21エモン

登録日:2014/08/24 Sun 14:08:50
更新日:2025/06/21 Sat 10:40:28
所要時間:約 2 分で読めるモア





『21エモン』は、藤子・F・不二雄先生が世に送り出した漫画作品のうちの一つ。


概要

1968年~1969年に週刊少年サンデーで連載。
現在でこそ藤子・F・不二雄のSFは「すこし・ふしぎ」のことだという認識がまかり通っているが、この作品は「結構ガチめなSF世界観での日常生活」というかなり異色の題材であり、
第一話の時点で「貨幣経済がない上に1日が96時間という星*1から来たお客さんを泊めたことで大損をこく」というものである。
日常生活が根幹部なのでSFに求められる冒険的な要素(「スタートレック」など)もなく、いざ冒険に出てみれば旅費を稼ぐために強制労働をさせられるという散々なもの。
その性質のせいで連載当時はあまり受けなかったが、連載終了後に徐々に人気が上がっていったという異色作。

なお、連載時期には藤子先生の師匠・手塚治虫先生が『どろろ』を同誌に連載しており、69年の正月にはコラボ漫画も掲載されていた。
内容は妖怪を見つけた百鬼丸が殴り込みに来たら唐突に21エモンが現れ、「妖怪じゃなくてうちのお客なんですよ」と案内しどろろ&百鬼丸が呆れるというもの。

連載終了から10年以上を経た1981年に突如アニメ映画化(宇宙へいらっしゃい!)され、「ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ」と抱き合わせ同時上映された。
テレビアニメ化に対するパイロットフィルム的な意味合いも持たせてあったが、この時点では実現せず10年を要したため、現在ではこの映画は独立した作品となっている。

その後、1991年~1992年に「シンエイ動画」によってテレビアニメ化及び映画化され、また、藤子・F・不二雄ミュージアム上映用にアニメが新作されている。
このアニメ版は「ドラえもん」との差別化も狙って設定を換骨奪胎しているもので、原作とはかなり別物*2なのだが、現在「21エモンのアニメ」と言えば間違いなくこれを指す。
21エモンの制作終了後のスタッフは、その後にアニメ「クレヨンしんちゃん」へとスライドしていった。21エモンで培われたキャラ造型は、それにも生かされている。

なんにせよ「ザ☆ドラえもんズ」や「耳をすませば」あたりが直撃したアニヲタwiki編集者に多い世代なんかが見てみると、懐かしさ、新しさ、制作に対する勘繰りなどが同時にこみあげてくるいい作品なのでぜひ見てほしい。
日本を代表するアニメ「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「キテレツ大百科」などにガッツリ絡んでいるため、制作の裏事情なんかも調べてみるともっと面白い。

あらすじ

時は、21世紀の未来(原作:2018年、アニメ:2051年)。
そこには、一軒の寂れたホテルがあった。
ホテルの名前はつづれ屋。
江戸時代の幕開けとともに開業し、20代目まで続いている老舗のホテルである。
そのホテルの跡取り息子である21エモンは、いつの日かロケットに乗って宇宙へ旅立ちたいという夢を持っていた。
今日も今日とてつづれ屋を舞台に、21エモンと愉快な従業員たちの愉快な一日が始まる。

舞台

原作では2018年*3、アニメでは2051年が舞台となっている。
既に地球は国家が解体されて地球連邦政府が樹立。銀河連邦加盟国となり、観光立国化した。
そのため様々な宇宙人が宙港から訪れ、人類は太陽系に散らばっている。旅行ですら、今でいうハワイ旅行くらいの扱いである。
交通は何でもかんでも「エアなんとか」化され、小学生でもエアカーを操縦できる。

日本州では子供の健全な育成のため、3時から6時までの間はプレイルームで遊ぶことが義務付けられている為、
21エモンは軽く憲法違反をやらかしている(一度少年少女管理局の職員が来たこともある)。
学校は授業が行われているが、行っても行かなくてもいい。ただ行かない場合は立体テレビで録画した授業を見てレポート書かされる。
さらっと書いたが、東進ハイスクールを先取りした内容である。コロナ禍の影響もあり、現在の大学ではこのような形式の授業も多くなってきた。

