断頭台のアウラ

登録日:2021/06/30 Wed 01:54:27
更新日:2025/04/03 Thu 00:47:29
所要時間:フリーレン「"アウラ、約 20 分で読め"」





ヒンメルはもういないじゃない。



出典:葬送のフリーレン、9話『断頭台のアウラ』、2023年9月29日~2024年3月22日まで放送。
「葬送のフリーレン」製作委員会、マッドハウス、
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会。

概要

『断頭台のアウラ』とは『葬送のフリーレン』の登場人物。


薄い紫髪をお下げにし、頭頂部から大きな角を二本生やした女性魔族よく見ると美乳。
顔付きは幼さを残す美少女のようだが、年齢は500歳以上。フリーレンには及ばないが彼女も立派なロリババアである
魂の魔力を比べる『服従の天秤』を持っており、己より魔力が劣る者を操る魔法を扱う。
魔王直属の幹部『七崩賢』の一角で、『断頭台のアウラ』の異名を持つ大魔族。


劇中での活躍

本編の約80年前に北側諸国のグラナト伯爵領を部下の魔族と不死の大軍勢を率いて襲う。
しかしそこに勇者ヒンメル一行がやって来てヒンメル一行とバトル。
フリーレンに配下の軍勢を派手に吹っ飛ばされ、ヒンメルに一撃を喰らわされたため撤退。
その後、魔王が討たれた後も数十年も隠れ潜み、本編の28年前にヒンメルが死ぬと同時に活動を再開する*1という分かりやすいまでの慎重派。

活動再開後はグラナト伯爵領を再び襲う。本編の10年前にはグラナト伯爵の息子を殺害し配下に加えている。
隠れていた期間で新たに北側諸国の英傑を取り込んだことでヒンメル達との戦いで消耗した分を取り戻したが、グラナト伯爵領には大魔法使いフランメの防護結界のせいで迂闊に近づけない。
そこで配下の『首切り役人』を和睦の使者として町に潜入させ、防護結界を解除させようと画策する。

フリーレンと再び相対した際もまず大量の兵隊をけしかけ、魔力を消耗させてから自分の魔法を使うという策謀を見せた。
操られるまま動く亡者たちを問答無用に吹き飛ばすのではなく、いちいち魔法を解いて無力化するフリーレンの戦い方を、
「魔力を浪費して回りくどい」「(亡者を破壊するやり方を叱った)ヒンメルはもういないじゃない」と侮る。
なおこのセリフ、言ったアウラにとっては文字通りの意味でしかなく
「ヒンメルはもう存在しないのに、今更何に遠慮する必要があるの?」としか言っていないのだが
フリーレンにとっては「寿命の短い人間のことをわかっておらず、今からでも知りたい」
「人間が短い一生のうちに残した意志を他の者が受け継いで何かを為せるのか確認したい」というのが現在の彼女の行動理念の一つである。
さらに「ヒンメルのように強い力を得てもあっという間に老いて死んで何も残らない」という認識は ほんの少し前のフリーレンも持っており、
かつての自分なら言っていただろう発言(というかもっと酷い発言を実際していた)を聞いたらどういう気持ちになるかを思い知ることになった。
つまりアウラの立場では知りようがないことではあるが、この一言は フリーレンの心の中の地雷を複数個踏み抜いており
これを聞いたフリーレンは改めてアウラをぶち殺すことを静かに決める。

そして、充分にフリーレンの魔力を消耗させたと見たアウラは、自信満々に『服従させる魔法(アゼリューゼ)』を使うが、
実はフリーレンは、魔族対策の一環として常日頃から自らの魔力を抑制して行動する「魔力偽装」を行っており、
それを見抜けずに『服従させる魔法』を使ってしまったことで、自分を遥かに超える魔力を持っていたフリーレンに逆に支配されてしまう。
直後、フリーレンから自害を命じられたアウラは、悔し涙を流しながら自害を強制され、魔力の粒子となって果てた。

……ありえない……。

この私が……。


出典:葬送のフリーレン、10話『強い魔法使い』、2023年9月29日~2024年3月22日まで放送。
「葬送のフリーレン」製作委員会、マッドハウス、
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会。

戦闘能力


この私の前でそんなに多くの魔力を消費して大丈夫なのかしら?

