登録日:2011/12/29 Thu 07:35:27
更新日:2024/10/15 Tue 21:43:21
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「アスタロト(Astaroth)」或いはアスタロス、アシュタルス、アスタロッテ…etc.はユダヤ/
キリスト教の大
悪魔。
所謂「地獄」の支配階級にある地獄の公爵の一人とされ、
ソロモン72柱にも数えられる。
非常に高名な魔王ではあるが、全体としては中流で「40の軍団を率いる地獄の主計局大臣」と呼ばれている。
この存在が堕天したのは、恐らくは中世以降の「神秘学」が流行して以降の事であり、その為に聖書やその他の教典にもこの存在を示す記述は存在しない。
悪魔としての属性は「怠惰」を好み、人間にもそれを吹き込む事。
過去から未来までを見通す力を持つが、この存在は口から耐え難い悪臭(毒気)を放つので、召喚者は必ず魔除けの印を持たねばならない。
悪魔ではあるが、この存在は召喚者の前にドラゴンに跨がった美しい暗黒天使の姿で現れると云う。
堕天した座天使の長ともされるが、これは本来の由来からは外れた意見である。
……因みに、後述の由来的に本来の性別は女性である。
【由来】
元来は「月」の女神で、豊穣を司る大地母神であった事が明らかとなっている。
特に『
ギルガメシュ叙事詩』に記された、古代バビロニアの「金星」の女神
イシュタルが堕天した存在であると扱われる場合もあるが、
単にイシュタル女神がユダヤ/
キリスト教に取り入れられた後に悪魔化した訳では無い。
イシュタルの原型となったのは古代メソポタミアのイナンナ女神で、
更にギリシャの
アフロディーテ、ローマのヴィーナス、エジプトの
イシス、ペルシャの
アナーヒーター、インドの
弁才天を誕生させている。
イシュタルの伝説で特に有名なのは「冥府下り」であり、同様のモチーフは他の地域の宗教にも伝えられている(※エジプトのオシリスとイシスの神話等)。
また、古代バビロニアには成人前の娘が神の巫女として神殿で処女を捧げる「神聖巫女」の風習があり、豊穣の女神イシュタルはその守護者でもあった。
現在の
キリスト教世界では淫祠邪宗にしか見えない風習だが、生命を育む女性を大地の象徴と見なし、
それと交わる事で恩恵を受けようとするのは古代の自然宗教では当然の思想であった。
しかし、男神たる唯一神による徹底した父性による一元論を説いたユダヤ/
キリスト教世界は女性原理の神話を徹底的に弾圧し、旧世界の常識を破壊した。
アシュタルテはカナン(パレスチナ)の主神である
バアル神の妻たるイシュタルの変形だが、
カナンの地はユダヤ人の入植地であった関係から徹底的に弾圧され、バアルもイシュタル(アシュタルテ)も悪魔と見なされる様になったのである。
因みに、日本にも同様の歴史は見られており、天皇制を掲げる朝廷や各時代の中央勢力の侵攻に伴い女性原理を掲げるムラ社会は破壊され、
神に仕える巫女の神性は剥奪され、彼女らが里の男と交わる行為は、ただの売春行為へと貶められたのである。
こうした構図は「理」を掲げる父権的男性社会が、旧来の神秘性に満ちた母権的女性社会に取って変わった構造として伝えられている。
ユダヤ/
キリスト教の徹底した弾圧によりバアル神は無数の堕天使を誕生させているが、
中でも有名なのが蠅の王
ベルゼブブとバアル神その物の変形である魔王
バエルであろう。
……故に、堕天した現在もアスタロトはバエルの配偶者であると云う。
【主な登場作品】
※男の魔王として登場する場合が多い。
◆
ゲーム『女神転生』シリーズ
上記神話を反映してか、アスタロトをイシュタルに戻す構図も見られる。
◆漫画『ゴッドサイダー』
サタン(ルシファー)の義弟でリリスの弟。
更にサルガタナスの兄。
◆漫画『天使禁猟区』
兄・アスタロトと体を共有する妹・アスタロテの双子の悪魔・アスタロスとして登場。
肉体の共有により兄はヒステリーロリコン、妹は
ヤンデレ聖母とあらぬ方向に成長したらしい。
◆アスタロット『
神羅万象』
魔王に仕える三人の魔将軍の一人。
第一章の登場から今尚も人気はある。
◆
ゲーム『
魔界村』シリーズ
ほぼ全作に登場する、主人公アーサーの宿敵として登場。
初代の
ラスボスだが「大」以降、何者かに魔王(
ラスボス)の座を取られている。
◆小説『
機動戦士ガンダム コロニーの落ちた地で…』