生活水準も最底辺であるつづれ屋ですら明らかに現在よりいい暮らしをしており、ゴミは掃除機で吸った途端にゴミ道を通って処分され(勿論公共料金はいる。)、
風呂は反重力、本はマイクロフィルムで完全デジタル化。ちなみに新聞は契約すれば便所で毎日配信される(何に印刷されるかはあえて書かない)。
ただ、食事は「合成食品の方が安上がりだから」という理由で天然の野菜や果物などはどんどん経済規模が縮小している。
逆に言えば、そういうものにこだわったり珍しがっている人には高く売れるということで、ゴンスケのを客に出したら話題になったことがある。
木星リンゴを買おうとしたら途方もない値段だった(地球では何気ないものでさえ栽培が難しいため貴重品)ということもあり、このような「文明が発達したことによる現実の生活との差異」が本作のポイントのひとつ。
そういう意味では、同作者の「みきおとミキオ」などに近い部分もある。

原作前半は現代日本とは常識の違う未来の世界での日常やつづれ屋のお客様へのおもてなしで織りなす珍道劇、後半は宇宙の旅での奇想天外なスペースコメディと話の構成が異なっている。
特に後半の路線は不完全熱唱だったのか基本フォーマットがそのままモジャ公に引き継がれている……というか、作者本人が「21エモンの二番煎じ」と公言している
91年版アニメでは前半2クールが地球編、後半1クールが宇宙編となっており34、35話では『モジャ公』のエピソード『ナイナイ星のかたちうち』がキャラクターを差し替えてアニメ化された。
映画『宇宙いけ!裸足のプリンセス』の後半部も『アステロイド・ラリー』を翻案したものである。
前話とのつながりをかなり意識して作られている関係もあって、Youtubeなどでの単話上映との相性があまりよくないのが残念なところ。いい作品なのでぜひ第1話から続けて見てほしい。だんだん失速していくが……。

登場キャラ

  • つづれ屋21エモン
声:井上和彦(映画:第1作)、佐々木望(TV版、映画:第2作、2021年版Fシアター*4)、斎賀みつき(2012年版Fシアター*5
主人公。周囲の人間からは基本的に「エモン」と呼ばれる。
つづれ屋の跡取り息子だが、いつの日か宇宙へ旅立ちたいという願望を持っている。
一方で実家への情、父親の継いで欲しいという願いを無下には出来ずに迷っている*6
マイホームならぬマイロケットを手に入れるため、つづれ屋でボーイとして勤務し、宿泊客からチップを頂いている。
ロケットの操縦の訓練をしてはいる物の、逆噴射ボタンを間違って押しちゃったこともあるなど、やや機械の扱いは苦手な様子。

91年版アニメでは原作より勝気で無鉄砲なところはあるもののキレ者の部分を見せており、より宇宙へ旅立ちたいという意欲が強い。
操縦士としての才能は「シミュレーターで何度も大事故を起こす」などの無鉄砲な面が目立つものの、歴史に名を遺すレベルの人々からはその才能を見込まれている。
マイロケットを手に入れた後のエンジンを探し回ったり、つづれ屋の常連客であるスタンレーの旅に同行して経験を積んだり。
一方でつづれ屋の家業への愛着も忘れておらず、最終回では「宇宙パイロット」と「旅館経営」の両方の夢をかなえている。
第38話と第39話の間に位置する映画「宇宙いけ!裸足のプリンセス」では宿泊費を解決するために銀河ラリーに参加する。優勝を狙って賞金で払うのではなく「レースにかこつけて逃げることで旅費を踏み倒す」という算段など、一筋縄ではいかない主人公*7

藤子漫画の主人公には珍しく白目がない小さな目をしているが、鼻から下のデザインは原作版、81年映画版と、
中央公論社のコミックス藤子不二雄ランドCM(88年ごろ)版、91年版アニメでデザインが異なっており、
原作と81年映画版は頬に赤丸があって口がかなりとがっている顔をしていたが、藤子不二雄ランドCM版からこの特徴が無くなり、
91年版アニメは声から容姿までエスパー魔美の竹長悟を小学生にしたようなデザインであり、92年映画版ではもろに竹長である。

