機動戦士ガンダムF91

登録日:2010/04/03(土) 05:06:51
更新日:2019/09/11 Wed 12:17:32
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人は、いつ戦争を忘れることができるのか?

GUNDAM (フォーミュラ)91(ナインティワン)



1991年3月に劇場公開されたガンダムシリーズの一つ。タイトルの読みは予告編段階では英語だったが、現在は「エフきゅうじゅういち」で通されている。
同時上映は「武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃」。



元々はテレビアニメ用として製作されていたが途中で劇場版に変更されたため宇宙戦等大幅にシーンがカットされている。
主題歌は「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」。Zガンダムで後半OPを担当した森口博子が務めた。
イメージソングは「君を見つめて -The time I'm seeing you-」。元々はこちらが主題歌の予定だったが、富野由悠季が逆に使用したという逸話がある。
ちなみに森口博子は「ETERNAL WIND」で紅白歌合戦に出場している。

前作の「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」より30年、もしくは「機動戦士ガンダムUC」から27年が経過しており、MSの小型化やビームシールド、ビームフラッグなどの新技術が多数登場している。
ただし、UCから本作を視聴した人からは、UCが後年の作品である都合上(時代設定とは逆に映像面は当然UCが進化している)、技術的な進化を感じ取りにくいという人も。

元々テレビシリーズとして企画されていたこともあって、作中では描ききれなかった設定やストーリーも多く、
90年代当時は富野監督がその続きを描く気があったようだが、その後いろいろあった結果、監督が鬱を患ってしまい、
しばらくの間は監督業から外れていたため、2019年現在までF91の続きは描かれていない。
ただ、事実上の続編として「機動戦士クロスボーン・ガンダム」が存在している。
本作から10年後の宇宙世紀133年を舞台にした、富野監督自らが原作を務めた漫画作品であり、登場人物やモビルスーツのいくつかも続投している。

〈ストーリー〉


シャアの反乱から30年が過ぎ、ジオン公国の名も忘れ去られようとしているU.C.0123年。
多くの人々は地球を離れコロニーへ移り住んでいた。地球連邦政府も大規模な争乱もなく弱体化・腐敗して行った。
そんな中、企業集団ブッホコンツェルンの主導者マイッツァー・ロナは、『人々の上に立つ者は、人々の模範となるようなより良き精神を持つ者であるべき』という「コスモ貴族主義」を唱え、私設軍隊「クロスボーン・バンガード」を作り上げる。

そして理想実現のため、ラグランジュⅠのコロニー「フロンティアⅣ」に強襲をかけるのだった。




〈主な登場人物〉


シーブック・アノー
本作の主人公で、工業科に通う高校生。17歳。
普通を絵に描いたようないいヤツで家族思い。名前からして見本みたいな好青年。
そんな彼がまさか宇宙海賊なんてアウトローをやるとはこの時誰が想像できたか。
コミックボンボンの漫画版ではウッソくんもビックリな悪魔の様なド外道キャラになっている。

セシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ)
本作のヒロインでシーブックと同じ高校に通う。17歳。
学園祭の美人コンテストで優勝するほどの金髪美人。
実はロナ家直系の人物であり、その血は彼女を苦しめることとなる。
趣味はパン作りであるが本作では披露されない。

●リィズ・アノー
シーブックの妹。10才。
あやとりでF91の回線のヒントを伝えた。
家庭を蔑ろにして仕事に没頭する母に複雑な感情を抱いている。
両親の呼び方は「お父ちゃん」「お母ちゃん」。
小学生とは思えないほどしっかりしているいい子。
(^ω^)リィズちゃんペロペロ

●レズリー・アノー
シーブックの父親。47歳。
元々は金属工学の権威だったが、夫婦揃って家を留守にしがちな職業だったため「子どもたちと一緒にいたい」
との理由で科学者の仕事を辞め、コロニー外壁の溶接工になった。
シーブック達を救うために体を張り、最終的に死んでしまう。
ガンダムシリーズの中でも1.2を争う良い父親。
漫画版では最初から死んでいるようで、全然登場しない。

●モニカ・アノー
シーブックの母親。44歳。
かなりの仕事人間らしく、子供達を夫に任せてサナリィでF91のバイオコンピューター開発に没頭していた。
とはいえ人格的に歪んでいる訳ではなく、シーブックとリィズに再会した際には謝罪している。
決してカミーユではない。
バイク走行中によそ見をしてコケるドジっ娘。

アーサー・ユング
だってよ…アーサーなんだぜ?

●ジョージ・アズマ
普通科の生徒でシーブックの友人。
何でもこなせる万能キャラ。

●サム・エルグ
シーブックの友人。
工学科で、スペースボートの操舵手を担当した。
割と好戦的な性格で、初めは彼がF91に乗ろうとした。
ちなみに、レズリー父さんはジョージのことを「アズマ君」と呼び、サムに対しては「サム君」と呼んでいる事から、アノー家とは親しかった様だ。

●ドワイト・カムリ
シーブックの通う学校の生徒会長で、シーブックから見ると先輩に当たる。
宇宙軍准将の息子だがヘタレ。
非難時には役立たずだったが徐々にリーダーシップを発揮し、スペースボートの長となる。セシリーのことが好きだった模様。

