四人の歌姫(デルトラ・クエスト)

登録日:2021/09/07 Tue 22:37:16
更新日:2024/08/27 Tue 23:24:16
所要時間:約 7 分で読めます





アキラメロドウセシヌ。




四人の歌姫とは、小説『デルトラ・クエスト』シリーズの登場キャラクター。
同名の計画および元となった劇中世界の伝説については影の大王の項目を参照。
ここではそれを守る番人についても解説する。


【概要】

影の大王が「四人の歌姫」計画のために用意し、デルトラの東西南北に配置した4体の怪物。
いずれも生物というよりは物体のような外見をしており、邪悪な歌声で大地を毒し、不毛の土地へと変えてしまう。
たった4体でデルトラ全土を汚染するその力は凄まじく、歌声を至近距離で耳にすれば人間は勿論、ですら著しく衰弱する。
反対に、影の大王から「四人の歌姫」を守る役目を与えられた番人達は歌姫に近づくほど力を増す。


【四人の歌姫】


  • 東の歌姫

四人の歌姫、毒の息にて、じわりじわりと、死にいたらしめる。

「竜の巣」に配置されていた歌姫。
ドクドクと脈打つ卵のような物体で、燃えるを連想させる毒々しい黄色が特徴。
目が焼けるほど眩しく光輝いている。
ルビーの竜によって焼き払われる。


  • 北の歌姫

歌姫のありか、あばかれれば、たちまちにして、死はおとずれる。

「影の門」に配置されていた歌姫。
毒々しい黄色の縞模様が走った、生白くぶよぶよと太った物体。
ぱっくりと口が開いている。
エメラルドの竜によって焼き払われる。


  • 西の歌姫

ひめやかに流るる、川のごとき歌声、その危うきは、深きにひそむ。

「死の島」に配置されていた歌姫。
表面にピンクと灰色の筋が血管の如く走った、クリーム色のゼリーのような物体。
変幻自在。
アメジストの竜によって焼き払われる。


  • 南の歌姫

歌姫の声、止みしとき、永々の安らぎ、大地を満たす。

デルに配置されていた歌姫。
深紅の光の筋が中で渦巻いている、宵の口の空のような灰色をした宝石に似た物体。
暗黒の力で相手を魅了する事が出来る*1
トパーズの竜によって焼き払われる。


【番人たち】


  • ロルフ

「四人の歌姫」との戦いは、おまえたちクズどもの最後の戦いになる。おまえたちに、勝ち目はないのだ!

「東の歌姫」の番人であるカプリコンの青年。
カプラの長を継承するドーウィン家の長男を自称する。
カプリコンとは、東で一番美しい街カプラに住んでいたとされる伝説の生き物。

しかし、アディンがデルトラのベルトを作るよりも前の時代にカプラは竜によって滅ぼされ、生き残ったカプリコン達は放浪の身となっている*2
気弱な性格を装っているが、その本性は「他人を見下し、交流しない」とされるカプリコンの例に漏れず傲慢。
自分と対等な立場にないと認識した相手や、自分の価値を認めない相手に対しては横暴に振る舞う。
ジャスミン曰く「頭にあるのは、うぬぼれと怒りだけ」
いつものようにカプラの跡地を眺めて感傷に浸っていた所で影の大王から声をかけられたらしい。与えられた魔力を使ってニセモノの竜に変身する事が出来る。

歌姫を探して「竜の巣」へと向かうリーフたちに接触し、橋の看板に細工を施して暗殺を試みるが失敗。
ニセモノの竜に変身してバルダ配下の衛兵を皆殺しにした後、自分の力が最も強くなる「東の歌姫」の元でリーフたちを襲撃する。
口から吐き出す炎やカミソリのような鉤爪で彼らを追い詰めるが、デルトラのベルトに呼応して長い眠りから目覚めた本物の竜にはまるで敵わず、一撃で致命傷を負わされてしまう。
カプリコンの姿に戻ったロルフは本性を露にしてリーフたちを嘲笑い、影の大王がデルトラを支配した暁に叶えられるはずだったカプラの復活を夢想しながら息絶えた。


  • クリステン

わたしは、仮面の人。わたしに立ち向かえるものなどいない。

「北の歌姫」の番人である少女。
白い長衣を身にまとい、金の鎖のロケットを首から下げている。
元々は「影の門」に住む普通の少女だったが、村に仮面一座*3が訪れた際、座長の息子であるファドレラに恋をして手酷くフラれてしまう。
自分の美しさに自信を持っていた彼女はショックのあまり山の中へと逃げ込み、そこで影の大王と遭遇して彼の僕となり、魔力を授かった。
その1年後、再び村を訪れたファドレラが彼女のであるマリエットと恋に落ち、駆け落ちした2人は魔法で彼女の元へと誘導される。
クリステンはファドレラにマリエットを捨てて自分と一緒になる事を求めたが、
拒否されたため、マリエットをロケットに変えて人質とし、ファドレラを巨大な城の中に閉じ込めてしまった。
以降リーフ達が訪れるまで7年もの年月に渡って監禁状態が続くこととなる。

影の大王から与えられた魔力を使い、緑色の仮面を付けた「仮面の人」に変身する事が出来る。
遠くの場所へ分身を送りつける事も可能だが、分身では人を見極められないため、手当たり次第に襲いかかる必要がある。
歌姫を探して「影の門」へと向かうリーフ達の命やベルトを狙って策を弄するが、いずれも失敗に終わる。
リーフ達と対面した際にはファドレラの召し使いであるかのように振舞い、彼らの疑いの目をファドレラに向けて罠に嵌めようとした。