  • モンガー
声:杉山佳寿子(映画:第1作)、大谷育江(TV版、映画:第2作)、小林由美子(2012年版Fシアター)
本作のマスコットキャラ。
ササヤマ星で発見された、栗のような形状をしたオレンジ色ののような生き物。
元はつづれ屋に宿泊したササヤマ星人のペットであったが、ササヤマ星は貨幣経済という概念が存在しない星であった*8ため、
宿泊費支払いの段階で困った挙句、宿泊費代わりとしてつづれ屋に置いて行かれた。
当初は1週間に1度しかしゃべらないという設定だったが、尻尾の脳に強い衝撃を受けたことで饒舌にしゃべることが出来るようになったが、今度は数時間に及ぶマシンガントークを浴びせられて周囲が辟易するようになる。
元気で新しい物好きな性格。ゴンスケとは犬猿の仲。
絶対零度にも真空にも数万度の高熱にも平気で耐える「絶対生物」と呼ばれるクマムシもびっくりの耐久力の超生物。
石や金属も平気で食う悪食で、ロケットのエンジンを食ってエモンを事故死させかけたこともある。
3㎞圏内でテレポートも使え、空港から客を直接ホテルに呼び出しての客引きとかも出来る。

TVアニメ版では最初からよくしゃべるうえに、ササヤマ星人の旅行者のカバンに隠れて密航してきたという衝撃的な登場をしている。
大谷育江のボイスで、語尾に「モア」とつけてしゃべる愛嬌たっぷりのキャラクターとなった。始終エモンとともに行動し、苦難を共にする友人として描かれる。
人間にはできない超能力を持った、主人公より存在感の濃いマスコット、主人公とは友情で結ばれ、声は大谷育江……なんか既視感が……*9

当時大ヒットを飛ばした藤子作品のアニメ版、たとえばドラえもん、忍者ハットリくん怪物くんなどで大変勘違いしやすいのだが、こいつは21エモンではない。
他にも「ロックマン」「星のカービィ」「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」「賭博黙示録カイジ」など、日本ではタイトルに主人公の名前を冠する作品が結構多い上に、21エモンという名前があまり人命っぽくないので非常に間違いやすい。恥ずかしいことではないのでぜひ覚えて帰ってくださいね。
イメージとしては「キテレツ大百科」のポンコツロボットがキテレツじゃなくてコロ助、「ゼルダの伝説」の主人公の緑色の剣士がゼルダじゃなくてリンク、みたいなもん。
幼児向けの雑誌連載作品では『モンガーちゃん』とまさかのタイトルに起用される扱いを受けているが、おそらくその勘違いを避けるための措置だろう。

  • ゴンスケ
声:肝付兼太(映画:第1作)、龍田直樹(TV版)
元々は芋掘りロボットだったが、20エモンがボーイとして買い取った。
ロボットとはとても思えないレベルで口が悪く協調性は微塵もない、ロボット三原則なんて知らねーよと言わんばかりのトラブルメーカー*10であり、今作のトリックスター。
三度の飯より芋が好きな芋バカで、雨漏りしてる客室を芋畑にした事がある。
が、彼の栽培する芋は絶品で、それを使った料理がつづれ屋の看板メニューになっている。
植物関係の専門家としてアルバイトとして別の施設で仕事をしていることもある。
さらに財テクにも長けており、ゴールドカードまで所持と何気にハイスペック。
宇宙旅行編はエモン、モンガー、ゴンスケの3人を中心に、ゲストキャラを交えて行われる。

その後『ウメ星デンカ』にて別設定(ウメ星のロボット)で登場し(声:毒蝮三太夫)、アニメ版『モジャ公』や、
ドラえもん のび太とロボット王国』・『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 』等にもゲスト主演している。
声はないが、上記の3人で『ザ☆ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ?』にもカメオ出演。芋のスイーツを振る舞うが、悪役にシロップを接着剤とすり替えられて失敗する。
藤子・F・不二雄のSF短編でもたまに登場している。

初代劇場版の声優である肝付氏はTV版でオナベ役に変更されているが、この人藤子作品のアニメに良く出演する割に、
『オバケのQ太郎』(ゴジラ→ゴジラ→ハカセ)、『パーマン』(カバオ→パーやん)、『怪物くん』(番野→ドラキュラ)、『ドラえもん』(ジャイアンスネ夫)など、
同じ作品の新作で続投したのに役が変更されてることが恒例のため気にしてはいけない。

