登録日:2021/01/26 Tue 01:41:00
更新日:2024/03/05 Tue 05:49:19
所要時間:約 7 分で読めます
パイカル(白乾児)…!生きていたのか…
彼も狙ってるのよ 天球の水晶!
盗んだ水晶を渡せ!!!
『ルパン三世 生きていた魔術師』とは、2002年4月3日に発売された、ルパン三世OVA第2弾である。『ルパン三世』のアニメ化30周年を記念して制作された本作は、『風魔一族の陰謀』以来約15年ぶりのOVAとなる。
本作では
1stシーズンの第2話『魔術師と呼ばれた男』に登場したパイカルが、ルパンに復讐すべく再登場する。
それもあってかキャラクターデザインの他ルパンは緑のジャケット、次元は青いボタンダウンに白いネクタイ、銭形の帽子は黒など1stシリーズの服装も踏襲している。
また、本作は漫画のようなカットや、CGやなんと実写など、OVA作品ならではの独特な演出を取り入れている。
だが…本作は全体的にストーリーのテンポが悪く、セリフ回しが異常にゆっくりであるほか、非常に難解なストーリーとなっている。また前述のCGや実写もかなり浮いてしまっており、それもあってか本作は一部のルパンファンからルパン三世作品至上最駄作ともいわれている。
1stシリーズ初期を意識した演出や設定が多いにも関わらず、あるエンディングで登場するルパンの愛車は黄色いフィアットでナンバーはR-33。そこはSSKじゃないのか。
ただし見どころもあり、特典映像として制作陣へのインタビュー(音声のみ)や設定資料を見ることが出来る。また、作品内のあちこちに1stシリーズの設定資料の画角をオマージュしたカットがいくつか存在するため、探してみると楽しいだろう。
【あらすじ】
ルパン三世が今回狙うのは『天球の水晶』。7本ある水晶のうちの1本がフランス・コートダジュールの大富豪の手にあることを知ったルパンは、予告状を送りつけた。
豪勢なパーティー会場をパニックに陥れまんまと水晶を盗むことに成功したルパンだったが、銭形の登場で事態は一変。
今日に限って妙に殺気立っている銭形に、ルパンは「オレの知ってる銭形警部と匂いが違う」と感じ取る。
果たして、ルパンを狙うこの偽銭形の正体は?天球の水晶に秘められた謎とは一体何なのか…
そして天球の水晶は誰の手に?
【登場人物】
◆レギュラーキャラクター
CV:栗田貫一
ご存知・天才的アクションに生きる男。
今回のターゲットである天球の水晶集めに動く。
前述の通り、本作では緑ジャケットを着ており、性格も1st初期の頃のような、ニヒルだがどこか落ち着いた感じになっている。
本作では銭形警部のことは終始『銭形』と呼んでいる。
作品のクオリティが原因で広く知られてはいないが、後年の「LUPIN THE ⅢRD」シリーズのルパンに近い声の低い栗田氏の演技は見る価値あり。
「匂いが違うぜ… オレの知ってる銭形とはな…」
CV:小林清志
ご存知・ルパンの相棒。
本作ではアレルギーによる謎の症状に苦しんでクシャミを連発したり聴覚に異常をきたして参ってしまうなど、レギュラーメンバーの中ではかなり悲惨な目にあっていた。
そして終盤、パイカルの策略によって……
オリジナル版でもルパンが火炎放射器の実験にと寝ている次元を燃やしたりして酷い目に遭わされていたため、「やられ役」としてのポジショニングは継承したとも言える。
「命乞いは…きかねぇぜ!」
CV:井上真樹夫
ご存知・鮮やかな剣の使い手。
本作では地中海で行われている天球の水晶を賭けた武道大会に参加しており、ルパン達とはそこで合流した。
本作ではあまり目立ったシーンはなし。
武道大会では気合いの入った五ェ門先生の叫びをかなりの回数聞けるため、そのあたりは五ェ門ファンの皆様にはたまらないかも。
「心配ご無用…その御仁は医者でござる!」
CV:増山江威子
ご存知・謎の女。
ルパン達とは別ルートで天球の水晶を集めており、パイカルに命を狙われていた。
