登録日:2024/04/16 Tue 21:56:55
更新日:2025/01/04 Sat 18:27:24
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西武新宿線とは、西武新宿と本川越を結ぶ西武鉄道の鉄道路線である。
路線記号はSS。
概要
池袋線と並ぶ西武鉄道の主要幹線で、新宿から東京西部・
埼玉県所沢地区への通勤路線となっている。
小平から拝島線に直通する列車も運行されており、西武新宿~拝島間は
JR中央線・
青梅線との競合区間となっている。
また、「蔵の街」として有名な観光地である川越市への観光輸送路線としての性質も持ち合わせており、都心から本川越駅へのアクセスを担う特急列車「小江戸」も運行されている。
しかし、こちらはライバル路線で直線的なルートを取っている
東武東上線の存在もあり、厳しい戦いを強いられている。
ルーツは1895年に開通した川越鉄道で、池袋線を開業させた武蔵野鉄道とは競合関係にあり、1927年に高田馬場まで開通。この時に社名を西武鉄道(旧)と変更した。
戦後武蔵野鉄道に合併され、現在の西武鉄道の路線となった。
当初西武新宿駅は仮設の扱いで、将来的には
新宿駅への延長を計画していたものの1965年に断念。
ちなみに場所は新宿ステーションビル(現:ルミネエスト新宿)の2階部分で、改札やホームの構造物が今も残っているという。
JR
山手線と接続駅のある大手私鉄の幹線では唯一、他社線との直通運転を行なっていない路線でもある。
このため、他社でダイヤが乱れた場合でもその影響を直接受けることは少ないが、一方で当線内でダイヤが乱れると拝島線・国分寺線・西武園線にも影響が出やすい。
なお、中井~野方間の地下化工事に合わせて高田馬場から
東京メトロ東西線との相互直通運転を行う構想が出ている。
ほとんどの区間が複線となっているが、脇田信号場~本川越間は単線となっている。
列車種別
拝島線直通の有料座席指定列車。乗車券に他に座席指定券を購入することで乗車できる。
運行開始当初は下りのみの運転だったが、2023年のダイヤ改正からは上り列車の運転も開始された。
下り列車は小平から先の拝島線内は乗車券のみで利用可能。上り列車は拝島線内および小平駅では乗車のみ可能となる。
また、高田馬場駅では下りは乗車のみ、上りは降車のみ扱う。
川越への観光アクセスを目的として、下り1本のみ運行されている。
1980年から2012年まで運行された後に一度廃止されたが、2020年のダイヤ改正で復活した。
1993年ダイヤ改正で登場。上り1本のみ運行されている。
当初は田無~高田馬場間で上石神井にのみ停車し、鷺ノ宮を通過する列車のことを通勤急行と呼んでいたが、現在は上石神井と鷺ノ宮の両方に停車する。
急行は本川越~田無間で各駅停車となるのに対し、こちらは同区間内でも急行運転を行うのが特徴。
新宿線の主力種別。
全線を通して運行する列車のほか、西武新宿~新所沢間の区間列車および拝島線直通列車も運行されている。
1993年のダイヤ改正までは平日の上り列車で上石神井停車・鷺ノ宮通過タイプと上石神井通過・鷺ノ宮停車タイプの2パターンがあり、同じ種別名にもかかわらず停車パターンが統一されていなかった。
その後、ダイヤ改正により前者は通勤快速、後者は快速(2001年12月に廃止)と改められたため、現在は全列車が上石神井と鷺ノ宮の両方に停車するようになっている。
平日・土休日ともに日中以外の朝夕の時間帯を中心に運行される。
こちらも全線通しの運用のほか、新所沢発着の区間列車および拝島線直通列車も運行されている。
かつては終日にわたって運転があったが、2012年のダイヤ改正により一部列車の急行格上げという名目で大幅削減された。
全線通しの列車のほか、上石神井・田無・新所沢発着の区間列車も設定されており、さらに日中時間帯以外は拝島線直通列車、平日朝の1本のみ多摩湖線に直通する列車が設定されている。
下落合〜上井草間の一部駅でホーム有効長が最大8両までとなっている関係上、ほとんどの列車が8両で運行されているが、同区間を含まない一部の区間列車は10両で運転される場合もある。
かつては国分寺線に直通する列車もあったが、東村山駅高架化工事に伴い2019年ダイヤ改正で設定が消滅した。
過去の種別
2008年から2012年まで運行されていた。
名前の通り全列車が拝島線直通で、急行停車駅である花小金井は通過していた。
先述の急行列車のうち、上石神井通過・鷺ノ宮停車タイプの列車の種別名を改称するという名目で1993年のダイヤ改正により登場。
上りのみの運転で、2001年に急行に統合される形で廃止された。
停車駅一覧
●…停車
|…通過
▼下りは乗車、上りは降車のみの扱い
▽上りは乗車のみの扱い、下りは当駅から拝島線内乗車券のみで乗車可能。
駅番号 |
駅名 |
各停 |
準急 |
急行 |
通勤急行 |
快速急行 |
拝島ライナー |
SS01 |
西武新宿 |
