シャディク・ゼネリ

登録日:2022/12/12 Mon 23:52:46
更新日:2024/03/21 Thu 20:47:52
所要時間:約 11 分で読めます





でもキミが来てから、グエルもエランもおかしくなってる。
僕もキミのこと知りたくなってきたよ…水星ちゃん。



シャディク・ゼネリは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の登場人物の一人。


CV:古川慎

●目次

【概要】

学籍番号はKP003で、ベネリットグループ御三家の一つ、グラスレー・ディフェンス・システムズの推薦を受けている。パイロット科3年でグラスレー寮の寮長でもある。
アスティカシア高等専門学園の決闘委員会のまとめ役を務めている。

黒褐色の肌に輝くような長髪という中東を思わせる容姿をしている。
学園の生徒の中でも、ひときわ目を引く派手で整った外見をしており、それを隠そうともしない伊達男。
なぜか意味なく学生服の前をはだけており、しかも肌着を着ていないため、基本半裸がデフォ。
ただ、流石にMSの操縦時はパイロットスーツを着るし、パーティーの席では髪をまとめて服の前も閉めている。
2nd Seasonでは色々あって半裸姿は全くと言っていいほど見せなくなったので、本人の趣向というよりは学園内でのイメージ作りでわざとやっていた可能性もある。

【人物】

常ににこやかで誰にでも愛想よく接するが、逆に言えばほとんど誰に対しても一定の距離を保ち、その本心を探らせない怪人物の側面もある。
私生活では女遊びは派手な方である(ただし本編中では一度たりとも彼個人に黄色い声が上がったことがない)ようで、それ絡みで決闘を挑まれたこともある模様。

グラスレー社の後継者であるが、現グラスレーのトップであるサリウスの実子ではなく養子。
本作では親子関係に問題を抱えている人物が多い中で、シャディクは比較的大人びている&学生としても企業人としても優秀なこともあってかサリウスとの関係自体はさほど悪くはない。
ただしお互いに深く踏み入らない為に成立している面もあり、2nd Seasonではそれが露呈してしまう。

基本にこやかなその外面に騙されそうになるが、本質は自分の欲しいものを手に入れるためなら清濁全ての手札を駆使して盤面を整え、ロジカルに追い詰める狡猾かつ極めて我の強い性格で、タチの悪いことにそれを実行するだけの能力と立場を兼ね備えた危険人物。
長い付き合いのミオリネもその辺りは把握しているので、隠すつもりもあまりないらしい。
一応は相手の利益なども提示してウィンウィンの取引に見せかけようとはするが、これも自分で追い詰めておきながら救いの手を差し伸べるマッチポンプに過ぎない。

ただ、同じ暗躍するタイプでもヴィムと違い決闘自体は(形式は自身に有利なように手を回すものの)事前の作戦と実力で追い詰める正統派で、そこに卑怯な手は持ち込まない。
逆に言えば勝てないと踏んだ勝負は最初からせず、やるなら確実に勝てるように徹底的に根回しし、負けても自身にとって致命的な敗北とならないよう配慮する、石橋を叩いて渡るタイプと言える。
腕はありながら数々の初見殺しに苦渋を飲まされ続けたグエル・ジェタークと対照的ではあるが、それゆえか彼との決闘は避け続けていたようだ。

本編での行動を見る限り、普段のちゃらついた言動は演技のようなものである様子。たまに見せる低いトーンの声色が彼の本心であると思われる。
そして本気で好意を抱いたり、欲しいと思った相手にこそ淡白で冷淡な対応を取ってしまう傾向があるようで、それ故に長い付き合いのミオリネやグエルからは気味悪がられたり距離を取られている節がある。


【本編での動向】

7話まではスレッタに学園や決闘について教えたり、パーティーの裏側で義父と共に暗躍したりする程度と目立った活躍は見せていなかったが、8話から本格的に物語に絡み始める。