本作でも中盤辺りで、お得意の
裏切りを披露するが……
今回の不二子はやたらめったら脱ぐ。加えてアニメ版では珍しく、ルパンに脚を開かれて秘部を見られるというド直球なエロ表現がある。該当シーンは後ろ姿で描かれているので過度な期待はしないように。
特典映像のインタビューでは、増山江威子女史は今作の「脱ぎっぷりの良い不二子を気に入っている」と語っていた。
「助けてくれる?追われてるの…」
CV:納谷悟朗
ご存知・ルパン三世にチャレンジする男。
天球の水晶を奪おうとするルパンを待ち構えていたが、その水晶はイミテーションであり、気づいた時には本物は既に盗まれていた。その後、ルパンは彼に化けたパイカルが追った。
本作の彼の登場シーンは冒頭のみでそれ以降は一切出番なし。
なお、オリジナル版でも銭形は一切登場していなかった。
「貴様への恨み…ここで晴らしてもいいんだぞルパン!!」
◆ゲストキャラクター
CV:
野沢那智
かつて、ルパンと戦い敗れた魔術師と呼ばれた男。大火傷を負ったものの見事に復活を果たし、天球の水晶を狙ってルパンへの復讐、そして世界を破滅に導こうと動き出す。
オリジナル版では超硬質液体や超小型火炎放射器を使用していたまやかしの魔術師だったが、本作では以前とは違い
本物の魔術師として降臨しており、サイコキネシスやテレポーテーション、更には火炎放射などを見せつけた。しかし以前負った大火傷の傷が原因で夜間でしか行動できなくなっている。これは人工培養した人工皮膚が、太陽の光に弱かったためだとされる。
なお、オリジナル版と違い魔術のトリックは明かされなかった。トリックの解明が見どころだったのにそこをぶった切ってどうする。
「あの水晶の本当の価値は貴様には分からん!宝の持ち腐れということだ!」
CV:
青野武
五ェ門が参加している武道大会を開催した老医師。ハープによる音楽治療を得意とする。天球の水晶の実態を知っているなど本当に謎めいた人物だったが、結局最後まで謎に終わった。
【用語】
天球の水晶
本作のキーアイテムで、ルパンが狙うお宝。全部で7本存在し、それぞれ天体系の名前がついている。かつては本作の舞台となった地中海に収められていた先祖伝来の宝だったが、50年前にある考古学者が研究のためと言って持ちだし、そのまま持ち逃げしまい、そしてあちこちに散ってしまったとされる。
実は天球の水晶の中にはとある図形が描かれており、それを集めると数学者であったピタゴラスが数字で示した音楽が現れる。パイカルはこの音楽を利用し、世界征服を目論んでいた。
【エンディング】
天球の水晶を巡って、円形劇場で戦うルパンとパイカル。最終的にルパンが制し、パイカルは退却するが、彼の放った音波で次元が操られてしまうといった最悪の事態に。
最終的に五ェ門と老医師によって洗脳を解くことには成功するも、解ける直前に引き金を引いた次元の銃弾がルパンの左胸に命中。ルパンは海に転落していった…
そこにヘリに乗って待ち構えていたパイカルが止めを刺し、嘲笑うように去ってゆく。
満足げなパイカルだったが、ヘリの後ろに乗っていた不二子がパイカルに銃を突き付け、水晶を置いて飛び降りろと言った。お前が飛び降りろと言い返すパイカルだったが、不二子は軽いジョークを飛ばした後に一寸低い声で
不二子「ルパンを撃ったあなたを…あたし、撃てるわよ」
と告げる。不二子に裏切られたパイカルは海に飛び降りたと見せかけて、本物の水晶(不二子に渡したのは偽物)を持ってハンググライダーで逃げ去った。
これで今度こそ世界を手に入れることができると豪語していたパイカルだが、日が昇り朝が訪れてしまう。
眩い日光に照らされたパイカルは弱り、現れた一艘の漁船から放たれた銃弾でパイカルの乗ったハングライダーの羽に穴が開き、パイカルは天球の水晶諸共海中に沈んでいった(生死は不明)。
漁船に乗っていたのは…
ルパン「感謝しろよ?太陽が怖くない場所へ送ってやったんだからよ…」
落ちたはずのルパンだった!
