ダブルサイクロン(ロックマンX4)

登録日:2022/11/13 (日) 18:47:48
更新日:2025/03/19 Wed 07:37:27
所要時間:約 1 分で読めます




本項目では、ゲームロックマンX4』に登場する特殊武器について解説する。

概要


さゆうにしんくうのたつまきをはっしゃ。

てきにかこまれたときや、じょうくうのてきにたいしてゆうこうな武器だ。



8ボスの一人、ストーム・フクロウルから獲得できるエックスの特殊武器。間違っても某半分こ怪人は関係ない。

  • 通常版
斜め上へ飛んでいく風の弾を前後に発射する。速攻魔法でもないってば。
横方向への射程は短く、1ヒットの威力も低めだが、敵に当たると少しの間その場に留まり、触れた敵に最大5ヒットまで追加ダメージが入る。

これにより上空の敵はもちろんのこと、バスターでは倒すのに時間がかかる高耐久の敵や、中ボスに対して高いダメージを見込める。
さしずめ『ロックマン2』のエアーシューターと、『ロックマン8』のフラッシュボムを足して割ったような武器。

また、先述の通り前後同時に撃てるので、敵に囲まれたときにも有用。近接攻撃や対空技として優れた性能を誇る。
装弾数は48発と、燃費の悪い武器が多いX4では多い方。その高い能力を惜しみなく発揮できる。

  • チャージ
横長の竜巻を前後に発射する。
こちらは弾が小さくなったストームトルネードといったところで、高い威力と貫通性能を兼ね備える。進路上のあらゆる敵を貫き倒す様はまさに風神の如し。
ただしその分、燃費が非常に悪く、最大で4発しか使えない。使いどころはよく考えておこう。

余談だが、続編『X5』に登場する特殊武器、グランドファイアのチャージ版のモーション及び性能はチャージダブルサイクロンにそっくり。竜巻が炎に置き換わっただけである。


有効なボス

この武器を弱点としているボスはマグマード・ドラグーンダブルの2体。
特に前者は本作屈指の強敵で、バスターのみでの攻略は至難の業だが、ダブルサイクロンなら簡単にハメ殺しできる。こいつとの戦闘時にダブルサイクロンのお世話になったプレイヤーは多いだろう。
ダブルについては、ダブルサイクロンを当てると攻撃手段が増えてかえって厄介になる。動きは単純なので、弱点を突かずともバスターだけで倒せるはずだ。ただしゴリ押しで速攻撃破も可能なので、タイムアタックではこちらに軍配が上がるかも。



追記・修正はドラグーンをお手玉しながらお願いします。































数々の特殊武器が登場する無印・Xシリーズ。
凄まじい威力や汎用性から「強い」とされる武器もあれば、性能の低さや扱いにくさ故に「弱い」とされる武器もある。



もちろん、弱いとされる武器達の中にも、使いどころを知っていれば真価を発揮できるものも多い。
癖があったり扱いづらい武器も、プレイヤーの知識や腕次第で輝かせてやることはできるのだ。



とはいえ、本当に使いどころが無い武器も実際に存在する。
このダブルサイクロンは、はっきり言ってそんな「使えない武器」の一つである。













ダブルサイクロン(ロックマンX4)

登録日:2022/11/13 (日) 18:47:48
更新日:2025/03/19 Wed 07:37:27
所要時間:約 10 分で読めます




断っておくが、先に述べたこの武器の特性や長所は嘘ではない。
しかし同時に、ダブルサイクロンはいくつかの重大な欠点を抱えている。



欠点

まず、発射時の隙が大きい点。
この武器は地上と空中、どちらで使っても発射時に硬直がある。

それだけなら大して問題ではないのだが、本作は動きの速い敵が多く、X6もかくやというほど物量が激しい。
マシュラームステージやビストレオステージ、スパイダスステージなど、少し進むだけで大量の敵が現れては猛攻を加えてくるのである。

