けものみち(漫画作品)

登録日:2021/09/13 (月曜日) 11:10:00
更新日:2025/02/16 Sun 08:49:43
所要時間:約 3 分で読めます




『けものみち』とは、角川書店「月刊少年エース」で連載されている漫画。
原作者は『この素晴らしい世界に祝福を!』の暁なつめ氏。なお、このすばと違って小説原作は無く漫画が原作になる。
作画はまったくモー助。


●目次

【ストーリー】

ファンタジー風の異世界エドガルド王国に召喚されてしまったプロレスラー、柴田源蔵。
魔王討伐と魔獣退治を勇者として王国のアルテナ姫に要請された源蔵だったが、生粋のケモナーである源蔵は『魔獣』退治を断固拒否してアルテナ姫にジャーマンスープレックスを決めて逃亡
そのまま珍しい魔獣がいっぱいの異世界を気に入ってしまった源蔵は、この世界で魔獣を集めたペットショップを開くことを決意。
しっかり者だががめつい狼獣人のシグレ、大食いのドラゴン娘の花子、ポンコツのぐうたらヴァンパイアのカーミラを店員に、異世界ペットショップ経営が始まる。
目指すは魔王をペットにすることだ!

【概要】

異世界を舞台にしたコメディ作品。
世界観は同作者のこのすばと似ているが、世界観のつながりはない。
テーマはズバリ、ケモナーとプロレス
源蔵の行き過ぎたケモノ愛で物語が動き、立ちふさがる相手には男女関係なくプロレス技が炸裂する。
登場人物たちもこのすばの作者らしく、欲望むき出しで非常に我の強いキャラが多く、彼らの引き起こすハチャメチャな騒動でテンポよく物語が転がっていく。
異世界ものとしては珍しく、魔法の類がほとんど登場しない。

2019年10月から12月にかけて『旗揚!けものみち』の題名でアニメ化。アニメ制作はENGI。
漫画担当いわく、打ち切りを覚悟していたところにまさかのアニメ化が決定したそうな。
アニメ版は原作では省略されたところも含めてアニオリで丁寧に時系列を進めた後で、オリジナルキャラを相手にアニオリの展開で締めた。
また、実在するプロレス団体である「DDTプロレスリング」とタイアップした関係で原作よりもプロレス描写が多くなっている。
その後、原作にもオリキャラやオリジナル設定が逆輸入されて正式化。原作で語られていないところでアニメと似たような出来事が起きていたことになったらしい。
作者つながりのファンサービスとして、後ろ姿だけではあるがこのすばのアクアめぐみん、ダクネスが観客に混じって登場している。
OPテーマ「闘魂!ケモナーマスク」を歌うのは元MAKE-UPボーカリストにして『聖闘士星矢』の名曲ペガサス幻想 -PEGASUS FANTASY-を歌い上げたNoB力の入れ所がおかしい

【登場人物】

◆ペットショップ「けものみち」

  • 柴田源蔵
CV:小西克幸
主人公。日本人の青年で、世界チャンピオンの座に君臨するプロレスラー。
右目を髪で隠した顔立ちと無駄なく引き締まった肉体を持ち、魔獣や獣人、精鋭兵士でもかなわないくらい強い。
リング上では覆面レスラー・ケモナーマスクとして無敗を誇っていた。
世界タイトルマッチの最中に異世界に「異世界で一番強い者」として愛犬のひろゆきと共に召喚された。
このすばのカズマと近い立場であるが、カズマが転生者であるのとは違って、彼はゼロの使い魔の才人のように地球から生きたまま召喚された人間である。
レスラーとして誇りとこだわりを持ち、それ以上にケモノ大好きなケモナーである。
その性癖の幅は広く、ただの動物から狂暴な魔獣まで平等に熱烈に愛を注ぐ。その反面、魔獣を狩るハンターは敵視しており、こっそり仕事を邪魔することもしばしば。
ただし、魔獣が一般人に危害を加えそうになる危険がある場合には自分の手で捕獲を試みたり、菜食主義者ではなく肉を食べることにも抵抗は無い(肉を食わないでレスラーが務まるわけがないが)ように、越えてはいけないラインは理解して、自己満足のエゴイズムに走ることのない大人の男である。
「愛があればどんな動物ともわかり合える」が持論で、実際に多くの狂暴な魔獣を人間に危害を加えないほどに大人しく飼いならすことに成功している。そのための勉強意欲も高く、いつの間にかこちらの世界の文字を理解し、魔獣図鑑を暗記するほどの知識も得ていた
ただし知性が人間に近い獣人などからはキモがられることもざらで、飼っている魔獣たちを愛するがあまりに高級なエサを買いすぎてシグレから叱られることも多いのがたまにきず。
人間と魔獣が共存する世界を目指し、当面の目標は「魔王を捕獲すること」

