麻婆豆腐

登録日:2012/01/04(水) 21:54:34
更新日:2025/07/03 Thu 14:57:50
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麻婆豆腐とは、四川発祥の料理を日本人向けにアレンジしたものである。


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■その歴史

起源は、清王朝の同治帝の時代。
ある店のおかみさんが、肉体労働者達に安くて美味しい料理を提供すべく、残り物の挽き肉と豆腐豆板醤などの調味料で作ったのが始まりとされる。
麻婆とはあばた面のオバサンを指し、このおかみさんの愛称だったらしい。まあ、あばたもえくぼだろう。

それを、日本で営業していた四川出身の料理人・陳建民(エビチリの人と同一人物)が日本人向けにアレンジし、全国に広まった。
そのため日本では花椒の効いた本場の麻婆は「四川風麻婆豆腐」と称される

豆板醤と挽き肉の濃い味付けが、豆腐によって中和され、気付けば次々と匙を伸ばしてしまう逸品である。
ご飯との組み合わせはもはや神の領域になる味わい。

なお、料理の仕方次第で味が大きく変わる。
わかりやすいのは「いわゆる町の食堂」や「混ぜるだけでできるレトルト」などの麻婆豆腐を普段食べていた人が本格中華料理店で頼んだところ
癖の強い香辛料(八角や花山椒)の味でほとんど食せなかったということがある。
しかしどちらも麻婆豆腐なのだ、そこに好みの差はあっても優劣はないと思いたい。

■中華料理店の顔

そして、麻婆豆腐はラーメン屋の醤油ラーメンのように大小の差はあれど店やチェーン店ごとに個性が出やすい料理でもある。
豆鼓を使った店、とろみ少なめでニンニクと花椒ドバドバの店、複数の唐辛子をブレンドして作り上げた特製ラー油で勝負する店…それぞれの店独自の麻婆豆腐を求めて食べ歩くのも辛党にはいいかもしれない。

■具材


◆挽き肉
やはり豚と牛の合い挽きを使いたい。
トローリ食感に、豆板醤が加わり…。
因みに、例のおかみさんは羊の挽き肉で作ってたそうな。

豆腐
崩れを防ぐ為、絹ごしより木綿を使いたいところ。
とはいっても、絹ごしのトゥルンという食感に絡む辛さの信者だという人もいるだろうから、好みや料理の腕と相談して決めよう。
濃厚トロリな麻婆肉にサッパリ風味の豆腐が加わってこそ、この料理は完成する。

葉ニンニク
ニンニクを水につけて出てきた葉。
全体の味わいをひきしめ、更にふんわりとニンニクの香りが加わり美味。
売ってなかったら、自分でニンニクを水につけて栽培しよう。
現在はネギを使うことが多いが、もともと例のおかみさんが使ってたのはこれらしい。

◆花山椒
花椒とも。中国の山椒で日本の物より香りと辛みが強い。
本場では仕上げに大量にふりかける。


■派生料理


◆麻婆茄子
豆腐の代わりに炒めた茄子を入れたもの。
だが、本場の中国では「魚香茄子」という麻婆豆腐とは別の料理である。
瑞々しさと独特の癖を持つ茄子は麻婆にぴったりである。
近年は専用の素が作られており、本家麻婆に比べて少し甘め。

◆麻婆飯
麻婆肉をご飯にかけたもの。
豆腐入りだと麻婆豆腐丼になる。
豆腐を入れなければそれはそれでトローリ挽き肉と豆板醤を純粋に味わえる。

◆麻婆春雨
麻婆肉を春雨に絡めたもの。
ツルツルと食べるのもいいが、よく煮込んで味を染ませた春雨を匙ですくっても良い。
太くて四角い芋デンプンの春雨と、細くてコシの強い緑豆春雨(中国で春雨というと通常こちら)で出来上がりの食感はまったく変わる。どちらも旨いが、この2つはスープの吸い方が違うので調理時は水分量に注意しよう。
本場の中国では「螞蟻上樹」という原型になった料理が存在する。

◆麻婆炒飯
炒飯と麻婆豆腐という日本人の大好物が奇跡の電撃結婚。勿論味は◎。麻婆飯とはまた違った美味しさがあるぞ。マジで

◆麻婆カレー
インド・中国の夢の競演。カレーの味に麻婆の豆板醤が加わって…それはもう…
レトルトにぶっかけてご覧なさい。足りない気がしたら豆板醤を追加しよう。
因みに、某物語御用達。う、うまい!
松屋の麻婆カレーもオススメ。

◆麻婆焼きそば
宮城県仙台市のB級グルメで、麻婆豆腐を焼きそばにかけたもの。
元はまかない料理。


■余談

文化大革命時代、政府から「名前が封建的だ」といちゃもんを付けられ、名前を「麻辣豆腐」に変えた時代があった。
あながち間違ってはいない(こちらの意味は、山椒の『麻』と唐辛子の『辣』二つの辛さを表す)が、現在ではほとんど「麻婆豆腐」に戻っている。


■アニヲタ的には

四川麻婆豆腐に代表される「辛い料理」の象徴としてよく使われる。
その辛さに汗をかきながらレンゲでかっ込む濃いキャラがたまーに登場する。
たまーに、なのだがキャラが濃いことが多いため、ファンの印象に強く残りやすい。
天使ちゃんマジ天使とか、麻婆神父とか。



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最終更新:2025年07月03日 14:57