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更新日:2024/08/29 Thu 07:09:01
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「俺はボスク。こっちはラッツ・ラジィ。賞金稼ぎよォ……」
ボスク(Bossk)とは、『
STAR WARS』シリーズのキャラクター。
トカゲのような種族、
トランドーシャンの男性。
賞金稼ぎである。
ちなみにフルネームはボスク・ワサック・クラドスク(Bossk'wassak'Cradossk)。もっとも作中では「ボスク」とだけ呼ばれることがほとんど。
ボバ・フェットやオーラ・シングなどと並ぶ実力者として知られる。その勇名は
ダース・ヴェイダーの耳にも届いていた。
▽目次
【外見・種族】
「俺たちはスコアキーパーの定めるがままに生きて死ぬ。そして俺は偉大な女神の恩恵を、誰よりも受けているンだ」
種族はトランドーシャン。惑星トランドーシャ出身。
黄色・黄土色の鱗に全身を覆われた爬虫類種族で、人間のような直立二足歩行をしながらも、頭部は完全にトカゲそのもの。頭にはひれのような突起の列があり、頭蓋骨からして尖っている。
指は手・足ともに三本のみだが、巨大なかぎ爪を有しており殺傷能力は極めて高い。特に手は大きい。ただ、それ故に人間やウーキーに比べると不器用であった。
また元は樹上生物から進化したらしく、木や崖に登ったり、細い足場を歩いたりも平気。
肉食で、牙は鋭く尖っている。顎の力も強く、獲物は料理せず生きたままかじりつくという。
全身を覆う鱗・皮膚は非常に頑強で、それは足の裏まで覆っているので、彼らは靴を履くことがない。
高い再生能力も持つ。
たとえ腕や足を失っても、何度か脱皮を繰り返せば生え替わる(さすがに完治には一年はかかるが)。そのためサイバネティックスによる義肢は装着しない。
トカゲの尻尾は切れても再生するが、彼らはそれを全身でやれるのだ。
非常にタフで、エレクトロスタッフで殴られてもほとんど効かない。
鱗は黄色系統の者が多いが、たまに緑や赤のような色彩を呈する者もいる。
トランドーシャンは狩猟民族としても知られる。
狩りを楽しみ、強い敵を殺傷することを名誉とし、大人としての通過儀礼も狩りによる殺戮にある。
特にウーキーへの憎悪はすでに本能にまでしみこむと言われており、種族を挙げてウーキーを狩ろう・殺そうと狙い続ける。
屈強な肉体と激しい闘争本能を持つこともあって、彼らは銀河系で傭兵や賞金稼ぎ、探検家など肉体労働に撞くことが多かった。
彼らの文化には「スコアキーパー」と言う女神がいた。
トランドーシャンの狩った獲物はこの女神に捧げられる。女神は狩りの獲物がいかほどの価値があるかを計算し、その成果に応じた加護を狩人に与える。
女神はこの世界に時空を超えて常に存在するという。
トランドーシャンには武闘派が多いが、頭が悪いわけではなく、たまには知恵者や技術者もいる。
『クローンウォーズ』では廃品回収業者が登場し、
R2-D2のメモリーバンクを解析したことがある。
直後に生意気な態度を取ったためグリーヴァス将軍に殺されてしまったが
ごく希にだが、
フォース感応者として生まれ、
ジェダイになった人物もいた。
頭のいい人物も結構いて、銀河帝国がウーキーの奴隷化政策をとったのも、トランドーシャン政府が銀河帝国に働きかけた結果らしい。つまり政治工作ができるということだ。
【性格】
「いや、降りねえ。最後までとことん付き合うぜ。カネが入り用でな」
冷淡で冷酷、かつ気分屋な、いかにも暗黒街の賞金稼ぎにふさわしい性格。
ただ、請け負った任務に対しては全力を尽くす主義で、彼が賞金稼ぎの中でもトップクラスの勇名を馳せたのは、数々のスキルも然りながら、ある意味で真面目な性格にも関係していたようだ。
といって無謀ではないので、勝ち目がないと分かれば降伏もするし手を引くこともある。
