ポゥ・エイジ

登録日:2024/10/09 Wed 13:42:02
更新日:2024/11/27 Wed 10:12:32
所要時間:約 8 分で読めます





「本気やってんだぞ!」


ポゥ・エイジは『∀ガンダム』の登場人物。(CV:中西裕美子)
『∀ガンダム』本編では最も長期に渡り敵対し続けたと言っても過言ではない相手にして、(ネタ的な意味も含めて)作中最大の戦犯とも呼ばれるが、いい意味で最も予想外の末路を迎えた、作中どころか『ガンダム』シリーズ屈指のネタキャラの一人。


【人物】

年齢は20歳。
黒髪のベリーショートで、キリッとした美貌と引き締まったスタイルの持ち主なので中性的でカッコいい美人……と呼べなくもない。本当に、見た目だけなら。

ディアナ・カウンターの女性士官で、階級は少尉→中尉。
決して地頭は悪くないし悪人ではないし有能ではあるのだろうが、割とテンパりやすいし自分で考える力には欠ける体がある……という、軍人としての資質には疑問を呈されることも多い人物。

完全に月での生存サイクルが確立されてから生まれた世代だと思われるので地球帰還作戦に関しては特に興味も感想も持っていなかったと思われ、文明レベルの低い地球人類を臆面なく「蛮族」と罵るなど差別意識すら抱いていた。

本気を出せばとっとと制圧できるだろう地球に対していつまでも慎重な行動を強いるディアナ・ソレルに対する鬱憤が溜まった末に、ミラン・レックス執政官の思惑もあったとはいえクーデターが起こされた際には、地球人類への支配の象徴として代理の女王(アイドル)にされるなんて明後日の話を聞いて割と本気で喜んでしまっていたり。

そんなこんなで終盤まで敵ポジとして登場。
ぶっちゃけるとまるで成長していない…ということなのだが、それにもかかわらず最後まで生き残り続けたという何気に珍しい立ち位置の人物。*1

超未来のマシンであるムーンレィスのモビルスーツが乗り手の安全面に気を使っており、相対したロランも手加減できる範囲で不殺主義レベルの配慮を貫いてくれていたとはいえ、他のガンダムならもっと悲惨な目に遭うか、普通に戦死してしまっていたことだろう。

直属の上司で、ディアナ・カウンターの暫定的な指導者となったフィル・アッカマンからは妙に気に入られ(?)ており、それが「失敗しても任を解かれない→次も失敗」の悪循環に陥っていた原因でもある。
そのせいか2クール目も過ぎる頃になると当人も相当追い詰められていたらしく、憎きヒゲと相対するだけで相当なプレッシャーを受けていることが窺える上に失敗すると泣くというループを繰り返す姿が。
そんな調子だったので脚本や演出も興が乗ったのか、第31話にして「追撃!泣き虫ポゥ」というサブタイトルを頂戴することに。
この“泣き虫ポゥ”は、そのままファンからの通称にもなっている。

なお、“黒い∀”として一部に知られる小説版『地には繭 月には果実』ではフィルと愛人関係になっており、アニメ本編でも初めて雪を目にしてネットミームとなった恥ずかしいカップルみたいにロマンチックな気持ちに浸っていたこともあったのだが男女の関係までは進まなかった模様。
フィルとは別にハリー・オードには風邪をひいて弱っている時に口移しで薬を呑まされるなどセクハラ紛いの行為を受けているのだが、割と本気で苦手としていたためか、全くときめく様子はなかった。


【劇中での活躍】

地球帰還作戦遂行の際、先駆けの一人を務め、巨大MSウォドムに乗って入植を狙うアメリア大陸の最大地域・イングレッサ領の首都ノックスに降下。
初めての地球に興味津々……というよりは明らかに挙動不審に陥り、落ち着きを無くしていた様子が窺えた。

地球側が複葉機などという原始的な乗り物で偵察・攻撃を行ってきたことに反対方向からのカルチャーショックを受けてしまい、自分が圧倒的優位に居る状態で未開人に攻撃されたということで激昂。

禁じられていたにもかかわらず、衝動的にウォドムのビームキャノンを発射してしまう。

勿論、ポゥとしてはそもそもがウォドムを持ち出してきた理由である“地球人を萎縮させる”以上の目的があったわけではなく、特に何処かを狙ったつもりでもなかったのだろうが……

実は、この時のポゥの攻撃はビシニティ地方、さらに言えば、(ポゥにとっても)運悪くハイム家の屋敷を掠めてしまっていた。

そして、この攻撃により主人公ロラン・セアックの主人であったハイム氏が死亡し、妻も心労で倒れ、次女ソシエに長らくムーンレィスへの憎しみを植え付ける原因となった。

もっと重要なのが、ポゥの迂闊な攻撃のせいで禁忌のMS「ホワイトドールが目覚めてしまったこと。
この辺の経緯の詳細は搭乗していたウォドムの項目も参照して欲しいが、プログラムされた全自動による反撃行動とはいえ、もう少しヒゲが目覚めるのが早いかビームライフルもナノマシン製だったならポゥはここで戦死していた可能性が高い