地球寮で設立されようとしたガンダム社の設立を後出しの校則で無理矢理不可能にするという反則技でまずはミオリネの動きを封じる。法の不遡及はどうした
当然、ミオリネからは怒りと共に抗議を受けるがそれを軽く流し、「ガンダム社を自分に譲渡させれば、ミオリネたち社員はそのままでガンダム社を存続させていい、自分(シャディク)はあくまで経営に一枚噛めれば十分」と、一見ミオリネ側に破格の条件を提示してガンダム社の譲渡を促す。
しかし、プライドの高いミオリネがこれを受けるはずもなく、シャディク相手に決闘を叩きつける。その際はいつもの飄々とした態度を消して「よせ」と真剣な面持ちで制止しており、決闘を受けることは本意ではなかったことがうかがえる。
ちなみに決闘に際してシャディクが求めたのは「ガンダム社の譲渡」であり、ぶっちゃけ校則を盾に押し通せば手に入るものしか要求しておらず、実は勝ったところで(ミオリネを説得する材料という以外)何もメリットがなかったりする。
その後もミオリネを説得しようとしたりスレッタを焚き付けて引かせようとしたり……とあの手この手で決闘の開始以前に翻意させようとするが、かえって彼女たちの熱に火をつけてしまいとうとう本格的に後には引けなくなる。

なら…俺ももう躊躇はしない

結局、自身に有利な6対6の集団戦という形で自身はミカエリス、取り巻きたちはベギルペンデに乗り込み決闘に臨むことになる。

そして始まった決闘、シャディク自身がチュチュに突貫し後方支援を断ち切り、さらに2機を費やし、地球寮の主力であるエアリアルを足止めするという作戦に出る。
付かず離れずの距離を維持してエアリアルがもたついている隙に、メカニック主体で操縦経験の足りていない地球寮のザウォート4機を瞬く間に撃破。続けてエアリアル以外でほぼ唯一まともな戦力であったチュチュのデミトレーナーの無力化に成功。
こうして1対6という圧倒的優位な状況を築き上げたシャディクチームは、降伏勧告をするも、スレッタはこれを拒絶。
「ミオリネさんのことが好きなんじゃないのか」「私はミオリネさんのことを信じる」と、どこまでも真っ直ぐにはっきりと答えるスレッタを前にシャディクは今までの軽薄さからは考えられない程に低く冷たい声で一人呟く。

ミオリネ…君は間違えた。

水星ちゃんは素直でいい子だ、真っ直ぐで嘘を吐かない。

だが…

君を守る力も、助ける視野も持ち合わせていない。

君に縋るだけの、ただの子供だ。

そしてシャディクはただでさえ有利な状況に、重ねてガンドフォーマット対策装備である「アンチドート」を展開、エアリアルのビットを無力化するというダメ押しの戦法でエアリアルを追い詰め、左腕をもぎ取る大ダメージを与える。

……しかし、ギリギリの局面でエアリアルのシェルユニットは青く光り輝き新たな力に覚醒、アンチドートすら無力化するほどの法外な力を見せつける。これに動揺したべギルペンデたちは次々と撃墜されるという逆転劇を許すことになる。
それでも、仲間たちの身を挺した貢献もありさらにエアリアルの片足を奪い取ることに成功。もう一度逆転を果たし、完全に勝利を確信する。


ここまでだスレッタ・マーキュリー!!

ミオリネの隣に立つのは俺だ!!!


が、その瞬間、ミカエリスのブレードアンテナをデミトレーナーの狙撃銃が撃ち抜いた。

……完全に無力化したと確信して、ザウォート及びデミトレーナーを放置していたこと、「リーダー機のブレードアンテナを折られない限り敗北ではない」という集団戦特有のルール、「最後のトドメは必ず自分の手で刺そうとする」というシャディク自身の性格をミオリネが見抜いていたこと、何よりも地球寮の団結力と技術力が想定外であったこと……
これらの複数の要因が重なった結果が、ボロボロのザウォートに抱えられてなおミカエリスの狙撃に成功したデミトレーナーの姿であった。

またスレッタに対して「ミオリネを助ける力も視野も持ち合わせていない」と評していたが、当の本人が視野の外から撃たれて敗北し、勝利したスレッタは会社の宣伝を忘れない視野を持っていた*2ことも皮肉と言える。