仕事の傾向としては単独行動を好むが、必要となれば他者と組むこともできる。
意外と連携は真面目にするタイプで、捕虜の監視や船の待機など裏方に回ったり、はるか年下のボバを抵抗なく立てたりと、必要に応じて抑えに回れる性格。
そうした理由で顧客からの信頼も割と高かったようだ。
意外と面倒見がいいのか、幼いボバの後見人・保護者としていろいろ立ち回っていたことも。
一方で狩猟民族としての闘争心も強く、さらに種族の伝統でウーキーに対して激しい敵意を見せる。
トランドーシャンは「狩りこそ至高」「本能は素晴らしい」という思想を持っているため、その思想を色濃く受け継ぐボスクも凶暴な人格となるのは当然だった。
残虐さも備えており、捕えた獲物の皮を剥ぎ、生肉を好んで喰らう。
また、ボスクはトランドーシャンの女神「スコアキーパー」を熱心に信仰しており、女神の寵愛は他のハンターよりも強いと信じていた。
そうしたところはまさに究極のトランドーシャンと言える。
【能力】
「俺から隠れることは誰にもできねえ」
恐ろしい殺傷能力と知性を誇る。
その爪や牙は近接戦闘で十分な武器となったし、銃火器の扱いにも長けていた。何なら素手の戦いでも、腕利きの剣闘士二人や武装したクローントルーパー二人を同時に倒すレベル。
武器としてはグレネードランチャーを好んだという。
再生能力も強く、腕や足を失ったことがあるが、種族由来の再生能力でやがて回復した。
単純な戦闘力だけではなく、各種技能にも優れる。
嗅覚は獲物の細かい特徴まで探ることができ、ウーキーと言うことだけではなくどの部族の特徴があるかさえ探れる。
種族の能力頼みでもなく、獲物の足取りを見つけ出したり、敵の裏事情を調べ上げたり、罠を張って獲物を誘い込んだり、噴煙に紛れて身を隠してから奇襲したりと、作戦を練る能力も高い。
弱点は嗅覚や視力など基礎能力が高いがために、却って急所となり得る点。
毒霧を顔に吹き付けられた際には強烈な刺激臭で一時行動不能になったことがある。
【来歴】
◆前歴
「俺はボスク、クラドスクの息子だ……」
生年は、レジェンズ設定では53BBY。EP1時点で21歳、本編初登場となったEP5では56歳ごろ。
父親はクラドスクといい、彼も賞金稼ぎだった。
年齢は不明だが長らく活動してきた歴戦の戦士で、トランドーシャン社会でも賞金稼ぎ業界でも尊敬され、さらに賞金稼ぎギルドの大幹部(マスタークラス)にもなっていた。
ボスクは、生まれた直後にある伝説を残す。
卵から孵化した彼は、まだまともな意識もないというのに他の卵を襲い、ことごとくを食い破ってしまった。
実はたった一つ破壊を免れた卵もあるのだが、それもボスクは一度巣から堕として半壊させている。しかも、それが最後まで破壊を免れたのはボスクが迂闊だったと言うより、父クラドスクが拾い上げたためである(ちなみにクラドスクはその卵を酒と交換で売った)。
父はこの産まれた直後からの残虐さにむしろ喜び、この息子に「獲物を食い荒らせ」という意味の「ボスク・ワサック」と名付けた。
成長したボスクは父の期待に違わず、残忍で凶暴で狡猾な、偉大なるトランドーシャンの戦士となった。
賞金稼ぎとしてもたちまち頭角を現し、多くの賞金首を探し出し、捕獲し、あるいは殺して、その名声を轟かせた。
さらに先祖代々対立するウーキー族も数多く仕留めた。
一方、父に対しては「周囲が褒めそやすほど、強くはない」と見下していた。
◆クローン大戦
「嫌な雲行きだぜ……オーラから連絡がないと、俺はここを去る。おめえらを始末してな」
22 BBYからの銀河共和国と
独立星系連合の戦争「クローン大戦」期にも各方面で活動。
この時期には同じ賞金稼ぎとして
オーラ・シングと組んでおり、彼女が世話していた
ボバ・フェットにも賞金稼ぎとしてのスキルを仕込んでいた。
ボバとオーラ主導の
メイス・ウィンドゥ(ボバの父
