重装機兵ヴァルケン(PS2)

登録日:2012/02/12(日) 03:42:14
更新日:2025/03/30 Sun 13:26:03
所要時間:約 4 分で読めます





『重装機兵ヴァルケン』(PS2版)とは、92年にスーパーファミコンで発売されたゲーム『重装機兵ヴァルケン』が、2004年にプレイステーション2でリメイクされたもの。

●概要


「ヴァルケン」とは何ぞやという人のために、SFC版、及び『重装機兵』シリーズについて軽く解説しておこう。

『重装機兵』シリーズとはメサイヤが展開していた横スクロールアクションシューティングシリーズ(『ヴァルケン2』のみ戦略シミュレーション))であり、良好な操作性やゲームバランスなどに加え、装甲騎兵ボトムズなどのリアルロボットへの愛((ただし『レイノス』の発売は『ボトムズ』よりも前)がこれでもかと詰まったこだわりの演出の数々に、それらと上手く噛み合ったストーリーや『ラングリッサー』シリーズのうるし原智志さんが手掛けたキャラクターやBGMなどからその手のオタクの皆さんに絶賛された。

『ヴァルケン』はその2作目にあたる作品。
前作である『重装機兵レイノス』が前述した要素で好評を博しつつも高難易度から人を選ぶ作品となったことを踏まえ、じっくりと取り組めばライトゲーマーでも十分にクリア可能な程よい難易度に調整されたことにより、『レイノス』よりもさらに広い層へのアピールに成功した、シリーズを語る上では外せない1本である。


それから12年後…。


メサイヤの版権を手にしたクロスノーツがリメイクを行って発売し、『ヴァルケン』ファンは熱狂した。


そして、彼等は掴まされた…。




劣化移植なんて言葉では済まない糞を!




●ゲームについての問題点

ゲームを始めると、まずは新たに追加された「ミッション0」からスタートする。
この0面とはPS2版スタッフが言うには、SFC版では要領の都合で削除された、チュートリアル的ステージであるというが…。





嘘ですAA略。


PS2版スタッフの捏造である。
内容も自機は完全無敵、謎のダサいPS2版オリジナルボスも、こっちが何もしなくても死ぬ。
このまるで存在意義がわからないステージのために、SFC版のオープニングは丸々カットされた。

SFC版で容量の都合から削除された要素自体は存在し、大破したヴァルケンから試作型レイノスへの乗り換えなどが企画されていたようだが、この0面は完全な本作独自要素である。

そして1面が始まるのだが、ここでプレイヤーは改めて劣化を思い知らされる。
スピードや武装の弱体化もだが、特に操作性の悪さが著しい。
射角を固定するホールドボタンを押していても自機が左右に振り向く上、射角調整そのものの幅も狭くなり*1、避けながらの射撃や小型敵の狙い撃ちが無駄に難しくなった。
特にSFC版での最強武器だったレーザーはこの煽りをモロに受け、死角だらけの使いにくい武器に成り下がってしまった。

それでいて敵機はかたくなって攻撃も激しくなっている。
特定の敵を倒すと出現したアイテムも全削除。いっそ潔く感じてくる。
さらにポーズ画面ではマップの表示が無くなった。

このように意図せず難易度が上がってしまったが、心配はいらない。

新要素として、ステージを単体でプレイできるモードが追加。これでクリア出来ないステージの練習ができるね!
ちなみにセレクトできるのは一度クリアしたステージまで。
…こんな短い文にドデカイ矛盾が放置されているが、事実だし意味がまったくわからない。

グラフィックもPS2なのにSFCより悪くなっていて見づらい。



●演出・音楽についての問題点

各種演出なども大小問わずひどくなっている。

  • ボス撃破時の演出がショボくなってる。
  • 瀕死時、死亡時のメッセージもカット。突然爆発してコンティニュー画面行き。
  • ローラーダッシュ後はピタッと止まる。慣性?なにそれ状態。
  • 無重力の宇宙空間でもバルカン撃ったら薬莢が放物線描いて落ちていく。
  • 母艦からの自機の出撃位置が毎回微妙に変わる。

「そんな細かいこと言わなくても」と思うかもしれないが、SFC版にあって好評だったそれらの「細かいこと」が正当な理由もなくPS2では無くなった以上、文句を言われても仕方ない。
クロスノーツのスタッフの原作に対する理解不足…ならまだしも、彼らもSFC版の演出を絶賛していたのだから尚更である。

よくクソゲーにありがちな評価点に「音楽はいい」というのがあるが、このリメイク版はSFC版のBGMを ヘタレアレンジ
ところかしこに聴く側を脱力させるような曲調が目立ち、シリアスな世界観とまるで噛み合っていない。
特にボス戦BGMのヘタレぶりは凄まじく、これのせいで雰囲気は完全にぶち壊し。
戦艦建造阻止やシャトル追撃のシーンは ミニゲームかボーナスゲームの類 かと錯覚させ、終盤の議事堂突入のシーンに至っては涙腺が崩壊しかねないシーンから一転、緊迫さの欠片もないギャグシーンと化してしまった。
逃げ道を自分から塞ぐ姿はもはや男らしい。
しかもこの改悪音楽を詰め込んだサウンドトラックまで発売された。