いずれにしても、この時は生き延びる形となったわけだが、その後もロランinヒゲにはず~~っと“してやられ続ける”ことになっていく。

作中におけるポゥvsロランの主な記録としては……
  1. 戦力差を埋めようと無謀にも機械人形(MS)を盗みに来たメシェー・クンを捕らえたところ、ガンダム昇竜拳でウォドムの手をちょん切られる。
  2. フィルと相乗りして夜間に出撃したら、掘り出したガンダムハンマーをめり込まされて敗走。幸いハンマーが経年劣化で壊れたのでこの程度で済んだ。
  3. 背負い投げで転がされたり、そもそも簡単に対処される。
  4. ジェネレーターを2倍にして強化したビームで宇宙船「ウィルゲム」を掘りだそうとするミリシャの邪魔をしようとするが、その強化ビームもヒゲのバリヤーには通じず、両脚をちょん切られる。
  5. アルマイヤーを預けられて艦長に出世(?)するが、カプルを足場にしたヒゲにファーストのオマージュで好き放題ぶった斬られる。
  6. シルバースモーとムットゥー×2でヒゲに挑むもスラスターの噴射のみでやられる。
そして、ミリシャ御一行様が月を目指して旅を始めたのに伴い、しばらく画面から消える。

月でのあれやこれやを経てグエン・サード・ラインフォードギム・ギンガナムと手を組みギンガナム艦隊と共に地球に降りて攻撃を開始したのに伴い戦闘を再開。
その後、遅れて地球に戻ってきたディアナを正気を取り戻したコレン・ナンダーが旗艦ソレイユまで送り届け、合流する。
この時にディアナが乗る複葉機(カトンボ)を見つけたのはポゥだったが、ディアナが乗ってると解った時には「あの方は…」と言いながら嬉し泣きしていた

かつてクーデターを起こしたフィルや策謀を巡らせていたミラン執政官も寛大な措置により赦される*2こととなり、改めてディアナの下でミリシャと共にギンガナムに立ち向かうことになった。
この時にコレンもちゃっかりと居残りディアナ・カウンターに復帰しているのだが、(スモーも余っていたのに)コレンの我がままを聞き届けて、コレン・カプルの整備というか魔改造を許している。

最終決戦ではシルバースモーに搭乗してハリー率いる親衛隊に加わり参戦。
何だかんだでハリーに追随するレベルの操縦技術を見せていたものの、相手は戦闘神ギンガナムwithターンXという最強最悪のバケモノ。
スモー5機によるIフィールドバリヤーでの金縛りも反対にエネルギーを吸収されてしまい、返す刀で発動した月光蝶(絶好調)である!」に破られ、あっさりと振り解かれる。

その後も真っ先に特攻覚悟でターンXに立ち向かい、同じく動き出したハリーと連携して背後から動きを止めると、共に刺し違える覚悟を決めたハリーの攻撃を届かせようとするが、今度は分離能力により脱出されて2機纏めてブラディ・シージを受けてしまい、スモーの頑丈さで生き延びはしたもののついに戦線離脱する。

しかし、このスモー部隊の活躍により保護されたジョゼフ・ヨットが半端な状態だった∀を元に戻す時間稼ぎに成功。
ロランが再び∀に乗ってターンXとの一騎打ちに向かうのを見送るのだった。


【劇中での搭乗機体】

ポゥといえばこれ。「うぉ!ドム!?」
最も長く乗った機体ではあるが、顔を合わせる度にヒゲにやられていた。
一応、中〜大破まで追い込まれたのは3回程度なのだが、小破や撃退という形ならもっと多い。
そんなんだから逃走しながら大の大人が泣いてたこともあるんだぞ!
……ヒゲの性能が(恐らくは1〜2%程度の状態だったろうに)高過ぎんねん。
ポゥinウォドムといえば、最初のやらかし、ハンマーめり込み、強化型の大出力ビーム照射が印象深いか。

  • ウァッド(ワッド)
ウォドムに続いて乗っていたのは実はこれ。

  • シルバースモー
本来は親衛隊用機なのだが、クーデター後にどさくさ紛れに受領していた。
相性は悪くなく……というか、普通に乗りこなしてハリーのゴールドスモーに一泡吹かせたりもしているのだが、肝心のヒゲに対しては中盤以降に大幅にパワーアップしたりロランが操縦に慣れていたこともあってか、もはやスモーですら遥かに及ばないレベルの性能となっていたこともあってかリベンジは果たせず。
最終決戦では前述の通り普通に活躍した。


【その後】

地球人類を「蛮族」とまで罵っていたポゥだったが、何と戦後は地球に残りシド爺さんの助手になった姿が描かれている。

『地には繭 月には果実』ではアニメ本編とは違いフィルも普通に戦死するためか、後ろ盾を失った末に落ちぶれた姿を見せる……と、全く報われない姿が。


【その他】

  • 『∀ガンダム』が参戦した『スーパーロボット大戦Z』では、かの『無敵超人ザンボット3』の人間爆弾の救済ルートにて、かつて主人公部隊に助けられた返礼としてムーンレィスの人工冬眠システムを届けてアキを治療法が見つかるまで延命させる手助けをする。
    終盤では味方に加わるが、その際にはソシエ本人から過去の罪(わざとではないとはいえ父親を殺したこと)を許されるという、アニメ本編でも見られなかったやり取りを見せる。



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最終更新:2024年11月27日 10:12

*1 「しつこい敵対関係」ではジェリド・メサと、「過激な発言」ではカテジナ・ルースと比べられることがあるが、その2人に比べて何だろう、この緩さ。

*2 一応、フィルは自主的に降格を申し出てディアナが去る以前の少佐に戻った。