レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

登録日:2024/06/17 (月) 19:23:08
更新日:2024/06/25 Tue 20:54:55
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2003年 アクション アントニオ・バンデラス ウィレム・デフォー ウエスタン エル・マリアッチ ガンアクション ガンマン ギターケース ギャング クーデター サルマ・ハエック ジョニー・デップ ダニー・トレホ チーチ・マリン デスペラード バイオレンス プエルコ・ピビル マカロニ・ウエスタン マチェーテ マチェーテ・キルズ マラゲーニャ マリアッチ ミッキー・ローク ミネソタ無頼 メキシコ ラテンミュージック ラテン系 レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード ロバート・ロドリゲス 世紀末 二丁拳銃 座頭市 復讐 情熱 映画 死者の日 洋画 漢の義務教育 濃すぎるキャラクター性 火炎放射器 無法地帯 爆弾 盲目ガンマン 神BGM 群像劇 裏切りのオンパレード 西部劇 豪華俳優陣 銃撃戦 革命 魔改造



世界でいちばん、熱い競炎。



ジョニー・デップ 
JOHNNY DEPP
正義を、操る男。


アントニオ・バンデラス 
ANTONIO BANDERAS
復讐を、奏でる男。



やけどするほど、危険なふたり。


愛だけが、ただひとつの正義だった。



概要


『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』(原題: Once Upon A Time In Mexico)は、2003年9月12日にアメリカで公開された『エル・マリアッチ』シリーズ3作目。
日本では2004年3月6日に公開。
監督・脚本・製作・音楽・撮影・編集はロバート・ロドリゲス

原題は、セルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』へのオマージュ。
発端は、盟友クエンティン・タランティーノが前作『デスペラード』に出演した時、「もう一本撮れ!このタイトルでレオーネみたいにシリーズ3本目を撮れ!」とけしかけたことから。
当時ロドリゲスはこれを受け流していたが、それから7年後、俳優組合のストライキが目前に迫った時、このアイデアが復活した。
スタジオは焦って撮影を終わらせ、映画関係者は誰もが休業状態……
チャンスとばかりに動き出したロドリゲスは、構想を練り、俳優たちを集め、たった3週間で撮影に持ち込んだ。
かくして本作は、『スパイキッズ2 失われた夢の島』と『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』を間に挟んで完成した。

また、本作を作ろうとロドリゲスに決心させたのは、ソニーの24フレーム/秒のデジタルHDカメラの存在も大きい。
『スター・ウォーズ』最新作の撮影現場で使い方をジョージ・ルーカスから教わった彼は、このように語っている。

『エル・マリアッチ』を作ろうと決めたときと同じくらい興奮した。
それまでは、『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』のスケールがあまりに大きくて、すごく大変な撮影になりそうなのがひっかかっていたんだ。
これほどのスケールの映画を撮影するためにカメラをメキシコまで運ぶ気になれなかったんだ。
すごく冗漫な作業になるし、『エル・マリアッチ』にあったエネルギーや直感的なクオリティが失われてしまうしね。
このシリーズのルーツからかけ離れた作品にしたくなかったんだ。

引用元:パンフレット

この撮影技術の進歩のおかげで、最初に見積もられたショット数70から最終的に400ショット以上に激増しながらも、撮影期間7週間という短期間かつ予算内に収めることが可能となったのだ。

作品自体はアントニオ・バンデラスとジョニー・デップを始めとした豪華キャストに、国の命運をかけた一大抗争と、『エル・マリアッチ』から考えられないほどの大スケールとなっている。
教会での銃撃戦やカーチェイス、カーニバルの最中に起きたクーデターでカオス状態になる町並みなどのアクション要素に加えて、デップの怪演っぷりは一見の価値あり。
一方で、群像劇的な作風になったためか、「登場人物が裏切りまくるのでどこの陣営か、何がしたいのかわかりにくい」「主人公のマリアッチの印象が薄くなってしまった」という声も……

あらすじ


たったひとりで、ふたつの町を始末した男。
そして、悪名高きマルケス将軍の女を奪った男。

腕利きの殺し屋を探していたCIA捜査官のサンズは、情報屋ベリーニから、“エル・マリアッチ”の伝説を聞いていた。
マリアッチはすでにガンマン稼業を引退していたが、「クーデターの首謀者であるマルケス将軍を殺してほしい。ただし、奴が大統領を殺した後にだ」というサンズの依頼を引き受ける。
報酬のためでなく、復讐のために……

このクーデターを裏から操る実業家バリヨ。
彼の側近でありながら組織から抜けようとするビリー。
バリヨへの復讐のために立ち上がる元FBI捜査官ラミレス。
バリヨとマルケス将軍の間を動く大金を狙うサンズ。

そして11月2日、死者の日。
様々な思惑が絡む中、ついにメキシコの運命を揺るがす一大決戦の火蓋が切られたのだった……!