その他の問題点

  • そもそもパッケージからおかしい
    SFC版では前線基地で補給を受けるヴァルケンが描かれていたが、こちらはSFC版のパッケージからコピペされたヴァルケンと、謎の円盤飛び交うCGの背景を組み合わせた全く合っていないもの。
    よく見ると、腹部に作業用アームがついたまま。

  • タイトル画面は真っ白で妙にサイバー感のあるこれまた『ヴァルケン』の世界観に合っていない背景と、劇画調のヴァルケンのイラストがこれまたミスマッチ。
    左の方で銃を上に構えて歩くヴァルケンのシルエットが映ってるのもシュール。



●総括

…とこのように、数多くの重装機兵ファンが怒り、悲しみ、嘆きの余りにディスクを叩き割る出来映えとなり、「これはヴァルケンじゃなく別物だ」ということで「ヴァルケソ」や「ヴァルクソ」などと呼ばれるようになった。

そしてクソゲーオブザイヤーの栄えある第1回ノミネート作品に選ばれた。

当初は続編展開も企画されていたらしいが、諸事情あって頓挫した(詳細は後述)。


※●余談
そもそもこのクロスノーツ及びプロデューサーの原神敬幸(当時。現・ゼロディブ社長)という男が実に信用ならない。

このヴァルケソは実際はどういう訳か韓国の開発会社に丸投げ
件の糞BGMのアレンジャーも謎だったが、後に韓国のブロガーに「国内ですら作曲能力に問題あると評価される某氏に間違いない」と言われている。

さらにこの会社は『ストライカーズ1945』や『ガンバード』などで知られる彩京も吸収合併したが、STG製作者を全員切り権利のみ保持という、ゲームメーカーとして言語道断の所業に。
その上で原神は『超兄貴』リメイクを彩京の開発元に任せると言っておきながら他社へ外注し、未完成品をマスターアップとして提出。
当然販売元に「修正しろ」と叱られたが「開発チームは解散したから無理」とダダをこね、ついに当時の権利者に「てめえのような人間はゲームを作る資格はねえ!」と激怒された。
実際に同作をプレイしたユーザーの評価は「もう我慢できない!」「右スティックを回しながら左スティックで自機操作は難しすぎる!」チュドーン
という従来のバカゲーではなく開発者もスタッフもただ馬鹿だったゲームなのだが、現在は葉山ら兄貴たちが数曲を提供していることが再評価されクソゲーにありがちな「音楽はいい」の部分だけでプレミア価格がついており「もう…ダメだ…」なくらい高騰している。

ついでに『ラングリッサーⅢ』も移植したが、やはりベタ移植さえできず改悪ばかりのクソゲーであった。


この3つのクソゲーを世に送ったクロスノーツは潰れてメサイヤ系の版権はエクストリームへと移った…
が、原神のゼロディブはシティコネクションの子会社となり、そのシティコネクションはエクストリームにサターンゲーの発信を許可されている。
つまり原神は未だ間接的にメサイヤ版権と関わりを持っているということである。

なお、エクストリームが作ったゲームは再びクソゲーオブザイヤーにノミネートされた。

現在原作は、SFC版『ヴァルケン』の移植版である、『重装機兵ヴァルケン DECLASSIFIED』がNintendo switchにて配信中。
中身は至ってSFC版のベタ移植だが、移植担当はレトロゲーム移植でお馴染みのM2が担当しており、上記のPS2版とは比べ物にならない程の安心した仕上がりになっている。当時のイラストギャラリーや開発者インタビュー等も色々収録されている。
…何で最初からこうならなかったのか。

「俺はクソゲーがたまらなく好きだ」という一部の好事家以外は、素直にそれをダウンロードするか中古のSFC版を購入してプレイしよう。


のちに『レイノス』もドラキューによってPS4でリメイク移植されており、そちらは普通に良移植。
そしてドラキュー代表の富野裕樹氏インタビューにおいて、PS2版の出来の悪さに怒り狂った一部のファンから襲撃予告や殺害予告が届いたことが語られ、「PS2版スタッフが身の安全に不安を覚えたことが続編展開中止の理由」「下手な真似をすると当時殺害予告を送ってきたファンが凶行に及ぶリスクがあったため、『重装機兵』シリーズは移植の許可が非常に出しづらかった*2、という話を後になって聞かされた」という裏話が明かされている。
PS2版の出来を思えば半ば自業自得とはいえ、殺害予告は立派な犯罪行為なので、例えクソ移植を掴まされたとしてもこのような真似は絶対にやめよう。



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最終更新:2025年03月30日 13:26

*1 SFC版ではグラフィック自体は九段階だが、それ以上の微調整が可能。一方PS2版は見た目通りの九段階

*2 PS4版『レイノス』も本来なら許可を出せなかったが、富野氏にはPS2版『ヴァルケン』の出来に失望したファンが自主制作したフリーゲーム『ガンヴァルケン』に携わった過去があり、「『ガンヴァルケン』の関係者なら大丈夫だろう」という判断で許可が降りた模様