサポートしていないという事情もある。


色ごとの特徴


元々は良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏な色である。
Pauperではその悪い面ばかりが目立ちがちで、何かしら尖った強みのある他の色と比べてこれといった特徴が少ない。

だが決して弱い色というわけではない。
  • 《未達への旅》や《スレイベンの魔除け》といった優秀な除去*3
  • 《虹色の断片》や《心優しきボディガード》、各種旗手のようなクリーチャー保護手段
  • かの《戦隊の鷹》をはじめとした白お得意の優良ウィニークリーチャー
  • 《護衛の誓約》や《レイモス教の再興》などの全体強化インスタント
これらによって特に【白ウィニー】は安定した動きができる。
特に近年の新規戦力である《スレイベンの検査官》は1マナのくせに1/2で手掛かりトークン1つまでついてくると、ちょっとおかしい強さ。
【白ウィニー】の亜種としては
  • 強力なトークン生成呪文である《金切るときの声》を軸にした【白単トークン】
  • 赤と組んで火力やルーター、《農民の結集》を採用した【ボロスラリー】
  • 青と組んで打ち消しやドロー、《バジリスク門》を採用した【カウゲート】
  • 《ラゴンナ団の先駆者》などの「英雄的」持ちクリーチャーを強化呪文やオーラで支援する【白単英雄的】
などがあり、よく結果を残している。

さらに、一部ではPauper界の《真の名の宿敵》とも囁かれる《ギルドパクトの守護者》も使用可能。
4マナ2/3とスタッツは普通以下だが、プロテクション(単色)がとにかく凶悪で、その重さにもかかわらずウィニー系での採用が見られる他、《黒死病》との相性の良さから黒と組んだ【ペスト】デッキの主役を張っている。

最近では毎ターンドローができる新システム「統治者」になれる《宮殿の歩哨》を軸にした動きが強力。
白ウィニーとはあまり噛み合わないものの、【ペスト】や赤と組んだ【ボロスキティ(ボロス統治者)】系が結果を残している。

またPauperにおいては、パーマネントのETB能力を複数回使い回す動きがかなりの強ムーブである。
そのための手段として、白には
  • 2マナ2/3飛行と優秀なスペックに、パーマネント1つを手札に戻すETBがついた《コーの空漁師》*4
  • 1マナで反復がついており、クリーチャーを2回明滅させられる《儚い存在》
など有力なカードが存在する。
前者は【ボロス統治者】やその後身の【ボロスシンセサイザー】、後者は【ブリンク】系デッキや【ファミリア】などで用いられる。

その他にも対単色デッキ最終兵器である「防御円」サイクルや、対【親和】最終兵器である《塵は塵に》もコモンであり、白を含むデッキのサイドボードにはよく積まれている。

Pauperのメタゲームの話になると必ず【青単】の名が挙がってくるほど、この環境のは強い。

冒頭でも挙げた《対抗呪文》が、対抗馬である《意志の力》や《マナ吸収》が存在しないため現役。
青単色のデッキではもちろん4枚積まれ、青系の多色デッキでも《対抗呪文》の青ダブルシンボルを捻出するためにマナ基盤を青に寄せることが多い*5
それ以外の打ち消しも充実しており、
  • 1マナと軽いので構えやすい《呪文貫き》《魔力の乱れ》
  • 複製のおかげで打ち消されにくく続唱にも対処できる《焦点の喪失》
  • クリーチャー限定かつ3マナだが、キャントリップでアドバンテージを取れる《除外》
  • なかなか厄介な時間稼ぎができる《記憶の欠落》
など、デッキに合わせて様々な打ち消しが使える。これらに加えて禁止されるまでは《目くらまし》も使えたというのだから凄い。
この豊富さから、必然的にパーミッションの要素を含んだデッキが多くなる。

クリーチャーに関しても、
  • 打ち消し能力でアドバンテージを取れる《呪文づまりのスプライト》*6
  • 1/3で攻撃を受け止めつつインスタント・ソーサリーを探せる《ボーラスの占い師》*7
  • 使い捨てだったり重かったりするが、出すだけでハンドアドバンテージを稼げる《熟考漂い》*8
  • ETBで強力なインスタント・ソーサリーを墓地から回収できる《古術師》と《記憶の壁》*9
など、コモンながらアドバンテージ面で優れた奴らを大量に擁している。
また、
  • 自分のアップキープ時のライブラリートップがインスタント・ソーサリーなら3/2飛行に変身、あらゆる環境で猛威を振るいまくった青の1マナ最強生物筆頭、「デルバー」こと《秘密を掘り下げる者》
  • 自分がインスタント・ソーサリーを唱えるたびに1/1飛行のクリーチャー・トークンを生成する「Twitter」こと《つぶやく神秘家》*10
  • 墓地のインスタント・ソーサリーの数だけコストが軽減され、下手すると1マナで出てくるくせに5/5で護法(2)まで持っている「テラー」こと《トレイリアの恐怖》
といったインスタント・ソーサリーとシナジーを形成する強力なクリーチャーも存在している。
特に《トレイリアの恐怖》は、【青単/青黒テラー】と呼ばれるクロックパーミッション・デッキにおいて主力として活躍しているほか*11、コントロール系の【青赤テラー】においてもフィニッシャーとして運用される。*12

