翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~

登録日:2025/07/04 Fri 19:45:20
更新日:2025/07/22 Tue 11:20:11
所要時間:約 10 分で読めない奴は追放どすえ





まさかの第Ⅱ章、開幕。
今度は東西対決!関西の皆様 飛び火してすんまへん。
埼玉の皆様 続編でもディスってゴメンなさい。



翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』とは、2023年11月23日に公開された日本…ではなく、滋賀県と埼玉県共同製作のプロパガンダ映画である。

監督は前作に引き続き武内英樹が担当。

概要

前作「翔んで埼玉」の想定外の大ヒットを受け、二匹目のどじょうを堂々と狙うため2021年に制作が発表された。
作品舞台が関西になったのは興行収入が東日本地区では好調だった一方、西日本地区での興収が今一つでそれをカバーする点、公開後に「うちの地域でもこれをやってほしい」とどういうわけだか全国各地から嘆願があったことが理由としている。

本作のメイン舞台となるのは滋賀県で、埼玉県と同じく大都市圏近郊の海なし県であることから選ばれた。
当初は同じ海なし県である奈良県も検討していたが、寺社仏閣などの世界遺産がたくさんあるためディスれない*1との判断もあったという。
途中、主演であるGackt様の芸能活動休止などアクシデントにも見舞われたが、2022年には撮影再開が発表。無事に2023年11月に公開された。

滋賀県をひったすらこき下ろすためだけにキャスティングには関西各県出身の芸能人が多数そろえられ、そのキャストの絶妙さも評判を呼んだ。
前作と異なる点として名作映画のオマージュ・パロディシーンが多数ちりばめられており、この手の映画のお約束を破るような演出も多々ある。
特にクライマックスは誰もがまさか!埼玉県人ですらまさか!の展開となっている。

関西に目が行きがちだが、本作では武蔵野線建設の経緯が語られているので、その点では重要な一作となっている…かもしれない。

あらすじ

さいたま市役所職員の内田智治は、妻と臨月の娘を車に乗せ、猛暑の中「埼玉県市町村対抗綱引き大会」が行われる熊谷市の熊谷あおぞら競技場へ向かっていた。
そのさなか、カーラジオで埼玉県の都市伝説のラジオドラマを聞くことに…
って入りだいたい前作と一緒じゃね?

埼玉県民の自由と平和を勝ち取った麗と百美。
しかし、「埼玉には横のつながりがない」という問題が新たに生じていた。
百美は埼玉を横に繋ぐ武蔵野線の建設を提案するが、埼玉県内に鉄道を持つ路線族は東京やその先にあるネズミーランドにばかり目が向いていた。そこで麗は「越谷に海を作る」ことで心を一つにすることを考え、白い砂を手に入れるため、千葉解放戦線の協力を得て和歌山県の白浜へ向かうこととなったが…

登場人物

伝説パート

前作からの続投

  • 壇ノ浦百美
演:二階堂ふみ(沖縄県出身)
前作の主人公だったが、本作ではその役割を桔梗に交代したため出番は少ないが、途中で最大のピンチが訪れる。

  • 麻実麗
演:Gackt(沖縄県出身)
和歌山に向かう船が遭難し、白浜の海岸へ流れ着いたところを魁に助けられる。

  • 浜野さざえ/浜野あわび
演:小沢真珠(東京都出身)/中原翔子(熊本県出身)
千葉解放戦線のリーダー代理を務める海女コンビ。
和歌山へ向かう船の操縦を担当するが、嵐に遭遇して難破してしまい……

  • 下川信男
演:加藤諒(静岡県出身)
麗とともに関西へ赴いたが、他の仲間たち共々大阪甲子園球場に幽閉されてしまう。
強制労働の中、粉ものばかり食べさせられてしまったせいで関西弁をしゃべるようになり、埼玉県民でありながら関西人化の危機が訪れる。