他の魔族同様に一つの魔法に特化しており、彼女の場合は『服従させる魔法(アゼリューゼ)』。
この魔法は魔力量が全てを決めるため、彼女は生まれてからひたすら己の魔力量を増やすことにのみ費やしてきた。
500年間鍛えてきたアウラの絶大な魔力量を超えるものはそうそうおらず、故にアウラはこの魔法に自信を持っているものの、
この魔法の性質上、もしも自分を超える魔力量を持つ者に使ってしまえば、当然アウラが相手に支配されることとなる諸刃の剣でもある。

そのためアウラは、
  • 相手の魔力量をちゃんと見る
  • 魔力を制限して少なく見せていないか確認するために、制限特有の現象がないか正確に計測
  • 不死の軍勢と相手を戦わせ魔力を消耗させ、更に相手が複数いた場合はそれらを分断させる
以上の策を取ってリスクヘッジを行い、自分より魔力量が下だと明確に判明した相手にのみ、この魔法を使っている。

フリーレンとの再戦では、当初不死の軍勢をけしかけるが、フリーレンはそれを『服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除する魔法』を使用して無力化し、応戦。
しかし、フリーレンが使用しているこの魔法は多大な魔力消費を必要とすることから、半分ほど彼女に軍勢を無力化されたところで、
既にフリーレンの魔力を十分消耗させたと判断したアウラは『服従させる魔法(アゼリューゼ)』使用に踏み切る。その結果どうなったかは前述の通りである。

フリーレン本人が言ったように、アウラは『服従させる魔法(アゼリューゼ)』を使わずそのまま軍勢による物量戦法を取っていた方が勝機があったと思われ、
少なくとも軍勢を全て無力化されるまでは攻撃を続け、フリーレンの魔力を消耗させるべきだったのだが、
フリーレンが施していた「魔力偽装」を見抜けなかったが故に、半分ほど無力化されたところで『服従させる魔法(アゼリューゼ)』使用に踏み切ってしまった。
服従させる魔法(アゼリューゼ)』と『己の魔力量』に対する絶対の自信が、油断と慢心(フリーレンの師であるフランメ曰く「クソみたいな驕りと油断」)を招き、
それが「絶対的な自信を持つ自らの魔法を逆手に取られ、これまで自分が手に掛けてきた者たちと同じ末路を辿る」という最悪の結末を導いたのだ。
そして、アウラをそのような誤った判断に導くことこそ、フリーレンがフランメから伝授された「魔族を欺き、不意を衝いて殺す」戦法の真骨頂であり、
つまるところ、フリーレンに対しまともに真正面から対峙した時点で、既に彼女の負けは確定していたのである。

なお、不死の軍勢はその全てが人間である。
服従させる魔法(アゼリューゼ)』自体は当然魔族にも有効なのだが、魔族は彼女自身が身をもって証明したように致命傷を受ければその肉体はチリとなって消滅してしまうため、
人間のように首を落として意思を奪うことができず、仮に服従させるにしても使い捨ての手駒としての使用に留めているのがその理由。


使用魔法

  • 服従させる魔法(アゼリューゼ)
前述した通り『服従の天秤』に自身と相手の魂を載せ、「魔力量の多い者」が「魔力量の少ない者」の支配権を得る魔法。
ここでいう魔力量とは、最大MPではなく現在のMP残量を参照している。
一度操られた者は肉体が朽ちて消えるその時まで相手の言いなりになるという強力な効果を発揮する一方、
もしも自分より魔力量が上回る相手にこの魔法を使ってしまえば、逆にアウラが相手に操られてしまうという重いリスクも抱えている。
尤も、500年間魔力を鍛え続けたアウラの魔力量を人間が超える事は事実上不可能であることからこのリスクはほとんどデメリットにならず、「相手をほぼ確実に支配下における」という彼女の強みに繋がっている。

一応、支配下に置かれても「強固な意思の持ち主であればある程度抵抗できる」という欠点が存在するのだが、
アウラはこの唯一と言える隙を操った者の首を早々に切り落とし、アンデッドとすることで意思を奪うという非情な手段で解決している(断頭台と呼ばれる所以がこれ)。

ちなみにリヒターが語った魔法理論によれは、例えば水を操る魔法の使い手がおり、
「人の体の六割は水でできている」という既知の情報があったとしても、人体から水を取り出そうとすれば、
  • 「対象がどのようにしてどこにあるのか?」
  • 「それを取り出すなりする明確なイメージは?」
  • 「大量の魔力で守られている魔法使い相手にどう実行する?」
といった壁に阻まれ、実現はほぼ不可能のように語られている。
物理的な物質である「水」ですら、魔法で人体から取り出すのは非常に困難を極めるというのに、
“魂”などという、本来目視することすら出来ない、実在すら怪しい概念を人体から取り出す魔法を操るアウラは、
やはり「七崩賢」、人智を超えた魔法の持ち主達に名を連ねるだけの実力者であることが窺える。
なお、魂を抜き取る行為は人間の装備や防御魔法では防ぐことが出来ないようで、色々な魔法に耐性のあるフリーレンからでも魂を取れる。

