山村ミサオ

登録日:2015/10/17 Sat 09:45:38
更新日:2025/04/24 Thu 19:52:43NEW!
所要時間:約 10 分で読めます




山村ミサオとは、漫画『名探偵コナン』の登場人物。
名前の由来は『キャサリンシリーズ』などで知られる推理作家「山村美紗」から。


CV:古川登志夫/村瀬迪与(幼少時)


□概要

群馬県警刑事部捜査一課に配属されている刑事。年齢は推定20代。
一人称は「僕」や「私」。また自称のあだ名は「山さん」で、読者からもよくそのあだ名で呼ばれている。
~してくれちゃったり、何言っちゃってくれちゃって~」という口調で話す。これは広川太一郎氏をイメージして書いているらしい。
ヒョロッとした頼りない風貌の人物でオデコが広め。幼少期は坊っちゃん刈りだった。

また、鳥取の八頭に住んでいる祖母・ミサエ(CV:堀絢子)を敬愛しているおばあちゃんっ子。
ミサエは年齢の割にはかなりアグレッシブで、F1やカーチェイス系の映画を好んでおり、自分でも車を運転して峠の走り屋とバトルを繰り広げた事のある元気なおばーちゃんのようだ。
なお、顔と声は山村とよく似ており、彼女に限らず山村家の人々は全員似たような顔をしているらしい。

本来はチョイ役程度で終わる予定のキャラだったが、担当声優の古川氏の声を作者が気に入った為、徐々に原作でも出番が増えていった。
同氏もこのキャラを結構気に入っているようで、SNSサイトに山村の手描きイラストを投稿することも。

明るい性格でコナンたちにも好意的に接し、基本的には悪い人間ではないものの、かなりのおっちょこちょい且つお調子者。
そのうえ肝心の推理力はお世辞にもいいとは言えず、たまに「この人本当に刑事か?」と疑いたくなるようなトンチンカンな発言もする事がある。
おまけに洞察力や観察力も低く、現場が自殺や事故にしか見えない時には殺人の可能性を考慮せずにさっさと捜査を切り上げようとする困ったところもある。
おまけに後述の通り有希子を始め、メインキャラやその身内(小五郎園子京極)を怪しんで犯人扱いすることも多い*1

なので江戸川コナンたちからは度々「ヘッポコ刑事」と呼ばれており、彼が事件の担当になった際に露骨にガッカリされる場面もしばしば。
勿論山村本人に悪気はなく、『迷いの森の光彦』では自分の不甲斐なさを嘆いていたが、その時は探偵団に励まされすぐに立ち直っていた。
ただ、稀にそのトンチンカン発言が事件解決の糸口になる事もある。稀に。

本人の性格も相まって、警察側の人間で唯一コナンが麻酔銃を使って探偵役をやらせられる存在となっている。
……というよりも事件の真相を語ろうとする際には、真犯人以上に噛みついてくる場合があるので、コナンからは非常に鬱陶しがられており、事件の真相を語る時は「この方が手っ取り早い」からと山村を麻酔銃で黙らせて探偵役に仕立てることが多い。

□活躍

初登場は第14巻収録の『追いつめられた名探偵! 連続2大殺人事件』。
この時はまだ一課に配属されたばかりの新米で、ヘッポコというより経験がなくどこか頼りない刑事という印象で、言葉遣いも普通であった。
警察官を志したきっかけは、工藤新一の母・工藤有希子が主演を務めた『アブない婦警物語』を見たことからだといい、この事件で憧れの有希子と出会う。
だがその時にアリバイがないというだけで有希子を疑った為、彼女から「ヘッポコ」呼ばわりされる事になった。
この事件では、コナンが有希子に探偵役を務めてもらおうとしたが拒否された為、「他に適任がいない」という理由で探偵役に抜擢され、腕時計型麻酔銃で眠らされ事件を解決に導く。

以降も他に探偵役がいない場合や、『河童が見た夢』などのようにエイリアンの仕業というとんでもない理由で捜査を終了しようとしていた時に眠らされるようになる。
ちなみに、2025年現在で探偵役として眠らされた唯一の警察関係者。
また、コナンが山村の声で推理を披露しているときだけはイケメンボイスになっている。

