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61系電車

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61系電車 (61けいでんしゃ)は、ちばドリームエクスプレス(cdx)の交直流一般形電車である。
本項では仕様違いの 62系電車 (62けいでんしゃ)についても解説する。



概要

2系17系100番台を交流電源にも対応したもので、通勤仕様が61系電車、近郊仕様が62系電車である。
まず、古河線の開業用として62系電車が2004年に登場。その後も断続的に製造され、2009年増備車からはcdxの次世代型通勤車両「AC-TRAIN」にモデルチェンジしている。
AC-TRAIN(第一世代)
通勤仕様 近郊仕様 ローカル仕様
直流 21系 22系
交直流 61系5000番台 62系5000番台 -
交流 74系 75系 76系

登場の背景

2004年に新規に開業する古河線は、石岡市内に地磁気観測所がある影響で交流電化(古河市内は直流電化)となった。このため、直流電源と交流電源の両方に対応した車両が必要となった。一方、その翌年の2005年には北関東鉄道宇都宮線がcdxに転換しゆめみや線として再スタートすることになった。宇都宮線(現:ゆめみや線)もやはり茨城県内は交流電化であるため、こちらにも同様の車両が必要となった。
以上の経緯から、2系電車17系電車をベースに交流電源にも対応した「61系電車」「62系電車」がそれぞれ開発されることとなった。61系は2系電車を、62系は17系電車をそれぞれベースとして設計された。

その後、2007年4月1日に一斉開業する筑鉾線霞が浦線稲敷線の開業用として大量生産され、茨城県を通るcdxの路線では最も標準的な車両となった。

車種構成

車種構成はベースとなった2系電車17系電車に合わせているが、電動車1両に主要機器全てを搭載するこれらの車とは異なり、2両1ユニットを基本としている。これは、交直流電車は搭載する機器が多いため、電動車1両に全ての機器を搭載することが困難だからである。しかし「電動車1両+付随車最大2両」の法則は踏襲しており、随伴する付随車にも機器を搭載することで重量バランスを最適化している。
なお、21系・22系電車ベースの後期型は冗長性確保のため、電動車2両を1ユニットとしている。

編成例

10両編成


仕様


この項では、主に初期車の登場時の仕様について記述する。なお、列車の向きはゆめみや線を基準とし、「下り方」「前より」と表現した場合は宇都宮方の車両を指す。

車体

材質はアルミ合金押出型材で、ダブルスキン構造である。従来の溶接に替わって摩擦撹拌接合(FSW)を採用することで、滑らかで美しい外観が特徴である。車体長(連結面間距離)20,000 mmクラス、車体幅2,950 mmのワイドボディである。
  • 客用扉は片側に3カ所設置、全て両開き扉である。ドアエンジンは電動(リニアモータ)式。半自動(押しボタン)モードに切り替えることも可能である。
  • 行き先・列車種別表示器は3色カラーLED式(100番台以降はフルカラーLED式)で、号車番号表示器も併設。車体後ろ寄り(後位側)に設置しているが、上り方先頭車(クハ617形/クハ627形)には無い。

前頭部


前頭部のデザインは17系100番台をベースにしている。
  • 貫通扉を中央に設置。併結時に通り抜け可能である。貫通幌は下り方先頭車にあり、自動幌システムに対応している。
  • 行先・列車種別表示器は3色カラーLED式で、貫通扉上部に列車種別表示器を、運転席側に行き先表示器をそれぞれ設置している。このほか、助士席側には7セグメントLED式の列車番号表示器を設置している。
  • ヘッドライトは同時期に製造された8系5000番台と同じもので、これを前面窓の下側に設置。丸形HID灯・黄色プロジェクタ灯を備える。
  • テールライトは車体下に吊り下げる形で設置。LED式である。

走行機器

  • 制御方式はIGBT素子のVVVFインバータ式で、制御器は日立製である。
  • 台車はCDX-DT02系をベースとしたCDX-DT61系である。軸梁式でダイレクドドライブモータ(DDM)に対応しており、枕ばねに空気ばねを、軸ばねにコイルばねを採用している。
  • ブレーキは電気指令式で、T車(付随車)は遅れ込め制御に対応。
  • 空気圧縮機(CP)はスクリュ式、補助電源装置はCVCFインバータ(SIV)方式である。
  • モータはダイレクトドライブモータで、形式はCDX-MT02形である。
  • パンタグラフはシングルアーム式で、CDX-PS12形をベースに交直流用に新設計したCDX-PS61形である。多数の高圧機器を搭載するため、パンタグラフ周辺の屋根は一段低くなっている。