さらに、
  • 《思案》《定業》といったモダンで禁止クラスのキャントリップ付きライブラリー操作
  • レガシーで青絡みなら必須で、デルバーの裏口入学にも使えるインスタントドロースペル《渦まく知識》
  • 序盤は島タイプをサーチして土地事故・色事故を防ぎ、終盤は3ドローで息切れ防止にも使える《ロリアンの発見》
まで完備。0マナで使える《噴出》こそ失ったものの、アド取りや手札の質の安定化にかけては右に出る色はない。

白の項で述べたETBの使い回し手段も、
  • ブロックされなかったクリーチャーを手札に戻せる《深き刻の忍者》などの忍術持ち
  • 2つのパーマネント*13を一気に明滅させられる《幽霊のゆらめき》
などがある。
前者は禁止改定で《噴出》を失った【フェアリー】デッキでは貴重な、大量にハンド・アドバンテージを稼げる手段として重宝されている*14
一方で後者は唱えた《幽霊のゆらめき》をETBで回収できる《古術師》《記憶の壁》とETBを持つ何か*15の組み合わせが凶悪で、【フリッカートロン】*16【ファミリア】などの青系コントロールデッキの定番のアドバンテージエンジンとして用いられる。

単色としての弱点はクリーチャー除去に乏しいことだが、
  • フリースペルの《断絶》、アドバンテージを失わない《排撃》など各種バウンス
  • タフネス1限定ではあるが青では貴重なマイナス修整効果を持つ《海賊の魔除け》
  • 正確には無色のアーティファクトであるが、それゆえに青でも使える優秀除去の《鋸刃の矢》
など、弱点を補う手段も少なくない。
それでも基本的に除去は赤か黒と組んでそちらに任せることが多い。

は何と言っても除去の色である。
特に布告系が充実しており、
  • ライフロス付きの《ゲスの評決》
  • フラッシュバック付きの《チェイナーの布告》
  • 自軍も巻き添えにするが1マナと軽い《無垢の血》
  • アーティファクトのETBであるため再利用しやすい《税血の刃》
など、よりどりみどり。
対象を取る単体除去も、
  • 伝説以外を除去できる《喪心》*17
  • 沼の数を参照し、【黒単】ならば大物をも仕留めるマイナス修正を生み出す《汚涜》
  • 沼をコントロールしていればライフ4点支払いで0マナで黒以外を除去できる《殺し》
  • 墓地の黒を上から3枚追放すると0マナで黒以外に3点ドレイン火力を撃てる《闇の旋動》*18
など選択肢は豊富。

それ以外にも、
  • 相手にも1点撃たせてしまうが2マナと軽いティム効果持ちである《クォムバッジの魔女》*19
  • 《息詰まる噴煙》*20などのタフネス1までの全体除去や、《悲哀まみれ》*21《エヴィンカーの正義》*22などのタフネス2までの全体除去
  • Pauperでは貴重な、特にタフネス3以上を除去できるものとしてはほとんど唯一の全体除去である《墓所のネズミ》*23
  • 強力ドレインである《堕落》と《堕落の触手》*24
  • 破壊耐性やPIG持ちでも安心して捌ける《損ない》や《完全無視》*25
……と、【黒単コントロール】=クリーチャー絶対殺すデッキとでも言わんばかりの充実ぶりである。
この充実した除去呪文の数々は、コントロール系のデッキが黒をタッチする強い動機にもなる。
統治者になれる黒のクリーチャーとして《黒薔薇の棘》が登場して以降は、ここまで述べてきた除去呪文によって統治者を守りやすいことにも着目され、【黒単コントロール】や黒を触ったコントロール系デッキに当然のように採用される。

一方クリーチャー陣も、
  • 「テーロス・ブロック」構築でも大活躍したドレイン筆頭マン《アスフォデルの灰色商人》*26
  • 相手のドローを1回止めつつ手札の枚数を減らせる《騒がしいネズミ》
  • ライフを1点失うがカードを引きながら2/2が立つ《ファイレクシアの憤怒鬼》*27
など、ETBでアドバンテージを稼ぎ出せるカードを多く擁する。

そして何よりの強みは、Pauper界では最強クリーチャーとも言える《グルマグのアンコウ》。
実質1マナ5/5はもはや壊れの域。火力ではほぼ落とすことができず、黒でゾンビなため同型の黒の除去にも耐性が多い(《喪心》でちょっと薄れたが)。
回避能力こそ持たないがそこは黒、相手のクリーチャーをすべて消し去ってしまえば良い。