……決闘に敗北したシャディクは再びミオリネの温室を訪れていた。ガンダム社の邪魔はしない、と約束するために。

最初から決闘で奪えば良かった

ふと思いついたようにそう嘯くシャディクにミオリネは「会社は渡さない」と飄々と返す。

いや君をだよ。「ホルダーになって君を守る」。その一言が言えれば俺も中に入れたのかな

その言葉だけを投げかけ、シャディクは温室を去っていく。

ミオリネは一人、「……バカね。今更よ」と呟きながら、青いトマトを摘み取る。
……真っ青な気持ちのまま、熟することなく去っていた幼なじみの気持ちを刈り取るように。

そして会社創立から二か月後。
ヴィム・ジェタークがデリング暗殺を再度目論んだ事を機に、かねてからの自身の目的───ベネリット・グループの解体の為に行動を開始。
手始めにヴィムを「がさつな男」と嘆息したサリウスが暗殺計画に乗るようにそそのかし、またかねてからニカを介して接触していた地球の武装勢力『フォルドの夜明け』にデリングの襲撃を直接依頼するのだった。
それはまるで、覚悟をもって己の青さを摘み取ったかのようで……

襲撃の決行当日は、結託していたヴィムの離脱を待たずして攻撃を指示。ミオリネが同じプラント・クエタにいることも承知の上で「運が良ければ生き残れるさ」の一言で片づけた。
最終的にデリングの暗殺には失敗したとの報告を受けるが、それすらも想定の範囲内と言わんばかりに表情を変えることなく聞き届ける。
シャディクの目論見は彼の胸の内に秘められたまま、1st Season は幕を閉じた。




【人物関係】

  • サビーナ・ファルディン
  • レネ・コスタ
  • イリーシャ・プラノ
  • メイジー・メイ
  • エナオ・ジャズ
シャディクと行動を共にする少女たち。通称シャディク隊。または「シャディクガールズ」
当初はプレイボーイなシャディクを慕うハーレム要員、追っかけみたいなポジションと思われていたが、実態はハーレムというわけではなくむしろ彼女たちは側近・共通の目的のために動く同志という扱いに近い。
上述したデリング暗殺やベネリットグループ解体計画についても普通に会話に参加している辺りでもそれが窺える。*6

彼女たちからシャディクへの言動は比較的気安く、シャディクがミオリネのことを本気で好いており、且つ素直になれないということも熟知している。
そしてシャディクもそれらを知られた上で彼女たちを受け入れているなど信頼関係は厚い。
彼女達5人は全員グラスレーに拾われたアーシアンの孤児であり、境遇を同じくするという点でも同志と言えるだろう。

全員がパイロット科の成績上位者であり、実際にシャディクと共に決闘に参加した際には上述のように、
高い操縦技量と息の合った連携プレーにより、瞬く間に地球寮のメンバーたちを追い込んだ実力者揃い。

女性だけのMSパイロットチームということから「令和のシュラク隊」などとも呼ばれていたりする。そのせいで物語終了までに全滅してるとか物騒な予想もされていた。


「トロフィー」であり「花嫁」。
実は幼なじみでありかつては共に企画を提出したこともある仲。その価値は客観的に見て極めて高く、ベネリットグループ御三家の一員としては目指さない理由がなさそうだが、「ホルダーの座には興味がない」とシャディク自身は語る。
しかし、ミオリネに全く興味がないかと言うとそうでもないようで……
7話でスレッタのために動こうとしたミオリネに対しては「変わったよ、君は。残念だ」とその実残念そうでもない笑顔で評しており、スレッタと出会って変化していったミオリネには複雑な感情を抱いているようだ。

一方、ミオリネの側からも、邪険にはされつつも決して嫌ってはいないような不思議な態度を取られている。

なお、思わず踏み入ろうとして制止された一幕以外、ミオリネの温室には決して立ち入ろうとしていない。この意味は物語上温室がミオリネの心のメタファーであると考えると理解しやすいだろう。「土足で無遠慮に踏み入るグエル」「招かれておずおずと入っていくスレッタ」と対比すると、シャディクの立ち位置は…

もうひとりの主人公。
当初は学園のルールを何も知らないスレッタに決闘のルールを教えるなどしていた。というか序盤は本当にそれぐらいしか出番がなかった
スレッタのことを「水星ちゃん」と馴れ馴れしく呼ぶ。学園の公用語は英語なので「Mercury」と名字で呼んでるだけに見えるが、英語版では「Mercurianlady」…つまり「水星女」と呼んでおり実はラウダ並の言語感覚である
スレッタは当初「決闘委員会のなんか偉そうな人」ぐらいしか認識していなかった節があるが、シャディクの方は「花嫁」を獲得し周囲に変化をもたらしたスレッタに思うところがあったようで「これも水星ちゃんの魔力かな?」とからかい半分嫌味半分の言葉をかけている。
シャディクの目線で序盤のスレッタの言動、影響を見ると地雷を踏まれまくっているので内心かなり目障りに思っていた可能性もある。

