シャディク隊

登録日:2023/01/19 Thu 01:48:11
更新日:2025/03/10 Mon 09:20:23
所要時間:約 6 分で読めます




シャディク隊とは、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するキャラクター。
あるいは「シャディクガールズ」「シャディクギャルズ」とも。

※劇中で正式にこう呼ばれているわけではなく、視聴者の間での通称である。


概要

アスティカシア高等専門学園の生徒で、シャディク・ゼネリの側近的存在である5人の女学生たち。シャディクと同じグラスレー寮に所属し、全員がパイロット科の成績上位者。
シャディクと6人でチームを組み、集団戦では無敗と呼ばれるほどの実力を持つ。
部下のようなポジションではあるもののシャディクとは気安く接しており、よく彼と6人で寮内の部屋で過ごしている。

実力者なうえに美女揃いなだけあってそれぞれにファンが大勢いるらしく、出撃時には多くの男子・女子生徒から黄色い声援を集めていた。
裏で武装勢力との結託や要人暗殺を企むシャディクと秘密を共有し、補佐もしているため、彼女らもただの学生とは言い難い。


第8話から5人揃って登場。株式会社ガンダム設立を巡って地球寮とグラスレー寮が決闘することとなり、シャディクとともに敵として立ち塞がる。
全員がエース級の実力を持ち、ほとんどがパイロットとしては素人である地球寮を圧倒。
対GUNDフォーマット対策までしてエアリアルを寸前まで追い詰めるも、突如不可思議な力を発揮したスレッタとエアリアルに逆転され敗北を喫する。

その後、シャディクはベネリットグループ解体に向けて武力をも用いた暗躍を始めるが、彼女らも協力者として変わらず付き従っている。


メンバー


サビーナ・ファルディン


「本当にいいのか? 知っているんだろう、プラント・クエタには今、ミオリネもいる」


パイロット科3年。学籍番号はKP-014。長い髪を編み込んでまとめている長身のクールビューティー。
学園内外の仕事を補佐するシャディクの右腕で、5人の中ではリーダー的存在。
堅い性格らしく、遊び好きなレネを窘めたりしている。
他のメンバーが男子生徒から声援を受ける中、彼女だけ女生徒たちに「サビーナ様」と呼ばれており、女子人気が高い模様。

補佐役らしく単独でシャディクに同行していることが多く、第2話で先んじて登場している*2
時にはシャディクに意見することもあるなど、信頼されているようである。
集団戦でシャディクと二手に分かれたときにはサブリーダーとして残りのメンバーに指示を出している。
覚醒したエアリアルを仲間を犠牲にしてでも撃とうとするが、防がれて撃墜されてしまう。

デリング総裁暗殺計画の際には、現場との連絡をとりシャディクに現状を伝えていた。


決闘の賭けのオッズではスレッタと御三家のシャディク、グエルエランに次ぐ5番人気に位置していることが確認できる。

20話のグエル・ドミニコス隊では、唯一シャディク隊の中でドミニコス隊やセキュリティーフォースとの交戦から抜け出しシャディクの援護にまわることが出来たが、ダリルバルデの不意の一撃により呆気なく撃沈。
とは言え他のシャディク隊が武装のみ破壊(もしくは放棄)されているなか、撃沈されるまで戦闘を続けることが出来ていたという意味では実力は高い。

公式アカウントで公開された表情集にはラフな格好でくつろいでいる姿があるが、その絵を見るに、単に長身なだけでなくなかなか逞しい体格をしている。

あと名前が感情を処理できないゴミになっちゃった人に似ているせいで、たまに混同される。
また間違えられやすいがビーナではない。「サビ」である。


レネ・コスタ


「アナタも決闘に出てね? どっちが上か、わからせてあげるから」


パイロット科2年。学籍番号はLP-013。亜麻色のくせっ毛をツインで括った少女。
一見快活な女の子だが、実は腹黒系らしく、ボーイフレンドが沢山いる模様。男性ファンたちの声援も一際熱狂的であった。

