沼淵己一郎

登録日:2023/08/16 Wed 12:52:13
更新日:2025/03/28 Fri 22:51:03
所要時間:約 12 分で読めます




沼淵己一郎(ぬまぶちきいちろう)とは『名探偵コナン』の登場人物。



【人物】

逃走中の連続強盗殺人犯。
関東、東北、近畿と3日続けて殺人を重ねた凶悪犯として知られており、彼が事件に関わっている可能性が出てきただけでコナン平次が顔色を変えるほど。

外見は骸骨に皮膚が張り付いたような痩せこけた凶悪な面構えの男。
非常に身軽で、猿のようにやすやすと木に登ることができる。


【作中での動向】

◆単行本第19巻収録『浪花の連続殺人事件』

連続殺人事件の関係者たちが20年前に同じ運転免許の合宿に参加していたこととその合宿の教官だった稲葉徹治(いなばてつじ)が卒業の日に飲酒運転で死亡していることが判明。その合宿には沼淵も参加しており、経歴などから事件の犯人と疑われる。
しかし、箕面の滝近くの山小屋で発見された時は何故か何者かに拘束された状態であった。拘束・監禁後、何日間か放置されていたのか発見直後は空腹を訴え、食料を求める。
大滝たちに連行される最中、転倒を装って拾った包丁を手に逃走を図り、前方にいたに襲い掛かってかばったコナンを刺すが、その直後に和葉に取り押さえられた(なお、コナンは平次から預かっていたお守りの中にあった「鎖のかけら」がちょうど刃先に嵌ったおかげで大事には至らなかった)。


以下ネタバレ








か、かんにんしてくれ稲葉教官!!あれは悪フザケやったんや!!

無理やり酒飲ましてブレーキオイル抜いた車に乗せて、
鬼教官のあんたがビビる顔を見たかっただけなんや!!



逃走を続けていたが、ある時大阪府警の刑事に発見されてしまう。
その刑事とは稲葉の息子である坂田祐介(さかたゆうすけ)で、彼は運転に関して人一倍厳しかった父が飲酒運転するはずがないと思い、事故の真相を暴くべく刑事になっていた。
坂田が沼淵を発見したのは全くの偶然で坂田は稲葉と沼淵に関わりがあるなどとは思っていなかったのだが、拳銃を構えた坂田の顔が稲葉にそっくりだったため、沼淵は突然怯えだして20年前の事故の真相を全て白状する。
沼淵は20年前の免許合宿の時、参加していた他の5人と共謀。稲葉に無理矢理酒を飲ませ、ブレーキオイルを抜いた車を運転させた。結果として車は壁に激突し、稲葉は死亡する。
これは殺人罪(もしくは過失致死罪)に相当するが、(連載当時において)殺人罪の時効は15年だったため、彼らを罪に問う事はできなかった。
そこで坂田は法律に代わって鉄槌を下すべく、20年前の事件に関わっていた6人を次々と手にかけていく。そしてターゲット全員を殺害した後は沼淵に全ての罪を着せ、自殺に見せかけて殺害する予定だった。

危うくスケープゴートにされて殺されそうになったものの、彼自身連続殺人犯なうえ、刃物を手にすれば女子供構わず刺そうとするなど、同情の余地はない。
今回で身柄を拘束され、もう出る事はないだろうと、大半の読者・視聴者からも思われていたが……。





◆単行本第35巻収録『迷いの森の光彦』

まさかの再登場

行方不明の光彦を探し、目撃証言を辿って群馬の山奥までやってきたコナン達だったが、そこで山村ら群馬県警の捜査員達と遭遇。
山村の話によると、沼淵は取調べを受けていた時に急に「4人殺した」と言い出し、その人物の遺体を母親の故郷である群馬の森の中に埋めたと供述したので、大阪から群馬に移送されて現場検証に立ち会う。
しかし朝から現場検証をしているものの記憶が曖昧だったため、森のどこを掘っても死体が見つかる気配がなかった。
そして警察の隙を突いて逃亡し、森の奥へと消えていった。
最初から逃亡するために「死体を森へ埋めた」とウソをついたとも考えられたが、山村の話では逃走する直前にもこの森での思い出話をしていたらしく、とても逃げる様子ではなかったという。

また灰原は沼淵の特徴をやけに詳しく知っており、彼が側にあった木の上に身を潜めていた時には「何も感じなかった…」と動揺するが……?


以下ネタバレ









一緒やな…

おまえはワシと…


同じや…


実は持ち前の身軽さを買われて一時期黒の組織に所属していた事がある。しかし組織の一員と言っても末端中の末端であり、コードネームも与えられていない。
組織は彼に殺人術を叩き込み有能な殺し屋にしたかったようだが、どうにも使えなかった為に人体実験のモルモットとして灰原が所属していた組織のラボに送り込まれており、その為、灰原は事前に送られてきた資料で彼の事を知っていた。
灰原は彼に自分の作った薬を投与して効果を試そうとしていたが、組織の大きさに怖くなった彼は人体実験の前に逃亡する。
そして、組織の影に怯えながら、無関係な人間3名を組織の追っ手と勘違いして殺害していった。
もっとも「組織に入る前から遊び半分で人を殺していた為同情の余地はない」と灰原は語っている。
(この遊び半分で犯した殺人というのは、稲葉の件である可能性は高い。表向きは事故死として扱われたこの事件の真相を灰原が知っていたのは、沼淵が組織に所属した際にこの事件の真相を喋った*1か、事件解決後に真実が公表された為と考えられる。)
逃走の末に逮捕され、テレビカメラに向かって「悪いのは奴ら(黒の組織)だ」と叫ぶが、ただの言い訳にしかとらえられなかった事と組織に深入りしていなかった事、そして自らが起こした連続殺人の裁判で死刑判決が下された事から、組織は彼から手を引いているようである。

取り調べで4人目の遺体を埋めたと言って群馬の山奥まで行き、警察の隙を突いて逃走する。
そして辺りが暗くなるまで森の中をずっと彷徨っていたが、木の上にいた時にコナン達の会話を聞き、子供が蛍を探しにこの森に迷い込んだと推測する。
その後で光彦と遭遇すると、彼に危害を加えようとせずに捕まるのを覚悟で彼をコナン達の元まで送り届けた。

光彦を送り届けた後は大人しく警察に捕まりそのまま連行される。
この一連の彼の行動を見て、コナンは「ひょっとしたら4人目の遺体を埋めたなんて話はウソで、死ぬ前にかつて森で一緒に遊んだ旧友(蛍)に会いに来ただけかもしれないな」と推測する。
そう考えると、森の中で光彦に出会った時にふと「お前はワシと同じや」と呟いたのも説明がつく(どちらも蛍を探しに森までやってきていた為)。
そして連行されている途中で蛍が一斉に飛び立つと沼淵はどこか懐かしくも寂しそうな表情でその幻想的な光景を眺めていた。


【余談】

アニオリ回の『謎の美女記憶喪失事件』等のように最初から脱獄囚として登場した人物はいたものの、過去のエピソードで捕まった犯罪者が逃亡犯として再登場したのは沼淵が初めてである*2



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最終更新:2025年03月28日 22:51

*1 表社会では決して発言できないことでも、闇社会に属する組織では喋ることもあるだろう。

*2 のちのエピソード『揺れる警視庁 1200万人の人質』に登場した犯人も劇場版で脱獄しているが、こちらは何者かに殺害されるという「コナン」でも非常に珍しい事が発生している。