キャリフォルニア基地から逃走してきたキシリア配下の特殊部隊『
マッチモニード』が強奪した生物兵器として登場。
が、同朋であるジオン軍がマッチモニード壊滅のために地球連邦軍の遊撃部隊『ホワイトディンゴ』を支援した事で最終的に全て処分された。
◆
デモンブライド
ダスクの契約ブライド。体の一部が骨になった女性(どこまで骨なのかは謎)。
ダスクの異常性を理解しながらも彼への愛に溺れた、ある意味逆零彗ともいえるポジション。
◆オレカバトル
正式名称は魔公爵アスタロト。
進化の過程はアスタ→悪魔アスタロ→これ。
だが男だ。
◆刻命館
魔神の使い魔アスタルテが登場。
刻命館の主アルデバランを殺害し、恩人すら殺害した主人公を新たな館の主として迎える。
以後は主人公に対して様々な助言を与えてくれるのだが…。
見た目は美女だがどこか無機質で青白い肌は続編・影牢に登場する刻人を彷彿とする。
◆
パズル&ドラゴンズ
木属性のガチャ限定モンスターとして登場。
グリモワールの描写と違い、愛らしい少女?の姿で、ぬいぐるみのような使い魔コシュまる(コシュマール)を使役している。
これはイシュタル及びその起源に当たるウガリット神話のアスタルトがモデルのため。
天ルシや天使勢と同様のLSを持つが、こちらは悪魔タイプが効果の対象。
耐久PTが対応できない
ダンジョンが増えたためリーダーとしては厳しいが、覚醒やスキルは優秀なためサブとしては優秀。
アスタロトの性別については明らかされていない。(パズドラま!では性別不明との明言。パズドラのモンスターの悪魔シリーズの性別不明の1人である。)
追記・修正は「
悪魔」の計画的ご利用を考えてからお願い致します。
- パタリロにかかるとノリツッコミの達人になってしまう・・・・。 -- 名無しさん (2013-10-11 21:55:42)
- イシュタル、アシュタルテ、アスタロト -- 名無しさん (2013-11-20 17:10:54)
- 文献によって男だとか女だとかはっきりしないんだよ…悪魔の性別考えるのも変な話だけど -- 名無しさん (2013-11-20 17:15:54)
- ↑悪魔はみな両性具有者、って話も聞いたことがあるような。天使が無性なのと対称に。 -- 名無しさん (2013-11-20 18:25:08)
- 初見は『天使禁猟区』だったな -- 名無しさん (2013-12-12 15:05:27)
- パタリロではじめて知った「どこにいる出てこんかーい!ボケー!」 -- 名無しさん (2014-05-05 10:02:56)
- ちなみに刻命館のアスタルテは名前だけで別人。元は殺人人形だったのを魔神が拾って加工した。 -- 名無しさん (2015-02-19 18:08:44)
- 実は鬼太郎にも出てくる -- 名無しさん (2016-03-10 00:36:54)
- 「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」公式外伝で、ガンダム・アスタロトなる機体が… -- 名無しさん (2016-03-10 07:34:16)
- ソロモン72柱の一員であると同時に72柱の悪魔を多く従える地獄の六柱の上司・・・ってどういうことだこれ -- 名無しさん (2017-01-10 20:39:45)
- 『七つの大罪』ではメンヘラ(というか公式ボイスドラマ、漫画版を見るに単に引っ込み思案で気弱なだけ?)歌姫に……。 -- 名無しさん (2017-04-17 21:08:13)
- 魔界村で初めてアスタロトを知ったもんだから、ヒゲもじゃのおっさんだとずっと思ってたわ。女神でもあったと知ってびっくりした -- 名無しさん (2018-03-31 19:47:04)
- 地獄の六柱の~については、「大奥義書」に書かれている設定に過ぎない。そっちでは地獄を支配する三柱の一体で、その下に六柱、さらにそれぞれの下に部下(ソロモンの悪魔と同名)がゾロゾロ…。「ゴエティア」と共通する名前があるからといって、設定までイコールではない。 -- 名無しさん (2018-09-30 04:17:50)
- 某ドスケベ悪魔のギャグ漫画ではなんとラスボスの座に就いていた(一応もう -- 名無しさん (2020-11-12 23:08:42)
- ↑続き (一応もう一体いたが) -- 名無しさん (2020-11-12 23:09:49)
最終更新:2024年10月15日 21:43