本作の魔法使いは相性が良ければ格上に勝つ事も不可能ではないとされているが、この魔法は格下には絶対に勝てるが、格上には絶対勝てないという特性を持つ珍しい魔法である。*2
魔族が魔力の高いほうへ従う性質の社会だと考えると、そもそも格上を想定する意味があまりないので、割り切って合理的な采配といえる。
仮に同族以外にゼーリエのように明らかに自分を超えた莫大な魔力を持つ存在を前にしたところで、戦わなければいいだけ。つくづく人類の敵である。

ちなみに勇者ヒンメルはアウラが『服従させる魔法』を使う前に超スピードで肉薄して腕をぶった斬るという、
簡単そうに見えて超難しい脳筋戦術をやってのけることで回避している*3
小説版ではフリーレンの援護によって服従の天秤を攻撃され魔法が不発になったとされているが、それでも大魔族であるアウラに一撃を加えたヒンメルの実力は本物と言える。

強さの評価

散々粋がっておきながらあっけなく自分の魔法で自害という哀れな最期や、ヒンメルにやられて隠れ潜んでいたという点もあって、読者からは「油断と慢心で負けた」と低評価を受けがち。
だが逆を言えば「油断と慢心がなければ負けなかった」という事でもある。
アウラの慎重さの度合いによっては*4、フリーレンに勝ち目はなかっただろう。
ヒンメルとの戦闘に関しても、勇者一行が戦ったのは約80年前なので冒険の終盤の戦闘だと思われ、相当強い時点の激突である事は間違いない。
勇者一行の強さを示す描写は多数存在し、実際の所「終盤ヒンメルにまともに一撃喰らったのに生きている」という時点で割と凄いのである。

また敗因と言える「油断」と「慢心」、フランメが言うところの「クソみたいな驕りと油断」についても、魔族全体に共通する、如何ともし難い習性であり、アウラ以外の魔族も同様と言える。
実際、大魔族ソリテールは「油断と誇りは捕食者の致命的な欠点」「それが原因で多くの魔族が命を落とした」「これだけ狩られても尚、魔族は狩られることを学べていない」と語っている。*5
つまりは、「魔族は種族的に人間を見下しており、その油断と慢心が人間に負けることに繋がっている」。

しかし、アウラに限って言うと、「勇者ヒンメルの強さを認識した後は、彼と直接戦うことを避ける」、
「フリーレンとの再戦では、最初から切り札は切らず、まずは不死の軍勢をぶつけて彼女の魔力を消耗させようとする」「魔力偽装されてないか確認する」など、慎重な方針を取っており、油断や慢心をしていたとは言い難い描写が多い。
さらに言えば、フリーレンとの再戦では魔法を解除されるという形で彼女によって不死の軍勢をだいぶ削られており*6
それ以上失う前に『服従させる魔法(アゼリューゼ)』の使用に踏み切るというのは、戦後も視野に入れるならば全面的に失策とは言えないだろう。
アウラの落ち度というよりは、フリーレンの「魔力偽装」のあまりの高度さが敗死に繋がったと言える。

また、魔族自身が「魔力の大きさこそが力の証」というヒエラルキーによって成り立つ生き物である以上、
相手が「魔力偽装」を行っているという考えに至れないというのも、アウラに限った話ではない。
事実、後述するアウラの部下である魔族・リュグナーは、師のフリーレン同様に魔力偽装を行っているフェルンとの戦闘で致命傷を負わされてから初めて、
目に見える魔力量と実際の魔力消費量が矛盾していることでようやく彼女の「魔力偽装」に気付き、「お前達は魔法使いの風上にもおけない」とフェルンを罵っている。
前述した大魔族のソリテールは直接フリーレンと対面する前から彼女の「魔力偽装」を見破っていたが、
それはフリーレンの戦闘の痕跡を検分した結果から推測していただけであり「完璧すぎて(魔力への観察眼に自信を持つ魔族だからこそ)言ったところでたぶん信じてくれない」という旨のコメントをしている。
この認識・思考が魔族全般に共通するからこそ、フランメは魔族への対抗策として「魔力偽装」の有用性に気付き、
フランメと彼女から教えを受けたフリーレン、そしてそのフリーレンに師事したフェルンは「魔力偽装」の技術を磨き上げたのであり、
それがたまたま「相手と自分の魔力量の差が決定打となる魔法」を使うアウラにとっては最悪と言えるほどに相性が悪かったというだけである。
それらを考慮すれば「偽装特有の揺らぎはない」と一応疑ってかかったアウラは魔族にしてはむしろ用心深いほうと言えよう。