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SS02 |
高田馬場 |
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▼ |
SS03 |
下落合 |
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SS04 |
中井 |
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SS05 |
新井薬師前 |
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SS06 |
沼袋 |
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SS07 |
野方 |
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SS08 |
都立家政 |
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SS09 |
鷺ノ宮 |
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● |
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SS10 |
下井草 |
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SS11 |
井荻 |
● |
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SS12 |
上井草 |
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SS13 |
上石神井 |
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SS14 |
武蔵関 |
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SS15 |
東伏見 |
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SS16 |
西武柳沢 |
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SS17 |
田無 |
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SS18 |
花小金井 |
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● |
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SS19 |
小平 |
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● |
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▽ |
SS20 |
久米川 |
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● |
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SS21 |
東村山 |
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● |
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● |
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SS22 |
所沢 |
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SS23 |
航空公園 |
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● |
● |
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SS24 |
新所沢 |
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SS25 |
入曽 |
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SS26 |
狭山市 |
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SS27 |
新狭山 |
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SS28 |
南大塚 |
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SS29 |
本川越 |
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使用車両
本項では通勤車について解説する。
なお、車両についての解説は池袋線所属のものと共通になる部分がある。
1977年に登場した旧401系以来の4ドア車。
当時西武新宿駅のホームは6両しか対応できなかったため乗降時分短縮を狙い、4ドアとなった経緯がある。
西武の車両では初めて前面に貫通扉を装備し、界磁チョッパ制御や電気指令式ブレーキを本格導入した形式である。
2000系登場後も新101系・3000系と3ドア車が増備されたこともあり、見た目も含め当時は新宿線専用車両という特殊な位置づけだった。
そのため現在まで一貫して新宿線系統で使用されている。
1988年に登場した2000系のマイナーチェンジ車。
401系・701系置き換えのために300両超と大量増備された。
一段下降窓や通勤車では初のスカート装備など、時代に合わせて洗練されたスタイルとなっている。
この形式から池袋線系統にも導入され、名実ともに101系に代わる西武の顔となった。
2013年からは戸袋窓を埋め込んだリニューアル車も登場しているが、40000系導入に伴い廃車進行中。
1992年に登場した西武初の10両固定形式。
車体はステンレスとアルミの2種類があり、後者は50番台で区別される。
地下鉄有楽町線直通用に開発された車両だが、最初に登場した2編成は量産車と機器配置が異なるため、新製から現在まで自社線内での運用を貫き通している。
西武鉄道では初となる西武ブルーの帯を纏っており、前面形状は韓国の通勤電車にそっくりなことで定評がある。
6103F以降の編成は
副都心線直通対応工事に合わせ、前面が白に変更されており、マニアからは「バカ殿」と呼ばれることも。
2023年からは一部の量産車が地下鉄直通運用を離脱し、順次当線へと転属してきている。
101系置き換えのため、2000年に登場。
前面は非貫通で、家電を彷彿させる独特のパーツ配置と椅子が硬いことが特徴。
塗装は6000系と同じブルーだがこちらはアルミが無塗装仕上げ。
1編成は西武ライオンズラッピング車両「L-train」として運行されている。
新101系置き換えのため、2008年に登場。
西武の通勤型車両では唯一拡幅車体を採用しており、「卵」をモチーフとした丸みを帯びたデザインが特徴。
カラーリングは一新され、西武鉄道のシンボルマークと共通したブルーとグリーンのグラデーションという独特なものとなっている。
「スマイルトレイン」の愛称がある。
当初は前面左側に西武鉄道のロゴが描かれていたが、増備車から省略され、既存車でも入場時に消されている。
9000系・2000系置き換えのために2017年に登場。
日本の鉄道史上初となる形式40000を名乗る車両。
0番台・50番台の2種類があり、新宿線で主に使われるのはデュアルシート装備の0番台。
全車両が池袋線の小手指車両基地所属のため、借り入れて運行する形になっている。
ライナー以外でも各駅停車を除く間合い運用にも使用される。
2016年に登場した観光列車「52席の至福」が西武新宿始発コースの際に乗り入れる。
一般車は原則池袋線・西武秩父線用のため通常は使用されないが、不定期に臨時列車で入線することがある。
駅解説
起点駅。日本最大の歓楽街
兼スラム街である歌舞伎町の最寄り駅で、駅を出るとすぐに歌舞伎町の繁華街に入る。
新宿駅とは徒歩圏内ではあるものの数百m程度距離があり、
東京メトロ丸ノ内線とは定期券・通常の切符ともに連絡運輸の取り扱いがあるが、その他の新宿駅とは定期券以外の連絡運輸の取り扱いはない。
また、
都営大江戸線新宿西口駅とも連絡運輸を行なっている。
JR
山手線、
東京メトロ東西線乗り換え。
西武では池袋駅に次いで第2位の利用者数で、線内の駅としては起点駅の西武新宿駅を差し置いて第1位の利用者数を記録している。
みそメーカー・マルコメの支社が近くにあることから、発車メロディが同社のCMソングとなっている。
西武新宿「解せぬ」
上智大学目白聖母キャンパスの最寄り駅で、エスケー本社も近い。
都営大江戸線との乗り換え駅だが、川を挟んでおり連絡通路も設置されていない。
現在、当駅~野方間の地下化工事が進行している。
江頭2:50がかつて住んでいたという街の最寄り駅。
駅名の由来は近くにある梅照院の別名から。
池袋の仲間っぽい地名だが全く関係はない。
通過線が設置されているが、急カーブの最中に位置するため通過速度は遅め。
駅の下を環七通りがアンダーパスしている。
しかし駅前にロータリーはなく、道も狭いため、少し離れたところにバスが発着する。