そんな構成のステージが多い中で、軌道が独特で硬直もある武器を闇雲に使うのは、被弾のリスクを上げることに他ならない。*1



隙の大きさに目をつぶっても、対空技としてダブルサイクロンを使う必要性は薄い。
というのも、本作にはエイミングレーザー、ライジングファイア、ツインスラッシャー、チャージグランドハンター、チャージフロストタワーと、ダブルサイクロン以外にも上を攻撃できる手段が数多く存在するからだ。

特にこいつの役割を食っているのはライジングファイア。
この武器は真上に炎を撃ち上げる武器で、燃費が悪く、非常に攻撃範囲が狭いものの、それなりの火力と貫通性能をもつ。
無印・Xシリーズ全体で見ても真上に攻撃できる特殊武器は希少であり、故にロックマンやエックスにとって、頭上は最大の死角となる。
それをカバーできるライジングファイアは、「真上に飛ぶ」ただそれだけで非常に心強い武器なのだ。

対して、ダブルサイクロンは「斜め上に攻撃できる」点は評価できるが、いかんせん画面の半分程度の高さに達すると消滅してしまう。
X3までのようなスーファミ作品なら話は違っていただろうが、PS作品のX4ではキャラが大きくなった分、ジャンプで届く高さも増している。それはちょうど、ダブルサイクロンの上昇距離とほぼ同等。

要するにこの武器、別に対空技が無くともジャンプしてバスターを撃てばどうにかなる範囲にしか届かないのだ。

当然ジャンプ撃ちすればもっと高さを稼げるが、より扱いやすくて射程が長い対空技が他にある以上、始めからそっちを使えばいい話である。

以上を考慮すると、どちらが「対空武器としてきちんと機能するか」といえば、ライジングファイアに軍配が上がる。*2



もっとも、ダブルサイクロンにあって他に無い長所はある。そう、「同時に前後を攻撃できる」点だ。

ではそれが活きる場面がどれだけあるかというと、まったくと言っていいほど無い

先に「X4は敵の量が多い」と記していたが、前後から挟み撃ちにされるような場面は意外と少ない。
確かに数が多いとはいえ、大概の雑魚敵はステージの進行方向から来る個体で、後ろから襲ってくるのはほとんどスクロール移動で復活した個体に限られる。
役立つシチュエーションが限られていれば、せっかくの長所も宝の持ち腐れである。*3
真横から来る敵をとっさに倒そうにも、横方向の攻撃範囲はエックスの前後3キャラ分程度しかなく、倒し切れずに接触ダメージをもらう恐れもある。



火力面ではどうだろう。
通常版は1ヒットで威力2しかないが、ダブルサイクロンは最大5回まで多段ヒットする。
つまり、敵に着弾してから消滅するまでの間に、理論上は最大10ものダメージを叩き込める。理論上は

ひとつ説明しておくと、X4ではノーチャージのエックスバスターの威力は「1」ではなく「3」に設定されている。*4つまり、体力6の相手は豆バスター2発、体力10の相手は豆バスター4発で倒せるということ。
ところが、ダブルサイクロンの射程範囲に入るような空中の雑魚敵は、たかだかバスター1、2発で倒せる相手が大半を占めている。

そもそもジャンプ撃ちで容易に対処できる相手に、わざわざ特殊武器を使う必要はあるだろうか?



この点に関して、「いやいや、X4にはもっと硬い敵が大勢居るじゃないか」と思った方も居るだろう。

たしかに、本作は空中には体力の多い敵は居ないが、地上にはそれなりの数が居る。
弾幕が厄介なギガデスを筆頭に、レーザーと追尾ミサイルがうざったいプラズマキャノン、多彩な攻撃を有するキングポセイドン。中ボスにも手強い相手は多い。

そして、ダブルサイクロンが出せる理論上の最大威力は10――。

この武器は、上述のタフな敵に対抗できる高威力の近接武器としての運用が見込めるのだ。

たとえ対空能力が他より劣るとしても、圧倒的な火力でタフな相手を容易く捻り潰す。これぞダブルサイクロンに見出される活路。





などと考えたあなたに、現実をお教えしよう。









キキキン!