登場人物


  • エル・マリアッチ
演:アントニオ・バンデラス
吹替:大塚明夫

たったひとりでふたつの町を始末し、悪名高きマルケス将軍の女を奪った伝説の男。
将軍の恨みを買って妻子を失いひっそり暮らしていた所サンズと出会い、将軍暗殺の依頼を受けることに。
とはいえサンズのことは信用しておらず、ククイの裏切りを見て彼から離れることを決める。
本人はあくまで復讐のためだけに動いているはずなのだが、最終的に愛国心に目覚めメキシコ救国の英雄にまでなってしまった。

  • カロリーナ
演:サルマ・ハエック
吹替:安藤麻吹

前作のヒロインにして、マルケス将軍の女。
ナイフ投げの達人と化しており、弾切れで追い詰められたマリアッチの危機を救った。
他にも、マリアッチと手錠でつながれた後に披露する、宙づりアクションの脱出劇は必見。
その後はマリアッチとの間に娘が生まれ平和に過ごしていたが、報復により母子共々命を奪われてしまった。

キービジュアルでは主役級の扱いながらも、出番はわずかな回想シーンのみという不遇な扱い。
これはサルマ・ハエック自身本作への出演を熱望していたものの、『フリーダ』の撮影とかち合ってスケジュールが取れず、出演シーンの撮影日程が変更されたためである。

  • シェルダン・サンズ
演:ジョニー・デップ
吹替:平田広明

クーデターを目論むマルケス将軍暗殺のため、メキシコに潜入しているCIA捜査官。
しかし大統領を守る気はなく、真の目的は、黒幕であるバリヨがマルケス将軍に支払う報酬2000万ペソの強奪。
テーブルを挟んで相手と対話する時は、左腕に義手をつけて偽装し、テーブルの下の本物の腕に銃を持っていつでも相手を撃つことができるようにしている。
好物はプエルコ・ピビルで、これとテキーラ・ライムを注文するのが彼流。マリアッチの口には合わなかったようだが
そしてそれが旨すぎた場合、金を払った後でコックを殺すという、常軌を逸した価値観を持つ。
曰く、「腕の良すぎるコックは殺す。俺はそうやって国のバランスを保つんだよ。大統領は旨すぎる豚と同じだ」「時に革命は世界の掃除に必要だ。まさにデカい浣腸だ」
このように、策士ぶりを発揮しながら様々な勢力の間で飄々と立ち回っていたのだが……


元々この役は小さな脇役に過ぎず、デップが撮影現場にいたのもわずか9日間だけだった*1
しかし編集段階で役を大きくしてあり、テーマ曲もデップ自身が自作。事実上の主人公ポジションとなっている。

  • ベリーニ
演:チーチ・マリン
吹替:福田信昭

サンズと長いつき合いの、裏社会の情報通。
マルケス将軍暗殺の殺し屋にマリアッチを勧めていたが、バリヨの情報をはぐらかしてくることに腹を立てたサンズに殺された。

演じたチーチ・マリンはロドリゲス作品の常連だが、いつもすぐ殺され出番が短いことが不満であり、今回はもう少し長く生かしてくれと頼んでいた。
そんな希望が通った本作では、殺された後サンズにアナルを調べられる演出も含めて大満足だったそうな。

  • ククイ
演:ダニー・トレホ
吹替:星野充昭

サンズに雇われている謎の男。
マリアッチを捕らえてサンズと引き合わせ、その後も用心棒兼監視役としてマリアッチに付きまとう。
が、マリアッチの首にかかった賞金欲しさにあっさりバリヨに寝返り、マリアッチを引き渡す。
マリアッチ、直前の銃撃戦やカーチェイスはカッコよかったのに、「お前は最後だ」とカッコつけたばかりに……
そしてマルケス将軍暗殺計画を暴露したのだが……

  • アヘドレス
演:エヴァ・メンデス
吹替:朴ロ美

バリヨ逮捕を目指すAFNの女性捜査官で、サンズの恋人。
仕事柄周りは男ばかりなので、職場で冷遇されている。
サンズと共に2000万ペソを狙い協力する。

  • ホルヘ・ラミレス
演:ルーベン・ブラデス
吹替:楠見尚己

サンズに協力を持ちかけられた元FBI捜査官。
彼曰く、「たいていの捜査官は10大犯罪者に会うこともないが、2人も逮捕したほどの凄腕」。
相棒をヤク漬けにされた挙句、2週間にわたる拷問によって失っており、そのトラウマから引退していた。
しかし過去を知るサンズにそそのかされ、現役の捜査官と偽ってビリーに接近。協力を取りつける。
また、復讐を決意した時に床にワインを注ぐ描写があるが、これは死者への敬意を表すものである。