ジャンゴ・フェットの仇)暗殺計画にも参加。通信で指示を出したり、ボバから借り受けたスレーヴIを操縦したり、共和国軍将校を捕縛・監視したりと、
オーラの補佐に努める。
臆病風に吹かれた愚痴ばかりのキャスタスと違って腰を据えて黙々と任務に邁進しており、オーラに並ぶ実力者としての風格を見せていた。
一方、メイスの
ジェダイスターファイターを操縦するR2-D2は仕留め損なっている。
ちなみに作中のやりとりから、
オーラ・シングとホンドー・オナカーの関係を知っていた模様。
しかし最終的に、メイス暗殺計画は失敗。ボバは
プロ・クーンに、オーラは
アソーカ・タノによって倒され、ボスクもアソーカの突撃により人質を奪還、自身も捕縛されてしまった。
「ボバとやりあおうってェんなら……俺が代わりに相手ンなってやる」
その後は刑務所に投獄されていたが、獄中の犯罪者どもからボバを守っていたらしい。
キャド・ベインが脱獄計画を練っていた際にはボバとボスクも声を掛けられ、獄中でわざと派手な暴動を起こした。
しかし、ベインと首謀者モラロ・エヴァル、及び同じく声を掛けられた囚人ラコ・ハーディーン(に偽装した
オビ=ワン・ケノービ)は脱走に成功したものの、派手に暴れたボスクとボバは逃げられなかった。
「いま抱えてる仕事があるンだが、おかげで仲間が一人欠けちまった。代わりに仲間に入る気はねえか? それともサツに突き出されてエか?」
ただ、いつの間にかボバとボスク、それにキャド・ベインやオーラ・シングは共和国の監獄から脱走していた。
ガバガバじゃねーか。
大戦後期にはボバがリーダーとなって数人の賞金稼ぎグループ「
クレイツクロー」を結成。ボスクもそのメンバーに入った。
後にEP5でも共闘する
デンガーとはこの時からの付き合いである。他のメンバーは、シーリンのラッツ・ラジィ、ドロイドのC-21「ハイシンガー」、タコみたいな顔のオケッド、そしてそのオケッドにナンパされてブチ殺した
アサージ・ヴェントレス。彼女を引き込んだのはボスク。
(ちなみにオーラ・シングとの縁も回復したようで、設定資料集などではクレイツクローに彼女も参加している。ただ、この任務ではオーラは登場しなかった)
もっとも、この時の依頼は「極秘の積み荷を目的地まで護送する」だったが、その「積み荷」というのは誘拐された少女で、積み荷を奪おうと襲ってきた連中はその娘を取り戻そうとする一族だった。
当時のアサージは師父に捨てられ故郷も失い、人生に悲嘆していた。そんな状況で「拉致された少女」「取り返そうとする家族」を見たアサージは、その娘を家族の元に引き渡す。
代わりに、口先だけの生意気なクソガキボバをふん縛って箱に詰め込み、依頼人に引き渡してちゃっかり賞金はせしめた。
ボスクは後方でそんなことが起きているとは露知らず、襲撃者と戦っていたが、毒霧を吹きかけられて視力と嗅覚を失い貨物列車から落とされた。
それでも素早い身のこなしで起き上がったのはさすがだが、高速で走り去る列車には追いつけず、悔しがるしかなかった。
アサージはその後何食わぬ顔で彼らに合流、賞金を分けている。
大戦末期には、「ドゥークー暗殺命令」を請け負うジェダイ、
クインラン・ヴォスに接触を受ける。
まだボバのチームに属しており、チームごとクインランに雇われ、アサージ・ヴェントレスとも再会。惑星セレノーに潜入して
ドゥークー伯爵と戦った。
しかしドゥークーは圧倒的に強く、さらにクインラン・ヴォスが捕縛されてしまう。
チームは今度はアサージの依頼でクインラン救出に動くが、捕虜になっている間にクインランはある事情から暗黒面に落ちており、そのダークサイドのフォースには練達の賞金稼ぎも、そして
アサージ・ヴェントレスさえも叶わず、逃げ出すしかなかった。
◆帝国時代
「トランドーシャンはウーキーを狩るもンだ。知ってるだろうが」
クローン大戦が終結して独立星系連合が滅び、銀河共和国が
銀河帝国に代わっても、ボスクは賞金稼ぎとして働き続けていた。