ファドレラの歌に隠されたメッセージに気付いたリーフに正体を暴かれるが、
「仮面の人」に変身してバルダとジャスミンを壁の中に飲み込み、リーフを大量の毒蛇がいる穴に突き落して勝ち誇る。
しかし、リーフにファドレラを殺さずに生かしていたのは人間性を捨ててしまった事を後悔しているからだと指摘されて動揺し、人間の姿に戻ってしまう。
反論するために穴の中を覗きこんだ事が災いし、ベルトの力から逃れようと半狂乱になっていた毒蛇たちに絡みつかれ、大量の毒牙を突き立てられて絶命した。


  • ドラン

ベリタスホープフォースフォーチュンフィデリティーオナージョイ……。

「西の歌姫」の番人である古老。
デルトラ・クエスト本編の時代よりも何百年も前の時代の人物であり、デルトラで最も偉大な探検家。
竜を愛し、竜に愛された事から「竜好きのドラン」や「竜の友」と呼ばれており、本人も「自分は人間よりも竜に近い」と語っている。
影の大王によって竜が全滅寸前まで追い込まれた際には、驚異が去るまで身を隠して眠りにつくように生き残っていた7匹の竜を説得した*4
最後の旅で命を落としたと思われていたが、実はデルトラを蝕む「四人の歌姫」の計画に気づいて阻止しようとしたために、
影の大王の怒りを買い、その肉体に「西の歌姫」を宿した番人にされてしまっていた。
そうして影の大王の呪縛により死ぬ事も出来ずに何世紀も生き長らえ、歌姫を探して「死の島」を訪れたリーフ達と彼らに助力していたアメジストの竜ベリタスの前に姿を現す。
自らの意思を継ぐ者達によってデルトラが救われつつある事を悟った彼は安堵し、最期は呪縛からの解放という願いを聞き届けたベリタスの手で葬られた。


  • パフ

たぶん、あたいががんばりすぎたんだ。やりすぎたんだ。ご主人様は、たくさんの計画をおもちだからね。

デルに潜んでいた「南の歌姫」の番人*5
ふわふわの金髪が特徴の勤勉な少女。
影の大王の圧政下で育った若者には珍しく読み書きが出来、城の図書室員であるジョセフの助手を務めている。
その一方で、リーフ達の動向を監視するためにカラスのクリーに「目」を埋め込んだり、彼ら宛の手紙を盗み見て都合の悪い情報を削除するなど、影で暗躍していた。
影の大王から与えられた魔力を使い、犬顔と鳥顔の双頭を持つ黒いスライムのような怪物を操る事が出来る。
怪物の肉体は不定形であるため、先端に鋭い刃のついた長い触手を何百本も生やして振り回したり、相手の鼻や口から体内に入り込んで窒息させる事が可能。
歌姫の傍に怪物を配置した時であれば、トパーズの竜すらも圧倒出来る。
食料に混ぜたで偽の伝染病をデルに蔓延させ、その病がトーラからもたらされたものだという噂を流布する事で両者を仲違いさせようと目論む。
前述の怪物の操作に集中しやすい状況を作るために自身も病魔に冒されたふりをした。
更に歌姫計画の真相を探り当てつつあったデル城図書館の司書ジョセフにも薬を盛って精神的に錯乱させた上、最終的に死に追いやった。
しかし、最後の歌姫を探してデルに戻ってきたリーフ達に企みと「南の歌姫」の居場所を暴かれ、更に計画を次の段階に移行せしめんとする影の大王に魔力を取り上げられてしまう。
用済みとして見捨てられたと悟った彼女はデルトラのベルトの魔力に自らその身を晒し、ほっとしたような叫び声をあげて事切れたのだった。





無事、全ての歌姫を滅することに成功したリーフ達…しかし、それは真の恐怖の始まりに過ぎなかった。
そちらに関しても詳細は影の大王の項目を参照のこと。





追記・修正は四人の歌姫を倒してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • デルトラ・クエスト
  • 怪物
  • 影の大王
  • ネタバレ項目
  • 四人の歌姫
  • 番人
  • 歌姫
  • ボス
  • 四天王
  • ほろびのうた
  • 衝撃の結末
  • 四人組
  • 東西南北
  • 東西南北中央腐敗
最終更新:2024年08月27日 23:24

*1 リーフさえもデルトラのベルトのトパーズに触れるまで一時完全に魅了されかけており、各番人達が誘惑に屈してしまった心情を理解するに至った。

*2 カプラのことを知る人々は「竜がその美しさに嫉妬して街を滅ぼした」と考えていたが、実際は街を飾りつけるランタンを作るために竜の卵を盗んでいた事が原因。竜達は「これ以上子供を殺すな」と三度も警告したが無視されたため、やむなく街を滅ぼした。

*3 デルトラ各地を旅して公演を行っているサーカス団。初代座長はデルトラの国王オルステッドの弟バラム。彼は当時の主席顧問官の策謀で故郷を追われて逃げ延びた後に一座を創立、顔の火傷を隠すと共に素性を隠匿するため団員達と共に仮面を被るようになったのが始まりとされる。

*4 7匹のうち、ダイヤモンドの竜は眠っている間に生息域を拡大した肉食い虫に食い殺されてしまったが、卵を残していたため絶滅は回避された。

*5 かつては代々の主席顧問官が番人を務めていたものとリーフは推測している。