ニシノフラワー(競走馬)

登録日:2024/01/23 Tue 02:24:34
更新日:2025/05/31 Sat 00:36:07
所要時間:約 6 分で読めます






だって私は

まわりを見れば
おや、女の子たちしか
いないじゃないか
ここではさすがに
負けないよ

だって男の子たちに
混じったとしても
駆けて弾けて
やっつけてしまう
私なのだから
──JRA『名馬の肖像』(2020年)


ニシノフラワー(Nishino Flower)とは日本の元競走馬
メディアミックス作品『ウマ娘 プリティーダービー』にも登場しているが、そちらでの扱いは当該項目参照。
ニシノフラワー(ウマ娘 プリティーダービー)


目次

【データ】

誕生:1989年4月19日
父:Majestic Light
母:デユプリシト
母父:Danzig
調教師:松田正弘 (栗東)
主戦騎手:佐藤正雄→河内洋
馬主:西山正行
生産者:西山牧場
産地:鵡川町
セリ取引価格:-
獲得賞金:4億3,590万円 (中央)
通算成績:16戦7勝 [7-1-3-5]
主な勝鞍:91'阪神3歳牝馬S、92'桜花賞・スプリンターズS
受賞歴:92'JRA賞最優秀スプリンター、91'JRA賞最優秀2歳牝馬、92'JRA賞最優秀3歳牝馬

【誕生】

1989年4月19日生まれの黒鹿毛の牝馬。父はマジェスティックライト、母はデュプリシト。
父のマジェスティックライトはG1を4勝したアメリカ産まれの牡馬で、その父であるマジェスティックプリンスもアメリカで無敗のクラシック二冠を達成した名馬。
母のデュプリシトも自身こそ未出走馬だが、祖母のザブライドが大種牡馬のサーゲイロードの半妹で、アメリカで三冠を達成したセクレタリアトの姉でもあるというかなりの良血。
更に言うとセクレタリアトの半姉のシリアンシーの血統から後にあのロードカナロアが産まれている。
デュプリシトは初仔となるマジェスティックライトの仔を受胎した状態で購入され、そのため生まれたニシノフラワーは持込馬となる。

【戦歴】

当時の馬齢表示の都合上、現在とはレース名など一部違いあり。

1991年7月7日に札幌競馬場の3歳新馬戦ダート1000mでデビュー。
デビュー戦で1着勝利し、続く札幌3歳ステークス、デイリー杯3歳ステークス(どちらも現在は2歳ステークス)、
そして初のG1レースとなる阪神3歳牝馬ステークス(現・阪神ジュベナイルフィリーズ)といった重賞で連戦連勝を重ねていく。

続く桜花賞のトライアルでもあるチューリップ賞ではアドラーブルに敗れて惜しくも2着。
当時騎手であった佐藤正雄は自身の作戦ミスであると述べており、この敗北をきっかけに主戦騎手が河内洋へと変わる。
そして続く桜花賞で見事に勝利し、2つ目のG1勝利を勝ち取った。

続いて優駿牝馬(オークス)に挑むことになるのだが、この頃のニシノフラワーは急激に食が細り調教が万全でなかったこともあって7着という結果に。
続くローズステークスやエリザベス女王杯でも勝利を得られなかった結果、マイル及び短距離中心にシフトしていくことになる。
そして迎えたスプリンターズステークス。
このレースには安田記念馬ヤマニンゼファー、マイルチャンピオンシップを二連覇したダイタクヘリオス、そして後に「龍王」ロードカナロアと並び日本競馬史上最強のスプリンターと称されるサクラバクシンオーが出走。
レース本番では後方待機からゴール寸前で先頭のヤマニンゼファーを躱し見事勝利を勝ち取り、3つ目のG1制覇を達成した。