ボバのチーム「クレイツクロー」は解散したが縁故は続いており、また賞金稼ぎギルドのメンバーとしても頭角を現していた。
銀河帝国からの依頼も幅広く受けており、銀河系辺境域の帝国法執行官としての役割を期待されて、共和国時代の犯罪記録を抹消してもらっていた。
それほどの厚遇を受けた賞金稼ぎはごくわずかで、これは同時に彼の勇名をますます喧伝した。
とはいえ別に彼が更生したわけではなく、帝国の目が届かないところでは犯罪なり私欲の殺人なり、なんでもしていたらしい。
ウーキーが母星キャッシークを挙げて銀河帝国に反乱を起こすと、ボスクは志願して帝国軍に加わった。
多くのウーキーを捕殺、あるいは帝国軍に引き渡し、また潜伏・反抗するウーキーをその追跡スキルで次々と見つけ出した。
ウーキーの反抗運動を三年にわたり指導したルタラルーを捉えたことは彼の特に大きなスコアに挙げられている。
時にはオード・マンテルまでウーキーを追っており、ここではボスクが片腕を切り落とされた(トランドーシャンの再生力により一年後に回復)。
チューバッカやハン・ソロとはこの時期に激しく戦った。
ボスクは幾度もこの二人を襲撃したが、ソロとチューバッカは優れたコンビネーションでボスクの攻撃をことごとく突破。
ボスクのプライドは傷つけられ、さらに苦戦する息子を見た父クラドスクも「お前はその程度だったか」「名前負けのようだな」「今までの手柄も見直すべきかもしれん」と公然と蔑視し始めた。
それでもボスクが実力者であることは変わりなく、他の有名な賞金首は数多く討ち取り、稼いだ賞金額もかなりの額に登った。
惑星コレリアでは地元ギャングの大規模な戦争に巻き込まれるが、ボバ・フェットとともに奮戦しながら切り抜けた。
レジェンズ作品では、この時期に父親との関係が悪化。
「老いて弱くなった父親」を見限り、殺害・捕食。有力者を失った賞金稼ぎギルドは内紛を起こして勢力を二分させた。
◆エズラとの共闘
「反乱者たち」の少し前を描いた小説作品では、後に反乱同盟軍に加わるエズラ・ブリッジャーと組んだことがある。
本作でボスクは
グロンソン・タカロというダグの賞金首を狙って
惑星ロザルにやってきた。
エズラは地元の案内ガイド(自称)をしており、ボスクは彼を雇ってタカロの場所を案内させた。
ところがこのタカロもなかなかの組織力を持っており、現地の帝国軍中尉まで支配下に置いていた。
ボスクとエズラはタカロの待ち伏せを受け、ボスクは負傷。エズラも「さっき俺を囮にしようとしたな」となじり、追い込まれたボスクは
「手伝ってくれるなら船の金庫の中身を全部渡す」と約束する羽目になった。
いちおうボスクもやられっぱなしではなく、先の待ち伏せを受けた際に猛反撃を見せ、首領タカロを気絶させるまではできたが、
ストームトルーパーの乱入もあって逃げざるを得ず、肝心のタカロは帝国軍に捕まってしまった。
その後は、ボスクとエズラは
ストームトルーパーの追跡や捜索をかいくぐりながら暗躍。
ボスクを狙っている、タカロ一味の抱き込んでいる帝国軍中尉の身柄を探り、ついに彼の正体を突き止める。
この中尉もなかなかのワルで、帝国軍将校でありながらタカロ一味と癒着したり、交通事故で死んだ同僚の籍を盗んだり、あげく「
グラディエーターの夜」という剣闘士の殺し合いイベント(違法)の運営委員を暗殺して、集まったカネを奪おうとしていた。まるで強盗である。
ボスクとエズラはこの中尉を「グラディエーターの夜」の舞台で暴露。折しもストームトルーパーの部隊が会場になだれ込んできたタイミングも合って、中尉は逮捕・処刑され、ボスクは却って帝国軍司令官から感謝を受けた。
……そしてボスクは約束通りエズラに自分の船の金庫の中身をそっくり渡したのだが、その金庫には最初から90クレジットしか入っていなかった。
エズラは憤慨したが、肝心のボスクはすでに星を発った後だった。
傷も癒えたボスクは引き続き帝国軍に雇われて暗躍。
EP4の時期には