  • ルナ
声:潘恵子(映画:第1作)、冬馬由美(TV版)
エモンのクラスメートで、本作のヒロイン。
つづれ屋の商売敵である一流ホテル「ホテル・ギャラクシー」の一人娘だが、21エモンとの仲は良好。リア充爆発しろ。

因みに同一人物のはずだが原作*11と81年映画版、TVアニメ版では顔のデザインがいずれも異なる。
原作はおでこや側面にロール状に巻き毛がある容姿で、81年映画版ではカールした金髪おかっぱ。
TVアニメ版は緑色の髪で後ろが左右にはねた独特の容姿になっており、さらに瞳の描かれ方がかなり独特。特に真顔の時は、21エモンを知らない人が見るとヤンデレっぽく見えるらしい*12
アニメ版では21エモンに対して好意をより明確にしており、彼の初恋の女の子の存在を知って動揺したり、21エモンが宇宙から帰還した時には涙を浮かべて迎えに行くなど、ヒロインらしく行動している。シャワーシーンもあるぞ!
その一方で自分から逃げようとするエモンをあの手この手で追いかけたり、小惑星に漂着してしまったときはエモンとリゲルを先導するように緊急時の対応を行ったりなど、勝気でしっかり者な性格も強く描かれている。
アニメ版の最終回ではエモンと結婚して一子「22エモン」を成している。

  • カメキチ
声:はせさん治(映画:第1作)
エモンやルナのクラスメイト。
金持ちの息子で尖らせた口*13が特徴。
原作、映画版に登場、TVアニメ版ではオリジナルキャラクターリゲルに設定が引き継がれた……ことが有名だが、実は原作での出番自体がほとんどない

  • 20エモン
声:二見忠男(映画:第1作)、中庸助(TV版)
エモンの父親で、現・つづれ屋のオーナー。
伝統を守っていくべきだという考えから息子が跡取りになって欲しいと思っており、しばしば21エモンと衝突する。
とても頑固な性格で、本作では伝統を過剰に重んじる性格がトラブルを起こすこともしばしば。
第2期ED「ベートーベンだねRock'n'Roll」の映像では、踊っているエモンの服が平服の時は一緒に踊り、宇宙服の時はうつむいてじっとしているという形で思想が分かりやすく視覚化されている。

貧乏ではあるが性格は清廉潔白で、「石ころ(カラット数の大きなダイヤモンドをバッグ一杯に詰め込んである。)」で支払われた時は「こんなに受け取れない。」と言ったり、
斡旋の代わりに賄賂を要求してきた客には断固として拒絶の意志を見せたりと、単に財テクが下手だとか誰かに騙されて借金をするとかではなく「こだわりを持つがゆえに貧乏」という感じ。
藤子・F・不二雄作品には「こだわりを追うがゆえに貧乏」というゲストキャラがたびたび登場するが、そのうちの一人と類型してもいいだろう。

  • オナベさん
声:丸山裕子(映画:第1作)、肝付兼太(TV版)
20エモンが11000円で購入したメイドロボ。
あたしンちお母さんを糸目にしたような姿。手が電磁石になっている。
外見があんまり美人ではないこと以外は非の打ちどころのないレベルの有能ロボットであり、
アニメ版では家族がことごとく失敗したエモンへの説得を家族の情に訴えかけてあっさり成功させる

ドラえもんの映画「ロボット王国」でもゲスト出演したが、声は愛河里花子に変更されている。
主人公サイドと声が同じだとちょっと混乱するからね、仕方ないね。

  • ママ
声:栗葉子(映画:第1作)、松島みのり(TV版)
21エモンのママ。本名不明。
美人。温和に見えるが20エモンと喧嘩することもしばしば。
宇宙旅行が危険であるという考えから、息子が跡取りになって欲しいと思っている。
第2期ED「ベートーベンだねRock'n'Roll」の映像では、踊っているエモンの服が平服の時は一緒に踊り、宇宙服の時はそっぽを向くという形で思想が分かりやすく視覚化されている。

