ユリウス・ベルモンド

登録日:2021/09/04 Sat 00:39:33
更新日:2025/09/24 Wed 22:46:24
所要時間:約 6 分で読めます







とくと味わえ、ベルモンドの力!


ユリウス・ベルモンドは『悪魔城ドラキュラ』(キャッスルヴァニア)に登場するヴァンパイアハンターである。
CV:龍谷修武(『暁月の円舞曲』)、稲田徹(『蒼月の十字架』『Harmony of Despair』)



■概要

ヴァンパイアハンターを生業としてきたベルモンド一族の末裔で、1999年にアルカードらと共にドラキュラを完全に滅ぼした戦士の一人。

その後大事故に遭い*1病院に担ぎ込まれた時には記憶を失ってしまっていたが、退魔の力は現役であったことから2035年頃まで退魔の仕事をしていた。本人曰くJと呼ばれていたとのこと。

ドラキュラは1999年に滅びたが、「2035年、城は新たな城主を迎え、力を継ぐ者が現れる」という予言が存在していた。
彼はドラキュラという名になぜか大きな恐怖を感じていたこと、自身に退魔の力があること、そして1999年という時代の合致から、自分を取り戻すきっかけが得られると考え、ドラキュラ城へと足を踏み入れた。
そこで主人公来須蒼真と出会うことになるが、有角と違って初手で嫌味を言ったりしなかったこともありすんなり打ち解ける。

その後、煉獄闘技場で蒼真の戦いぶりを見たことがきっかけとなり記憶が復活。
蒼真に本名と素性を名乗った後は、かつてドラキュラの魂と魔力を引き剥がすため城とともに封じたヴァンパイアキラーを取りにいった*2
そしてやはり血の因縁は誤魔化せないのか、この時点で蒼真がドラキュラ(の生まれ変わり)である事に勘付いていた。

ドラキュラを倒した1999年には19歳だった若き戦士も、この作品での2035年頃には55歳と結構なおじさんになっての登場であり、その点でもかなり異色のベルモンド。
恐らく15年越しにドラキュラと二度目の邂逅を果たしたクリストファーよりも壮年。歴代のベルモンドを並べた場合、最も新しい時代にいながら誰よりも高齢と、独特な立ち位置である。


  • 戦闘
ドラキュラとしての力に目覚めてしまった蒼真は、自らを蝕んでいく混沌の魔力に打ち勝つため、混沌へと向かう。
そんな蒼真の前にユリウスが突如現れ「ドラキュラは倒さねばならん」と襲いかかり、戦闘になる。
ソレイユ、リヒターに次ぐ三度目のベルモンドとの戦いだが*3敵に操られていた彼らと違い、こちらは完全に本人の意思。
見ようによっては「プレイヤーがドラキュラを操作しベルモンドと戦う」という皮肉な構図で、、ある意味「魔王の宿命に抗う戦い」を描いた蒼真を主人公としたシリーズを象徴する名シーンと言える。

この時の戦闘で流れるBGMは「夜まで待てない*4
アーケード版最終面で流れる同名の曲をベースに、独自の間奏パート、そしてディスクシステム版の「Heart of Fire」を加えた内容となっている。
このバージョンはファンの間でも人気があり、実質的にユリウスのテーマとして定着していると言っても過言ではない。
戦いを望まない蒼真に対し「それが俺の宿命だ」と問答無用で戦いを仕掛けるユリウスの姿は、どことなく「夜まで待てない」というワードをイメージさせるものがある。

最初は伝統的な鞭打ち、軽く退がってからスライディングキック、高く飛び上がってから斜め下方向へのドゥエキックを用いる。
HPをある程度減らすと背景の城の一部を崩壊させるほどの極大のグランドクロスを発動する。この時は強く吸い寄せられるため、全力で逃げないと大ダメージ確定。
その後は3種のサブウェポンによる攻撃も織り交ぜるようになる。構えを取った後手元が赤く光れば斧青く光ればクロス緑に光れば聖水が来る。
ちなみに聖属性に耐性を持つため、クラウ・ソラス*5に頼りっきりのプレイヤーは泣きを見ることになる。
『速い』『硬い』『痛い』の三拍子が揃っており、グラハムはおろかラスボスより強いと言っても過言ではない。

最終的に蒼真が止めを刺さずに戦いを中断する形で終わったが、ユリウスも(あれで)手加減していたらしい。
蒼真自身の魂の力を信じ「もし自分が魔王として目覚めたときには自分を殺してほしい」という頼みを受けて道を開け、混沌へと向かう蒼真を見送った。