路線族のみなさん

法被には各鉄道事業者の社紋*2が入っている。

演:山中崇史(東京都出身)
法被の色は黒に埼京線と同じ緑15号の帯入り。

演:ゴルゴ松本(TIM・埼玉県出身)
法被の色は紺に京浜東北線と青24号の帯入り。

演:杉山裕之(我が家・埼玉県出身)
法被の色は西武6000系がモチーフ。

演:谷田部俊(同上)
法被の色は西武イエローがモチーフ。

演:デビット伊東(埼玉県出身)
法被の色は東武8000系(現行塗装)がモチーフ。

演:はなわ(埼玉県出身千葉県・佐賀県育ち)
法被の色は東武の旧優等列車用塗装がモチーフ。

滋賀解放戦線

  • 桔梗魁
演:杏(東京都出身)
滋賀解放戦線の現リーダーで男装の麗人。船が難破し白浜へ漂着した麗を助ける。
実は麗の実弟である。

  • 近江美湖
演:堀田真由(滋賀県出身)
滋賀解放戦線員の一員で、京都で舞妓として偵察を行っている。
実は甲賀の末裔で忍者の家系のくノ一

  • 近江晴樹
演:くっきー!(野性爆弾・滋賀県出身)
美湖の兄で滋賀解放戦線員。

  • 滋賀解放戦線員
演:津田篤宏(ダイアン・滋賀県出身)
数合わせ要員につき特に見せ場はない。

  • 滋賀のジャンヌダルク
演:高橋メアリージュン(滋賀県出身)
滋賀解放戦線初代リーダーで麗と魁の母。
故人であり、平和堂の旗をバックにたたずむ肖像画が残されている。

滋賀以外の関西のみなさん

  • 嘉祥寺晃
演:片岡愛之助(大阪府出身)
仏壇スーツ*3に身を包んだ大阪府知事で、演者と同じく堺市出身。
大阪都構想*4のみならず世界中を大阪化させるため、手段を選ばず暗躍する本作最大のヴィラン。
日本屈指の高級住宅街・芦屋の六麓荘町*5に自宅があり妻と二人暮らし。
乳首ドリルの拷問用具を持っている。

  • 神戸市長
演:藤原紀香(兵庫県出身
嘉祥寺府知事の妻だが、京都市長と不倫関係にある。
しかし、終盤にとんでもない秘密が明らかにされる*6
お気づきかと思うが、演者は大阪府知事の中の人の奥さんであり夫婦初共演である。
中の人は「現実の夫婦関係が前提の共演はしない」というポリシーを掲げており、劇中の2者の夫婦仲が良かったらオファーを断るつもりだったとか……。

  • 京都市長
演:川崎麻世(京都府出身)
自らを洛中出身であることをアピールするために衣装に「洛中」の文字を入れている。
ところで兵庫も京都も府県知事じゃないのかよ…

  • 京都の女将
演:山村紅葉(京都府出身)
生粋の京都人で、本音と建前の使い分けが非常にうまく、専用の判別機が無いと判定不可能。
出身地差別主義が激しく、滋賀県出身の近江に対しては「ゲジゲジの滋賀県民はそこらへんの害虫でも食べといたらよろしい」と暴言を吐いて虐待する。

  • 元大阪府知事
演:ハイヒールモモコ(大阪府出身)
嘉祥寺のオカンで、大阪都構想を目論むも失敗。
最終的に自らの怨念を水晶玉にこめて絶命。

  • 和歌山の姫君
演:トミコ・クレア(サンフランシスコ出身)
祈りによって白浜の美しい海岸を守る女神。元大阪府知事が作り出した水晶玉の呪いによって本来の姿を奪われており、大阪府に囚われの身となっている。

  • 施設長
演:竹原芳子(大阪府出身)
甲子園球場の地下に広がる粉モン工場「タコランド」の施設長。
551と書かれた白い服をまとい、顔もヘルメットも真っ白なおばちゃん。

  • 粉モン工場の従業員A
演:ゆりやんレトリィバァ(奈良県出身)
どこかで見たことあるようなビジュアルの工場ダンスする従業員
衣装は氏がオーディション番組「アメリカズ・ゴッド・タレント」に出場した時の服装をアレンジしたものとなっている。