黒のもう一つの代名詞であるハンデスも、《強迫》や《抜去》などの軽量ピーピングハンデスがてんこ盛り。場も手札もズタズタにしてやろう。
まあ《トーラックへの賛歌》は禁止で《思考囲い》は使用不能だが。《精神ねじ切り》や《困窮》で我慢してくれ。

ドロー呪文についても、
  • 2点のライフロスがあるとはいえ2マナ2ドローの《夜の囁き》《血の署名》*28
  • 追加コストとしてクリーチャーかアーティファクトを要求されるが、2マナ2ドローにオマケが付いてくる《命取りの論争》《勢団の取り引き》《熱狂的な献上》《腸抜きの洞察》*29
  • 追加コストとしてクリーチャーを要求される代わりに1マナ2ドローの《村の儀式》《堕落した確信》*30
と非常に充実しており、ビートダウン・コントロール・コンボなど様々なデッキを支えている。

なお《カーノファージ》や《吸血鬼の裂断者》のような優秀なスーサイドウィニーや、かの《暗黒の儀式》もコモンである。
そのため往年のような【黒単スーサイド】を組むこともできる。
現状では爆発力で【赤単】に、安定感で【白単】に見劣りし環境に食い込むには力不足気味ではある。今後に期待。

さらに黒には《夜の衝突》のようなライフを失わせる呪文や《君主の一噛み》などのドレイン呪文が存在するため、【黒単バーン】も組める。
ソーサリー主体のため【赤単バーン】ほど早くない代わりに、ドレインでライフを得られることから粘り強く戦える。
また「ライフを失わせる」効果であるため防御円や《虹色の断片》などのダメージ軽減手段をかわすことができるのが強み。

ちなみに黒い《忘却の輪》こと《土牢/Oubliette》は「ダブルマスターズ(2XM)」での再録&日本語名追加までPauperで高いカードとして有名であった。
古いカードゆえに処理が複雑で再録が難しかったのである。

冒頭でも例として出したように、の火力の質はエターナルにも見劣りしない。
稲妻》や《稲妻の連鎖》のような1マナ3点火力も数多く、果ては【赤単】最強の切り札である《火炎破》まで使える。
さらに《ケルドの匪賊》《火花の精霊》といった歩く火力、《熱錬金術師》《ケッシグの炎吹き》などの呪文を唱える度に火力を飛ばせるクリーチャーも充実しており、特化した際の【赤単バーン】の攻撃力は他の追随を許さない。

火力呪文の中には、クリーチャーにしか撃てないコントロール向けのものもそこそこ存在し、赤をタッチした多色デッキでクリーチャー除去呪文としての力を発揮している。
《炎の斬りつけ》や《雪崩し》などが代表で、大型クリーチャーへの対処が困難である代わりに黒の確定除去よりも軽く撃ちやすいのが強みである。
また全体火力除去としてはインスタントのため小回りが利く《電謀》や《ブレス攻撃》が存在し、前者はタフネス1、後者はタフネス2までを流せるため、アグロ対策としては十分である。

また昔の赤は手札をいじる手段があまり多くなかったが、今は違う。
衝動的ドローと呼ばれる、ライブラリートップを追放して一定期間そのカードをプレイできるようにする能力が赤の役割として定着しており、
  • 2枚衝動的ドローできる2マナソーサリーの《無謀なる衝動》《レンの決意》
  • 誘発型能力で1枚衝動的ドローできる1マナアーティファクトの《実験統合機》《機械仕掛けの打楽器奏者》*31
などが活躍している。
《信仰無き物あさり》といったルーティング呪文も強力であり、他環境同様墓地利用系のデッキで採用が見られるほか、【ブラッドバーン】と呼ばれる黒赤のバーン系マッドネスデッキを支えている。*32

一方、クリーチャーの質は全体的にそんなに高くはなかった。
しかし部族シナジーの強力なゴブリンの多くがコモンであり、それらを軸にした【赤単ゴブリン】は永続的なロードこそ存在しないが高い爆発力を持つ。
中でもたったの2マナで全体に+1/+0修整と速攻を付与できる《ゴブリンの奇襲隊》が非常に強力で、【赤単ゴブリン】に限らず赤系アグロ全般で広く採用される。

また「英雄的」持ちクリーチャーや《窯の悪鬼》を強化呪文や火力などの軽量呪文で支援する【赤単英雄的】【赤単ブリッツ】も存在し、こちらの爆発力もなかなか侮れない。

そして「モダンマスターズ2017(MM3)」で《炎樹族の使者》のコモン落ちにより、ついに【スライ】【レッドデックウィンズ(RDW)】が成立した。
【緑単ストンピィ】との違いは火力の存在と速攻持ちの多さ。上述した《ゴブリンの奇襲隊》の存在も相まって、最速3ターンキルを誇るスピードは過去の【スライ】を上回りかねない。