その後の読売マイラーズカップでも勝利するも、生涯成績においてこれが最後の1着となる。
以降の安田記念やマイルチャンピオンシップでは勝利を得ること叶わず、再戦となる二度目のスプリンターズステークスにおいても、全盛期を迎えていたサクラバクシンオーに敗れ3着。
このレースを最後に競走馬としての現役生活を引退した。

生涯戦績は16戦7勝 (7-1-3-5)、獲得賞金は4億3590万円。
勝利の内、デビュー戦を除く6勝全てが重賞で、更にその半分がG1と正に「天才少女」の二つ名に恥じぬ凄まじい活躍だった。

【引退後】

引退後は繁殖牝馬入り。
ニシノセイリュウ、ニシノデュー、ニシノマナムスメなどを産出。
残念な事に重賞馬は出なかったが、一方で未勝利に終わった馬が少なく着実に賞金を積んだため、牧場にとっては優良な繁殖牝馬だった。

2020年2月に老衰により31年の生涯を終える。
その墓は2011年に死去したセイウンスカイの墓の隣に設置され、墓石には現西山興業グループ代表の西山茂行氏によって、

天才少女から偉大な母へ

西山牧場を救った名牝に 感謝を込めて

という碑文が刻まれている。


ニシノフラワー自身の主な産駒は上述の馬たちなのだが、それとは別に特筆すべきは、同馬主の2冠馬でありながら種牡馬人気が無かったために、その血を残すべく行われたセイウンスカイとの交配。
これで誕生したのが牝馬ニシノミライだったが、6戦未勝利で繁殖入り。
そのニシノミライとアグネスタキオンとの間にできた牝馬ニシノヒナギクが生まれたが、しかしこの馬も4戦未勝利で繁殖入り。

そして、ニシノヒナギクとハービンジャーとの間に牡馬ニシノデイジーが誕生。
札幌2歳ステークス*1→東京スポーツ杯2歳ステークス*2と2歳重賞を2勝し、西山氏自ら「逆玉の輿」、「狂気の交配」、「執念の血統」とまで評する交配が16年越しに結実。
そのままクラシック戦線での活躍が期待されたが、この2歳戦での勝利を最後に勝ちが無く、古馬になってからは大敗続きだったために6歳シーズンとなる2022年に障害へと転向。
すると以前とは違う好走を見せ、障害2戦目で自身3年7か月ぶりの勝利を上げると、4戦目でJ・GⅠ中山大障害に挑戦。
オジュウチョウサンの引退レースとして注目を集めたこの大一番を制し、ついにニシノフラワー・セイウンスカイの血筋に初のGⅠ勝利をもたらした。
その後は2024年に再び中山大障害を制覇し引退。「すてきなもの」を次世代へ渡すべく、種牡馬となった。

【創作作品での登場】

「天才少女」からか、飛び級で学園に入った家庭的で純粋無垢なロリっ子で、89年生まれなのに全ウマ娘の中でも特に幼い印象のキャラになっている。
同馬主のセイウンスカイ*3とは事実上の公式カップリング扱いと言えるレベルで仲が良く、史実での子孫(未実装)を想起させるエピソードが繰り返し描かれているほど*4たまに他の交配相手*5と絡むこともあるけどね!


追記・修正は、驀進王に土をつけられる自信がある方にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年05月31日 00:36

*1 上述の通りニシノフラワーの勝ち鞍のひとつでもあるため、「曾祖母(母母母)と子での同一レース制覇」となっている。

*2 ニシノデイジーより前の優勝馬22頭のうち平地GⅠ馬11頭・障害GⅠ馬1頭、ニシノデイジー以降はコントレイルイクイノックスらが制している「超出世レース」。

*3 史実ではフラワーが年上だが、今作ではスカイが年上

*4 この2人の話にはデイジー(雛菊の花)が時折登場するが、これは2頭の孫にあたるニシノヒナギクとその代表産駒ニシノデイジーが元ネタとなっている。余談だが、ニシノヒナギクの父親はアグネスタキオンだったりする。

*5 アグネスタキオンやタイキシャトル。