  • シグレ
CV:関根明良
狼獣人の銀髪ロンゲ少女で、借金のかたに売り飛ばされそうになっていたところを源蔵に救われ、その縁でペットショップを手伝うことになる。
というものの、実はボロい金儲けをしようとして元手を無理矢理借金したのに事業に失敗したため。正直、自業自得である。
美少女で常識人ではあるが、ひっじょーに金にがめつく業突く張りであり、金が絡むと良心も体裁も捨てて変顔で食いつくタイプ
けれどもシグレがきっちり財布を握っているからこそ、浪費癖の激しい三馬鹿が餓死せずにいられるわけで、源蔵たちの生命線。それゆえに誰もシグレには逆らえない。
本編では主に暴走する源蔵たちへのツッコミ兼ブレーキ役。ただし金が絡むとシグレのほうが暴走して立場が逆転する
源蔵に対しては恋愛感情はないと強調するが、その間柄はもはや熟年夫婦の域である。

  • 花子
CV:八木侑紀
本名はファフニール・ギラドメラグ・リンダブレア
竜族で、小さな尻尾と角を持つ幼女。しかし、その実態は魔王に仕える四大侯爵家のひとつファフニール家の令嬢である。
本作における最強キャラ候補であり、子供の姿でもグリフォンが敵わないほどの戦闘力を持ち、その気になれば巨大なドラゴンに変身することもできる
しかし本人には人間への敵意はまったく無く、ただ「おいしいものを食べたい」と願うだけの大食い娘
魔族領ではまずい食事しかなく、美食を求めて人間の町に家出してきて行倒れているところを源蔵に拾われた。
そのまま源蔵の目指すペットショップに興味を持って無償のバイトとして住みつく。ただし人の何倍も食べるために家計を圧迫してシグレの悩みの種となっている。
花子という名前は人間の町でファフニールの名を出すわけにはいかないので、源蔵がとっさに名付けたリングネームをそのままいただいたもの
食欲を別にすれば恋愛に興味津々の年相応の子供。ただし、名家の子女として風格と器の大きさもかね揃えており、カーミラの無能ぶりを理解しながら従者としてそばに置き、自分よりはるかに力が劣るはずのシグレなどにも敬語で話すなどの大人物の素質を見せている。

  • カーミラ
CV:櫻庭有紗
本名はヴァンシュタイン・カーミラ。花子に仕えるレッサーヴァンパイア(最下級のヴァンパイア)。
スタイル抜群の美女だが、バカで自惚れ屋でドジで泣き虫で大酒のみでぐうたらで弱いと、およそ顔と体以外に褒めるところの見つからないポンコツ
腐ってもヴァンパイアのため、人間のハンターよりは強いが、それでも数人がかりになると負ける。もちろん源蔵にはボコボコにされている
ケモノ要素がないため源蔵からの扱いは雑、人間のことはヒト種と呼んで見下しているが、源蔵を煽ってはプロレス技でKOされるところまでがお約束。
それでも花子への忠誠心だけは本物であるが、変態的なアピールをしては容赦ない腹パンを食らっている

  • ジーク
大きなアリ。ほかに言いようがない。
いつの間にか居付いてしまっていて、何も口を利かないのですべてが謎。
しかし言葉は通じて意思疎通は問題なく、ペットショップの業務から掃除雑用なんでもこなす有能な働き者なため、みんな何も言わずに受け入れている。
とにかく万能で、頭もよく腕っぷしも強く、果ては魔法まで使える。連載終了までに謎が明かされるかどうかも謎。

  • ひろゆき
CV:末柄里恵
源蔵が地球にいた頃から飼っている愛犬。由緒正しい雑種であるが、異世界では犬そのものが珍しい生き物であるため度々狙われる。
カーミラはボコられる度に「不浄の土」に埋まれば回復が早くなるというので庭に埋められているが、そこはひろゆきのトイレである。
余談ではあるが、本作と同期のある特撮ヒーローの主人公の名前もヒロユキであった。


◆エドガルド王国の人々

  • アルテナ姫
CV:末柄里恵*1
源蔵を異世界に召喚した張本人。勇者として源蔵に魔獣退治してもらうつもりであったが、ケモナーの源蔵は断固拒否してジャーマンスープレックスを食らい、公衆の面前でパンツまる出しの尻をさらされる恥辱を食らうハメになった。
それ以来、臣下にも民衆にも尻姫と呼ばれて笑われている。
その後、源蔵の居場所を探し出して再度頼みにいくもののやはり返り討ちに会う。
姫のくせにやたらと腰が軽く、源蔵の家に護衛もつけずに一人で出かけて行ったり、町の庶民と普通に会話してたりする
アニメ版では覆面レスラー姿も披露。さらに、尻を何度も出す羽目になったことからラストでは露出性癖・羞恥プレイのようなものに目覚めかけていた

  • ギルドマスター
CV:蓮岳大
魔獣のハントなどを請け負うハンターギルドのまとめ役の老人。
源蔵のことは持て余し気味であるが、何度も困難クエストを達成した源蔵のことを頼りにしている。
源蔵はハンターの界隈ではその強さから「魔獣殺し」という異名で呼ばれているが、魔獣が大好きな源蔵はそれを嫌っており、彼をはじめとするハンターたちは会うたびにそれを連呼して制裁を食らっている