演者のルーベン・ブラデスはサルサミュージシャンでもあり、グラミー賞を受賞した経歴を持つ。
さらに本作では、自身のテーマ曲を演奏している。
また、このキャラはFBI捜査官だったロドリゲスの叔父から聞いたエピソードを元に作られている。

  • アルマンド・バリヨ
演:ウィレム・デフォー
吹替:山路和弘

クリアカンの実業家。
地元民には家や農地を与えているため英雄扱いされているが、その正体は麻薬王。
自由なビジネスのために大統領を暗殺すべく、マルケス将軍を雇ってクーデターを目論む。
趣味は意外にもピアノだが、生意気な口をきいた講師の指を全部エンコ詰めにする残虐さを見せつける。

  • ビリー・チェンバーズ
演:ミッキー・ローク
吹替:菅生隆之

バリヨの側近。いつもチワワのモコを抱えている。
元々はアメリカのお尋ね者で、メキシコに逃走後バリヨの組織に拾われる。
しかし組織の非道さに加え、自身も白人という理由で実質飼い殺しに近い扱いを受けていることから、アメリカ送還と引き換えにラミレスに協力する。

  • エミリアーノ・マルケス将軍
演:ジェラルド・ヴィジル
吹替:咲野俊介

マリアッチの復讐ターゲットにして、国家転覆を目論む極悪人。
その度量の狭さは、ささいなミスでも部下を殺すほど。
死者の日にクーデターを仕掛け恐怖のどん底に叩き落すが、そこはメキシコ。
市民たちの戦闘力も非常に高く、軍隊相手に大立ち回りを演じていた。

  • 大統領
演:ペドロ・アルメンダリス・Jr
吹替:平野稔

メキシコの大統領。
麻薬組織によって修羅の国と化したメキシコの現状を憂い、戦って死ぬことも辞さない勇敢な為政者。
しかし側近もまた、裏切りを画策していたのだった……

  • ロレンソ
演:エンリケ・イグレシアス
吹替:石母田史朗
  • フィデオ
演:マルコ・レオナルディ
吹替:飯島肇

今回のマリアッチの助っ人コンビ。
本作でも相変わらずギターケースを魔改造しており、ロレンソは火炎放射器、フィデオはラジコン制御の爆弾カーとなっている。
前作のカンパとキーノと違い背景が掘り下げられており、ロレンソは金欠、フィデオはアル中。
普段は「5ペソで歌を歌い、20ペソでキスし、50ペソで抱いてもらえる」マリアッチ専門のホストクラブで働いている。

ロレンソを演じたエンリケ・イグレシアスは、フリオ・イグレシアスを父に持つラテンミュージック界の大スターである。


余談


〇サンズの好物として登場したプエルコ・ピビルという料理は、スペインのセゴビア地方から伝わった豚肉料理。
ロドリゲス曰く作る難易度はかなり高く、そもそも材料の時点でバナナの葉にベニノキの種(アナトー)などハードルが高い。*2
これに懲りたため、以降のDVD特典での料理教室はタコスやトルティーヤといった簡単なものにしている。
「難しすぎて一回しか作らない料理には、挑戦しなくていい。本当に好きな料理だけでいいんだ。昔から好きでたまらないものってあるだろ?それを完璧に作れればいいんだ。3品でいい」
が、それでも実際に作ったという人が多かったため、ロドリゲス自身驚いたのだとか。

〇闘牛場のシーンでサンズは、CIA捜査官のくせにデカデカとCIAと書かれたTシャツを着ている。
このTシャツには「Cleavage Inspection Agency(おっぱいの谷間調査局)」と書かれており、デップが現場入りする前にフロリダの土産物屋で購入したもの。
また、ベリーニを買収する際に札束を入れた箱は、『タイタンの戦い』のランチボックスで、これもデップの私物。

〇前半の見所である教会の銃撃戦で使われた銃はほとんどゴム製で、実際に爆発はほとんどなく、教会内部は破壊されることもなかった。
このシーンのほぼ全ての弾丸、血、爆発、物理的な損傷は、ポストプロダクションで追加されたものである。

〇前述した通り、本作はセルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』へのオマージュ。
埃っぽい色合い、ズームアップ、濃ゆいキャラクターたちなど、それっぽい要素がたくさんある。
しかしロドリゲスは矢継ぎ早にカットを繋いで勢いで押していく作風なのに対して、レオーネはじっっっくりと焦らし緊張感を盛り上げていくという真逆の作風である。



追記・修正は、プエルコ・ピビルに舌鼓を打ちながらお願いします。


参考資料
パンフレット
ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判2(洋泉社)
ザ・シェフ・ショー~だから料理は楽しい!~ シーズン1・シリーズ1 第5話(ネットフリックス)
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最終更新:2024年06月25日 20:54

*1 デップはあまりにアッサリ撮影終了してしまったことに物足りなさを訴え、マリアッチに懺悔される神父役で追加出演した

*2 しかもパンフレットには「豚の胎児の蒸し焼き」と書かれている……