ルパン三世 DEAD OR ALIVE

登録日:2020/12/14 Mon 01:58:00
更新日:2024/09/04 Wed 17:04:37
所要時間:約 13 分で読めます






ここまでよ!もう逃げられないわ!


う~ん…まぁ、君次第かな ところで名前は?


‥‥‥


君のさ


オーリ…オーリエンダー


オーリエンダー? ウホホ!花の名がぴ~ったり! 知ってる! フランスの花言葉では美と善良!


…イギリスの花言葉では危険と注意よ!


どっちが本当のオーリかそのうち分かるさぁ! また会おうぜぇ~~!!!  





コイツは危険(ヤバ)すぎる。






『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』とは、1996年4月20日に公開されたルパン三世の劇場版第6弾。脚本は柏原寛司。

本作はなんと原作者であるモンキー・パンチ氏がシリーズ史上初めて監督を手がけた作品である。それもあってかキャラクターデザインも原作に一番近い風貌*1になっており、作風も原作のようなハードボイルドな仕上がりになっている。レギュラーメンバーたちも原作に近い感じになっており、ルパン達は今までの作品と比べて能動的に行動するキャラになっており、銭形警部は有能なルパン専従捜査官として描かれている。これは原作者曰く、『カリオストロの城』でのイメージが続いているため、本来の姿に戻したらしい。

本作のサブタイトルである「DEAD OR ALIVE」は、本作ではルパンに対する「生死は問わず」と本作のキーパーソンの人物は「死んでいるのか? 生きているのか?」という2つの意味を併せ持っている。

本作の音楽は今までシリーズの音楽を担当してきた大野雄二氏に代わってサクラ大戦でおなじみの根岸貴幸氏が担当した。理由としては、大野氏がルパンの初代声優である山田康雄氏の逝去とライブ活動の多忙で降板したため。
根岸氏は本作と同年放送されたTVSPである『トワイライト☆ジェミニの秘密』を担当した。その後翌年に放送されたTVSP『ワルサーP38』からは再び大野氏が担当した。


【あらすじ】

2年前に起きた首狩り将軍の軍事クーデターによって国王と王子であるパニシュが殺され、首狩り将軍による独裁・圧政体制が敷かれている「ズフ国」のコンピュータにハッキングしたルパンは王国時代の国中の財宝が「漂流島」に隠されている事を突き止め、次元と五ェ門を引き連れて漂流島へ潜入する。しかし、島中に強力な謎の防衛システムが張り巡らされていたことから一行は退却を余儀なくされる。
島の謎を唯一知るという首狩り将軍の一人娘:エメラをルパンは攫い、秘密を聞き出そうとするが、連れ出した娘は銭形の用意した囮だったため、ルパン達は軍隊から襲撃を受けてしまう。
襲撃を受けた中で、囮役だった女秘密工作員:オーリエンダーはルパン達からパニシュを見かけたという話を聞く。かつてパニシュと恋人の関係だったオーリは彼を探し出そうと街を巡り、とうとう再会を果たす。彼は秘密裏にレジスタンスを結成し、首狩り将軍の政権を打ち倒そうとしているというのだ。オーリは彼の為に二重スパイとして首狩り将軍の情報を流すことになった。
一方で首狩り側もルパン達を確実に仕留める為にルパンに100万ドルの懸賞金を懸けた。ルパンの生死を問わない「DEAD OR ALIVE」というこの指令を受けて銭形、首狩り将軍だけでなく、賞金稼ぎにも狙われながらルパン達は漂流島の謎に迫っていく。


【登場人物】

◆レギュラーキャラクター

CV:栗田貫一
ご存知天下の大泥棒。本作ではジャケットこそ定番の「赤」だがそれ以外は黒シャツに黄色のネクタイ、白いズボンといった今までにない組み合わせの服装で登場。
前述の通り本作では、原作や1stシーズン初期の頃のようなワイルドな感じやスリルを楽しんでいるアンニュイな盗賊となっている。
しかし『カリオストロの城』のような女性や子供に優しい義賊のイメージも取り入れたキャラクターにもなっている。
銭形や国家警察、更にはガラの悪い賞金稼ぎに追われながらも、漂流島の財宝を手に入れるために果敢に行動する。