また【イニシアチブ】デッキが隆盛すると、高速横並びでイニシアチブを奪いにいく【カルドーサレッド】と呼ばれるデッキが誕生。
《カルドーサの再誕》や《ゴブリンの奇襲隊》に《実験統合機》などのアーティファクトを採用した、爆発力と粘り強さを両立したデッキであったが、《カルドーサの再誕》を禁止されたことで消滅した。

そして【親和】への最高レベルのメタカード《ゴリラのシャーマン》や、青いカードへの最高レベルのメタカード《赤霊破》《紅蓮破》までも使える。
【親和】には橋サイクルがあるし、青は青で《青霊破》と《水流破》があるが……

ただ古くからの【赤単】の宿命として、ピンポイント対策に非常に弱い。
ライフゲインやプロテクション、「防御円」サイクルなどでいとも簡単に凌がれてしまうという弱点も持ち合わせている。
一応《鋭い痛み》が対策としてサイドに仕込まれたりするが、一番の対策はそれらを使われる前にさっさと倒してしまうことだろうか。

ドラゴンなどの赤の花形ファッティは基本的にアンコモン以上である関係上、大型クリーチャーはパッとしなかった。*33
しかし「統率者レジェンズ(CMR)」で続唱&速攻持ちの6マナクリーチャーという期待の新星《乗り込み部隊》が登場し、赤緑系の【続唱ランプ】といったデッキ等で用いられている。

は言わずと知れたクリーチャーの色。なんとあの甲鱗様もコモン、つまりPauperで使用可能である!
8マナを出せる状態なら攻撃強制付きだが8/8で滅殺2の《ウラモグの破壊者》を唱えられる?何のことかな?

真面目な話をするなら、優秀なサポートで小型クリーチャーをバックアップする【緑単ストンピィ】がメタの一角を占めていた。
怨恨》をはじめとした強化呪文も充実しており、強化先も、
  • 緑単ならほとんど無視できるデメリットで1マナ2/2の《イラクサの歩哨》
  • 《怨恨》と相性抜群で布告対策にも最適な1マナ不死持ちの《若き狼》
など優秀なクリーチャーには事欠かない。こちらもやはり《炎樹族の使者》の登場で大幅に強化された。
「ストリクスヘイブン(STX)」以降はクリーチャーを生け贄にすることで2マナで出せる5/4の《湿地帯のグロフ》を高速着地させるタイプも登場した。

また緑のもう一つの特徴といえばマナの扱いの上手さであろう。
ラノワールのエルフ》といったマナクリーチャーや《楽園の拡散》のような土地につけるオーラのおかげで、多色化もマナ加速もお手のものである。
後述するように多色土地が貧弱なPauper環境において、ビートダウン系デッキでここまで他の色を気軽にタッチ可能なのは緑ぐらいなものだろう。

たとえば《遠くの旋律》で手札を補充するために青をタッチすれば土地以外ほぼレガシーそのまんまの【エルフ】が組め*34、《筋力スリヴァー》などのために白を足せば脅威の12ロード体制の【スリヴァー】が組める*35
禁止改訂によって弱体化したものの【感染】も存在しており、さらに《野生のナカティル》《マトカの暴動者》を《ナイレアの存在》で強化しつつ各色のパワーカードを組み込む【ドメインZoo】と呼ばれるデッキも成果を上げていた。

緑には他にも《ぬめるボーグル》といった軽量呪禁持ちがそこそこ存在し、また《怨恨》以外にも《祖先の仮面》や緑白の《アルマジロの外套》、白だが《天上の鎧》といった強力なオーラもコモンだったりする。
そのため、白(や稀に青)と組んで【呪禁オーラ】(【ボーグルズ】とも呼ばれる)もたびたび組まれる。

「統率者レジェンズ(CMR)」で続唱持ち7マナクリーチャーの《苛立つアルティサウルス》が登場して以降は、緑系の【続唱ランプ】も活躍している。
マナ加速して素早く《ムウォンヴーリーの酸苔》に繋げ、土地破壊で相手を妨害しつつさらに加速するタイプが長らく主流であったが、「モダンホライゾン3(MH3)」以降は《のたうつ蛹》などの落とし子・トークンを出すエルドラージを主軸としたタイプが勢力を伸ばした。

あとはダメージ軽減やライフ回復も得意。
《一瞬の平和》や《嵐の乗り切り》などが緑を触るデッキのサイドボードによく採用され、デッキタイプによってはメインから採用される場合もある。