なお、この事件の際の有希子がついた嘘のせいで、山村はコナンを「有希子の第二子」と思っている。
後の『容疑者・毛利小五郎』で遭遇した際に、蘭や小五郎らの前で「この息子…」と口にしようとしたが、コナンが必死で「ムスーッとしたおじいさんが犯人だったんだよね!?」と口を挟んだため誤魔化された。
それ以降の登場ではその事について触れない為、当人も周りも認識の差異に気付いていない様子。

小五郎のファンでもあり、眠りの小五郎の推理をビデオに収めて一課のメンバーとそれを鑑賞しようとしていた事もある。
だが、『容疑者か京極真』で何の説明もなくトリックの実験台にされた時は「こんなんで人が死ぬかってーの」と小五郎(を探偵役にしたコナン)の推理を疑いながら実験に付き合っていたので、盲信しきっているわけではない。
一方、小五郎がいない時にはコナンの助言を聞かずにつまみ出そうとするようになり、彼には「小五郎のおっちゃんと変わらねえ…」と不満がられた事もある。
『割れない雪だるま』では「飲み会に参加したいから」という理由で早々に捜査を切り上げようと、阿笠(コナン)の推理に聞く耳を持とうとしなかったので、「このほうが早そうだから」という理由でコナンに眠らされ探偵役になっていた。

コナンが彼の声を借りていくつも事件を解決したせいか、劇場版『漆黒の追跡者』にて遂に警部に昇進した。


遂に警部に昇進した。



※凄く大事な事なので2回言いました。


ご存知警視庁の目暮十三警部や、切れ者で知られる長野県警の大和敢助警部と同等、佐藤美和子警部補や高木渉巡査部長よりも上の階級に、あろうことか山村もなっちゃってくれちゃったりしてしまったのだ。
初登場時はペーペーだったので、作中で同じく警部に昇進していた白鳥任三郎横溝参悟を上回るスピードで出世している事になる。

一応言っておくと、実際の警察の制度では山村が本当に切れ者であったとしても、この年齢で警部に出世するのはキャリアでもなければまず不可能。
もし昇任試験を受ければ必ず突破できる天才でも、階級が上がってから数年は次の階級の昇任試験を受ける資格は与えられない為、巡査長から警部補になるのに早くても1〜2年、警部補から警部になるにも同様に時間がかかり、しかもそれは理論上の話なので普通は何年も試験に落ち続けてやっと合格となる。
それにもし合格しても、そもそも各都道府県警の定員は階級ごとに決まっているので、定員オーバーになるなら昇進はできないのだ。
そして、『コナン』の世界は大人の事情の為、数百もの事件が発生しても実際の時間はあまり経過していない事になっているので、かなり贔屓目に見ても刑事の資格を得て一課に配属されてから1年くらいで警部になっているやべー奴である。

なお、いわゆる「キャリア組」なら20代で警部はありうるのだが、キャリア組の場合は警察入省後2年でほぼ自動的に警部になる為、もし山村がキャリア組だった場合は逆にありえないほど出世が遅い事になる。こっちの方がしっくりくる……。
いずれにせよ、現実と混同しないようにしてほしい。

この設定は原作にも逆輸入され、コナンからも「このヘッポコが警部とは…」と心の中で突っ込まれていた。
もしかしなくてもコナンが探偵役にしたせいだが、そもそも有希子が素直に探偵役になっていたら山村が探偵役にはならなかった為、このスピード出世は有希子のおかげといえる。

警部になっても相変わらずだが、昇進で浮かれていたからか、昇進して間もない頃はそのヘッポコ振りに拍車がかかっていた。
『漆黒の追跡者』では転倒した拍子に警察手帳を指名手配犯の前にうっかり投げ出した事で相手を不用意に刺激してしまいショッピングモールが騒然となったり、『探偵事務所籠城事件』では、現場の様々な不審な点も「密室だったから関係ない」と見なして殺人を自殺と勘違いして捜査を切り上げてしまったせいで、その捜査に不信感を抱いた遺族が真相を解き明かして犯人に復讐する為に毛利探偵事務所に籠城してしまうなど、事態を更に悪化させてしまっている。現実の群馬県警が怒らないか心配である。

『容疑者か京極真』では、警部になったのを期に自身の特徴的な口癖を直そうとした事もあった……が、いつの間にか元に戻っていた。

一応たまにまともな事を言う事もあり、『山菜狩りとクローバー』では、トリックは解らなかったものの「本当は山に遺体を放置して、山菜取りで呼んだ人たちと一緒に遺体を発見したふりをしたんじゃないですか?」と犯行の全容をほぼ言い当て、真犯人の女性を怪しんでいた*2
また、アニオリ回『危ない化石採集』では、身勝手な動機で殺人に及んだ上に「私にはまだ、なすべきことがたくさんあるというのに」などと嘆く犯人に対し「あなたがなすべきことは、たった1つしかありませんよ。あなたがなすべきことは、しっかり反省して罪を償うことだけです」と諫めている。