駅名は付近にある都立鷺宮高校の旧名である「東京府立中野高等家政女学校」から取られている。東京家政大学の最寄り駅ではないので注意。
中野区最西端の駅。
日中は下り各駅停車の全列車が当駅で急行との緩急接続を行う。
西武初の太陽光発電システムを備えた駅。
西側で環八通りと交差する。
井荻森公園という杉並区内でも有数の広さを持つ公園が近くにある。
かつてサンライズ本社の最寄りだった駅。
このことからガンダムの街としても知られ、駅前にガンダムの石像があるほか、発車メロディに「
翔べ!ガンダム」が使用されている。
両端が踏切に挟まれており、停車列車は踏切のすぐ近くに停車する。
「かみしゃくじい」と読む。
上石神井車両基地が併設されており、当駅発着の列車も設定されている。
その名の通り?23区の駅はここまで。
2面4線の待避可能駅。
南口側に地名の由来となっている東伏見稲荷神社がある。
早稲田大学のスポーツ施設もすぐ近くにある。
「せいぶやぎさわ」と読む。
かつてはここから青梅まで走る長距離路線バスが発着していた。
「たなし」と読む。旧田無市の中心駅で、旧保谷市との合併後は西東京市の代表駅となっている。
快速急行以下の種別が停車し、線内の単独駅では最も利用者数が多い。
青梅街道の宿場町ではあるが、
太平洋戦争の空襲で焼けてしまいその面影はほとんど残っていない…。
小金井市ではなく小平市にある。
花見の名所として有名な小金井公園の最寄り駅の1つで、駅名も小金井桜ことヤマザクラから取られている。
拝島線との分岐駅で、小平市の代表駅。
しかし市街地からは少し離れており、市役所は多摩湖線青梅街道駅のほうが近い。
西武多摩湖線八坂駅が徒歩圏内。東村山市役所はどちらかというと当駅からの方が近い。
国分寺線・西武園線乗り換え。東村山市の代表駅で全列車停車。
国分寺駅・小川駅と並び西武鉄道最古の駅の1つ。
志村けんゆかりの地でもあり、駅前に志村けんへの激励の証として「志村けんの木」としてケヤキの木が植えられているほか、2021年には彼の銅像も建てられている。
池袋線乗り換え。
埼玉県人口第4位の都市かつ
埼玉西武ライオンズ本拠地である所沢市の代表駅。
西武鉄道本社の最寄り駅でもある。
新宿線西武新宿方面と池袋線池袋方面は同一ホームのため、対面乗り換えが可能。
線路は南北に敷かれているが、北は池袋線池袋方面/新宿線本川越方面、南が池袋線飯能方面/新宿線西武新宿方面となっている。このため、都心へ向かう列車はそれぞれ真逆の方向に発車する。
1987年に開業した新宿線内で最も新しい駅。
駅名の通り市のシンボル所沢航空記念公園がある他、市役所や郵便局、警察署など所沢市内の主要行政施設の最寄り駅と言える。
日本の航空発祥の地ということもあって、駅舎もアンリ・ファルマイン号をイメージしたデザインとなっており、関東の駅百選に選ばれたことも。また、駅前にはエアーニッポンのYS-11が保存されている。
開業当時は所沢飛行場前駅と称していたが、軍事施設が明らかになるような名称はまずいとして所沢御幸町駅と改められ、後に北所沢駅に再度改名された経緯がある。
その後、1951年に駅舎を北に2kmほど移転し、1959年に現在の駅名となった。
隣の入曽駅との間に南入曽車両基地があり、当駅発着の列車も多数設定されている。
待避設備も作ろうと思えば作れそうな敷地を持つ。
狭山市の代表駅で全列車が停車。旧駅名は入間川。
入間川七夕まつり開催時は非常に混雑する。また、発車メロディに「たなばたさま」が使用されている。
ロッテ狭山工場の最寄り駅で、かつては期間限定でロッテ製品のCMソングが発車メロディとして使用されていた。
かつてはここから安比奈線が分岐していた。
終点駅。時の鐘と蔵のまちという副駅名がある。
現在は線路名称上の終点駅であるが、前身である川越鉄道開業時の特殊な経緯により、かつては起点を示す0キロポストは当駅に存在した(現在は改良工事により撤去され、代わりに0.3キロポストが立てられている)。
「時の鐘」をはじめとした川越市の観光名所は当駅が最も近い。
東武東上線川越市駅が徒歩5分と非常に近く、定期券の連絡運輸の取り扱いがある。
また、JR川越駅へも徒歩10分程度で行くことができる。
車両基地
上石神井駅に隣接している。
所属車両はなく、電留線的な扱いとなっている。
新所沢~入曽間、狭山市と所沢市の市境にある。
「小江戸」用の10000系および通勤車の2両・8両編成が所属している。
なお、10両編成の検車には対応していないため、6000系などの10両固定編成の車両は拝島線内にある玉川上水車両基地に所属している。
追記・修正は特急小江戸号の車内でお願いします。
- 現在連続立体交差事業真っ最中の路線。早く終わってほしい -- 名無しさん (2024-04-16 23:42:35)
- ここって鉄道の記事は結構充実してるけど大手私鉄の記事が少ないように感じる -- 名無しさん (2024-04-23 22:25:17)
最終更新:2025年01月04日 18:27