……ここで、緑が関わるPauperの奇妙な事例についても紹介しておこう。
実は、Pauperでは2022年後半あたりから「テーブルトップとデジタルの環境が異なる」という事件が起きているいた。
その主犯は『MO』で実装されていないジョークエキスパンション「Unfinity(UNF)」のカードを軸にした【緑単ステッカーストンピィ】なるデッキ。*36
その中の《Finishing Move》《Chicken Troupe》というカードが緑なのだ。
詳しい説明は省くが、この2枚が扱う「チケット」「ステッカー」というメカニズムは既存のクリーチャーのP/Tを上書きできる*37
これにより、これまでの【ストンピィ】の「回避能力の難はサイズと格闘除去や《怨恨》でカバーする」という構築が変化し、回避能力を持つがサイズの小さい《シラナの岩礁渡り》《ジンジャーブルート》が5/1になったり、5/1の《若き狼》が墓地から6/2で帰ってくるようになった。
動きはサイズアップや能力付与程度で物珍しいわけでもないのだが、ジョークセットですら環境が激変するのは流石はPauperといったところである。
ステッカー系のカードは他にも赤の《___ Goblin》が存在し、【カルドーサレッド】に入ったり【赤系イニシアチブ】を強化したりした。もっとも《___ Goblin》(と、その『MO』版の《"Name Sticker" Goblin》)がPauperのみならずレガシーのターボマクサスでも活躍しすぎたせいで、ステッカーギミックを用いるカードは全て禁止カードに指定されてしまったが……。
現在はステッカー系のカードの禁止、《Embiggen》の『MO』における実装によってギャップはなくなっている。

土地

何と言ってもスタンダードで禁止されていたアーティファクト土地が全部現役ウルザランドも全て揃っている
そのため【親和】【ウルザトロン】などのやや特殊なデッキも組める。
前者は2~3ターン目から0マナ2/2や0マナ4/4などがぼんぼこ飛び出してくる往年のムーブが今でも現役。
後者は大量のマナから普通の構築では見向きもされなかった《ウラモグの破壊者》が一躍フィニッシャーとして大活躍していたりする。
デッキタイプこそ他の環境でも見かけるものだが、他ではあまり見られないような光景が広がるのが面白いところである。
かつては【8post】も組めたが、《雲上の座》が禁止されたことで消滅した。

一方で多色土地はほぼすべてタップイン。故に多色デッキは他環境と比べてかなりスピードが落ちることに気をつけねばならない。
主なラインナップは以下のもの。
  • ゲインランド:出た時にライフを1点回復できる
  • 門:門の土地タイプを持つ。後述する興隆ランドの特性を持つものも登場した
  • 氷雪タップインデュアルランド:氷雪タイプと基本土地タイプ2種を持つ。それぞれのタイプを参照するカードの恩恵orメタを受ける
  • タップインデュアルランド:氷雪タイプを持たず基本土地タイプ2種を持つ。上記のサイクルから氷雪を参照するカードの恩恵orメタを受けなくなった
  • バウンスランド:場の土地1つをバウンスしないと出せない代わりに2色のマナが1つずつ出せる
  • 興隆ランド:土地固有の1色に加えて戦場に出るときに選んだ色のマナを出せる。タッチ色への対応などで柔軟に使える
  • 橋:破壊不能を持つ2色のアーティファクト土地
  • 砂漠2色土地:砂漠の土地タイプを持つ。ETBで対戦相手1人に1点ダメージを与える
  • 13ランド:ライフが13点以下のプレイヤーがいない限りタップ状態で戦場に出る。アンタップインする可能性がある唯一の2色土地サイクル

早めのデッキではタップインデュアルランドの派生、遅めのデッキではバウンスランドが用いられる事が多い。
ただタイプによる作用などを気にしなければぶっちゃけ好みで決めても良い。どれも一定の需要を得て様々なデッキに用いられている。
特に橋は【親和】の隆盛に力を貸し、また破壊不能を利用して《浄化の野火》を赤い《不屈の自然》のように使う赤緑系のランプデッキやジェスカイカラーのコントロールデッキが登場した。
門は「統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い(CLB)」において《バジリスク門》*38が登場したことで強化され、小型・軽量だが場持ちがいいクリーチャーや回避能力を持つクリーチャー*39と組み合わせた【門デッキ】が登場した。

土地サーチのフェッチランドも
  • 《広漠なる変幻地》や《進化する未開地》、《脱出トンネル》
  • 「ニューカペナの街角(SNC)」のサイクル5種
  • 「モダンホライゾン3(MH3)」のサイクル10種
などが使える。
どれも基本土地をタップインで持ってくる。本家と比べれば微々たるものだがこれらでも便利であるため、《灰のやせ地》*40とともによく用いられる。

禁止カード

上でもちょくちょく書かれていたようにPauperにも禁止カードは存在する。
コモンだけとはいえカードプールの広さから環境に対する悪影響を与えるものも多い。
フリースペルストーム関連の禁止が複数枚存在するのは、これもまたMtGの繰り返された過ちである歴史の象徴……なのかもしれない。
フォーマットの特異性から他フォーマットでは聞いたことが内容なカードが禁止にされることも多く、禁止指定の時にPauperプレイヤー以外から「こいつコモンだったのかよ!」と驚かれるのは一種のお約束である。