つまる所、アウラに油断や驕り、慢心があったかと言うとかなり疑わしいのだが、これに関しては、フリーレンやフランメが魔族を絶対的に敵視していると言う点も考慮にいれるべきだと思われる。
実際の所、彼女達の魔族に対する言動はかなり攻撃的であり、ある程度差し引いて受け取った方が良い。

また、メタ的に言えば、魔族の油断やフリーレンの用意周到さを描写するために、こういう能力にされたとも言えるだろうか。
実際の所、フリーレン以外のキャラクターがアウラを倒すのは非常に難しい。
戦闘力がフリーレン以上の強さであっても、魔力がアウラの魔力以下なら問答無用で負けるし、そうでなくても不死の軍勢で魔力を削られてアウラ以下になった瞬間に詰み。
そしてこの無理ゲーを突破出来る程の強さなら、ヒンメルの時のように恥も外聞もなく逃げる
フリーレンのように欺いて油断させるか、あるいは逃亡前に倒すか(ヒンメルでさえ無理だったが)しかないのである。
また、彼女の魔法はあまりに強力過ぎて、勝つにせよ負けるにせよ一瞬で再起不能レベルの決着がついてしまう。
そして主人公であるフリーレンが再起不能になる訳にはいかない……という大人の事情も加味すれば、
「強力」でありつつも「フリーレンにあっさり負ける」べくして考えられた能力であったとも言えるだろう。

なお、「絶対服従なら負けた後にそのまま操れば良いのでは?」と言う意見もごく一部にあるが、
  • 強制解除する魔法が既に存在する(おまけにそれを本人が見ている)
  • 自我や意識を奪うわけではないので思案は可能
  • 強い意志があれば抵抗可能
といった点から、生かしておくと他の魔族に救出されたり、最悪自力で解除される可能性が否定できないので、これについては即座に自害させると言うフリーレンの判断が妥当だと思われる。

首切り役人

彼女とは本編内で直接会話しているシーンが無いものの、登場に先んじて三人の部下が登場した。通称『首切り役人』。
小説版では配下として付き従っている。
当然敬意や忠誠心などは無く、用がなければ近付きもしないでいる。
だが3人が戦って勝てる相手でもなく、それどころかアウラの機嫌一つでいつ首を落とされるかも分からないため、大人しく従っているという関係。

リュグナー

CV︰諏訪部順一
グラナトの下を訪れた魔族側の和睦の使者。
…ではなく、正体は街の防護結界を破るために遣わされたアウラの尖兵。見た目は大人の貴族の男性。
アウラの側近的な立場でもあり、歳の割に短慮なアウラを諌める発言も何度かしていた。
自身の血を武器にして戦闘に利用したり、ある程度のダメージも血液で覆う事で補うことが出来る血を操る魔法(バルテーリエ)の使い手。

グラナト伯爵を救助に来たシュタルクと交戦するが、同じく救助に来たフェルンの『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』によって重傷を負い、彼らの逃走を許してしまう。
その後、回復したリュグナーはリーニエにシュタルクの相手を任せ、自身はフェルンと交戦することとなるが、
フェルンのまさに怒涛ともいえる攻撃(魔法)の手数、速さに対処が追い付かなくなって焦り始め、
最期はリーニエの敗北・消滅に気を取られた隙にフェルンの『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』を受けて敗北。
今際の際に、フェルンが「魔力偽装」を行って本来の魔力量を自分に悟らせないようにしており、それが自らの判断を誤らせた*7と気付き、
「魔法使いの風上にも置けない卑怯者」と彼女を罵った直後、彼女に引導を渡されて死亡・消滅した。

名前の由来はドイツ語で「嘘つき」を意味する"Lügner"