そんな彼が初めて「スレッタ・マーキュリー」とフルネームで彼女を呼ぶのは、明確にスレッタのことを「敵」であると認めた場面であった。

決闘に敗れた後はエアリアルを修理に出した事でMSの無いスレッタの為に決闘を延期させるなど、表向きには多少配慮しているが、実際にはほぼ無関心でいる。
というか、序盤に彼女と何かしらの会話を行った人物ではほぼ唯一、決闘以降19話まで一切の会話が存在しない
そもそもシャディクが学園に居なくなった(決闘委員会への出席も禁止された)ので接点自体が無くなったというのが正しいところではあるが。
彼がスレッタに指摘した「一人では何もできない子供」というのはその時点では正しくはなかったと言えるのだが、後々の描写を見ると………

同期。グエルに決闘を挑んだことは一度もなかった模様。
本編以前となるが、「グエルになら任せられる」と意味深な発言をしている。
一方グエルの側は「決闘で女を賭けるのはお前だけだ」「俺との決闘を避けてたヘタレ」と割と辛辣。
本心をぶつけてこないシャディクには内心苛立ちがあったのかもしれない。

8話にて、ソロキャン生活をしていたグエルが(過去にグエルとの〈決闘〉に負けたと思しき)男子生徒数人に嫌がらせを受けていたところをシャディクが助け、グラスレー寮に勧誘するなど、グエルの能力は買っている模様。
…が、かえってプライドの高いグエルの反発を買ってしまったのかグエルはシャディクが姿を消したタイミングで連絡先を書いた紙を捨てている。
女だらけのグラスレー寮にグエルを誘った事から一部視聴者にバイセクシャル疑惑をかけられた。

一方でシャディク自身の出自と第20話で吐き出された本心など諸々を加味すれば、少なくとも本編開始以前のグエルはサビーナの言葉にもあったような「望まずとも与えられる典型的なスペーシアン」でしかなく、シャディクにとっては嫌う要素満載の相手でしか無かったはずだが、
上述したように自身が一番欲しいと望むミオリネを守るに値するとも思っていたり、その真っ直ぐさが嫌いだったと言いつつ一瞬とはいえ笑みを零していたりと、愛憎入り混じる複雑な感情をグエルには抱いていたのかもしれない。

  • サリウス・ゼネリ
義父であり上司。
養護施設から拾ってもらった恩義を名目に前半では目的意識の一致もあり表面だった対立はなく、シャディクはサリウスの指示に従い、サリウスの方もデリング暗殺に乗ろうとするシャディクに「学生らしくしていればいいものを」「社内で立場がなくなりかねない」と忠告している。毒親だらけの本作ではドライ気味ではあるがかなりまともな方である
もっとも、根本的な部分の目的意識まで共有できているかというと怪しく、デリング暗殺計画への加担を進言する際もシャディクは真意を隠している。
加えてサリウスはガンダムを「呪いの兵器」として忌み嫌う一方、シャディクの側はガンダムを手札として自らの手元に引き入れようとしている上にサリウスのことを裏で「狭すぎる。視野も、思想も…」と愚痴っており、火種は燻っている。
Season2では彼を拉致して軟禁しているが、その際のやり取りからあくまで彼をこちらに引き入れたいシャディクの思惑がうかがえる。

他の後継者候補のこと含め、詳細がわからない部分も多いが、
自身と同じ姓を与えたことも含めて、親としての情愛はきちんと持ち合わせていたのも確かだったようで、
策謀の果てに敗れたシャディクの姿を前にした際は、怒るでも呆れるでもなく、
ただただ悲しそうに「愚かな息子よ…」と呟いていた。