「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!」








『おれはダブルサイクロンをギガデスに当てたと思ったら弾かれて消えた』








何を言っているのかわからないかもしれないが、実際に試せばわかるだろう。






ダブルサイクロン最大の欠点。






それは、体力が多い敵に限ってことごとく効かない点である。




どういうわけか、体力が6以上の雑魚敵の大半はダブルサイクロンが効かない。
それだけに飽き足らず、ほとんどの中ボスにもダブルサイクロンは効かない。

段差の上に配置されていることが多く、斜め上に届く武器でないと倒しにくいプラズマキャノンも、
攻撃チャンスが限られ、多段ヒットでダメージを稼ぎたくなるアイガードも、
たったの豆バスター2発で沈むユキダルボンにさえ、ダブルサイクロンは効かない。

理論上の最大威力10を存分に発揮できる相手が皆無なのだ。

体力6以上の雑魚敵で通じるのはスパイクマール、ウォークシューター、ライデン、メタルホークだが、
スパイクマールはスルー推奨の敵で、活発に動くウォークシューターは隙の大きいダブルサイクロンと相性が悪い。
ライデンとメタルホークは体力が多すぎて倒すのに3発以上かかるし、どちらと戦うときも大抵ライドアーマーが使えるので、そっちで処理する方が断然早い。



体力が低い雑魚敵用の近接武器として見ても、そのニッチはすでに他の武器が占めている。ソウルボディだ。
瞬間火力が低い上に短射程な武器だが、持続時間が長いため盾のように利用できる。通用する敵も比較的多く*5、大群の制圧にも適しており、ダブルサイクロンより横に強い。

対してダブルサイクロンは、弾自体が小さく持続時間が短いため、停滞を利用して複数体を同時に倒すといった芸当はまずできない。2体以上を倒せる場面があるとすれば、たまたま掠ったときに限られる。
連射性が低いために大群の処理はむしろ苦手と、ソウルボディと比較しても強みが無い。



「だったらチャージ版だけ使えばいいだろ!」と言いたくなるかもしれないが、チャージしてもコイツの欠点は改善されない、どころかさらに悪化する

チャージダブルサイクロンはたしかに横には強く、火力があるのも間違いない。
が、弾速は遅く、前後に撃てる特性も活かしづらいという通常版と同じ弱みも抱える。
その上発射したが最後、2つの弾が画面外に出るまで身動きが取れず、その間にダメージを受けると弾が消滅してしまう。まるで意味がわからんぞ!

使用時に硬直があったり、被弾すると消えたりするチャージ技は他にもあるが、弾が消えるまでその場から動けず、かつ被弾で消滅する技はチャージダブルサイクロンのみである。
敵がわんさかいるX4の環境で、通常版よりさらに硬直が長いこの技を使うのはただの自傷行為に等しい。

しかも、チャージ版は通常版と同じ敵にしか通じない
貫通性があって高威力で、見るからに硬い敵に強そうなのに、プラズマキャノンにもアイガードにもユキダルボンにも、たったの1ダメージさえ入りはしない。

だというのに使えるのは4発だけ。

……ここまで読んで察しがついたかもしれないが、チャージダブルサイクロンはプラズマチャージの下位互換と呼んで差し支えない性能をしている。
プラズマチャージは高威力で、エネルギー消費も隙も無く、弾も大きくて速いし、ほぼどんな敵にも通じる。
プラズマより弱いと言われがちなストックチャージと比べても、隙の有無や威力で劣っている。



総評すると、

  • 使えなくはないが癖が強く、使ったところで攻略が楽にはならない。
  • 特性を活かせる敵がほとんど居ない。
  • 他の武器とポジションが被っている。
  • チャージ版の存在意義が皆無。

というのが、ダブルサイクロンの実情である。



使いどころ


散々こき下ろしてきたが、ダブルサイクロンは基本性能だけならそれほど悪い武器ではない。
この武器単体で見れば、斜めに飛ぶ軌道や多段ヒットが刺さる場面はそこそこある。