リーニエ

CV︰石見舞菜香
リュグナーの側近の見た目は少女の魔族。性根は冷酷で無表情。りんご好き。かわいい。
相手の体内の魔力の流れを読み取り、戦い方を模倣する模倣する魔法(エアフアーゼン)の使い手。
彼女が幼少期に見たアイゼンの技を模倣して使用し、アイゼンから教えを受けたシュタルクと互角に渡り合ったが、
最期は自らも相手の斧を喰らう前提の、いわば相討ち覚悟のシュタルクの捨て身の策で隙を作られ、そこに「閃天撃」を食らい消滅。

なお、シュタルクとの戦いでは一見するとリーニエの方が彼を圧倒しているように見えて、
「防戦一方でしつこい」と称するほどに、実際にはリーニエはシュタルクのタフネスの前に攻めあぐねており、
さらに、いざ守りを捨てて相討ち覚悟で飛び込んだシュタルクに命中したリーニエの攻撃は、彼にとって「師匠より遥かに軽い」一撃だった一方で、
リーニエの方はシュタルク渾身の「閃天撃」一発で敗死に追い込まれる・・・と、シュタルクの実力は彼女をはるかに上回っていた。

魔族の中には魔力で肉体を強化して武術をメインに戦う「将軍」と呼ばれる戦士もいるが、彼女はあくまで魔法使いであって戦士ではない。
扱う魔法も文字通り「武器と動作の模倣」であり、狡猾で獰猛な魔族とはいえ小柄な少女であることも手伝って、肉体面で鍛え上げた戦士には及ばなかったのだろう。
だからこそ、意を決してその攻撃を身体で受けたシュタルクは彼女の一撃を「遥かに軽い」と称したと思われる。
自分の魔法を「ただのモノマネ」とシュタルクに看破された際には「そのモノマネで止めを刺してやる」と言い放つだけの余裕はあったのだが、
彼の予想外のタフネスぶりに苛立ちを募らせている当たり、ここまで粘られるとは相当に予想外だったらしい。
自分自身の戦闘スタイルに潜む欠点を自覚できていなかったこと、そこからくる慢心と油断でシュタルクの底力を見誤っていたことが敗因だったと言えよう。

2023年の第1回キャラクター人気投票では第34位だったものの2024年に行われた第2回ではアニメ効果か第6位に大幅アップとなった。

名前の由来はドイツ語で「線」を意味する"Linie"。


ドラート

CV︰大鈴功起
リュグナーの側近の見た目は青年の魔族。糸を操る魔法(名称は不明)の使い手。
地下牢に収監されていたフリーレンに一人で挑み、不意打ちで首に糸を巻き付けて首吊り状態にする。
本来ならそのまま首を落とす算段だったところを、フリーレンが魔力で首を防護していたため仕留め損なったが、
本人曰く「魔族の魔法の中でも随一の強度」だという糸の圧を強め、無理矢理フリーレンの首を落とそうとした。
しかし、ドラートがフリーレンの実力を見誤っていたためか、目論見通り彼女の首を切断することは叶わず、
無駄に必殺仕事人みたいなポーズ決めて彼女に背を向けているうちに糸を操る手自体を落とされて無効化される。
そして一瞬の攻防に敗れ、意趣返しの如く手で首を締めた体勢から首を魔法で吹き飛ばされて死亡。割とグロい。
後の会話を見る限り、リュグナーとリーニエからは格下に見られていた節があり、ひょっとしたら一番新参なのかもしれない。
魔族の中でも特に相手を軽く見る性格のようで、ヒンメルに敗れて弱ったアウラを見限ろうともしていた。

名前の由来はドイツ語で「針金」を意味する"Draht"。


余談

・名前の由来
名前の由来はドイツ語で「人が発するとされる、輝きや香気にたとえられる生体的エネルギー」を意味する"Aura"。
文学や哲学を学んだ人なら、哲学者ヴァルター・ベンヤミンの示した概念として言葉を聞いた人はいるかもしれない。(高校国語の教科書に載っていたこともある)
……まあそうですね、たぶん一般的には横文字で"オーラ"と言ってしまうのが一番イメージが分かりやすいと思われる。

・逃げ上手
ヒンメルたちから逃げ延びただけではなく、人類最強と謳われた南の勇者との戦いでも生き延びていた事が判明している。

・遠近法
16話にてアウラが崖の上からグラナト伯爵領を見ているシーン、雑誌掲載版では伯爵領から20㎞の位置にいて伯爵領も大きく見えていたが、
単行本化の際に距離が10㎞と短くなった代わりに、見えている伯爵領の方も大きく…はならずに小さくなった。
おそらく、これは「20㎞離れた崖の上からグラナト伯爵領を見ているシーン」にしては20㎞だと遠すぎて伯爵領が見えないはずと気付き、
10㎞に修正しても伯爵領の大きさはもっと小さく見えているはずと描き直したのだろう。