地球寮との決闘締結の場でシャディクとサビーナに同行しており、その場にいたリリッケを挑発し敵意を匂わせた。

決闘でもリリッケに襲い掛かるが、その敵意の理由は、リリッケが彼女の男(キープ君12号)に手を出したからというもの。
もっともリリッケはランチに誘われただけでしかも断っているのだが、レネは「アタシの男に恥かかせてんじゃねぇ!!」と逆に怒りを露わにした。
どう見ても理不尽な言い分だが、たとえキープ君であっても「アタシの男」と言い、恥はかかせまいとする姿勢は、ある意味姐御肌とも取れる。案外面倒見がいいのかも。
また、彼女の出自を考えるとリリッケは文字通り目の上のたんこぶだったのかもしれない。

リリッケを難なく撃破しエアリアルを追い詰めるも、突如アンチドートを無効化され、激昂して襲い掛かったところを真っ先に墜とされてしまった。

決闘の賭けオッズで彼女も10位にランクインしているので、実力は非常に高い、…のだが、20話でのドミニコスと交戦時、「学園の男達と、どれくらい違うか見せてよね!」メスガキ口調で煽って応戦するも、最終的に武装を解除されセキュリティーフォースに囲まれ投降を余儀なくされていた。
経歴から考えて実戦経験が皆無というわけでは無かったろうが、プロのドミニコス隊とでは流石に実力に大きな差があったということか。

髪色と髪質、それに生意気そうな態度から、グエルの取り巻きAことフェルシー・ロロとキャラがかぶっていると言われている。
こちらの方が登場は後だが、三下っぽい出番しかないあちらを食う勢いである。
一応、少年っぽいというか悪ガキな感じのフェルシーと、悪女キャラで女っぽさをアピールしているレネでは方向性は割と違う。



イリーシャ・プラノ


「メイジー、私、みんなに迷惑かけないかなぁ…?」

CV:前川涼子

パイロット科2年。学籍番号はLP-012。垂れ目で大人しい雰囲気の少女。
気弱な性格のようで、決闘前に弱音を吐いてメイジーに励まされている。
第2シーズンでも開始直後の13話でメイジーと腕を組んでいたことを始め、その後も行動を共にしていることが多く彼女とは特別仲がいいらしい。
決闘中も攻撃前に「怒らないでくださいね」と言って憶病な態度を見せるが、シャディクと連携してチュチュ機を横から撃破しており、実力は確か。
ごめんなさいと言いつつサリウスのボディーガードを正確に撃ち抜くなど恐ろしい一面も見せる。

ぬいぐるみを抱いて寝転んだりしているところは引っ込み思案な女の子だが、アンニュイな表情に長い髪から何だか人妻っぽい雰囲気もある。
生徒から声援を受けるシーンで「イリーシャさん」と呼ばれているあたり、大人っぽいイメージではあるのだろう。
ただ、ファンの生徒たちは地球寮とのチーム戦の際、足元に映る丸型観戦用モニターの周囲を円形で囲むという不思議な体勢を取っていた。


メイジー・メイ


「大丈夫だって、その時はみんなで励ましてあげようよ!」

CV:貫井柚佳

パイロット科2年。学籍番号はLP-011。髪の短い活発な印象の、ちょっと富野っぽいネーミングの少女。
いつも笑顔を絶やさない明るくフレンドリーな性格で、仲のいいイリーシャを励ましている他、決闘後半には覚醒したエアリアルを確実に仕留めるために自身のベギルペンデをエアリアルに組み付かせ、後方に控えていたサビーナに自分への被害も躊躇わずに撃ち抜かせようとするなど仲間意識は強い。*3*4

5人の中では最も人が好さそうだが、ミオリネの会社設立を妨害しておいて「励ましてあげよう」などと言っているあたり、強者の傲慢さを持ち合わせている。
決闘開始直後も笑顔で楽しそうにしながら前衛として突撃。華麗な足技でマルタン機の武装を蹴り落とした上で頭部をもぎ取り、そのまま後方宙返りしながら近くのオジェロ機の両腕と頭部をビームライフルで正確に撃ち抜き、あっという間に2機を無力化している。
というか彼女ら5人はシャディクの暗躍にも加担している立場なので、ニコニコしながら人殺しの計画を傍観している彼女も立派な悪女と言って差し支えない。何で…笑ってるの……人殺し…!

