境界戦機

登録日:2021/11/17 Wed 23:18:21
更新日:2025/04/11 Fri 20:24:33
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立ち向かえ、この未来に



『境界戦機』とは、日本のオリジナルロボットアニメである。


概要

SUNRISE BEYONDとBANDAI SPIRITSの共同製作アニメ。
2021年10月から12月まで第一部が毎日放送、テレビ東京、BS11にて放送され、毎週水曜日20:00より、YouTubeのバンダイ公式チャンネルにて配信された。
第二部は2022年4月から6月まで放送された。

近未来の支配された日本を舞台に、主人公達が相棒のAIと共にロボットを駆り、日本を取り戻す為に戦う日々を描く。
廃村の復興など、戦闘以外での組織活動の描写に力を入れているのも大きな特徴。
初めてその様子が丹念に描かれた第8話では、一切の戦闘シーンがないまま終了するというロボットアニメらしからぬ展開を迎えた。

監督は羽原信義、シリーズ構成は木村暢が担当。

あのガンプラ宜しく、登場機体はプラモデルとして発売されている。
アメインの基本構造をデザインした工業デザイナーの奥山清行氏は、ガンプラ40周年記念キット「HG 1/144 ガンダムG40 (Industrial Design Ver.)」を手掛けており、この時の繋がりを活かした商品展開となっている。

あらすじ

21世紀初頭、日本は少子高齢化の進行や人口減少といった様々な社会問題に直面して財政破綻寸前に追い込まれていた。
これに目を付けた北米同盟、大ユーラシア連邦、アジア自由貿易協商、オセアニア連合の4国家は、経済援助の名の下に日本の領土に侵攻。
やがて、そこでの自治権を巡って日本の中で戦争を起こした。
後に「境界戦」と呼ばれる戦いである。
その境界戦を境に、日本は分割統治されて実質的に自治権を失った。
そして、日本人達は基本的人権すらも認められない苛烈な人種差別に晒されるようになった。

それから数年後の西暦2061年。
日本の某所に暮らす青年・椎葉アモウ。
夢も希望も目標も無く、ただ日々を空虚に過ごす彼の唯一の楽しみは、山中で偶然見つけたアメインを組み立てることだった。
そんなある日、アモウは山中で放置されたアイレスのガイと出会い、更にはガイの手で、組み立てていたアメインは、メイレス・ケンブへと完成。
AIとロボット…不思議な出会いを経て、アモウは日本を取り戻す為の戦いに身を投じるのだった。

用語解説

  • アメイン(AMAIN)
本作に登場するロボット兵器。
製造元によってシルエットは大きく異なるものの、基本的には全機人型をしている。
2061年における各国の主戦力として製造・配備されている。
中に人が入って動かす有人型と、無線で遠隔操作される無人型があるが、作中では無人型が遥かにメジャーになっている。
なお、無人機のお約束通り突然の事態や奇策などには非常に弱いため指揮官用の機体や指揮官が乗る装甲車から指示を出すことで弱点をある程度カバーしている。

  • アイレス(I-Les)
メイレス用に作られた自立思考型AI。
本体は三角形で数十センチ程の筐体だが、メイレス内や電子機器を通して人とコミュニケーションを取る際には、2頭身にデフォルメされた動物のキャラクターのようなイメージ像を取る。
主にメイレスの機体制御やパイロットのサポートが役目だが、並外れたハッキング能力を持ち、軍の機密事項すらも自由に情報を改変・開示まで可能とするなど、電子戦・情報戦においてもかなりの影響力を発揮する。
また、戦いを経るごとに情報を蓄積し、成長していく。
人間のように、機体ごとに千差万別の性格を持つ。

  • メイレス(MAILeS)
アメインにアイレスを搭載したもの。
現状有人式のみが確認されている。

登場人物

主要人物

  • 椎葉アモウ
CV:佐藤元
相棒アイレス:ガイ
搭乗メイレス:ケンブ

本作の主人公。16歳。オセアニア圏出身。
親を早くに亡くし、その遺産と奨学金で通信制高校に通っていたが、ガイやケンブとの出会いを機に、戦いと冒険の旅に出ることになった。
人付き合いが苦手でどこか引っ込み思案だが、根は心優しい。
当初はその場に流されるまま戦って逃げるばかりであったが、行く先々で出会い、初対面の自分を受け入れてくれる日本人の温かさと、そんな日本人達の安寧を脅かす諸外国の非道さを知り、やがては八咫烏の一員として戦うことを決意する。

  • 鉄塚ガシン
CV:上村祐翔
相棒アイレス:ケイ
搭乗メイレス:ジョウガン

アモウと同じ16歳で、日本人レジスタンス「八咫烏」の一員。
今は亡き父親・イッシンも八咫烏の一員であり、その意志を継いでジョウガンに乗っている。
現実主義者かつ冷静でぶっきらぼうな性格で、人付き合いは不得意。
当初は戦う覚悟の決まっていないアモウに厳しい態度を取っていたが、内心では自分と同じく両親を喪っているアモウに一種のシンパシーを感じており、彼が覚悟を決めて以降はその思いを認めている。
父親の仇であるゴーストを追い、その討伐に闘志を燃やす。
結構な偏食家で、野菜があまり食べられない。