客室

基本的にA-Trainの標準のパーツを使用し、コストダウンを図っている。車体は完全モジュール構造である。
  • 窓はUVカットガラス(UV96・グリーン)を使用した大型1枚窓で、車端部のみ下方向に開閉可能。カーテンは設置していない。
    車端部の窓のうち、行き先・列車種別表示器を設置している側の窓は天地寸法が若干小さい。
  • 各扉の鴨居部には液晶式の案内表示器を設置。液晶パネルは15インチXGAディスプレイで、各扉上部に1台、計6台設置している。
    案内表示器では次の駅・行き先・路線図・乗り換え案内・マナー文・自社の宣伝文などを表示する。
  • 座席は転換クロスシートで、車端部のみ壁側に固定している。扉付近には折りたたみ可能な補助席を設置。
    • フレームはアルミ製で、背もたれの部分はアルミと木の合板で出来ている。シート表皮は本革。円筒状のヘッドレストが付いている。
  • 荷物棚はアルミ製の板状で、下からも荷物が見えるようにスリットが設けられている。
  • つり革は新設計のものを採用し、扉間のクロスシート部にも設置している。扉付近は九州旅客鉄道(JR九州)のライセンスを受け、同社の817系電車の様な環状配置となっている。
  • ワンマン運転対応車は、運賃箱・運賃表示器・整理券発行機などの関連機器を設置している。
  • 先頭車両の助士席側にごみ箱を設置。

トイレ

トイレは水洗洋式で、新宿方先頭車の車端部に設置。中間車にもオプションで設置可能で、10両編成の場合は新宿から5両目のサハにも設置している。
  • 個室は箱型をしており、客室から見ると文字通り「置いてある」ように見える。車椅子にも対応している。
  • 車椅子にも対応。箱型の完全ユニット構造で、ユニット内に必要な機器を全て搭載している。トイレの向かい側はフリースペースとしている。

カラーリング


伝送装置

当初の伝送装置はTIMS}を搭載、車内のあらゆる装置をネットワークで制御している。
5000番台からは従来のTIMSに代わる新しい伝送システム、DAIMS(Chiba Dream Express Advanced Train Information Management System)に変更している。
  • 従来のTIMSと比較し、信頼性や通信速度が大幅に向上。
  • 運転席にタッチ式の液晶パネルを設置。この液晶パネルで各車両の状態の表示や、各種装置の操作を行う。
  • 機能が一新されたため、TIMSまたはTIMS-PLUS搭載車との併結は出来るが、TIMS-LIGHTやそれ以前の伝送装置(MON8形など)を搭載した車との併結は出来ない。

番台区分

0番台



基本番台。古河線の開業用として2004年に登場した。伝送装置は日立ATIを使用している。

100番台



0番台の改良型。筑鉾線霞が浦線の開業用として2006年に登場した。前面・側面の表示器が3色LEDからフルカラーLED表示に変更された。

5000番台



2009年に登場。このグループから「AC-TRAIN」(第一世代)となり、主にシステム面でのアップデートが図られた。21系および22系の一次改良型の交直流電車版であり、共通点も多い。一方で0番台との互換性もあり、編成単位であれば混成することも可能である。
主な変更点は下記の通り。
  • 車体をAC-Trainの共通プラットフォームに変更。基本仕様は22系0番台に準拠するが、最高速度130km/hの高速運転に対応している、一部のパーツのデザインが0番台を踏襲しているなど、違いもいくらかある。
  • 伝送装置をTIMS-PlusからDAIMSに変更。コンピュータの処理速度と通信回線の通信速度が飛躍的に向上し、各種機器をネットワークで管理することが可能になった。
  • 主電動機をCDX-MT20形に変更し、出力が向上した。ただし、起動加速度に変更は無い。
  • 最高速度変更に伴い、ブレーキ系を強化している。0番台と併結した際は、DAIMS側で自動的にブレーキの設定を変更する。