第15話では眼前でニカがノレアからひたすら暴行を受けている姿を目の当たりにしても、普段のニコニコ笑顔を崩さぬままに「こーら、落ち着きなよ」と軽く言うだけで止めようともしないという姿を見せたことで、「フレンドリーじゃなくて最早サイコパスだろ」と、彼女に恐怖を抱く視聴者が続出することになった。(ただし、ニカは前話において自らの出自をフロント管理者にリークしようとするという独断行動に出ようとしており、エナオが事前に阻止しなければシャディクや自分たちが最悪総崩れになっていた可能性もあったため、止めてやる義理などないといった事情もあるが。)
そして第20話においてもプロスペラの暴走で自分たちの計画は最早瓦解寸前の上、眼前にはプロの軍人であるカテドラル部隊が迫っているという局面に追い込まれてさえ、コクピット内でいつもの笑顔を絶やさずにのほほんとしていたことから、「自身の命にすら執着していない」「何かしらの感情が欠落しているのではないか?」などと言われるようにもなった。とは言えドミニコスには普通に投降している

エナオ・ジャズ


「ミオリネの前ではヤマアラシなのよ、シャディクは」

CV:若山詩音

パイロット科3年。学籍番号はKP-015。銀髪で前髪を長く垂らした寡黙な少女。
会話シーンではよく座禅やヨガのようなポーズを取っており、スピリチュアルな趣向があるようだ。
ファンの生徒たちは彼女のことを「エナオ嬢*5」と呼び慕っている。

決闘ではティルを筋が良いと評するも、やはりメカニック科では相手にならず、容易く撃破した。
チーム戦後半の覚醒後、まるで背中に目が付いているかのように攻撃をかわすエアリアルにただならぬものを感じ取ったのか、「気持ち悪い」と嫌悪感を露わにした。

第2シーズン以降は本格的に動き始めたシャディクと行動を共にしている描写が多く、スーツ姿が基本であることから彼の秘書のような立ち位置を主としている。
議会との連絡も彼女が行っているようだ。
尚、この関係上、第2シーズンでは他の4人と異なりMSに乗るシーンが無かったため、結果的にメンバーの中では第1シーズンでの決闘が唯一の戦闘シーンとなっている。



搭乗モビルスーツ

グラスレー社製のモビルスーツに搭乗。グラスレー社のモビルスーツは基本全て海老川兼武氏がデザインしている。

  • CEK-077 ベギルペンデ
頭頂高:18.2m
重量:52.9t

地球寮との決闘で彼女ら5人に配備されたモビルスーツ。
プロローグに登場したベギルベウの後継機で、CEラインにて時代基準の改良を加えたグレードK直系の最新機種。グラスレー社のフラグシップ機となりうる性能を有する。
カラーリングは紫。大型の専用ビームライフルと十字型の大盾「ノンキネティックシールド」を装備し、盾の内側にはビームサーベルが格納されている。
ノンキネティックシールドにはスライド展開式のアンチドートユニットと有線式の遠隔操作機能を備えており、おまけに背部には対GUNDフォーマット用のジャミング兵器「補助型アンチドート」を2基搭載。
盾と合わせてGUNDフォーマット機を停止させるフィールドを展開させる。
機体自体には突出したところは無いが集団戦でのパフォーマンスは高く、特に高い機体性能を誇り一機当千とも言えるGUNDフォーマット機に対しては集団で包囲しながらアンチドートを展開・接近してトドメを刺す戦法を取れる。