元々非公式フォーマットであったためか、公式内だけでは十分な知識や分析が足りなかった時期があり、それによる禁止の遅れが発生したりもした。
現在ではこれへの対策として、外部の愛好家などを招待して発足した「パウパー・フォーマット委員会」が存在する。
この形式のため、パウパーのみ禁止改訂の時期が少しズレている。
また公式外のプレイヤーが関わっているためか、かなりズバッと踏み込んだ事が行われたりもする。*41
他のフォーマットではヴィンテージですらまず起きない事であり、そういう意味でも魔境なフォーマットである。

詳細は個別ページを参照。


デッキタイプについて

多種多様なビートダウンやコントロールを組むことが可能。
ただしコモンというレアリティの特性(=複雑な効果は持たないことが多い)のためか、他のフォーマットのような瞬殺コンボデッキは組まれにくい。

かつては【ストーム】が猛威を振るっていたが、対抗手段が少なすぎるためキーカードのほとんどを禁止され消滅した。
だがその後も皆無というわけではなく、青系【ストーム】の後継者として【ファミリア*42が出現し結果を残したことがある。
そちらは《フェアリーの大群》が禁止されて消滅したが、「エターナルマスターズ(EMA)」で何故かコモン落ちした《流浪のドレイク》を中心にして復活。
ドレイク・フリッカー】として大暴れし、2度の禁止改訂を乗り切った結果環境占有率が20パーセントを超えるレベルに。
流石にまずいと思われたのか、緊急制限改定で《流浪のドレイク》が禁止になりコンボデッキとしては消滅した。
それ以降はコントロールに寄せたタイプの【ファミリア】が登場している。
近年だと「モダンホライゾン・シリーズ」でまたしても【ストーム】系がやらかして禁止されたり、クリーチャー除去が効くとはいえコンボパーツがどちらも超軽い【サディスト・コンボ*43が暴れすぎた結果禁止されたりもした。

現在では、
  • サイクリングストーム*44や【増殖*45、【裏返しコンボ*46などの非無限コンボ
  • モグワーツ*47壁コンボ*48アルタートロン*49などの無限コンボ
  • The Spy*50
が存在している程度に落ち着いている。

また墓地対策がそこそこ厳しい環境ではあるがリアニメイト系のデッキも存在する。
リアニメイト先は定番の《ウラモグの破壊者》に加えて、《カザド=ドゥームのトロール》*51などがあるほか、《ロッテスの巨人》のETBで大ダメージを飛ばすコンボを仕込んだタイプも存在する。
釣り竿は《死体発掘》や「統率者マスターズ(CMM)」でコモン落ちした《戦慄の復活》、あとは小型クリーチャー専門の《発掘》《再稼働》などが存在する。




余談


もしMtGを始めるにあたってのハードルが「値段」なのであれば、現在ではPauperより『MtGA』の方がおすすめである
前述のように値段の割りに魔境なので、知識も経験も浅い初心者が下手に手を出すとボロ負けしかしない恐れがある。
ちなみに『MtGA』でも実装範囲内でのPauper構築イベントが行われる事があり、カジュアルな空気で楽しめる。
たまに【嘆願者バベル】のように頭の悪いデッキが登場して話題になったりもする。
また「職工」と呼ばれるアンコモン・コモンのみでの構築イベントが行われることもある。


wikiの外には出られないが、追記と修正は外から飛び込んで来る。

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最終更新:2025年04月26日 19:31

*1 一応言っておくが、MtGは平成5年生まれのカードゲームである

*2 どちらもパーマネントの出した時の能力で得ることができるもので、「統治者:自分のターン終了時にカードを1枚引く」「イニシアチブ:得た時と自分のアップキープ時に地下街を探索する(地下街は探索を行うことで様々なアドバンテージを得られる効果が発生する)」というアドバンテージがもたらされる。ただしどちらも保持しているプレイヤーが戦闘ダメージを受けると、ダメージを与えたプレイヤーが得てしまうリスクが存在する。これらのシステムの登場によって、戦闘によって奪いにいけるクリーチャーと、それに対処するためのクリーチャー除去の価値が上昇した

*3 どちらも2マナだが《未達への旅》は追放除去(旗手に吸われないのも嬉しい。これ自身が割られると帰ってきてしまうが…)であり、《スレイベンの魔除け》(の1番目のモード。エンチャント破壊・墓地全追放のモードもある)は自陣の生物数×2点の対生物火力である

*4 戻せるのがアーティファクト限定になると1マナ2/2飛行の《きらめく鷹》になる

*5 ウルザランドの無色マナから青ダブルシンボルを捻り出すのが辛い青系の【ウルザトロン】や、青ダブルシンボルを《陽景学院の使い魔》で軽くできない上にバウンスランドとの噛み合わせも悪い【ファミリア】などは例外