「漂流島のお宝の一人占めはいけねぇなぁ首狩りさん!だが、まもなく頂きに行くぜ、この『ルパン三世』様がよぉ~ ワハハハハハ!!!」


CV:小林清志
ご存知ルパンの相棒のガンマン。
普段、帽子の下から目を見せる際には片目のみ見せることが多いが、本作では両眼を見せるシーンが多い。また、愛銃のマグナムがナノマシンに対して通用しなかったため、終盤ではグレネードランチャーを使用している。コーヒーはコクがある方が好きらしい。

「経費ケチっちゃいい仕事は出来ねぇさ!」


CV:井上真樹夫
ご存知ルパンのもう一人の相棒の剣客。
本作ではこれといった見せ場はほとんどなく、台詞も若干少なめ。自慢の斬鉄剣がナノマシンに通用しなかった*2のも一つであるが。しかし、中盤辺りではムキムキの褌姿を披露してくれる。

「首狩りが本性を現したということか…」


CV:増山江威子
ご存知ルパンの恋人(?)。本作では珍しく赤髪になっている。
当初ルパン達とは別行動しており、エメラの守り役として将軍の宮殿に潜入。その後エメラの助言を基にナノマシンの緊急制御プログラムを手に入れ、漂流島でルパン達と合流した。本作では珍しくルパン達を裏切らなかったが、財宝の分け前を7(不二子):3(ルパン達)にするなどがめつい所は相変わらずだった*3

「ご心配なく、あなたのお頭ほどではなくってよ!」


CV:納谷悟朗
ご存知銭形のとっつぁん。
従来のTVSPのようなドジな二流刑事から一転して、ルパン達の作戦を先読みし、スパイを送り込むなどルパン専任の有能な捜査官として描かれている。それもあってか顔立ちもかなりクールに描かれている(あとケツアゴ…)。また、不法滞在で自身を逮捕しようとしてきた地元警察の三人を椅子に座ったままで秒殺するなど戦闘能力の高さも披露している。
だが、ルパンに対する詰めの甘さは若干残っている様子であった。

「ルパン三世現れる所に銭形あり!ワシがこの国を去る時はルパンを逮捕した時だ!そうクライシスに伝えておけ!」


◆ゲストキャラクター

  • オーリエンダー
CV:高山みなみ
本作のゲストヒロイン。通称「オーリ」。
色黒の肌に金髪のショートヘアが特徴のズフ国家警察の秘密工作員。前国王の息子であるパニシュとは恋仲であった。パニシュと再会するまでは首狩り将軍に騙されておりパニシュは国王に殺され、将軍がその仇を討ったと信じていた。パニシュと再会してからは、彼が率いるレジスタンスに協力して二重スパイとなった。
首にはパニシュとの写真が入ったペンダントを身に着けている*4。タバコが嫌い。

「使い慣れてるのよ、あなた達以上に…」



  • パニシュ
CV:古谷徹
本作のキーパーソン。
ズフ国の王子であった青年でオーリの恋人。
2年前の軍事クーデターを受けた後、将軍の命令を受けたクライシスによって処刑されたかに見えたが、処刑されたのは自分の影武者であった。
将軍による独裁政権が誕生してからは密かにレジスタンスを結成しており、電波ジャックを通じて国民の前で独裁政権の打倒を宣言した。電波ジャック時には民衆による大歓声が上がったほどの高い人望とカリスマを持っている。

「約束する!自由は取り戻す!」




  • 首狩り将軍
CV:銀河万丈
ズフ国の統治者である独裁者であり、本名は不明。その名の通り、残忍非道な性格で、部下でも役立たずと見なせば容赦なく首を刎ねて殺すことから「首狩り将軍」という通称で恐れられている。元々はズフ国王の側近だったのだが、2年前にクーデターを起こし国王を殺し、一人息子の王子パニシュを部下のクライシスに処刑させ、独裁者となった。かなりの長身である後述のクライシスよりも更に頭一つ分を上回る巨体ながらも化け物じみた戦闘能力の持ち主で、自身がコレクションにしている様々なナイフを装備して戦う。