  • 紫々部シオン
CV:市ノ瀬加那
相棒アイレス:ナユタ
相棒メイレス:レイキ

本作のヒロイン。
アジア軍によって工房を潰されてしまった陶芸家の祖父の無念を晴らすべく、八咫烏の一員として戦っている。
元々は八咫烏を支援する組織に入っていたが、ナユタに容姿を見染められてメイレスのパイロットに転身した。
あまり自己主張しない大人しい性格であり、初戦闘の直後には不安と緊張からの解放のあまり唐突に泣き出してしまった。
但し、根は面倒見がよく感情表現も豊かである。
ちなみに、中の人は後にガンダムで主役を演じる事になる。

アイレス

  • ガイ
CV:藤原夏海
アモウの相棒。イメージは赤い狛犬。一人称は「俺」。
少し強引だが明朗快活な熱血漢で、捨てられていた自分を拾ってくれたアモウを高く評価している。
殆ど後ろ盾のないアモウを自身のハッキング能力でサポートしており、実質的な彼の保護者になっている。

  • ケイ
CV:石川由依
ガシンの相棒。イメージは白い狐。一人称は「私」。
相棒同様にクールに話し、激昂するガシンを落ち着かせようとしたり、偏食振りに苦言を呈する等、どこか母親のように接することも多い。

  • ナユタ
CV:村田太志
シオンの相棒。イメージは紫の雄鹿。一人称は「俺」。
自分のことを「アンジェロ」と呼び、戦いでは歌舞伎のような芝居がかった口上を長々と話す等、かなりエキセントリックな言動が多い。
シオンを「姫」と呼んで従者や騎士のように接する一方で、男嫌いであり、アモウやガシンには高圧的に接する。

八咫烏

日本人レジスタンス。
  • 宇堂キリュウ
CV:小山力也
八咫烏の代表。
戦闘には参加しないが、責任者として裏での交渉ごとに日々注力している。

  • 熊井ゴウケン
CV:てらそままさき
八咫烏の部隊長で、ガシンたちの上官。
強面だが実直な性格で、ケンブを駆るアモウを仲間にしようとする一方で、彼が日常生活の戻ろうとする意志も尊重しようとしていた。
妻と娘を残してきている。

  • 槙ミスズ
CV:七瀬彩夏
八咫烏の整備主任。
明るく面倒見のいい姉貴分であり、メイレスの操縦者達との仲も良く、特にシオンとは親交が深い。

  • 甲咲リサ
CV:浅野真澄
ガシンの姉貴分。
明るくて面倒見も良く、アモウを気に掛けている。
出身はアジア圏内で、高校生の頃に家族をアジア軍の起こした交通事故に巻き込まれて喪っている。
しかも、完全なアジア軍の過失が原因にも拘わらず、アジア軍側は無罪になったどころか、リサは軍に損失を齎したとして、家も財産も全てを押収されてしまった過去を持ち、その理不尽な現状を変えるべくレジスタンス活動を行っている。
弟がいたらしく、その面影をアモウに重ねている。
第4話にて、ゴーストに車ごと潰されて死亡。
その死はアモウの心に暗い影を落とし、一度はケンブを降りる程にまで追い詰めてしまった。
死後、形見のペンダントはアモウによって実家の墓に収めれた。

北米同盟軍

  • ブラッド・ワット
CV:小野友樹
階級は大尉。
常にゆったりと構えており、敵対組織の戦士であっても実力はしっかり評価する度量も持つ。
また、日本人に偏見を持っておらず、本人もたい焼きが好きなど日本文化にかなり馴染んでいる。
戦いの痕跡から相手の実力を予測する等、高い観察力を持つ。
アモウたちのメイレスやゴーストに興味を持つ。
しかし、ゴーストのAIを手に入れて以降まるでその力に取りつかれたかの如く、軍備拡大を推し進めるようになっただけでなく、その為に国会議員にスキャンダルをちらつかせて半ば買収したり、指名手配犯を強引に協力させる等、手段を選ばなくなってしまう。

  • レイモンド・ハーディー
CV:新垣樽助
階級は准尉。
ブラッドの側近で、常に行動を共にする。
ブラッドには忠実だが、ゴーストを手に入れて以降の彼の行動に疑問も持ち始めている。

  • ソフィア・ルイス
CV:大西沙織
階級は少尉。
ブラッドの部下の一人。
冷静沈着に任務を進める生粋の軍人で、ブラッドへの信頼も厚かったが、その分彼の豹変とも言える変わりぶりに最も懐疑的であり、独自に彼を尾行する等その真意を探ろうとするが、そのせいでブラッドのみならず軍全体から徐々に危険視されるようになる。

大ユーラシア連邦

  • アレクセイ・ゼレノイ
CV:浪川大輔
大ユーラシア連邦東北西部地域指揮官。階級は少佐。
ロシア貴族の末裔と言う大富豪出身で、一般人には到底できないような体験と思い出を沢山積んできた。
冷静沈着ながらもどこかエキセントリックな言動の持ち主で、毎度副官であるダリアから苦言や制裁を喰らっている。
その一方、地の利を利用する等、指揮官としての力量は確か。