●ドロシー・ムーア
普通科の生徒。
父親は政府高官で、結構イイ所のお嬢様。おっぱい
派手な姿をしているが、保護した子供達の面倒を一手に引き受ける良い娘。
シーブックに恋心を抱いてたらしい。
演じた折笠愛女史は「新機動戦記ガンダムW」にて同名のキャラとデキる少年の役を演じる。

●レアリー・エドベリ
練習艦「スペースアーク」の艦長代行。22歳。堕落しきった連邦軍の中で珍しい良い人。
F91にガンダムと命名した名付け親である。

●コズモ・エーゲス
退役軍人で、レジスタンスを率いてCVに抵抗している。58歳。
誰に対しても高圧的で、所構わず威張り散らす嫌なオヤジ。シーブックたちを無理矢理戦わせようとする。
フロンティアⅠに実験的に放たれたバグの餌食となった。
なんと漫画版ではスペースアークの艦長。幸い漫画版では割とマトモな好人物であり、シーブックのボケにツッコミを入れるコミカルなシーンが多い。

ビルギット・ピリヨ
パイロット候補生。ヘビーガンを使う。22歳。
割と皮肉屋だが、実力を発揮し始めたシーブックに言葉をかけるなどいいヤツだった。フロンティアⅠ内に放たれた無数のバグに襲われて戦死。

●ロイ・ユング
フロンティアⅣにあるロイ戦争博物館の館長。武器マニア。60歳。
連邦軍の元軍人であり、フロンティアⅣ襲撃時は学芸員のローバーとクリスを引き連れてガンタンクR-44を駆り議事堂奪還に向かうが、
周辺警戒していたデナン・ゲーに砲塔を斬られ、その際の爆発に巻き込まれ死亡する。

●シオ・フェアチャイルド
ナディアの再婚相手でセシリーの育ての親。40歳。
フロンティアⅣでパン屋を営んでいたがCVと内通しており、セシリーをロナ家に引き渡した。
後にナディアと共にロナ家を訪問するが暗殺されてしまう。
若い頃は小説家を目指していた。セシリーの趣味がパン作りなのは彼の影響である。
ナディアと付き合い、セシリーと暮らしていた当初は普通の庶民の娘として真っ当に育てようと考えており、
最初から内通していたわけではない。

●ナディア・ロナ
セシリーの母親でマイッツァーの娘。
カロッゾと結婚しセシリーを授かるも、マイッツァーやカロッゾの提唱する貴族主義についていけず、幼いセシリーを連れ、シオと駆け落ちする。
その後、シオの元からも離れレジスタンスに入っていた。
ロナ家に訪問した際に共にいたシオが暗殺され、自らは拘束されてしまう。その後の行方は不明。



ザビーネ・シャル
シーブックのライバル的立ち位置のようで全くそんなことはない「黒の部隊」隊長。24歳。
戦いの際には割と汚い手段を使ったりもするが、大量虐殺を良しとはせず、カロッゾを倒したシーブックをわざと見逃したりする騎士道精神の持ち主。


●ジレ・クリューガー
鉄仮面の片腕ともいえる腹心の部下。39歳。
バグやラフレシアの管理もしており、フロンティアⅠにバグを解き放った張本人。
貴族主義に反した行為と判断したザビーネに粛清される。
「SF91」では連邦軍と裏取引を行っており、ダークタイガー隊をダシにしていた。

●マイッツァー・ロナ
ロナ家の家長。セシリーの祖父でナディアの父。69歳。
コスモ貴族主義の提唱者であり、理想の宇宙国家コスモ・バビロニア建設に燃える。
劇場版では高潔で孫に優しい老人だが、小説版ではカロッゾと人口削減について話し合ったりしている。
とはいえ小説版によると、
「増えすぎた人口を危惧し、ブッホ・コンツェルンとして築いてきた財力と政治力により人口制限政策案を地球連邦政府に幾度も提出したものの受け入れられなかったため、ついには人口削減を強行した」
という(虐殺は決して許されることではないが)彼なりに宇宙世紀の未来を憂いる観点があったことが書かれている。
コロニーの人口爆発によって引き起こされた後の「宇宙戦国時代」を思うと結果的に彼の憂慮は正しかったというのもまた皮肉……。


カロッゾ・ロナ
ドレルとセシリーの実の父。通称「鉄仮面」。CV最高指揮官。推定45歳。
入り婿だったがセシリーの母親ナディアに娘もろとも逃げられ、あまりの不甲斐なさで自ら仮面を被る。
最後には自分を強化人間として改造し人間として歪んでしまった。
バグとラフレシアを使い、人類の10分の9を抹殺しようとする。
生身で宇宙に飛び出す、コクピットを素手で引きちぎる、銃弾を受けても無傷等、もはや人間をやめている。
死に際に放った「化け物かっ!」という台詞は皮肉以外の何者でもないだろう。




〈主な登場MS・MA〉





漫画版もありますが、シーブックはあんな乱暴な言葉使いではありません……
小説版では上下巻構成でロナ家やクロスボーン・バンガードの成り立ちについて詳細に描かれており様々な事情が分かりやすい。
……のだがそのせいで上巻の大部分がロナ家やクロスボーン・バンガードの成り立ち、アノー家の家庭の事情などの解説で占められた後、ようやく学園祭のシーン(=劇場版の本編に当たる部分)が始まる構成になっているのはご愛敬。



大人の都合だけで追記・修正されてたまるか……!

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