ボーイ おとなをからかっちゃいけないよ!

登録日:2024/07/15 Mon 14:45:48
更新日:2025/03/04 Tue 18:28:17
所要時間:約 4 分で読めます





ボーイ おとなをからかっちゃいけないよ!


『ボーイ おとなをからかっちゃいけないよ!』とは、
漫画『キン肉マン』に登場する超人・テリーマンの台詞である。


【概要】

テリーマンといえば、キン肉マンと並び正義超人・アイドル超人の代表的存在であり、
友情に厚く、荒々しいタフネスファイトでいかなる相手にもひるまず立ち向かうテキサス・ブロンコ。
キン肉マンの良き友人にしてタッグパートナーでもある…というのが昨今におけるイメージであり、
泥臭いながらも、その戦いぶりに今なお魅せられているファンも多いだろう。

しかし、怪獣退治編のエピソード「アメリカからきた男の巻」において初登場した時の彼はそれとは程遠い嫌味で高慢な人物として描かれていた。2024年の『完璧超人始祖編』アニメでは当時の自らを指して“クソ野郎”とまで発言。
怪獣退治の際に報酬を要求するのはそれ自体が命がけなところもあり、まだ「ビジネスと割り切っている」と理解できる部分ではあるが、
キン肉マンやミートくんを見下す態度を隠そうともしていなかったり、本項の主旨たる問題の発言が出た際の状況などはとてもヒーローとして褒められない有様である。
これは身も蓋もないことをいえば当時のアメリカ人に対するテンプレ的な描写でもあったりするのだが。
実際のところ元ネタはオバケのQ太郎のドロンパだし。

それでも正義超人かよ、と言いたくなるが後付け設定込みとはいえチャンピオンのロビンマスクも高慢な部分があったとされる等、キン肉マンに感化される前の正義超人界は強者の驕りがあるのは普通だったのかもしれない。なんならラーメンマンなんかやってることがかつての悪魔超人側である。ラーメンマン「あの頃は若かった」
当のキン肉マン本人が周囲から弱い超人と白眼視され、人間たちの態度からも大会での敗者に人権はないといわんばかりに超人は強くてかっこよければ良い(そして弱くてかっこ悪い超人には価値がない)という風潮があったともいえるのではないだろうか。

それでも活躍ぶりは確かで、キン肉マンとは違ってなにをやってもサマになると人々の支持を得たテリーマンであったが…。

【経緯】

ある日、テリーマンが自分を差し置いてたちまち人気者となったことにすっかり拗ねて牛丼をやけ食いしているキン肉マンとそれを諫めているミートくん。
そこへテリーマンが訪れ、キン肉ハウスをウサギ小屋と揶揄いつつ、国民投票により日本専属のスーパーヒーローに選ばれたと勲章を見せびらかし、キン肉マンたちはお払い箱だと鼻で笑う。
たとえ弱くても一生懸命に人々を守ってきたキン肉マンにとって、あまりにも手酷い人間からの裏切りであった。
本当によく悪行超人にならなかったよスグルは。

その時シーク星人が大暴れを始めており、父親が捕まってしまったと一人の子供が助けを求めにやってきた。
相変わらず拗ねた様子で「キミたちが選んだヒーローに助けてもらえばいいじゃないか」と突っぱねるキン肉マン。
「マネーのほうはもってきたんだろうね」と問うテリーマンに対し、子供はパンダの貯金箱を割り、なけなしのお小遣いを差し出すのだが…



ハッハハハ

ボーイ おとなをからかっちゃいけないよ!



高らかに笑い言い放つテリーマンは、子供を足蹴にして門前払いにしてしまう。


だがその時、子供をも金づる扱いしたテリーマンの顔めがけてキン肉マンの怒りの鉄拳が飛んだ。


キン肉マンは散らばってしまった小銭を丁寧に拾い集めて子供に差し出し、
「父さんを助けに行こう 坊や!」と語りかける。
テリーマンは国外追放同然のキン肉マンが行けば防衛軍の攻撃を受けると告げるが



大和魂が守ってくれるさ!