次元から受けた銃弾はルパンの胸にしまった水晶にめり込んでおり、九死に一生を得ていた。
その頃、ルパンを探していた次元と五ェ門は、海に落ちたのが人形であることを知り、つまりはルパンが生きていることを悟り喜ぶ。
ルパン「まったく…幸運の水晶だぜ」
ルパンは天球の水晶にキスをし、そう呟く。
爽やかな朝日が、漁船をいつまでも照らしていた。
Fin
EDは1stシーズンのエンディングであった不二子がバイクで疾走するシーンのリメイクとなっている。
【余談】
- 冒頭・コートダジュールの大富豪であるイヤラシイ親父を演じたのはこれまたルパン作品の悪役では馴染み深い滝口順平氏。平気な顔で女性の胸を揉んだり、ルパン相手に余裕をかましていたら逆にしてやられるところなどを見る限り、キャラ設定の大元はやはり1stシーズン1話「ルパンは燃えているか…?!」にて不二子を拘束・セクハラしまくって喜んでいたスコーピオンのミスターXからだろう。
偽銭形「貴様の記事…ここで追記・修正してもいいんだぞルパン!!」
- 実際にキッズステーションで放送されていたのを視聴したが本当に訳分からん作品やった・・・。 -- 名無しさん (2021-01-26 14:24:35)
- ↑確かに...不二子の心境や、あの老人も「 最期はパイカルと同じ様に粒子化消滅・退場( テレポート? )した 」みたいな感じでしたし....。 -- 名無しさん (2021-01-26 21:08:37)
- あらすじ読むと面白そうなんだが -- 名無しさん (2021-01-26 21:19:59)
- ストーリーもさることながら、パイカルがなんか妙に大きなこと企む典型的な悪人になっちゃってたのがなあ。もっとこじんまりした作品にした方が良かったと思う。 -- 名無しさん (2021-01-26 21:31:48)
- 平山氏が変に2ndと1stを足して割ったようなキャラデザをするきっかけになってしまった作品だと思う ファーストコンタクトとお宝返却大作戦はいい塩梅のデザインだったのに -- 名無しさん (2021-01-26 23:17:37)
- 最後のじいさん?はパイカルってオチ? -- 名無しさん (2021-01-27 09:41:49)
- GREEN vs REDもストーリーがよく分からん作品だったな -- 名無しさん (2021-01-27 11:36:14)
- 一回見たことあるがよくわからない間に話が終わってしまった… -- 名無しさん (2021-02-08 19:48:04)
- パイカルの名前の由来になった酒はコナンや灰原を一時的に元の姿に戻した重要なアイテムだったりする。ルパンvsコナンと地続きの世界観だったらパイカルも実は黒の組織の幹部の一人ってこともありそう -- 名無しさん (2021-06-15 20:04:12)
- パイカルは右腕にサイコガン隠してなかったの? -- 名無しさん (2021-12-25 15:38:22)
- 好み分かれるとは言えどGREENvsREDは「俺の思うルパンはこうだ!さあ見やがれ!」って情熱を感じる作品ではあった コレは1stを焼き直したいのか新しいルパン像を作りたいのか最後まで分からない 良い所は平山智の絵が綺麗なくらいでしょ -- 名無しさん (2024-02-11 15:44:38)
最終更新:2024年03月05日 05:49