舞踏鳥(忍者と極道)

登録日:2021/09/06 (月曜日) 22:01:00
更新日:2025/03/18 Tue 09:28:54NEW!
所要時間:約 12 分で読めます





みんな!!ちゃんと(ころ)した!? 自分の痕跡しっかり消した!?

忍者来る前に撤退するわよ お家に帰るまでが殺人(コロシ)です!!

野次馬と近所の警察(オマワリ)は 私が(ころ)しておいたから



舞踏鳥(プリマ)とは『忍者と極道』に登場するキャラクターである。

概要

極道陣営第三の刺客・殺し屋集団割れた子供達の最高幹部三狂(トップスリー)の紅一点。
ガムテが「最強の右腕」と呼んで信頼を置き、組織の纏め役も務める事実上のNo.2。
外伝『最狂悪童伝ガムテ』のヒロインも担当しており、本編の段階で年齢は17歳(ガムテより2学年上)。

外見はスカートの長い露出の低いセーラー服を着た、スレンダーで長い黒髪の清楚クール系の美少女。
本人は否定しているが、風貌がガムテの母親と瓜二つ。

人物

本名偉藤(いとう) 幽華(ゆか)
異常な不眠症を抱えるガムテを唯一熟睡させられる人物。

一人称は(わたし)
度々ガムテの家に上がり込んで料理を作ったり寝かしつけたりと実質的な保護者替わり。また、極道(きわみ)とガムテが「親子」だと知っている。
「仕事仲間としての当然のサポート」と称して通い妻みたくガムテの世話を焼いており、ガムテは煙たがりながらもそんな生活環境を受け入れている。
ガムテからは「母親になれる」と見込まれ執着を向けられているが、彼女自身はガムテから母親扱いされていることには「冗談じゃないわ。私は母親(あなた)じゃない」と不満に思い、母親の代役という括りから脱却したいかのような言動を覗かせる。

このようにガムテに対して忠実ながらも冷たい対応を振る舞うが、根底にあるのは「人殺しになってしまった自分に新たな人生をくれたガムテへの恩義」で、彼の為ならば命も投げ出す覚悟を決めている。
そしてガムテを一度捨てたにもかかわらず、親らしい愛情を与えないどころか道具扱いした極道(きわみ)「糞野郎」と蔑むほど忌み嫌っている。


戦闘能力


精一杯()るわ ガムテ

殺し屋に堕ちる以前の段階でガムテから500MPを測定されていた逸材。
麻薬『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』で強化された能力は表現力。MPは5301800。
戦闘ではバレリーナの動きを応用したと思われる蹴り技を得意とし、人体を穿ち、掠めただけでも容易くその部位を抉り取る強烈な蹴りを放つ。
ちなみに構成員の一人が「舞踏鳥踏んで」と言っていたが、そいつは相当な命知らずである
また、元生徒会長だった経験を活かす形で無軌道気味な『割れた子供達』を纏め上げ、統率を取れるだけのリーダーシップも持ち合わせている。

極道技巧

  • 夢幻燦顕視(むげんさんけんし)
脅威(こわ)いでしょ たとえ”幻”とわかっていても────……

麻薬で強化された表現力と超絶身体能力を用いた神域の舞によって、舞踏鳥のバレエを見た人間に非実在とわかれど本能が生命の危機を感じてしまうほど迫真(リアル)な幻影を見せつける、幻術の極道技巧。
幻は超人的な洞察力を持つ極道(きわみ)ですら惑わされる強力無比なもので、幻の内容はバレエの舞に応じて自由自在に変化。視界からの圧倒的情報量故に正常な思考も乱されてしまう。
目眩しとしても有効で、舞踏鳥(プリマ)自身も舞による幻覚を隠れ蓑にして、神出鬼没の攻撃を行っている。

元ネタは恐らく映画『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』だと思われる。ドラえもんに謝れ


【関連人物】

  • 代紋密猟者(だいもんみつりょうしゃ)偉藤(いとう)優一郎(ゆういちろう)
うっさいなあもおおお!!!