*6 2マナ1/1飛行瞬速。ETBでXマナ以下の呪文を打ち消す(Xは自陣のフェアリーの数)。【フェアリー】デッキを支える神話コモン

*7 ETBでライブラリートップ3枚を見てインスタント・ソーサリー1枚を手札に加える。アンコモンからのコモン落ち組

*8 5マナ2/2飛行。ETBで2ドローできる。想起で使い捨てにするなら3マナでも唱えられ、飛行持ちなのでフィニッシャーにもなれる

*9 前述の《儚い存在》と組み合わせると《儚い存在》自身を回収しつつ、好きなインスタント・ソーサリーを回収できるようになる。たいていは打ち消し呪文が回収され続け、相手はほとんど何もできなくなる

*10 こいつもアンコモンからのコモン落ち組

*11 追加のクロックは青単ではデルバーや《謎めいた海蛇》、青黒ではアンコウが定番

*12 【青単/青黒テラー】は切削系呪文まで採用してテラーの早期着地を狙うが、【青赤テラー】はそこまでテラーの高速召喚に特化したデッキではない

*13 正確にはクリーチャー・アーティファクト・土地限定

*14 【フェアリー】デッキは、軽量クリーチャーを多く採用した若干アグロ寄りの【青単フェアリー】と、大量のインスタント・ソーサリーや《ボーラスの占い師》に加え統治者ギミックを採用した若干コントロール寄りの【青赤/青黒フェアリー】の2タイプに分かれるが、どちらのタイプにおいても《呪文づまりのスプライト》を忍術によって使い回す動きが特に強力である

*15 この枠が2体目の《古術師》《記憶の壁》であれば《幽霊のゆらめき》を回収しつつ好きなインスタント・ソーサリーを回収できる

*16 青系【ウルザトロン】の一種で、長らくPauper環境の頂点に君臨してきた

*17 伝説のクリーチャーはほぼアンコモン以上にしか存在しないため、ほぼ1マナ軽くて色拘束も薄い《殺害》として利用できる。「ダブルマスターズ(2XM)」で《喪心》がコモン落ちする前は、スタンダードな黒以外除去である《破滅の刃》や、一部のクリーチャータイプ持ちには効かないが黒を含むものにも対処できる《夜の犠牲》などがよく用いられていた

*18 Pauperにはこのカードのように墓地の順番を参照するカードが存在するため、モダンやパイオニアと異なり墓地の順番を入れ替えてはいけなかったりする

*19 これを採用する場合、他のクリーチャーは返ってくる1点で除去されてしまわないようにタフネス2以上になる場合が多い

*20 3マナのインスタントで敵陣全体-1/-1修整。2マナのサイクリング付き

*21 3マナのソーサリーで全体-2/-2修整。占術1付き

*22 4マナのソーサリーで全クリーチャーと全プレイヤーに2点ダメージ。バイバック(3)付き。重いが繰り返し使えてフィニッシャーにもなる

*23 Xマナの起動型能力で全クリーチャー・全プレイヤーにX点ダメージ。本体が3マナと軽く、能力起動は召喚酔いにも影響されない。エンチャント版の《黒死病》は1マナ重く、またエンドステップ開始時に生物がいないと生け贄に捧げなければならないため、前述した【ペスト】デッキ以外ではあまり用いられない

*24 《堕落》はプレイヤーにも撃てるためフィニッシャーにもなる

*25 前者は白黒混成の呪文、後者は欠色呪文。どちらも《ギルドパクトの守護者》のプロテクション(単色)を貫通できる

*26 テーロス・ブロック以降の【黒単コントロール】はこれを採用した【黒単信心】が主流となる

*27 1マナ軽い代わりに1/1と若干頼り無い《薄暮軍団の盲信者》という下位種も登場した。なお近年は緑の《ラノワールの幻想家》や白の《鼓舞する監視者》のように、《ファイレクシアの憤怒鬼》系の3マナパワー2キャントリップ生物にデメリットがつかないどころかメリット・オマケがつくようになってきている。憤怒鬼くんの明日はどっちだ

*28 《血の署名》は対戦相手にも撃てるのでとどめの一発としても用いられる

*29 【親和】や【カルニブラック】、【ジャンド・ジャンク】といったアーティファクト・シナジーを有する黒絡みのコントロールや、【モグワーツ】や【アルタートロン】、【サディスト・コンボ】といった黒絡みのコンボデッキの主要なドローソースとして活躍した。なかでも《命取りの論争》は宝物生成が可能であるため群を抜いて強力であり、《勢団の取り引き》《熱狂的な献上》《腸抜きの洞察》よりも優先して採用されていたが、環境全体での採用率が高くなりすぎたため禁止された

*30 サクリファイス系デッキで採用される

*31 《実験統合機》はETB/PIGで衝動的ドローができ、さらに3マナでサクることで2/2警戒を残せる。《機械仕掛けの打楽器奏者》はPIGのみの代わり、1/1のクリーチャーでもある

