ニホンオオカミ

登録日:2011/11/07 Mon 20:59:53
更新日:2025/04/10 Thu 17:11:37
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  • 名称
 ニホンオオカミ
  • 分類
 哺乳綱ネコ目イヌ科タイリクオオカミの亜種
  • 学名
 Canis lupus hodophilax
(仮名転写:カニス・ルプス・ホドフィラクス)

ニホンオオカミとは本州・四国・九州地方に生息していたの一種(ただし、近年では別種とする説もある)。
他地域のオオカミよりも小型で中型犬と同程度の体長だったが、足の長さやマズル(口吻)部分の短さが大きく異なる。

テリトリーに入り込んだ人間の後をつける事から、「送りオオカミ」という言葉の語源となった。

最近のゲノム解析の研究の結果、犬に最も近縁なオオカミと判明したため、犬の起源としてはアジア説が濃厚になった。
ハイイロオオカミの1系統がニホンオオカミと犬に分岐したため、今でも東アジア・オセアニアの犬はニホンオオカミとの共通祖先からの遺伝子を最大5%程保有している。
ちなみにオオカミに最も近縁な犬は日本の柴犬である。日本犬の他オーストラリアのディンゴやニューギニアのシンギングドッグもオオカミに近縁である。このことも犬のアジア起源を裏付けている。

ニホンオオカミはハイイロオオカミの亜種としては世界最小であるため意外かもしれないが更新世に生息していた超巨大オオカミの血を引いていることが判明した。

体重は15kg程度と柴犬より少し大きい程度だが体長は1mほどとシェパードなど大型犬サイズだった。
犬は飼育が前提のため栄養状態が良いのに対しニホンオオカミはあくまで野生動物であるためより体型が細いのだろうと考えられる。
また、エゾオオカミのような標準サイズのハイイロオオカミでも平均サイズ体長120cm体重30kg程で大型の雄でも50kg程度と一般的にイメージされるよりずっと小さいことはニホンオオカミと同様である。

出来の悪い剥製が多いため実際の姿がわかりにくいが、大英自然史博物館に保存される「最後のニホンオオカミ」の仮剥製はハイイロオオカミとしてのニホンオオカミの姿が良く保存されている。

〇絶滅までの経緯

元々は田畑を荒らすイノシシやシカを追い払う農耕のとして「大口の真神=大神」と崇められて来たニホンオオカミだが、
人里に出現し、飼い犬やを襲う事も多々あった。とりわけ名馬の産地である岩手県は長いこと獣害に悩まされ続けてきた。

また、人食いも多発していた。特に東北地方では家畜に加え小さな子供が何人もニホンオオカミに食われた記録が残っている。
中には1日で10人もの子供が被害にあった事例もあり、地元のマタギが討伐に向かい褒美をもらったという記録もある。
ツキノワグマと共に当時の日本では代表的な猛獣であり人畜に対し猛威をふるった際は「狼荒れ」「熊荒れ」と呼ばれた。
現在でも東北特に秋田県は「熊荒れ」の被害が多いがニホンオオカミ絶滅前は「狼荒れ」も酷かったようで、有名な十和利山熊襲撃事件のあった現在の秋田県鹿角市では1日で5人もの子供が食害にあった記録もある。

徳川綱吉が治安維持の為に制定した「生類憐れみの令」によりオオカミも保護対象になったものの、
江戸時代中期に狂犬病が流行した事により扱いは一転し駆除の対象となった
また、江戸から明治にかけてオオカミの遺骸を利用したオオカミ信仰が流行、とりわけ頭骨は重宝された。
更に、明治時代に海外から輸入されたイヌからジステンパーという伝染病が広がった上に、主食のシカの減少や環境破壊により生息地を失い、
1905年に狩猟された個体を最後に公式には絶滅した。 

〇ニホンオオカミ生存説

…が、実はその後も「ニホンオオカミ見たよ」という声は後を絶たない。
目撃談のみならず「鳴き声を聞いた」「ニホンオオカミの糞や足跡を見た」という証言も残されており、個人・団体を問わず検証が進められている。
  • 1970年代には紀伊半島で「ニホンオオカミらしき生き物を捕獲した」という声が相次いだが、残念ながら野犬やキツネ、タヌキの誤認だった。
  • 1996年に埼玉県秩父山中でニホンオオカミらしき影が撮影された。
  • 2000年には九州山間部でやはりカメラに収められているが確証はない。

〇ニホンオオカミ絶滅後

捕食者であるニホンオオカミが消えた事により、本州地方を中心にイノシシ、ニホンジカ、ニホンザルによる獣害が多発。
中国やヨーロッパから野生のオオカミを輸入する事も検討されたが、
  • 「マングースやジャンボタニシのように野生化して害獣になったらどうするのか」
  • 「ニホンオオカミと同じように人里に現れたらどうするのか」
などの反対意見が相次ぎ、実現には至っていない。


何と2011年1月には、剥製からの遺伝子情報でクローンのニホンオオカミを復活させるというプロジェクトがスタート。
実現すれば世界で初めて「クローンにより絶滅動物が復活した例」となる。
…まあ、その場合イノシシやニホンザルに加えてニホンオオカミが田畑や民家を襲う可能性もあるのだが…
ちなみに技術上はドードーも復元可能。

ちなみに「和犬には彼らの末裔では?」と言われる種類がいくつかいる。
「紀州犬は狼の子を先祖に持つ」という言い伝えがあり、もう一つの四国犬は何度かニホンオオカミと見間違えられている。

上野の国立科学博物館にニホンオオカミの剥製が一つ保存されているが
それと別に所蔵しているヤマイヌの剥製が「こいつもニホンオオカミではないか?」という研究発表がなされた。
(「ヤマイヌ」はニホンオオカミの別称と野生化したイヌの俗称の両方を指すがこの場合は後者の剥製と認識していた)
まだ断定はできないもののそれが正しければニホンオオカミのサンプルが一つ増えるし
プロの学者ですら数十年混同していたほどオオカミとイヌは似ているということになる。

〇フィクションにおけるニホンオオカミ

絶滅したとされる現代でも一家族が生き残っており、その後再発見され、22世紀では群れを出すまでに個体数が回復したという設定。
…と言うのも、一度はオオカミを見つけて有名になろうとした野比のび太が、いざ彼ら(恐らく最後の生き残りのオオカミ一家)と対面し、その境遇を知ったために存在を隠したため。
ただし、目でピーナッツを噛む羽目になったが。

ニホンオオカミのデータイメージを内包した「ジャパニーズウルフゼツメライズキー」で変身する仮面ライダー亡が登場。
劇中では両手の鉤爪「ニホンオオカミノツメ」を駆使した高速戦闘を行っていたが、スペックの詳細から察するに、どちらかと言えばハッキングや電子戦・隠密性に特化している模様。
その後、不破諫が亡から渡されたこのゼツメライズキーを使い、仮面ライダーオルトロスバルカンへの強制変身を果たしている。





追記・修正はクローンで復活してからお願いします。

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最終更新:2025年04月10日 17:11