その後、蒼真が混沌に敗れ魔王と化した場合、ユリウスは約束を果たすため蒼真の元へと駆けつける。そして画面が暗転しゲームオーバー
完全なるバッドエンドだが一見の価値あり。

蒼真が混沌に打ち勝った場合エンディングで登場し、ヴァンパイアキラーの力が弱まりつつあることを明らかにし、蒼真との再会を約束して去っていく。

  • 『蒼月の十字架』
『暁月』から一年後が舞台の作品。
デザインがやや変化し、青いズボンと、ベルモンドらしくロングブーツを履くようになった。
教会の手伝いをしているらしく、教団『ウィズ・ライト』の本拠地を調査している。東方正教会はレオンの時代からベルモンド一族とはちょっと確執があったはずだが、流石に解消したのだろうか。
親子ほどの年齢差のあるヨーコと距離感が近いのがハマーをやきもきさせている様子。彼にはそういう仲に見えるのか…?
蒼真とは別行動を取っており、度々合流することもある。
なお作中では魔封陣が無いと倒せないような敵も普通に倒しており「再生する前に消滅させた。特に問題は無い。」と語っている。
※本作の一部の魔物(ボス等)は魔界から供給される魔力を魔封陣で断ち切らないと倒すことができないと言う設定です。
とはいえ流石に全盛期は過ぎているようで、魔王候補の一人ダリオに不覚を取ってしまっていた。

物語終盤、有角と蒼真の行く手を遮る結界をグランドクロスで破壊する。その後は力を使い果たして疲弊してしまい、「年はとりたくないものだな」とぼやくシーンも。
前作もそうだが、ユリウスの本気のグランドクロスはイベントでしか見れない。

エンディングでは城から無事脱出しており、仲間共々蒼真を出迎えた。

  • 『Grimoire of Souls』
本編に直接登場することはないが、オープニング映像をはじめ、たびたびその存在に言及されており、
1999年当時の彼は一族の歴史の結晶とでも言うべき強さだったことが有角の口から明かされている。
しかし作中では「1999年にドラキュラを滅ぼしたベルモンド」「(単に)ベルモンド」等といった形で、何故か頑なに名前を呼んでもらえなかった。

本作には最高ランクの★5防具として「色即是空」が登場するが別に装備しても色即是空が使えるようになったりはしない。防具イラストには『HD』に準じたデザインのユリウスが描かれている。


■性能

『暁月の円舞曲』

一度ゲームをクリアした後にネームエントリー画面で「JULIUS」と入力することによってユリウスモードをプレイできる。

前作『白夜の協奏曲』のマクシーム同様、ストーリー、アイテム、ソウル、レベルアップなどがない代わりに最初から探索に必要な全てのアクションが揃っており、城内を自由に探索できる。
通常攻撃は先祖伝来の鞭打ち。長押し入力すれば鞭垂らしも可能。
本編ではサブウェポンシステムが廃止されていたが、彼はクロス聖水、そしてグランドクロスの4種のサブウェポンを所持しており、Rボタンで順繰りに切り替えできる。
また、Lボタンを押すと無敵状態で水平移動する。(後に『Harmony of Despair』にて、色即是空という技名が付いた。)
ボスを倒した時に出現する魔力の玉を回収することでステータスが上昇するようになっており、マクシームやリヒター(『月下の夜想曲』)のときと比べると各ボスを撃破する旨味は増している。なお、ラスボスはグラハム止まりで、ユリウスで混沌に挑むことはバグを利用しない限り出来ない。

『蒼月の十字架』

蒼真が魔王になるエンディングか、グッドエンディングを見ると出現する「ユリウスモード」でプレイ可能。時系列は魔王化エンディングの後。

今作ではユリウスの他にも、ヨーコ・ヴェルナンデス、アルカードを仲間に加えて悪魔城を攻略する、『悪魔城伝説』をイメージしたモードとなっている(グラントに対応するキャラが居ないのが惜しまれる…)。今作では敵を倒すことでレベルアップも可能。
最初のエリアBGMが『悪魔城伝説』のステージ1BGM「BEGINNIG」のアレンジになるというファンサービスも。
3人を使い分けることを前提とした調整なのか、ユリウス単体の性能は前作よりやや抑えられている。
ハイジャンプがハイではなくなり無限滞空不可、色即是空はバックダッシュに変更、グランドクロスの出がかりの無敵時間削除、とかなり弱体化している。こうでもしないとアルカードが完全に蝙蝠変身アイテムでしかなくなるので致し方なしか…
しかしながら、リーチの長い鞭や汎用性の高いサブウェポンといった強みは健在。鞭の硬直が減った上、バックダッシュによる技のキャンセルも可能になったため使い勝手もなかなかに良好。