僕勉強したら幸せになれるって教えられたよ!!!パパとママに…だから必死に勉強したよ!!!
でも不幸になった!!!女子に全ッ然モテなかった!!!勉強してない運動部の奴はモテモテなのに!!!
運動部の奴は友達沢山なのに僕はぼっちだぁ…人生間違えた!!!
僕は間違ってた!!!勉強じゃない!!!筋肉こそ正義だ!!!

『外伝・最狂悪童伝ガムテ』に登場する、幽華の7歳年上の実兄。当時22歳。
昔の家族写真では坊ちゃん刈りでやや小太りのメガネを掛けた少年だったが、筋トレと麻薬を使用し続けた結果、全身の体毛が抜け落ち、目の周囲や頭に罅割れや稲妻のような血走りが浮かぶ巨漢へと変貌を遂げている。

一人称は(ぼく)
親の言う通りに勉学に励み続けていたのにモテずボッチになったことがコンプレックスとなり筋トレに傾倒してしまった陰キャ。
プライドの高さと思い込みの激しさに加えて自分の都合の悪いことには当たり散らすようにキレる子供のような駄々っ子の性格。
また親に祝福されてバレリーナの夢を叶えようとする妹の幽華に対しては鬱積した嫉妬を抱えていたようで、「僕が引き籠って悩んでいるのにバレエ留学だと!?」と醜い怒りを向けていた。
当然ながら幽華からの向けられる感情も最底辺のそれ。彼が両親を殺害する以前から幽華にとっては侮蔑の対象であり、「アンタみたいな引き籠り」「寄生虫野郎」と見下されてはいた。
なおガムテとの戦いでは自分も割れた子供の1人だと図々しく主張したが、「大人じゃねーか知るかボケェ!!! 加齢臭(くせえ)んだよ!!!」とブチキレたガムテに一蹴されている。

中学時代は優秀な生徒だったらしいが、高校進学後引きこもりになり両親から金をせびり続け、筋肉増強剤や筋トレ器具を購入して身体をひたすら鍛えていた。
ある時、闇サイトで発見した『天国への回数券(ヘブンズ・クーポン)』を入手し、様々な筋肉増強剤やサプリとチャンポンして服用して筋トレを続けた結果、偶然ながら『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』に近い強化を発現させてしまった。
これにより身体が巨大化した上肉体が超強化され、短刀や日本刀、拳銃すら通用しない超身体(スーパーフィジカル)を身につけた怪物になってしまう。このためMPは一般人ながらも極道の本部長クラスを超える5000Pを獲得している。

こうして麻薬を買うようになってから両親への金の無心が悪化。
断れば強化された腕力で洒落にならない暴力を振るって金を奪うようになり、幽華のバレエ留学資金までも食い潰して家の財政を破綻に追い込むだけでなく、強化された肉体の力を試すため極道を襲撃しては筋力で殺戮しトロフィーとばかりに代紋*1を奪ってリストバンドにコレクションする連続殺人鬼『代紋密猟者』と化した。
もちろんナメた真似をされた極道が黙っている訳もなく*2、度々暗殺者を送り込んでいたが全て返り討ちにしており、累計で315人もの極道が犠牲になった。

バレエ留学を断念しなければならないことを両親が幽華に告げ、激昂した幽華に問い詰められたところ上述の台詞を吐き捨てて逆ギレ。
幽華を守ろうとした両親の首をちぎって惨殺して「ロードワーク」に出かけたが、極道(きわみ)が送り込んだガムテの極道技巧”(ヤマイダレ)”で強化された筋繊維の間を抜かれて肝臓をズラされ、超身体を無効化されたところを幽華に包丁で滅多刺しにされ死亡した。
死体は後から到着した「割れた子供達」によって回収され、「怪獣医(ドクター・モンスター)繰田孔富の元に送られて研究材料にされる。その結果として開発中だった『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』は大きく完成に近づくことになった。

【活躍】

『外伝・最狂悪童伝ガムテ』

元々はガムテの通う赤見原中学校の生徒会長。当時中学三年生。
堅気であった頃から、ガムテに極道と同等の500MPと判断される高い資質を持っていた。
またこの頃、バレリーナ志望でロシアへのバレエ留学も内定していた。