  • 陽炎
CV:福島潤
ギルドで一番の腕利きハンター。
性格もけっこういい人で、初見の源蔵のことも偏見を持たずにいっしょに魔獣討伐に行こうと誘ってくれるが、魔獣を退治するのには反対の源蔵から理不尽な制裁を受けてしまう
にもかかわらずに源蔵に敵意を持ったり恐れたりしない、本当にいい人なのだが、源蔵の禁句である魔獣殺しを口にしてはやっぱり制裁を受けてしまっている
女性の魔法使い数人とパーティを組んでいるリア充
ちなみにファンサービスで、陽炎の中の人とパーティの女性の中の人はこのすばのカズマアクアである。けれど声色を使い分けているため、知らなければわからないかもしれない。

  • クラウス
CV:深町寿成
クラスタ銀行に勤める眼鏡の青年。源蔵とシグレがペットショップ開設のための資金を融資してもらうための話を聞いた。
本作で一番のまともな人で、この世界において源蔵の突飛な話を聞いても落ち着いて融資の条件を提示してくれる好人物
アニメでは源蔵のプロレスに目を付けて興行を提案。観戦しているうちに彼もプロレスの魅力を感じていく様子が見られた。

  • オークキング
CV:小野大輔
源蔵たちの住む町から少し離れた場所に集落を持つオークたちのリーダー。
周辺の村の畑を荒らすなどの悪さを行っていたが、乗り込んできた源蔵とのプロレス勝負に敗れ、その真っ向勝負のすがすがしさに惚れて一同含めて改心。以降は町の中で緑化活動にいそしむなど、人間のそばにいても誰も気にしないほど善良な集団に変わった。
ちなみに容姿からは想像できないほどのイケボ

  • ルーミア
フルネームはフィリニオン・メリディアーナ・ルーミア
サキュバスの里に住むサキュバスの一人。そーなのかー
実は花子の家元であるファフニール家の商売敵であるフィリニオン家の娘。
里の問題を源蔵に解決してもらい、源蔵のたくましさとサキュバスの色香に一切惑わされない(単に源蔵のストライクゾーンが人間型生物お断りだっただけ)ことに惚れ込んでクラスタの街に引っ越してくる。
サキュバスだけに人間相手の金儲けはお手の物で、その資産で源蔵をヒモ同然に甘やかすが、そのことが源蔵のレスラーとしての忘れかけていたプライドを呼び起こすことになる

◆魔族

ドラキュリアス家

  • イオアナ
CV:雨宮天
魔王の四大侯爵家、ドラキュリアス家の令嬢。
プライドが高く、花子のことを一方的にライバル視しているが、花子のほうはすっかり忘れてしまっていた
花子を倒すために異世界からMAOを召喚して勝負に挑む。
アニメオリジナルキャラだったが、後にドラキュリアス家の設定ごと原作に逆輸入された。

  • ローゼ
CV:葵井歌菜
イオアナに仕えるエルダーヴァンパイアの女性。
主への溺愛ぶりはカーミラといい勝負だが、カーミラより一階級高い種族であるため戦闘能力は大きく上回る。
カーミラを見下していて、一度は完膚なきまでに叩きのめすが、奮起して特訓を積んだカーミラとの再戦では……。

  • MAO(マオ)
CV:稲田徹
マカデミアン・オーガ、略してMAOの異名を持つプロレスラー。
レスラー時代のケモナーマスクのライバル的存在であり、周囲も「マオの相手になるのはケモナーマスクくらい」と言っている。
好戦的でプロレス一筋、ケモナーマスクを倒すことだけを生きがいにしている一直線な男
ケモナーマスクとは何度も戦い、その度に敗れてきたが、源蔵は「本気にならねば勝てる相手じゃない」と実力を最大級に評価している。
イオアナに召喚され、マオを魔王と聞き間違えたイオアナに異世界の魔王と思われながらもケモナーマスクに再戦を挑む。
モデルはDDTプロレスリング所属のMAO選手。アニメオリジナルのキャラだが漫画にも一コマ登場する。


ヒュドラー家

  • アマンダ
四大侯爵家のひとつ、ヒュドラー家の令嬢。
下半身がタコになっている魔族ではあるが、人間と同じ足になることもでき、地上でも問題なく活動できる。
落ち着いた雰囲気の大人の女性という感じではあったが、実は源蔵の数少ないケモナー仲間で源蔵のことを「マイフレンズ」と呼ぶ。
人間の町には自分の領海を荒らしているクビナガリザードクラーケンギドラという魔獣を退治する手段を探すためにやってきたが、それを源蔵に依頼してしまったためにややこしいことに。
四大侯爵家としては最弱で、触手を振りかざして源蔵に挑んだが、よりによってオクトパスホールドで締め落とされて負けた





追記・修正はケモノをモフり倒しながら頼むぞ。

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最終更新:2025年02月16日 08:49

*1 ひろゆきの声も担当