5700番台



5000番台のライナー仕様。車内がオール転換クロスシートであることは5000番台と共通だが、「ゆめライナー」用にいくつか仕様を変更している。ただし、扉間の吊り手を残すなど、普通列車運用にも対応出来る様にある程度の配慮もされている。
  • 車内案内表示装置の設置位置を変更。客用扉付近の設置に変わりは無いが、扉の鴨居部分から通路の天井下に変わった。また、車端部の貫通扉上にも設置されている。
  • 上記の車内案内表示装置の設置位置変更に伴い、扉付近の吊り手の配置が6系と同様にレール方向のみに変更された。
  • トイレを一部の中間車にも設置(サハ223形5800番台)。ただし、先頭車と異なり、バリアフリーには対応していないコンパクトなものである。トイレの向かい側はフリースペースとしている。

製造後の変化

車体リニューアル工事



初期車は2020年時点で製造から15年が経過したことから、主に電気・電子機器の交換を中心としたリニューアル工事を開始した。後期型も「イメージアッププロジェクト2021」に伴う塗装変更に合わせて一部の機器を初期型に準じたものに更新している。

Y CLASSアップグレード改造(62系5700番台のみ)

2022年12月からゆめみや線にて「Y CLASS」が設定されるため、2020年度から62系ライナー仕様車の編成中1両をアップグレードした。

スペックシート

61系・62系
番台区分 0番台 5000番台 5700番台
起動加速度 3.3 km/h/s 3.3 km/h/s
営業最高速度 85 – 120 km/h 100 – 130 km/h 120 – 130 km/h
設計最高速度 120 km/h 130 km/h
減速度(常用最大) 3.5 km/h/s 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s 4.5 km/h/s
車両定員 先頭車xxx名
中間車xxx名
先頭車xxx名
中間車xxx名
先頭車xxx名
中間車xxx名
最大寸法(長×幅×高) 20,000×2,950×3,780 mm 20,000×2,950×4,010 mm
車両質量 25 – 39 t 24 – 38 t
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
交流 25,000 V / 50 Hz
歯車比
駆動装置 ダイレクトドライブ方式
主電動機 三相かご型誘導電動機
CDX-MT02形(150kW)
三相かご型誘導電動機
(CDX-MT20形 / 175kW)
制御装置 VVVFインバータ制御
(IGBT素子・日立製)
VVVFインバータ制御
(IGBT素子・日立製)
ブレーキ方式 電気指令式空気ブレーキ・回生ブレーキ
伝送装置 TIMS DAIMS
保安装置 Digital ATC・ATS-G
※所属・番台によって異なる

姉妹車両・派生系列

前期型の姉妹車両として、2系17系がある。これらは本系列の直流電車版である。
後期型はAC-TRAINシリーズの一員であり、21系をはじめとする様々な車が存在する。

所属・運用


現在所属・運用している線区

真岡車両センター(宇モカ)



2023年11月現在、61系と62系の両方が在籍。どちらも0番台と5000番台が存在し、さらに62系には「ゆめライナー」用の5700番台も在籍する。61系は10両固定編成、62系(0・5000番台)は2両編成、62系5700番台は10両(4+6両)編成である。
最初に配属されたのは0番台で、2005年8月5日のゆめみや線転換開業にあわせて新製投入された。
4ドア車の61系は主に急行列車に使用。3ドアでワンマン運転が行える62系は、主に茨城以北の普通系統で使用している。ライナー仕様の62系5700番台は、朝と夕方は「ゆめライナー」に使用しているが、日中は急行列車や普通列車にも使用している。

2023年11月現在の運用線区は以下の通り。
61系
62系
62系(ライナー仕様)

つくば車両センター石岡支所(水ツク)



もと石岡車両センター。2023年11月現在、100番台のみが在籍する。全て2両編成で、ワンマン運転(都市型/ローカル型)に対応。主に霞が浦線筑鉾線玉造駅以北)で使用している。

2023年11月現在の運用線区は以下の通り。
このほか、定期外であるが、下記の線区でも運用実績がある。


つくば車両センター(水ツク)



2023年11月現在、0番台のみが在籍。4両編成と2両編成が存在し、ローカル型のワンマン運転に対応。さらに前者は都市型ワンマン運転にも対応する。主に筑鉾線玉造駅以南)と古河線で使用しており、2017年からは稲敷線でも使用している。

2023年11月現在の運用線区は以下の通り。


関連項目



最終更新:2024-01-28 一般型 交直流 車両

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