しかし、引き篭もりの兄・優一郎が闇サイトで販売されていた麻薬に手を出し変貌、麻薬と筋肉増強剤のチャンポンに加えて筋トレを重ねて肉体を超強化し、素手で極道を殺して回る殺人鬼代紋密猟者と化した結果、財産も両親の命も全て失い、夢も心も壊れてしまった。
自分の全てを奪った怨敵の兄を殺して自分も死のうと決心する中、偶然兄とガムテの戦いを目撃し、ガムテの極道技巧”(ヤマイダレ)”により瀕死となった兄を激情のまま罵倒し、自宅から持ってきた包丁で惨殺する。
復讐を遂げ精魂尽き果てガムテに殺して貰うよう懇願するも、それに逆上したガムテの手で昏倒させられると、殺し屋としての素質を見込まれアジトに運ばれ、そのまま『割れた子供達』のメンバーとなった。
ちなみに、この頃には”黄金球(バロンドール)”をはじめとした幹部格は全員そろっており、実は主要メンバーの中では一番の新参であることも明らかになっている。それどころか、平メンバーの ”リリユリ”コンビや ”割戦隊”よりも新参である。なお、当時のリーダーは”大臣”だった*3
そこから一気に他の面子を追い越して№2になっているため、ガムテの見立て通り凄まじい才能を有していたことが分かる。


忍者と極道本編

『第四章・幼狂死亡遊戯』で本格登場。

総理官邸襲撃前の肩慣らしとしてガムテを除いた割れた子供達を率い、かつて極道(きわみ)に鉄砲玉を送ってきた 伊武任組(いぶにんぐみ)の事務所をわずか3分で壊滅させた。
舞踏鳥自身はそのタイムキーパー及び、冒頭の台詞の通り騒動を聞きつけた野次馬や警察を虐殺。

ガムテが計画した総理官邸へのテロ攻撃では要となる時限爆弾の番人の役目を与えられ、爆弾解除のため赴いた極道(きわみ)と交戦。
『地獄への回数券』の断片しか手に入らず、超人的な力を発揮できない極道(きわみ)を極道技巧を駆使した蹴り技で追い詰めていく。
だが、極道(きわみ)は脳内に現れた夢澤の後押しを受けて「進撃の極道電車道(ヤクザライナー)」を発動する。
これをただの特攻だと断じて冷静に胴体を蹴り貫いたが、至近距離まで接近されたことで、自身の口内にあった麻薬をディープキスで奪われてしまった。
麻薬の効力こそすぐには失われなかったが、極道(きわみ)はそれまでに負った重傷をたちどころに完治させ、形勢は逆転。
かつて帝都八忍・璃刃壊左をブッ殺した時のように麻薬により超強化されてしまった極道(きわみ)と対峙する羽目になってしまう。


裏礼儀(ウラマナー)がまだだったね 名乗ろうか

(こいつは……!この男は──)


"破壊の八極道"輝村(きむら)極道(きわみ) さあお嬢さん…踊ろうか(シャル・ウィ・ダンス)


"割れた子供達(グラス・チルドレン)"舞踏鳥(プリマ)ッッ!!!
私の全部(すべて)を賭け糞野郎(アナタ)を!! ()ッ殺す!!!


怒りのままに技を繰り出すが、麻薬で強化された極道(きわみ)に幻覚をあっさりと看破され左足首を斬り落とされる。
左足首を失い、もうバレエを踊れなくなったショックすら押し殺して果敢に極道(きわみ)と戦うも、時限爆弾の起爆装置の配線を切断するため超高速で投擲したコンバットナイフによって首が呆気なく切断。
麻薬で強化された極道(きわみ)からは舞踏鳥(プリマ)と戦うよりも時限爆弾の配線を見極め解除することの方が難易度が高いという事実上の眼中にない扱いという屈辱的な扱いを受ける羽目となった。

嫌いな男に唇を奪われ、大事な足を失い、ガムテからの使命も果たせず、真剣勝負から程遠い片手間感覚で致命傷を負わされるという尊厳破壊レベルの屈辱を味わうも、それでも死に物狂いで斬首された身体を動かして、自身の首を極道(きわみ)目掛け投擲。
最後の嫌がらせとして「忍者(しのは)の正体が忍者である」と告げようとするも「自分ではなくガムテ自身が極道(きわみ)を絶望させるべき」という考えに至り断念。
ならば首を食い千切らんとするも、あっさりと引き剥がされ、首を静かに床に置かれたことで完全敗北を喫した。