デススターに招集され、機密情報を持ったまま逃げ出したアストロメクドロイド「261」を回収する任務を請け負い、達成した。
ドロイド専門の考古学者
チェリ・ローナ・アフラの依頼を受けた際には、よりによってウーキーの賞金稼ぎ
クルルサンタンとも組むことになってしまい、最終的に内紛を起こす切っ掛けになった。
レジェンズ作品では、銀河帝国からお尋ね者になった
ルーク・スカイウォーカーを含む反乱同盟軍の主要人物を襲撃したり、
ジャバ・ザ・ハットの依頼を受けて彼の配下の裏切り者を粛清したり、
ランド・カルリジアンに星を奪われた恨みを持つベスピンシティの前市長に雇われたりと、いろいろと仕事をしていた。
◆「チェーンブレイカー」
惑星キャッシークには、かなり前から「チェーンブレイカー」なる人物が暗躍していた。
帝国軍により捕虜・奴隷となり、過酷な労働に動員されているウーキーを各地で解放しており、かつてボスクが捕えたウーキーの指導者ルタラルーも助けられていた。
ボスクも長年捜索していたが、ウーキーに詳しい彼でも足取りは追えなかった。
その「チェーンブレイカー」の正体が分かったのが3ABY、EP5の直前である。
ボスクの罠に引っかかり、ウーキー救出に現れた一団を率いていたのは、ドシャナラウックという名の女性トランドーシャンだった。
彼女は自ら「ボスクの妹」と名乗った。手足の内三本が欠損し、残る腕も変形した、障碍者という衝撃的な姿で。
ボスクは生まれた時にその場にいた卵を全て喰らったはずだった。しかしたった一つ、ボスクが中身を割る前に机から落とした卵があった。
ひどくひび割れたその卵を、父クラドスクは拾い上げると酒代としてあるウーキーに売り払った。
クラドスクは「まあこのウーキーが食うだろう」と軽く考えていたのだが、なぜかそのウーキーはもらった卵を育て、産まれたトランドーシャンをドシャナラウックと名付けて養育したのだ。
ただ、ボスクが突き落とした影響で卵の中身がひどく損傷し、ドシャナラウックは手足に障害を負っていた。
彼女は、成長すると自分を育てたウーキーを「父」「仲間」として慕い、その「同胞」を助けるために奴隷解放工作を始めた。
さらに彼女を養育したのはチューバッカの父アティチチュクの一族だという。
ボスクは「自分の不名誉」と見なして激怒した。ここで軽々しく「感動の再会」とならないのがボスクのボスクたる由縁である。
ドシャナラウックも、兄を止めようとは思っても、「俺のおかげで助かったことに感謝するんだな」という嫌みには冷たく返す。
さらにドシャナラウックが連れてきたウーキーの一団も到着し、ボスクと一触即発の状態となったが、ドシャナラウックがウーキーたちを制止し、兄に「交渉」を開始した。
彼女は言う。賞金稼ぎ稼業は続けてもいい。ただウーキー狩りだけはやめてくれ。銀河には他にも高額の賞金首はいくらでもいるじゃないか。それとも、そんなに他の賞金首が怖いのか? と。
ボスクは激怒した。だいたいそんな「お願い」を呑む義理もない。というか、爬虫類種族であるトランドーシャンには家族の繋がりなどないのが普通だ。
だが、見渡せばボスクは一人、周囲には(障害の重い妹は戦力外としても)屈強なウーキーが大勢で包囲している。
しかも、折悪しくその部屋に銀河帝国からの通信メッセージが来ていた。ボスクがメッセージを開こうにも通信装置は妹の側にあり、彼女の要求を呑まなければいつまでもメッセージを開けない。いや、彼女はメッセージを消してしまうこともできる。
ついにボスクは降参した。妹とウーキー群団の前で「もうウーキー狩りはしない」と宣言させられたのだ。
妹はそこでメッセージ装置を起動。帝国艦隊との合流地点が示された。
妹は「ウーキーとトランドーシャンの和解の最初の一歩かも知れないわね」と語るが、部屋を出るボスクは最後まで彼女に銃を向けたままだった。
ボスクは最後に問いかける。「この約束、守るとでも思うか」と。