  • ニカ・ナナウラ
当初は全く繋がりを想起させていなかったが、パーティーでの意味深な囁きかけなどから、スパイとして扱っていたのでは? と考察されており、9話ではシャディクから連絡係とも呼称されていた。
その実態は地球の武装勢力『フォルドの夜明け』とシャディクのパイプ役という意味での連絡係であり、「ニカのお父さん」という設定の人物(ただしニカ自体はそれが誰なのかは知らない)がリーダーのナジ・ゲオル・ヒジャだった。
ニカはアーシアンの孤児であり、本来であれば学園に入るためのバックボーンは全く持ち合わせていなかったのだが、
シャディクが手配したダミー企業の推薦という名目で入学することが出来たので、彼に逆らうことはしなかった(そもそも定期的に本人には分からない何かしらの連絡を取っていただけなので、これと言った実害もなく学園生活を送れたものと思われる)。

シャディクからすればニカはただの使い捨ての連絡役に過ぎないが、Season2にて反旗を翻した彼女を始末することなく監禁している。
サリウス代表の行方に関するミオリネの分析から、彼女もシャディクにとっての爆弾なので手元で隠しておきたいという思惑があるようだ。
また、彼らの出自を考えると「同胞」を始末するわけにもいかないというのはあるだろう。実際にザビーナからは仲間になるよう勧誘されている。

  • ソフィ・プロネ/ノレア・デュノク
地球の武装勢力『フォルドの夜明け』に派遣されているガンダムパイロット。
Season1ではフォルドの夜明けとシャディクが繋がっている以上の関わりは見せなかったが、SEASON 2ではシャディクが手配したルート(ニカと同様、ダミー企業による推薦)で学園への編入を果たす。
ランブルリングでの乱入時にはガンダムやガンビットを決闘の場に潜り込ませるなど、シャディクが根回ししていなければ不可能な芸当を見せている。

一方で純然たる仲間・同士かと言われればそうでもなく、作戦終了後にノレアは彼らによって囚われの身となっている。

御三家の一人であり、シャディク自身はスレッタに影響されて変わっていく「氷の君」ことエラン……強化人士4号を面白そうに眺めていた。
2nd Seasonでは後が無くなった強化人士5号に「テロリストとグラスレー(シャディク)は繋がっているのでは?」とカマをかけられたため、彼もニカやノレアと同じく軟禁することにした。*7
シャディクは総裁選を勝ち抜くためにペイル社と手を結んでおり、その過程で本物のエラン・ケレスとも会話している。
どの時点で知ったのかは不明だが特に驚く様子もなかったので、シャディクはエラン・ケレスという名前と顔の男が複数存在している事を知っていたようだ。
また、地味に強化人士4号・5号(直接会話するシーンはない)・本物と本編に現れた全ての「エラン・ケレス」と接触したことがあるのは、ペイル社の関係者を除くと最終話前までではスレッタ、シャディクだけだったりする(最終話ではグエルやセセリアも含まれる)。

スレッタの母親でありシャディクとの直接の接点はほぼ無いに等しい。
のだが、後述する通り彼女の計画の直接の障害となっているのが彼の謀略であり、
お互いにその存在を認識しないまま対決軸が形成されているという面白い状態になって…いたのだが…
(詳しくは後述)


【能力】

パイロット科の所属であるが、グエルやエランのように圧倒的な操縦技術を見せるシーンは今のところない。
といえ、決してコネだけで決闘委員会のまとめ役を務めているわけではなく、腕前自体は十分一流の範疇になる。
実際グエル、エランが敗北した直後の決闘オッズリストでは一位につけていた

パイロットとしての彼の真価は、むしろ彼個人の技量よりも集団戦で発揮される。
取り巻きたちも決して賑やかし要員ではなく全員が一流のパイロットであり、息のあった連携プレーで敵対者を追い詰める。無論、決闘の形式が「集団戦」でなければならないが、その決闘のやり方を決める委員会のトップがシャディク自身なのだから、そこはもはや言うまでもないことである。

かといって1対1戦闘が不得手というわけでもなく、20話でのグエル戦においてはダリルバルデの出力が決闘仕様というハンデこそあったものの、機体もメンタルも万全なグエル相手に相打ちに持ち込んでおり、御三家パイロットとしての腕前を存分に発揮してみせた。