「そうだ!奴は絶対に殺すな!生きたまま俺の前に連れて来い!!」


  • クライシス
CV:野沢那智
ズフ国の国家警察長官の男性。首狩り将軍の右腕で、2年前にパニシュを処刑した張本人。ゴールドメッキのスタームルガーを愛銃としている。かなりの長身かつ痩躯に銀髪に切れ長目、そして獣のような長く鋭い爪といった不気味な容姿をしている。国家警察長官ではあるものの、首狩り将軍の軍隊の指揮官も兼任している。オーリを国家警察に採用した人物でもあり、劇中でよく彼女にボディタッチを繰り返すなど、彼女に対して好意を抱いている様子も見られる。

「逮捕と処刑は同じことなのだよ!この国ではね!」


  • エメラ
CV:横山智佐
首狩り将軍の娘と呼ばれているが、実は漂流島の全警備システムを作り上げた科学者である「ドクター・ボルトスキー」の娘。
ボルトスキーが将軍に殺される寸前に「漂流島に入る鍵は娘が生きていること」と嘘を言ったため、彼女は処刑されず将軍によって軟禁状態にされた(そのため彼女自身は漂流島の秘密については知らない)。
漂流島の秘密を探る不二子に助言を与えて、最後は彼女の手引きによって宮殿から脱出。恋人と駆け落ちした。
その後の動向は不明。

「あの島へ行くのはやめた方がいいわ…」

  • スパンキー
CV:千葉繁
元々はズフ国王の側近であったが国王が殺されてからは死刑囚として刑務所に収監させられていた。
漂流島の秘密を得ようとするルパンによって後述の受刑者たちと共に脱獄させられ、ルパン達に漂流島がナノマシンによって守られていることを伝えた。
脱獄後は自由になった反動からかベロンベロンになるくらいに酒を飲みまくっていたため、ルパンからは「人生に酔い過ぎなんだよ」と呆れられる。

「そんなことより飲みましょう!酔うことこそが人生ですぞ~!」

  • 脱獄犯たち
スパンキー同様、冒頭の刑務所に収監されていた、赤いハチマキを巻いた筋肉質の男と、モヒカンヘアーの男と、目が隠れるほどのボサボサの髪をした男の3人。ルパンによってスパンキーと共に脱獄させられた。
後に赤いハチマキの男はエメラの脱出の手助けをし、彼女と共にズフ国を脱出した。そして、モヒカンヘアーの男とボサボサの髪をした男はレジスタンスの一員として、他の仲間と共に宮殿へと突撃した。


  • 不二子の対戦相手
CV:くじら
エメラの守り役決めのトーナメントで登場した女性。
筋肉質で大柄な体格をしている。(っていうかどう見ても女に見えない…)
自慢の腕っ節や胸のスパイク(通称おっぱいニードル)で不二子を圧倒するも、彼女の策にハメられ敗北した。

「そんな華奢な体で、あたしに勝てると思ってんの?」



【エンディング】

不二子が制御装置に緊急制御プログラムを入力したことで、ナノマシンは機能停止し、なんと金へと変わっていった。実はナノマシンは原子レベルで変化させた金を材料にしていた*10。その金こそが漂流島の財宝だったのだ。
また、レジスタンスの活躍によって将軍の軍隊は破れ、国が解放。ズフ国に再び平和が訪れたのであった。

オーリ「ありがとう…いい夢だった」

オーリはパニシュの正体に気づいていたが、それでも最愛の人物とのひと時の時間を過ごすことが出来たことに感謝の意を述べ、その後は前を向いて生きるべく、パニシュとの思い出の詰まったペンダントを自ら笑顔で海に投げ捨てた。


一方その頃、ルパン達はアジトにいた。漂流島の財宝であった金は銭形の登場もあって結局手に入らず、代わりに手に入れたのは今となっては何の価値もないナノマシンの制御端末と不二子がコピーした緊急制御プログラムのMOのみだった。
次元たちは落胆しながらそれぞれ、西へ、東へ、南へ行くと言ってルパンを置いて出ていってしまった。取り残されたルパンは何気なくMOを制御装置に挿入する。すると突然、玄関のドアから何者かが入ってきた。それはなんと死んだはずの首狩り将軍だった。将軍はナノマシンの槍でルパンを串刺しにしようと襲い掛かる。とっさにルパンは制御装置を将軍の持ってる槍に投げつける。制御装置は貫通し、その隙ににルパン、不二子、次元の一斉射撃を将軍に食らわせる。同時に制御装置が破損し、将軍の動きが鈍くなった。隙をついて五ェ門が斬鉄剣で将軍を一刀両断。すると将軍の体は金になって崩れ去ってしまった。
首狩り将軍の正体は国王が作ったナノマシンでできたアンドロイドだったのだ。*11*12