その他、なぜか山姥や「河童」、魔女など、オカルティックな存在にまつわる事件を担当する事が多い。
最初はそれらの存在を否定するも、後にその妖怪がやったとしか思えないような事実が発覚すると掌を返してその存在を肯定しだすのが最早お約束になっている。
それでもそれらの事件がコナンや服部平次の協力によって解決している事から、いつしか「妖怪ハンター山村」を自称するようになった。


□知人・交友関係

現在に至るまで、ネームドの上司や部下が登場したことはない。

長野県警の大和敢助とは、『漆黒の追跡者』で顔合わせしていたが、山村はその事を忘れていた為、『群馬と長野 県境の遺体』では初遭遇と思っていた*3
また、同エピソードでは「スコッチ」として黒の組織に潜入していた警視庁公安部の諸伏景光とは幼なじみであることが判明する。
山の中で虫取りをしていた時に群馬と長野の県境で景光と出会い、互いに「ミッちゃん」「ヒロちゃん」と呼び合う仲になり、県境に二人の秘密基地を作って遊んでいた。
そして「大人になったら正義の味方になろう」と約束していたので、刑事ドラマに憧れていた事もあり警察官になる事を決意したという。ただし連絡は二人が子供の頃に既に途絶えており、当然景光が公安に配属された後にその職務に殉じたことも知らない。

そして現在、現場で知り合った長野県警の諸伏高明が景光の兄と知り、事件解決後に高明の推理で秘密基地に隠された景光のメッセージを見つけ涙ぐむのだった……。


□余談

実は下記の諸々の理由により、山村こそが黒の組織のNo.2ラムなのではないかと疑うファンもいた。
  • 人と話す時に顔を近づける癖=距離感がつかめていないので片目が義眼なのでは?*4
  • 男性でも女性でも通じる名前=RUMの人物像の中に女性のような男性があったため
  • 山村を反対にしてローマ字表記にすると「ARUMAMAY」とRUMが入ること。
  • 声が『うる星やつら』のラムちゃんのダーリン
読者からの「山村警部は組織と関係ありますか?」という質問に作者が「ないです」と否定を示したことで潔白が証明された*5仮に組織と関係があったら重要キャラとなってしまう為、アニオリにはまず登場しないだろう。

意外と声優陣からの人気は高く、新一役の山口勝平氏は「新一とタイプが全然違うからこの役貰えるんじゃないか?」と狙っていたことがあったらしい。
他にも、二代目小五郎役の小山力也氏や、灰原哀役の林原めぐみ氏も気になるキャラとしてミサオの名前を挙げている*6

一方、実際の群馬県警からはどう思われているかは不明。
隣の長野県警の大和敢助については作者が長野県警に取材した際、長野県に優秀な警部を出してくれたことに感謝されたというが、
群馬県警はこのヘッポコについてどう思っているだろうか……。

アニオリ回には数年に1度登場する程度で、基本的に1話解決回の登場がほとんどだったが、2024年に放送された『ルーブ・ゴールドバーグマシン』で初めてアニオリの前後編に登場した。

担当声優の古川氏は、過去にベルモット声の主人公が登場するアニメでも警察官を演じていた。


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最終更新:2025年04月24日 19:52

*1 園子の件は、オリジナルエピソード『テニスコートに潜む悪魔』でコナンが園子を眠らせて容疑を晴らした後、犯人扱いされたことに腹を立てていた園子にエピローグでお仕置きされていた。

*2 探偵団のせいで捜査が進むうちに犯人の目論見通りに容疑者から外してしまったが。

*3 近年は原作と劇場版が同一世界になる事が多いが、アニメ版から見ると『群馬と長野 県境の遺体』は『漆黒の追跡者』から15年経過している。

*4 これは横溝参悟の癖でもあり、あちらには他に「屈強な大男=長身」という特徴も当てはまっているが、他に根拠が無い為か「横溝兄=ラム」説を考えるファンは少なかった。

*5 『名探偵コナン BLACK PLUS SDB』より

*6 キャラクタービジュアルブックより