  • ダリア・リヴォフ
CV:遠藤綾
アレクセイの副官。
彼の年上の幼馴染であり、気心の知れた仲だけあって任務中でも歯に衣着せぬ物言いが多いが、軍人としての戦略眼や行動力は本物であり、アレクセイからも信頼されている。


登場機体

メイレス

  • ケンブ
形式番号:YM-02
全高:10.4m
重量:9.6t

武装
60mm携行機関砲
超熱振式戦闘直刀
盾付短剣

アモウの搭乗メイレス。搭載アイレスはガイ。
白と赤のさながら日本の国旗のようなカラーリングをしている。
元々は八咫烏の一支部で秘密裏に開発していたが、軍によってその支部が壊滅させられ、そのまま放置されていた所をアモウが偶々発見し、彼とガイの手で完成させられた。
兄弟機のジョウガン、レイキに比べると特化した性能は無いが、武装次第で様々な戦況に対応できる。

  • ジョウガン
形式番号:YM-01
全高:10.4m
重量:9.6t

武装
120mm二連装狙撃砲
シールド
戦闘短刀

ガシンの搭乗メイレス。搭載アイレスはケイ。
青黒い機体に狐の耳のようなヘッドパーツが特徴。
遠距離戦、狙撃を得意としている。

  • レイキ
形式番号:YM-03
全高:10.4m
重量:8.8t

武装
超熱振式薙刀
捕縛用電撃網発射機

シオンの搭乗メイレス。搭載アイレスはナユタ。
淡い金色の機体が特徴で、メイレスの中で唯一飛行機能を持つ。
空中を自在に飛び回る敏捷性と、シオンとナユタのコンビネーションにより、アジア軍とオセアニア軍のアメインを一掃する実力を誇る。

アメイン

  • ゴースト
無人機。所属も製造元も不明な謎多き機体。
日本のあらゆる場所に神出鬼没に現れ、敵味方の区別なく無秩序に暴れ回る。
右腕よりも遥かに巨大な左腕のクロ―から繰り出す格闘攻撃が最大の武器。
また、本来認証が必要なアメインの武器やパーツを強引に使用できてしまう他、自爆機能も持つ。

  • バンイップ・ブーメラン
無人機。オセアニア軍製。
腕部が完全な銃器となり、機動力確保の為の大きな脚部という一見アンバランスな見た目をしている。近接武器はナイフ。
跳躍力が高く、カラーリングも相まってバッタやカエルのよう。


  • 牛人(ニュウレン)
無人機。アジア軍製。
その名の通り牛の角を生やしたような姿を持つ。アサルトライフルやミサイルを装備し、近接武器は斧。
一機ずつの性能はさして高く無いが、構造が単純なためか量産性に優れ、高度な集団戦法で目標を的確に攻撃する。
第二期ではレーザー砲を装備、機体色を青に変えた有人機が登場。
  • ブレイディハウンド
有人運用も可能な無人機。北米軍製。
上半身に大きなスラスターとウイングが付いた機体。三つ目にも見える縦のセンサーがついた頭部が特徴。近接武器はナイフ&ナックル。
スラスターのおかげで他軍の機体よりも機動力が高い。
青いカラーリングのブラッド大尉専用機も登場している。

  • ジョーハウンド
ブレイディハウンドの前に使われていた旧型機で一応無人運用も可能。北米軍製。
後継機のブレイディハウンドと比べると機動力・出力共に劣っているが剛性に優れる。
作中では旧型機のためか北米軍で使われている機体は少なく、多くは八咫烏を始めとしたレジスタンスに鹵獲され使われている。
近接武器はナックル。武器はライフルや機銃。
レジスタンス仕様は肩部や腰部の装甲や機銃が撤去され、全身を緑色に塗装されている。
漫画版では「セツロ」という雪原での運用に特化された改修機が登場。
  • ソボーテジアマン
無人機。ユーラシア軍製。
どっしりとした体型の機体。近接武器はナタ。
有人運用が可能なリニューアル機体・ゼリーゼジアマンも登場する。こいつの見た目はモルゲッソヨに近い。
本編出演機体では2022年2月現在唯一プラモデルの発売予定がないが、北海道での戦いを描いた外伝での出番が多い。

  • ブレイディフォックス
第二期から登場したブレイディハウンドの後継機。北米軍製。
外観はブレイディハウンドとは胸部装甲の形状変化及び、機体色がパープルとホワイトに変更された以外それ程は変わっていない。
近接武器はブレイディハウンドと同様。
数ヶ月前の戦いで回収されたゴーストのAIが使われている他、レーザー砲の標準装備・腕部機関砲増設の他、三つ目にも見えるセンサーは黒色のモノアイに換装されている。
後継機なだけあって機動力・出力・攻撃力全てがブレイディハウンドを上回っていて各地のニュウレンやバンイップブーメラン等を圧倒している。
後に機動力と引き換えに大型のシールドを装備した重装型が登場。



追記・修正は、日本を取り戻してからお願いします。

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最終更新:2025年04月11日 20:24