ドシャナラウックは答える。「もし破れば報復をするでしょうね。でも、きっと守ってくれると思うわよ、兄さん」と。
結局、ボスクは自分の船に帰還してその星から脱出した。
帝国との合流地点に向かいながらも、彼は「妹」と名乗ったトランドーシャンに対して憎悪や怒りがわかなかったことに最後まで戸惑っていた。
……と、なんかいい話っぽくまとめられたが、そこは闇世界の戦士。
帝国艦隊と合流した時点では、彼は本来の冷酷なハンターとしての気性を取り戻していた。
◆ミレニアムファルコンの捜索
「これでまたスコアが落ちちまった。あのウーキーの毛皮を手に入れれば補えるかな」
銀河帝国軍
スーパースターデストロイヤー「エグゼクター」に乗り込んだボスクは、自分と同じく招集された賞金稼ぎたちと合流した。
デンガー、IG-88、ザッカスと4-LOM、そして
ボバ・フェットと。
自分たちに対して露骨に嫌悪感を示す
ファーマス・ピエット提督に蛇のようなドーシュ語で
「口には気を付けな」と脅しを掛けている。
映画本編の登場はここが初めて。
船内では
ダース・ヴェイダーから依頼内容を説明された。目標は反乱同盟軍のミレニアムファルコン及びその乗員たち。捕獲のための手段は問わないが、必ず生きて捕えること。殺しても傷つけてもならない。
映画本編の登場はここで終わり。
ボスク、
デンガー、ボバはクローン大戦以来の同業者だったが、かつてコレリアでギャングの闘争に巻き込まれて以来、ボバはチームを組むのが嫌になっていた。
帝国軍がファルコンを発見したがまた逃げられたと報告した際、ボバはボスクとデンガーに「予測されるファルコンの逃走先座標」を送信した。
「クレイツクローの復活か」と二人は喜んだが、ボバはただ出し抜きたかっただけだった。
二人が囮のポイントにジャンプすると、ボバはその場に残りミレニアムファルコンを発見。これを惑星ベスピンにまで追跡し、最終的にカーボナイト冷凍されたソロの身柄を受け取った。
かつての弟子にまんまとだまされたと知ったボスクは激怒したが、後の祭りだった。
◆その後のボスク
ボバには出し抜かれたとは言え、ボスクのスキルが高いことは変わりなく、かつて仲間だったが裏切った元賞金稼ぎナカノ・ラッシュの捜索、インターギャラクティック銀行グループの重役エクサム・ジャーミットの暗殺などに従事する。
ランド・カルリジアンも狙ったが、チューバッカと賞金稼ぎブーシ(のかぶり物を付けたレイア・オーガナ)に妨害されて取り逃がす。
チューバッカの身柄は普通に狙っていた。やっぱり妹との約束なんて忘れてるよね☆
EP6でもごくわずかに登場。ジャバの宮殿と
サルラックの谷に向かう帆船の中に紛れ込んでいる。
新共和国の時代にも賞金稼ぎをしているらしく、犯罪組織ブラックサンに雇われて借金取りのようなこともしているとの情報もある。
ただ、トランドーシャンの寿命はレジェンズ設定では「人間よりやや短め。六十歳を超えるトランドーシャンは珍しい」と言われている。ボスクはレジェンズでは53BBYの生まれとされ、EP6では57歳とされるので、往年ほどの戦いはできなくなっているかも知れない。
【余談】
EP5でボスクが着ているパイロットスーツは、1960年代のイギリス空軍が採用していた高高度用耐圧スーツとのこと。
1966年の 『ドクター・フー』シリーズで使ったものの再利用品だとか。
2018年の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にも出演予定があったが、プロット上「出る余裕がない」とカットされた模様。
『クローンウォーズ』で多くのトランドーシャンが現れ、緑や茶色など鮮やかな色彩の個体も多かった。
……そしてボスクは黄土色一色。
「正直、ボスクの色彩は地味すぎて残念」とはスタッフの弁である。
「こいつがオケッドを殺した。その穴埋めに項目を追記・修正すると承知したんで。だよな?」
最終更新:2024年08月29日 07:09