・凝りに凝った自害シーン
原作でのアウラの自害シーンは数コマのアッサリとした簡易な描写であったが、
アニメ版では自害シーンがリョナラースタッフの手によりかなり盛られている。
フリーレンに魔法を打ち負かされた悔しさで涙目になるのは同じだが、自害の命令に手に力を込め、歯を食いしばって抵抗しながらも、
やがて剣の刃に触れた髪が切れてハラハラと落ち、剣に顔が反射し、そして自らの手で首を切り落としたアウラの視点となる演出、
そして、担当声優の竹達氏の熱演でアウラの悔しさ・絶望感が表現されるなど、アウ虐スタッフの手によって盛りだくさんである。
アニメを担当したMADHOUSEの公式X(twitter)でも首に刃を当てるアウラの原画を公開している辺り、アウラの需要を理解している証左と言えよう。

・ネットミーム化
原作・アニメ共に出番は正直少なめで、扱い的には数話で退場するゲストキャラのそれなのだが、
その出番の少なさに反して一瞬の閃光の様な生き様(死に様?)から主に俺らに一躍人気キャラとなり、
二次界隈では「ヒンメルはもう~」の名言(?)からアウラのセリフは『~じゃない』と語尾が付くのが実際にはそれほど使っていないにもかかわらずテンプレになったり、
腹いせのような流れで『アウラ、○○しろ』と理不尽な命令をする『アウラ構文』なるものがネットミームと化した。
また、2024年発売の前日譚の小説に彼女が主人公のエピソードが収録されている。
パロディも多く、これなんかは公式の漫画でやっている
これに関連して、フリーレンに支配されたアウラがギャグやコメディ路線で彼女にこき使われたりイジられたり、
果てはフリーレン一行に仲間入りし、(主にフリーレンにイジられつつ)彼女たちと旅する二次創作が流行った結果、
「本編を知らない友人からSNSで見かけたという、どう考えてもアウラらしい特徴の『フリーレンの仲間キャラ』の詳細を訊かれて困惑した」とか、
「SNSを見ててっきり仲間入りすると思っていたアウラが、本編を見たらフリーレンにあっさり自害させられて驚いた」といった、
良くも悪くも二次創作の影響で混乱した人たちの声がインターネット上で数多く見られる事態に。
場合によっては長命種族ゆえにフリーレンと無二の親友の立場になったり、
第2のフェルン的なフリーレンの世話焼き担当だったりと、二次界隈での出番の多さは枚挙にいとまがない。
なお、アニメの公式グッズでも対比の面でフリーレンと絡められたりしてるのはご愛敬。
また、魔術の強制命令による自害という点で二次創作では某青タイツとネタ的に絡められたりも。

・キャラクター投票2位!?
2023年の第1回キャラクター人気投票では第10位だったものの2024年に行われた第2回では第2位とトップ3入りを果たした。嬉しいじゃない?表彰台のアウラ
その高い人気故か、他作品や商品とのコラボが行われる際もフリーレン一行に交じってしれっと起用されていることが多く、上記の仲間化二次創作がある意味公式化してしまうことに。



フリーレン「"アウラ、追記・修正しろ"」 
アウラ「…ありえない…この私が…(アニヲタwikiのページ編集をする)」

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最終更新:2025年04月03日 00:47

*1 とはいえこれに関してはアウラだけではなく他の魔族も同じであり、ヒンメルの死後に暴れ始めた魔族の残党は北部などにも存在するなので、彼は存在そのものが抑止力だったと言える。改めてとんでもない勇者である。

*2 で、あるにもかかわらず鍛え始めたばかりの約500年前の時点で既に七崩賢の座に君臨している

*3 アウラは不死の軍勢に守られているため、本来なら接近することも難しいはずである

*4 例えばもっと大軍勢を用意してから行動を開始していれば

*5 なお、そのソリテールは「七崩賢の魔法は人知も人の理も超える」と高く評価している

*6 一度服従させた後にアンデッド化させた軍勢を解除魔法で無力化した場合、再び同じ魔法をかけて再利用することはアンデッド化させた時点で魂がなくなるので不可能

*7 二度目の交戦時は奇襲に成功しておりそのままフェルンを殺すこともできたが、格下に奇襲で勝つ事はプライドに反するため仕切り直してしまった