  • リゲル
声:真柴摩利(TV版)
テレビアニメオリジナルキャラ。
「ホテル・オリオン」の社長の息子で、21エモンのライバル役。イケメンで21エモンよりやや背も高い。
プライドが高く、自らを「貴公子」と称するが、肝心な場面ではヘタレなせいでルナの方がしっかりしている。
お金持ちなのだが、ルナも負けず劣らずお金持ちの令嬢なのであんまり目立たない。むしろ貧乏人のエモンと張り合って間抜けを晒すというコメディリリーフの一面を際立たせるための設定。
ルナに好意を持つが、その想いは一方通行であり、その嫉妬からか21エモンにたびたび嫌がらせをする。だけどなんだかんだ友人とは思っている。
髪型がシイタケに似ており、ゴンスケからたびたびそう呼ばれる。

スネ夫との差別化を狙ったキャラだったのだが、声の関係もあり、現代の人が見るとまんま風間くんにしか見えないだろう。
制作会社どころかスタッフが同じなので、風間くんのプロトタイプとみなしてもいいかもしれない。

  • 22エモン
声:佐々木望
テレビアニメオリジナルキャラで、最終回にしか登場しない登場した21エモンとルナの息子。
容姿から性格までよく似ており、モンガーとゴンスケは彼のお目付役。
旅に出ている21エモンとの思い出を話すという形で総集編が流される。

主題歌

『おーい!車屋さん』*14
『21世紀の恋人』
『ベートーベンだねRock'n'Roll』*15

つづれ屋について

エアカーが飛び交い摩天楼がそびえたつメガロポリスにおいて、ビルの谷間にひっそり立つ3階建てのオンボロホテル。
21エモンの友人からは「つぶれ屋」と揶揄されることも。それどころか20エモンが客引きの際にうっかり自分で言ってしまうことさえある。
自動ドアも無く、エスカレーターはさび付き、天井はシミだらけ。公共料金も毎度の如くため込んでおり、しょっちゅう集金ロボが訪れている。電気やガスを止められてしまう回まであるほど。
ただ客室は他のホテル(にかなり劣るにしろ)同様、異なる重力・気圧・大気成分・気温の惑星人でも住めるようなコンピューター整備が行われている。そのため扉は三重で、宇宙服を着て入ることもある。
あまりいい旅館ではないのだが、逆にひなびたものを好む客には非常にウケがよい。宇宙パイロットとして名高いスタンレー氏が「実家のよう」と絶賛して常連になっている。いいのかそれで。

実はこのホテル、ドラえもんにも登場しており、その時は18エモンが経営者で、息子の19エモンは家出していた。
が、ドラえもんのび太のおかげで、19エモンは戻ってきた。
もし、ドラえもんとのび太が関与していなければ、つづれ屋は18代目で閉業してしまい、21エモンも生まれてこなかった可能性もある。
そう考えると、のび太とドラえもんはある意味救世主といえるだろう。
しかしドラえもん自身も時間移住者なのでタイムパラドックスか並行世界気味でもある…。
ちなみに18エモンは『エスパー魔美』にも登場する。

TVアニメ版第1話は「僕ドラえもん僕の友達 エモン君の宇宙大冒険!」という主人公を差し置いてドラえもんの名があるサブタイトルであり、
実際にドラえもんがゲスト出演しているが、セリフが一切ない背景キャラクターとして数秒間のみの出演であり、21エモンとも一切絡んでいない
その後第24話にもゲスト出演しているが、第1話同様背景キャラクターとしての出演のみである。
一応「チンプイ」の最終回でも流れた新番組予告編では視聴者に21エモンを紹介する役割でドラえもんが喋るシーンがあるのだが、これを見て「ドラえもんが物語に絡む」と思ったファンも多く壮大なタイトル詐欺である。令和の現代なら炎上待ったなし。おおらかな時代だったなぁ……。
っていうか、なぜこの時代にいたのだろうか?