本モードでは完全に魔王として覚醒した蒼真が最終ボスとなるが、ユリウスで撃破した時にのみ聞ける専用ボイスがとても哀しい。
「許せ…」

『Harmony of Despair』

XBOX360版ではDLCキャラとして、2010年11月24日から240マイクロソフトポイントで配信された。

PS3版ではヨーコと共にデフォルトキャラに昇格。
今回のデザインは『蒼月』版がベースで、リアルタッチかつ渋い仕上がり。
性能は概ね『暁月』と『蒼月』の良い所取りに加え、それまでシモンのみが可能だった「8方向に攻撃できる鞭」「特定のポイントに鞭でぶら下がることが可能」といった特性を持つ。
また鞭の当たり判定が頭一つ抜けて強く、スライディングの移動が非常に速い。
マーシャルアーツ(コマンド技)の種類が少ないが、それを差し引いてもいわゆるヴァンパイアキラー持ちのキャラの中では初心者向けの強キャラといったところ。



■余談

◆1999年にドラキュラを完全に討伐したユリウスではあるが、肝心のこの話を『直接』描いた作品が今のところ何一つ無い
一応明かされている中では、日本の白馬神社の神主の力により、ドラキュラの魔力の根源であるドラキュラ城は日食の中に封じられ、魂と魔力を引き剥がされたドラキュラは復活の宿命より解放されたとされている。
実際、1999年8月11日に皆既日食がヨーロッパからアジアの広い範囲で観測されている。『暁月』作中のセリフを見る限りこの日のヨーロッパでこの最後の戦いが行われたようだ。
ユリウスはこの戦いについて「俺一人の力ではない」と言及しており、上記の「白馬神社の神主」やアルカードを含めて仲間と共に戦ったことが示唆されている。
◆◆間違いなくユリウス最大の見せ場であるはずのこの戦い、「それがゲーム化されればシリーズ最終作となる」とも噂されていた。
しかし、五十嵐孝司氏が悪魔城の企画・制作から離れた後、コナミを去ったことで、少なくとも当時構想されていたであろう1999年の戦いが世に出る可能性は極めて低くなった。
Bloodstained: Ritual of the Night』には『蝋燭職人ユリウス」の敵討ちとして「IGA」を倒す』というDLCサブクエストがあるが、五十嵐氏にも思うところがあったのか、単に最後に仕込んだセルフパロディの一部にすぎなかったのかは不明。


リヒター・ベルモンドからユリウスの間に存在していたであろうベルモンド一族にどのような者がいたのかも明らかになっていない。
リヒターの代以降にヴァンパイアキラーがベルモンド家の傍系であるモリス家に預けられ、その戦士達が代わりに活躍していた時期もあった。
だが、その間にベルモンド家はどのような活動を行なっていたか、鞭がベルモンド家に戻る際に誰とどんなやりとりがあったのかは不明なままである。
◆◆『オトメディウスX』の登場人物の一人に、ココロ・ベルモンドというキャラが登場する。
名前からしてベルモンド一族だが、作中のギャラリーで見られる資料には「ユリウス・ベルモンドの娘、または妹」との記述がある。
また、『ボンバーガール』に登場するセピア・ベルモンドは「ベルモンド一族の血縁者」という設定だが、時代が一番近いココロやユリウスとどのような関係なのかは一切不明である。*6


追記・修正はドラキュラの混沌に打ち勝ってからお願いします。





















































この項目が面白かったなら……\ドゥエッと/

最終更新:2025年09月24日 22:46

*1 『暁月の円舞曲』の説明書及び記憶喪失中の本人の言では大事故とされているが、上記の戦いの件を踏まえると本当に事故なのかやや怪しいところがある。

*2 ユリウスは置き場所を覚えていたそうだが、どこに置かれていたのかは不明。

*3 『闇の呪印』でラルフと戦う場面があるが、発売日はこっちが先

*4 海外では「Heart of Fire」名義であることが多い。

*5 とある方法で入手できる大剣。高威力かつ広範囲、隙も少ない上に多くの魔物によく効く聖属性付きという至れり尽くせりの高性能。

*6 セピアは現代(2018年~)の人物であるが、その当時のユリウスは四十路手前で絶賛失踪中。

*7 宝塚歌劇団側の公式番組という形ではあるが。

*8 尤も『HD』の出ている機種では現状RTAしかできないのだが

*9 作中では「それベルモンド家の歩き方でしょ…」と突っ込まれている。