ルパン「己自身が金だってことに気が付かねえやつは、悲劇だねぇ」



こうして少量ながらもルパン達は今度こそ漂流島の財宝を手に入れることが出来たのだった。


ルパン「今度こそ本当に終わったな さて、どっちに行く皆?」


次元「俺は西だ!」


五ェ門「拙者は東!」


不二子「あら、あたしは南よ!」


ルパン「ほんじゃまぁ、公平に真ん中通って、北にすっかぁ~~~!!」


ルパン達はズフ国を後にし、北へと向かっていくのだった…





Fin


【余談】

本作のヒロインであるオーリエンダーの名前の由来は、美しい花だが猛毒を持つ植物「夾竹桃」の英名でもあり、前述の通りフランスの花言葉では「美と善良」を、イギリスの花言葉では「危険と注意」を、それぞれ意味する。

本作では「モンキー・パンチ応援団」という人気漫画家で構成されたスタッフが名を連ねており、応援団の主要キャラクターがモブキャラとして本編に登場している。

オーリエンダーを演じた高山みなみ氏は『名探偵コナン』の主人公である江戸川コナンを演じており、後に放送された『ルパン三世vs名探偵コナン』でルパンと共演することになる。また、パニシュを演じた古谷徹氏も同作の登場人物である安室透を演じている

エメラを演じた横山智佐氏はルパンとの共演を望んていたが、本作でルパンとの共演は果たせなかった。

首狩り将軍を演じた銀河万丈氏とクライシスを演じた野沢那智氏は3年前に放送されたTVSP『ルパン暗殺指令』でも悪役として共演していたが、そちらでは野沢氏がボスであるジョン・クローズを、銀河氏が側近であるブラッドを演じていた(つまり本作とは立場が逆となっている)。尚、野沢氏はパイロットフィルムでルパン役を、銀河氏は『風魔一族の陰謀』で次元役をそれぞれ演じたことがある。


クライシス「オーリ! この記事を追記・修正しろ! それが将軍に仕える我々の義務だ!」


オーリエンダー「…分かってるわ」


クライシス「忘れるな、お前をWiki篭りの連中から守ってやったのは俺なんだぞ…」




オーリエンダー「上手くやるから心配しないで」






クライシス「……ケッ!」





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  • 1996年
最終更新:2024年09月04日 17:04

*1 全員全体的に顔が濃い 特に五ェ門と銭形

*2 斬ることには成功したが瞬時に再生した

*3 2年後に放送されたTVSPである『炎の記憶 ~TOKYO CRISIS~』でもお宝の分け前を8(不二子):2(ルパン達)にしようとした

*4 実はそのペンダントこそが漂流島の最深部に入るための扉のロックを解除するための鍵であった

*5 彼が現れた際ナノマシンが一斉に攻撃を止め、本人であるか網膜や指紋をも確認している

*6 2年前にクライシスに処刑されたのは真実だった

*7 正体がばれないように一度だけ次元が変装した

*8 オーリはキスした際にタバコの臭いがしたことで途中で気づいていた。曰く「彼、タバコ嫌いだったから」。お互いにタバコ嫌いという共通点があったわけだ

*9 この時の彼の顔芸は必見

*10 実は序盤辺りでルパンが自分の体に付着したナノマシンをパソコンで分析するシーンにて、よく見ると画面に金の元素記号である「Au」の文字が表記されている。

*11 パニシュを殺す際に自分で殺すのでは無く、クライシスに命令していたのも、ナノマシンのプログラム上、自分ではパニシュを殺すことが出来なかったからだと思われる。

*12 自身がナノマシンだという事実は、最後まで知らなかった模様。