むしろ特筆すべきはミオリネへの未練を断ち切って以降発揮される、メンバーを統率して陰謀を巡らせ暗躍する能力。
シャディクの仕掛けたテロ計画にデリングやプロスペラが気づいていた様子がなく、それどころか事件後のプロスペラやゴドイもシャディクの尻尾を掴めていなかった。
プロスペラはヴィムやペイル社の隠し事を察していたように「秘密を探る」事を得意としているのを踏まえると、これは驚異的と言える。
19話ではその件のプロスペラと直接相対し腹の探り合いを行っているが、プロスペラの方は学園テロ事件やその際に用いられたガンダムの出自と行方などについて指摘しており、シャディクの裏に抱える物に気づいているかのような口ぶりだった。
その後見事にプロスペラにしてやられた事で、シャディク曰くは「プロスペラは(交渉時点で)気付いていた」と自らの計略がバレてしまったことを察していた。

その他、学生の身でありながらグラスレーの経営にも関わっており、総じてサリウスがわざわざ養子に取っただけのことはある優秀さを持つ。

【搭乗機体】

CFK-029 ミカエリス


型式番号:CFK-029
頭頂高:20.3m
重量:68.8t

グラスレー社が開発した新型アンチドート搭載機。
西洋甲冑のような純白の機体に十字架を思わせるアイカメラと、どことなく厳かな空気を感じさせる機体。
右腕のマニピュレーターを廃した代わりに、右腕が丸ごと武装になっている若干ゲテモノ寄りなデザインであるのが大きな特徴。
これはマニピュレーターを排した右腕にアンチドートデバイスや固定装備を集約することで、汎用性の低下と引き換えに機動性と攻撃力を高め、妨害に至るまでの戦術優位性を追及した結果である。

優秀な機体ではあるものの、アンチドートを除けば「普通に優秀」レベルであり、そこまでダリルバルデやファラクトのように極端な秘密兵器を備えているわけではない。
またアンチドートについてもエランが「まだ持ってたんだ」と驚きと共に評したように、GUND-ARMが禁忌となり廃れた本編では絶対的な優位を取れる装備ではない。
しかし、ダリルバルデやファラクトは癖が強く並みのパイロットに扱いきれる代物でもないわけである一方、こちらは比較的常人でも乗りこなしやすいと言える。*8
また、あくまで集団戦に特化したコンセプトなので一騎当千型と言うべきGUND−ARM機相手を集団でかかるという、かなり実戦に特化した機体だと言えよう。

名前の元ネタは大天使ミカエルからか。
『魔女』=GUND−ARM機体に対する聖なる存在という事での意味合いかもしれない。

【余談】

第一話ではシャディック・ゼネリとエンドロールで誤植されていた。

複数の女性と関係を持っているというプレイボーイで、リーダー的な存在を務めているという点では、前作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場したテイワズのリーダーの名瀬・タービンや、『機動戦士Ζガンダム』のパプテマス・シロッコと共通している。
ただ、二人は結果的に死亡しているため、恐らくこの運命を逃れらないのでは……と言われている。
事実、過去にガンダム作品で女性メンバーを率いていた男性隊長もそうだったし……。

敗因となったチュチュの狙撃について、「チュチュを舐めて完全な無力化をしていなかったからああなったのでは?」と言われることもあるが、むしろこれについてはチュチュを本気で警戒していたからこそああなったとも取れる。
まず単騎ではまずエアリアルに勝てないことはほぼ明確なグラスレー側の勝ち筋は「アンチドートをフル展開してビットを無力化する」しかない。
加えてエアリアルの足止めに時間をかければ、各個撃破のリスクが高まるばかりなので、エアリアル対策は素早く展開する必要がある。
その一方で真っ先に狙ったのはエアリアルではなくチュチュのデミトレーナーであり、チュチュたちを放置して後方狙撃を自由にやらせることの危険性もシャディクは正しく認識していたと思われる。
「エアリアル対策に6機全部を費やすしかなく、そもそもデミトレーナーとザウォートを完全に破壊するだけの時間的余裕がなかった」と解釈すれば、とりあえず戦闘能力を奪った時点で満足するしかなかったのだろう。
勝利を確信してわざわざリーダー機である自分が前に出てきてしまったのは迂闊だったかもしれないが、あの短時間で狙撃ができるまでの応急処置ができる地球寮メンバーの技術力の高さを読み切るのは常識的な範疇では不可能に近い。
何よりミオリネが「最後は必ず自分がトドメを刺しに来る」とシャディクの人となりを完璧に読み切っていたことなども含めると、シャディクのやらかしというよりは純粋に地球寮チームの作戦勝ちだったと言えよう。