そう返したキン肉マンは、ミートくんと子供と共にシーク星人の方へ向かっていった。


一度は立ち去ろうとするテリーマンだったが、ふと足を止めキン肉マンが戦っている方へ振り返る。
そして一言ぽつりとつぶやいた。



大和魂か…


そしてテリーマンは貰ったばかりの勲章を剥ぎ取り、スーツを脱ぎ捨て、キン肉マンの加勢に駆け出していくのであった。



おれもいくぜ!!



不細工でドジで間抜けでニンニク臭いと蔑まれても、いざとなれば金のためではなく、人々への愛のため戦うキン肉マンの姿に感化されたテリーマン。
これまでに対立や敵対してきた超人の凍てついた心を幾度となく溶かしてきたキン肉マンであったが、最も初めにそれをやった相手こそテリーマンだったといえるだろう。

【アニメでは】

東映アニメ版では第1話のBパートとしてこの話が選ばれている。
第1話という関係上YouTubeなどの公式配信で無料で見られる範囲にほぼ確実に入っているため確認が容易。
件のシーンにおけるテリーマンは台詞は同じだが、笑うことはなくしかめっ面で言っている。
「自分を安く見られた」と思ったのだろうか。
原作では「あざ笑いながら蹴り出す」こちらでは「顔も口調も不快感丸出しで蹴る」表現が異なるが どっちもひどい。

40周年記念のストップムービー序盤でもこの場面(足蹴から「父さんを助けに行こう」まで)が描かれている。アニメと混同したのか、場所がキン肉ハウス内でなく柵に囲まれた空地になってしまっているが。

2024年放送の『完璧超人始祖編』では王位争奪編終了までをダイジェストにまとめた第0話にて登場。
深夜帯とはいえ、流石に子供を蹴飛ばすのはマズかったのか、高笑いこそ同じだが手で払いのけるという描写に変更され、別の意味でちょっとした話題となった。

ダイジェストで主要なエピソードを振り返る形なので残念ながら大和魂のくだりは省略されているが、テリーマンはこの頃の自分を自ら「クソ野郎」と称して恥じていると同時に、この時の出来事を自分の目を覚まさせてくれた大切な経験だったと語っている。

【まさかのリメイク】

2019年に『キン肉マンジャンプVol.3』にてなんと「アメリカからきた男」が読み切り作品「40年前、アメリカからきた男」としてリメイクされ収録。
流れは全く同じなのだが、例の子供を足蹴にするシーンはページ半分以上の大ゴマにテリーマンの全身が描かれ、振り上げられた脚と「ドガッ」という効果音からガチで蹴り飛ばしているように見えてしまうようになった。
なまじ画力が上がったせいで絵面のアレさが悪化したというのも皮肉な話である。



完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編にて、まさかの…】


下等超人の静粛のため地球へ舞い降りた新たな完璧超人達に対し正義及び悪魔超人達が挑む『完璧超人始祖編』では、
この台詞が意外な形で踏襲されることとなった。

完璧超人始祖の一人であり、魔界でアシュラマンを易々と下した
裁きの神ジャスティス…もとい完璧・陸式(パーフェクト・シックス)ジャスティスマンに挑戦するテリーマン。
だがジャスティスマンはすべてが桁違いの強さであり、テリーマンのいかなる攻撃も悉く通用しない。
そして最大の奥義「ジャッジメント・ペナルティ」がテリーマンに炸裂。
誰もがジャスティスマンの勝利を確信していた、だがその時…



ヘイ ボーイ!

せ…正義の魂を


からかっちゃいけないぜ!


ジャスティスマンの猛攻に加え奥義も受けて、すでに満身創痍のテリーマンに戦う術はない。
それでもなお、上記の言葉と共に立ち上がり、ジャスティスマンにすがりながらも戦い続けようとする姿を見せつける。

そして、その姿と「戦う魂」はジャスティスマンに大きな影響を与え、彼に負けを認めさせたうえで硬直化していた心境の変化を齎すこととなる。
あの時キン肉マンの在り方を見て変わったテリーマン…彼自身もまた、他の超人の在り方を変えてみせたのだ。
数億歳は歳上のジャスティスマンをボーイ呼ばわりしてることは内緒だ*1




アニヲタ魂か…


おれも追記・修正するぜ!!


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最終更新:2025年03月04日 18:28

*1 ボーイ=男の子=子供=ガキみたいな未熟な奴と煽ったのかもしれないが