*32 マッドネス呪文として対戦相手のライフを直接削る《癇しゃく》や《血管の施し》が採用され、また捨てる手段としてルーティング呪文に加えて血・トークンが用いられることからブラッドバーンと呼ばれる。「イニストラード:真紅の契り(VOW)」で血・トークンを生成する《ヴォルダーレンの美食家》と《吸血鬼の口づけ》を獲得したことで成立した

*33 これは他の色にも多かれ少なかれある傾向である

*34 《暴走の先導》や《紆余曲折》のおかげで現在は緑単で組まれる場合もある

*35 スリヴァーをマナクリーチャーにする《宝革スリヴァー》のおかげで、緑と白以外のスリヴァーも少数なら採用できる

*36 他にも《Embiggen》によって【感染】が強化されたりした

*37 オーラによる強化と違い、クリーチャーが戦場を離れてもP/Tは上書きされたままである

*38 ソーサリータイミングでクリーチャー1体に対し自陣の門の数だけプラス修整を与えられる

*39 《聖なる猫》や《戦隊の鷹》など白に集中している。門はたいてい多色土地であるため、【門デッキ】は必然的に白を含む多色デッキとなる。

*40 1マナでこのカードを捨てることで、好きな基本土地を手札に加えることができる。「指輪物語:中つ国の伝承(LTR)」で、「1マナでこのカードを捨てることで対応する基本土地タイプを持つ土地を手札に加える」カードのサイクル(土地ではない。青のみソーサリー、他4種は大型クリーチャー)が登場して以降は、そちらと置き換えられることもある

*41 「【イニシアチブ】が強すぎたので規制した」ということをゲームの細部にまで理由をつけて説明する、「《暗黒の儀式》がそろそろやばいと思うのでみんなの気持ちを聞かせてほしい」とプレイヤー側に意見を募る、《頭蓋槌》の発売前禁止など

*42 《陽景学院の使い魔》などのコスト軽減手段や《アゾリウスの大法官庁》などのバウンスランドと、フリースペルを絡めた無限マナコンボを軸にしたデッキ。【ファミリア】の名は「使い魔」サイクルの英名が由来

*43 《日を浴びる繁殖鱗》に《サディスト的喜び》を付けた状態で他のクリーチャーが死ぬと、《日を浴びる繁殖鱗》に+1/+1カウンターが乗る→落とし子・トークン生成→落とし子を生け贄にして無色1マナ→《日を浴びる繁殖鱗》に+1/+1カウンターが乗る→…という無限ループが成立するので、これを利用していろいろするコンボ。もちろん「《日を浴びる繁殖鱗》に+1/+1カウンターが乗る」からコンボを始動することもできる

*44 サイクリングクリーチャーと《墓の刈り取り》を組み合わせてサイクリング→墓地回収→サイクリング→…を繰り返し、《ドラニスの刺突者》でフィニッシュ。ストームとマナを稼ぐためにマナ加速呪文が多く採用されるが、中でも墓地にサイクリングクリーチャーが大量に落ちた状態で《忌むべき者の歌》を唱えて大量のマナを確保するため、かつては【Dammed Combo】と呼ばれた

*45 対戦相手に毒カウンターを置いて、ドロー付きの増殖呪文でそれを10個まで増やして毒殺する。枯渇ランドや《五元のプリズム》などカウンターが乗るマナ基盤が多いため、増殖呪文がマナ加速としても機能する

*46 手札を捨てることでタフネスを上げる能力を持つ《不屈の部族》とP/Tを入れ替える《裏返し》を組み合わせ、最終的に《不屈の部族》にブロック不可を付与して殴り倒す

*47 《授業初日》と頑強を持つ《朽ちゆくゴブリン》を組み合わせた無限頑強系のデッキの一つ。【ゴブリン頑強】とも呼ばれる。《授業初日》の効果で《朽ちゆくゴブリン》を任意の回数生け贄に出来るようになるので、《スカークの探鉱者》で無限マナ→《間に合わせの砲弾》で無限ダメージでフィニッシュ

*48 タップで壁の数だけマナを出せる《斧折りの守護者》に、マナを払うだけでクリーチャーをアンタップできる《電位式錬金術師》《現実からの遊離》をつける。この時《斧折りの守護者》をタップ→アンタップしてマナが増えるなら無限マナとなる

*49 《マイアの回収者》(戦場に1枚・墓地に1枚)+《アシュノッドの供犠台》で無限ループする

*50 《欄干のスパイ》で自分のライブラリーを全て墓地に落とすため、土地が数枚しか採用されない。フィニッシュ手段が無限コンボのタイプや《ロッテスの巨人》リアニメイトのタイプなど様々存在する

*51 1マナで自力で墓地に落ちることができる上に、6/5超威迫とスペックも優秀