魔法の料理

舞踏鳥(プリマ)が走馬灯のように振り返ったのは、堕落した兄に夢が壊される前の幸せだった頃の自分と、殺し屋という最低の道に転落してしまった自分、そんな自分を救ってくれたガムテへの恩義であった。

たくさん…たくさん人を殺したな
罪もない人達をたくさん……殺したな
パパ ママごめんね 私…人として最低の人生選んだわ

……あの時あれがなかったら どんな大人になれただろう


そう考えた直後、目を覚ますと彼女は旅客機の中にいた。
旅客機の中で舞踏鳥(プリマ)――ではなく幽華が見たのは、「プロのバレリーナとして成功したもしもの自分」*4と、自分を応援してくれるファンの少女がサインをねだる姿だった。
サインに応じながらも、自分に憧れバレリーナを目指す少女に対し、「夢なんて叶わない」と自嘲して、私は何度も間違えたと自虐。
「人間生きていれば思わぬ不運に何度でも逢う」「冷静ではいられず、つい誤った道を進んでしまうこともある」と他の『割れた子供達』の事を想起しながら、少女へのサインを書き終える。
自分の今は間違いの積み重ねの結果と自虐する幽華だったが…


……後悔してますか…?

後悔なんてしないわ だって私────精一杯生きたもの…!!

どれほど精神(こころ)に余裕をなくしても考えられる限り考え道を選んできた…!!
どんな最低の道(・・・・・・・)だったとしても…私が精一杯生きた結果なら…後悔なんてしない!!

貴女も…叶わぬ夢を覚悟しなさい そして──
貴女の人生を精一杯生きなさい


確固たる決意と矜持を述べて、幽華は厳しくも優しく少女を励ますと、旅客機を後にし日本に降り立つ。
そして…


……こいつと結婚したのは 正しい選択だったのかな~~~~~……


そう渋顔で呟くと、帰国したのに出迎えに来ない「結婚相手」と携帯電話越しに夫婦喧嘩する幽華。
言い争いながらもその顔には、『割れた子供達』の頃には見せなかった幸せそうな笑顔を浮かべていた。
幸せな妻の顔を浮かべ、幽華は光あふれる街を歩き、夫婦の家目指してその場を後にするのだった。

私が夕飯作ったげる カレーでいい?
ニンジン入れるわよ…好き嫌いせず食べなさい

……ズルいね 君は
さっき…あれほど私に"悪夢"見せておいて──

そんな死顔(カオ) どんないい夢…見てるんだい

この世で最も嫌っている男に僅かな敗北感を与えて、舞踏鳥は穏やかな微笑みを浮かべ、散っていった。

そして結果的に忍者(しのは)の正体をここで明らかにしなかったおかげで、後にガムテが最後の最後に極道(きわみ)に一矢報いることに成功している。



余談

  • 強い決意や信念を語る際によく「精一杯」という単語を口にする。ヒース様の元ネタであるフレッシュプリキュア!東せつなの口癖「精一杯頑張るわ」が由来か。
  • 時限爆弾の前に立ちはだかる舞踏鳥(プリマ)を前にした極道(きわみ)「…たいしたものだね あの真面目な生徒会長さんがたったの3年で───……」と語っているが、本編の時点でガムテは中学三年、最狂悪童伝ガムテの時点では中学一年なので、外伝は本編の2年前の話ということになるため、極道(きわみ)の発言には時系列的矛盾が生じているが、極道(きわみ)はほとんどの他者に興味を持っていないため素で間違えた可能性もある。


追記・修正は精一杯頑張れる人にお願いします。

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最終更新:2025年03月18日 09:28

*1 ヤクザが身に着けている金バッジのこと

*2 殺しの手口が忍者とは明らかに違って「粗い」ため、堅気の人間の犯行と見抜いていた

*3 本編でガムテの夢に出てきた5人の戦死者の中で唯一登場している。黄金球が加入した時点では5人とも健在だったのだが、舞踊鳥が加入するまでの間(約一年か?)に大臣以外の4人は戦死したということになる

*4 夢見た主演(プリマ)でなく群舞(コールド)ではあるが、海外公演で半年も日本を離れる程売れているバレエ団に所属している