シャディクからミオリネへの感情はハッキリ明言こそ避けられているが、その実わかりやすく示唆されており、要するにホルダーの立場に固執しないことで彼女をトロフィーとしか見ていない他の男とは違うとさりげなくアピールしていたつもりだったのに、パッと出の水星たぬきに花嫁を奪われたので慌てて足掻いているという状態である。
そのため、「BSS*9」展開の典型例とも言える。
ただ、ミオリネの側から見るとまた違っている部分もあり、9話での彼女の発言からすると、むしろシャディクが本気でホルダーを奪い取ってでもミオリネを得ようとしていれば、ミオリネもそれに応えようとしていた可能性もある。
…しかし、本気の踏み込んだ人間関係を築けない、「ヤマアラシ」のようなシャディクには最後までそれができなかった、だからこそ「あと一歩、キミに踏み出せたなら」なのだろう。
また、彼女の起業を止めようとした理由についても特段言及されておらず、当然ながらミオリネからは自分の障害だと認識されてしまっている。

作中のシャディクの所業によって様々な悲劇が起こっており、しかも客観的に見ると「BSSを拗らせた挙句フラれた腹いせ」にしか見えないのもあって厳しい評価を下す視聴者も多いのだが、
一方で作中でトップクラスでヤバい事を企んでそうな女の計画を本人の与り知らぬところで直接阻止し、その最大の障害になっている*10という非常に面白い構図になって……いた。

19話、20話にかけて当初想定していた計画のほぼ全てが瓦解し、自身もその腹の内にある本心を全てぶちまけた上で、結果的に敗北同然の末路を迎えることになった。
とはいえ最終的には上述ネタバレ格納部分の通り、自分の望みをある程度の形で叶えることはできたのだけは幸いといったところだろうか。


ヤマザキビスケットの「エアリアル」とのコラボではコーンポタージュ味担当。エラン、グエル、ミオリネの例から、彼も後半でコーンポタージュを想起させる悲劇に見舞われるのでは……と冗談半分で予想されていた。

結果的ににこちらの予想についても、最終的には全てを失ったとはいえ、コーンポタージュ的な悲劇には至らなかった。
ミオリネへの面倒臭さい未練でメンタルがコーンポタージュみたいにドロドロなんて言われていた時期もあったけど。


追記・修正は学園でハーレム軍団を作ってからお願いします。

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最終更新:2024年03月21日 20:47

*1 ただし、現在のシャディクが表向きグラスレー側の重要人物ということもあり、徹底した緘口令が敷かれていた

*2 ただし後の展開を見るに、「ミオリネに縋るだけの子供」というシャディクの評はある意味的を射ていたと言えるのだが……

*3 これに対する視聴者の反応も様々であり「意外と現実性のあるプラン」と評する者もいれば「既に紛争が多発している作中世界でそれをやっても、アーシアン側の暴走で世界が破滅するだけ」といった否定も見られる。

*4 地球でアーシアンの現状・怒り・虐殺の実態を目の当たりにしたことで、同じ出身であるシャディクとガールズたちが抱えているものの重さを改めて知り、彼らが今回のような凶行に走る前に自分が気づいて止められていたら…という自責もあったと思われる。

*5 ミオリネからは疑問をぶつけられたが、結果的にプロスペラ・マーキュリーが穏やかな余生を過ごし、その娘であるスレッタへのバッシングもなかったと思われる。そのためミオリネの幸せを守ったといえる。

*6 サビーナはベネリットグループ解体計画始動の際に「自分たちは元から決闘ゲームに重きを置いていない」と語っているし、エナオもシャディクがベネリットグループ解体をずっと前から目論んでいたことを口にしている。

*7 本編で描写が無い上に物凄く分かりにくいので、総集編で改めて説明されている

*8 ただし20話においては両腕インコムという前述の二機と比べてもなかなかの癖強機体となった

*9 僕が・先に・好きだったのに

*10 一方で計画を大きく前進させた「パーメットスコア6到達」を実現させたのもシャディク達なのだが