余談

F先生の漫画『モジャ公』はダメ少年・丸い宇宙人・ポンコツロボット三人の珍道中であるが、勿論21エモントリオのオマージュである。
そのためTVアニメ版『21エモン』ではモジャ公のエピソードを流用した話も多い。

ドラベース ドラえもん超野球外伝』第1巻に登場する草野球チーム・江戸川モンガーズは21エモンキャラがモデル。メンバーは以下の通り。
  • 1番/キャッチャー/笹山(→ササヤマ星人)
  • 2番/ショート/尾鍋(→オナベ)
  • 3番/ピッチャー/門賀(→モンガー。主将で大金持ちの息子)
  • 4番/サード/ゴンノスケ(→ゴンスケの恐らく最新モデル。巨体の強打者)
  • 5番/センター/ゴリダルマン(→ゲストキャラ「ゴリダルマ」)
  • 6番/セカンド/綴(→「つづれ」屋21エモン)
  • 7番/ファースト/宇木喜(→ゲストキャラ「ウキキの木」)
  • 8番/レフト/流葉(→ルナ)
  • 9番/ライト/ワントナッタ(→ゲストキャラ「ワントナック公爵」)




追記・修正なら当旅館、つぶれ屋にお越しください……!
あ、間違えた。アニヲタwikiにお越しくださーい……!

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最終更新:2025年06月21日 10:40

*1 理由は不明だがつづれ屋では「一泊は客の星の一日を基準として行い、一泊がどんなに長かろうと短かろうと一泊料金は一律。」という妙なルールになっている。第1話以外では「ノロノロ・チャカチャカ」でもこの説明がある。

*2 これは「キテレツ大百科」などにも同じことが言える。

*3 ただし、原作第1話で「徳川幕府のはじまり(=西暦1603年)とほとんど同時につづれ屋は創業して450年の歴史がある」と21世紀中盤=現在のようなことを20エモンが言っている。

*4 「ドラえもん&Fキャラオールスターズ すこし不思議超特急」

*5 「21エモン&ドラえもん ようこそ!ホテルつづれ屋へ」

*6 連載当時の1960年代はまだ「家業を継ぐ」という考えが根強く残っていた頃で、エモンは「夢を追う」という新しい考えとのジレンマに悩む主人公である。そのため漫画・アニメともにコロコロ考えが変わってしまう。

*7 厳密にいうとこのエピソードは同作者の別の漫画『モジャ公』が原作で、元の作品だと実行者は同作の主人公の空夫。

*8 アニメ版ではルナとの客引き合戦に巻き込まれたが、出身星を知ったとたんにルナにうっちゃられた。

*9 21エモンの方が先である。そういえばエモンガなんていう合体させたような名前の奴もいたっけな……。

*10 元ネタは落語における「田舎上がりの下男」を示す権助という役。商家の主人をからかったり、逆にひどい訛りや不愛想さで騒動を起こすという話も多い。

*11 ちなみに原作も最初の単行本が完結後2年以上もしてから出たため、単行本で描き直したシーンの絵柄がだいぶ異なり、ルナの場合髪型はさほど違わないものの「目が大きくて隣接している」という顔だったものが「やや目が小さくなって離れている」という顔になっている。ウキキの木やマルス大佐と絡む前後シーンが顕著で、【ウキキ】「操られて悪口を言う21エモンに激怒(元から:目大)→自分も操られて手が動き出す(描き直し:目小)」【マルス】「21エモンをちょうどよかったとロビーに招く(描き直し:目小)→マルス大佐を紹介(元から:目大)」と1コマ置いただけで顔が違っているので確認してみよう。

*12 コメント欄に「バットマンのジョーカー(道化師の姿をした悪役、情緒不安定な狂人)とカラーリングが同じ」という指摘がある

*13 著名なスネ夫やトンガリと異なり、丸みを帯びたとがり方をしている。原作でスネ夫のような口はむしろ21エモン本人。

*14 美空ひばりの楽曲「車屋さん」のカバー曲。歌っていたジャニーズアイドルグループ「忍者」はデビューからこの曲までの3曲が全て美空ひばりのカバーで、つまりはこれも単なるタイアップに過ぎないと思われるが「昭和歌謡の現代アレンジ」という曲風はアップテンポさも相まって不思議とマッチしていた。

*15 原曲を1.04~1.05倍ほどに早回しで流されているため、音程が高くテンポが速い。最初から早回しで作られている「はじめてのチュウ」ならまだしも原曲を勝手に早回しなんて現代なら炎上しそうだ……。