  • 粉モン工場の従業員B
演:akane(大阪府出身)
どこかで(ryその2。
くいだおれ人形のようなメイクをしており、首からたこ焼き入りのドラムを下げている。
演者は「登美丘高校バブリーダンス部」や「アバンギャルディ」のプロデュースでおなじみの振付師である。

  • 府知事の部下
演:太田芳伸(兵庫県出身)
歌舞伎の黒子のような姿をした屈強な部下。
演者は吉本新喜劇のヤクザ役として活動し、パーソナルトレーナーを副業で営むマッチョマン。
原則新喜劇以外にほとんど芝居業を行っていないため、映像作品に異例の抜擢となった。

現代パート

  • 内田智治
演:アキラ100%(埼玉県出身)
さいたま市の職員。
第1回綱引き大会では浦和区と大宮区の対決を避けるために八百長作戦を実行するが…
演者は第1作にも写真だけで登場している。

  • 内田直子
演:和久井映見(神奈川県出身)
内田の妻。
両親がともに滋賀県出身で、ラジオドラマが始まると妙に熱くなり出してしまう。

  • 若月依希
演:朝日奈央(埼玉県出身)
内田の娘。
臨月のため、名前付けに余念がない。
前作の菅原愛海同様、本作唯一のツッコミ役兼常識人キャラ

  • 若月健太
演:瀬戸康史(福岡県出身)
依希の夫で鶴ヶ島市在住。
彼もラジオドラマを聴いており、ドラマに登場した“ある物”の名前を子供に付けようとする。

  • 埼玉県知事
演:村田雄浩(東京都出身埼玉県育ち)
埼玉県知事。綱引き大会で浦和区と大宮区が対決することに恐怖を感じている。

  • ミルクボーイ
演:ミルクボーイ(本人役:大阪府および兵庫県出身)
エンディングで滋賀県の漫才を披露する。

用語

  • 大阪甲子園球場
本作では大阪府*7の管理下に置かれており、外見も古代ローマのコロッセオを彷彿とさせるデザインになっている。

  • 通天閣
名実ともに大阪の象徴である展望タワー。

  • とびだしとび太
子供の飛び出しに対する注意喚起を促すための看板で、実は滋賀県発祥。
作中では滋賀解放戦線のメインウェポンとして用いられるだけでなく、攪乱にも活用されている。

  • 有名人出身地対決
琵琶湖の水門である「瀬田川洗堰の闘い」で繰り広げられた対決。
前作の影響の高さからか、今回はいずれもかなり強いカードが用意された。

  • 行田タワー
行田市の公園「古代蓮の里」にある埼玉県唯一の展望タワー。

余談

本編で登場する「琵琶湖のダム」は兵庫県神戸市にある千苅ダムを使用している。

本作でも実在企業が多数登場しており、滋賀解放戦線のシンボルとなった平和堂に加え、551蓬莱や串かつだるま・道頓堀くくるが登場する。
監督によると大阪の企業については片岡愛之助の働きかけもあって登場するに至ったとか。


滋賀県の解放のため!皆の者、いざ…追記・修正じゃあ!

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最終更新:2025年07月22日 11:20

*1 これ以外の観点では近いと考える人も少なくない。

*2 JRの2路線は前身である国鉄が使用していた動輪マークと呼ばれる社紋を使用。

*3 吉本新喜劇の池乃めだかがよく着ているスーツの通称。

*4 現実の大阪都構想とは違い、日本の首都を東京から大阪に移転させる文字通りの“大阪都構想”である。

*5 実在する地区だが、映画で登場するのはフランス・アルプマリティムの古城である。

*6 この辺りは藤原自身のアイデアも入っている。

*7 現実の甲子園球場の所在地は兵庫県西宮市で、自治体ではなく阪神電気鉄道が保有している。

*8 神戸と芦屋以外の兵庫県人や京都市以外の京都府民もここで働かされている。とは言え、都会指数がまだ高めなので楽しく調理作業に従事しているため、他のとこ出身者よりもかなりの好待遇だが