第12話でもプラント・クエタでドミニコス隊使用の4機体が登場。
こちらでもガンダム・ルブリス・ウルを集団で囲み、「アンチドート」を展開して停止に追い込もうとするが、パーメットスコア4以上を出されると無効化されるという弱点が明かされ、ルブリス・ウルによって全滅。
第20話ではまたもドミニコス隊が使用。
シャディク隊と交戦し、シャディク隊を完全に制圧。
学生との実力の違いを見せつけた。

  • CFP-010 ハインドリー
頭頂高:18.4m
重量:52.0t

ランブルリングにてサビーナとレネが使用した量産型モビルスーツ。グラスレー社の汎用OS「ハイン」を採用したハインシリーズの最新鋭機で、プロローグでドミニコス隊に配備されていたハイングラの後継機にあたる。
カラーリングはグレーがかった緑。型式名はCFラインで製造されたPグレードの機体という意味で、ベギルペンテ等とは別系統の機体とわかる。
バックパックに搭載された3門の筒状スラスターが特徴的で、肩と足裏のスラスターと合わせて高い姿勢制御能力を持つ。
主武装は盾とビームハンドガンと電磁射出式ランスが一体化した「ランタンシールド」で、射撃と刺突の複合攻撃が行える。
同系統の機体に実戦用の「ハインドリー・シュトルム」がある。そちらは15話で地球のテログループと激戦を繰り広げる。

ベギルペンテと比べてより「量産型」の趣が強い機体であり、恐らくはあちらほどのスペックは持たないと思われる。何より対ガンダムでの強みであるアンチドートユニットが無い。
これについては、先の決闘で既にベギルペンテが5機も中破しているし、あくまでエキシビジョンマッチなので対外的にも不自然ではないが、
この時の彼女らの真の目的を考えると、敢えてガンダムに対して対抗手段を持たない機体を選んだ可能性が高い。

余談だがこのハインドリー、1st Season時点で登場MSに名を連ねてガンプラ化まで果たしておきながら本編ではカメオ出演すらないという悲しい事態が起こっていた。
ランブルリングではそれなりに見せ場があり、汚名返上と言ったところか。

余談

美女ばかりのパイロット部隊ということで、ファンからは同じガンダムシリーズの過去作になぞらえ「令和のシュラク隊などと呼ばれている。
シュラク隊に限らずガンダムシリーズの女性部隊は何かと不幸な目に遭いがちなので、この先生きのこれるかどうかかなり不安視されていた。まあネネカ隊じゃないだけまだマシ。
あくまで学園ものの範疇なら大丈夫だろうと思っていたら、Season1終盤~Season2以降は他ならぬ彼女らグラスレー寮サイドが物語を物騒な方向へと押し進めていった。
が、結果は上述のSeason2においては上記の通りで、ガンダムシリーズという枠組みに限らず珍しい結末を迎えた存在とも言える。
ちなみに2023年末にガンダムチャンネルで配信された「ガンチャンNEW YEAR'S EVE 2023」内の企画「ガンダムシリーズ ゆく年くる年2023」においてスレッタとミオリネが「視聴者の皆さんから、サビーナさん達はシャディク隊って呼ばれてましたよね」「シュラク隊になぞらえているわけね」と発言しており、公式にもシャディク隊の名は知られているようである。

モチーフはおそらくシャディクと合わせて、17世紀に実在した宗教家セバスチャン・ミカエリスと5人の修道女。
悪魔に憑かれたという5人の修道女はロミロン神父と共にミカエリスのもとで悪魔払いの儀式を行うも、失敗に終わっている。


追記・修正はドミニコス隊に投降しながらお願いします。

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最終更新:2025年03月10日 09:20

*1 イリーシャとメイジーがリニア車輌をロープで降下したり、銃撃の際のやたら手慣れた様子から、本格的な軍事訓練を受けていることが示唆されている。

*2 ただしこの時は台詞は無かった

*3 決闘用の調整としてコクピットには直接的な被害が出ないという前提を踏まえてでもあるが

*4 この目論見はエアリアルがビットバリアを展開し、自分ごとサビーナからの射撃を防御したことで失敗に終わっている。

*5 語感のせいで「エナ”お嬢”」と聞き間違える人もいたとか