例えばマシュラームステージの序盤エリア。ここでは天井や壁にブラストラスターが配置されている中、いきなりデジラが飛び出してくるのだが、ちょうどダブルサイクロンの対空性能と多段ヒットが役に立つ。
その後にある2つの縦長エリアでも、壁に配置されたトゲリクスの処理に使える。

また、撃ってくる弾をかき消しながら1発で仕留められることから、ホバーガンナーとフライガンナーに対して有効である。



だがそのような場面も「ダブルサイクロンが無いとキツいか?」と問われると、首を傾げざるを得ない。



すでに述べたように、この武器が本来得意とするはずの対空攻撃は、より使い勝手が良い他の武器で替えが効いてしまう。

元々、本作はフォースアーマーのチャージショットが強すぎて特殊武器が割を食っている感が否めないのだが、
そもそも同じ特殊武器に役目を奪われている手前、特殊武器主体の攻略でもダブルサイクロンが輝ける場面は少ない。

使用例として挙げたマシュラームステージでも、縦長エリアでトゲリクスと同時に登場するテントロイドRSにはダブルサイクロンが効かず、劇的に楽になるとは言い難い。
というか、ここでは両者を1発で倒せるライジングファイアを使うのが最適解だったりする。

序盤エリアについても、バスターのみでの突破は容易だし、ホバーガンナー系もチャージバスターで簡単に撃ち落とせる。

「段差上の敵を安全に倒せる武器」として使うこともできるが、そうなると今度はツインスラッシャーやエイミングレーザーと役割が被ってしまう(し、段差の上に居るのは大概ダブルサイクロンが無効の高耐久な敵である)。

結局のところ、こいつが通常プレイで唯一無二の働きを見せるのはドラグーン戦だけと言っていい。あとはゴリ押し前提のタイムアタックでダブル戦か。*6
無論、「強敵に効くならそれで良い」という人もいるかもしれないが……ステージ攻略の要所要所で持ち前の特性が役立つ武器と、2回だけのボス戦でしか輝けない武器。どちらがより有用かは語るべくもない。



斜め上への軌道と多段ヒット。少なくともダブルサイクロンには、良武器になれるポテンシャルはあった。
もしも対空武器がこれ1つしか無かったり、登場したのが他作品だったら、輝ける場面はずっと多かっただろう。

しかし実際には、硬直という本来は些細な欠点に、刺さる環境の少なさと競合相手の多さが重なった結果、ありとあらゆる要素が中途半端になった――言い換えるなら、ひたすらゲームと噛み合わなかった。


ダブルサイクロンは、そんな悲しき宿命を運悪く背負った武器なのだ。



この武器の使い道を知っている方はぜひ、追記・修正をお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ストーム・フクロウル
  • ロックマン
  • ロックマンX4
  • 特殊武器
  • 風属性
  • どうしてこうなった
  • 不遇
  • こいつはホントに協力する気があるのか?
  • 中途半端
  • 使えない武器
  • ダブルサイクロン
  • 竜巻
  • ロックマンX
最終更新:2025年03月19日 07:37

*1 硬直があるのはフロストタワーやライジングファイア等も同じだが、前者はそもそもバリアのような性質の武器だし、後者はその欠点を補って余りある強みがある。

*2 一応、燃費の良さはライジングファイアより優れているが、ヘッドパーツを入手すれば特殊武器の通常撃ちが使い放題の本作で、燃費の良し悪しを考慮するのはあまり意味がない。

*3 もっと言うと、ライジングファイアも発射時に自身の前後に攻撃判定が生まれる。とはいえごくごく狭い範囲だが。

*4 威力が1の攻撃にはライトニングウェブ等がある。

*5 プラズマキャノンやギガデスなどには効かないが、チャージ版なら安全に倒せる。

*6 それもダブル戦単体のみでの話。ゲーム全編通してのRTAだと強化がままならずゴリ押し戦法が使えないため、やはりいらない子になる。