2026年入社サウンドクリエイターのインタビューまとめ
目次
9月頭、日本ファルコムの社員インタビューページに2026年入社の新人サウンドクリエイターおふたりのインタビュー記事(08・09)が公開されました。今回はおふたりの名前は伏せられていましたので写真の中でぬいぐるみを抱えていらっしゃったことにちなんで、便宜上当サイトではインタビュー08の方を「ヒツジン氏」、インタビュー09の方を「みっしぃ氏」と仮称してご紹介します。
ヒツジン氏(インタビュー08) : SEからの転身組
- 前職はSE : 音楽とは無縁のシステムエンジニアとして働いていた経歴の持ち主。
- 原点は小学生時代 : 楽器を弾くところから始まり、小学生の頃から趣味で作曲を続けてきた。
- 20歳で一念発起 : 理系大学を出て一度は"普通のルート"で就職したものの、「このまま30歳になったら舵を切る勇気が出なくなる」と感じ、ギリギリ20歳のタイミングで専門学校に入り直して音楽を学んだ。
- 応募のきっかけ : ファルコムが通年採用であることを知っており、「急がなくていい」という安心感から他社を回った後に応募。以前から音楽を大事にする会社として認識しており、挑戦したい気持ちがあった。
- 応募作品の狙い : ファルコムの楽曲は他社と比べてメロディーが強く起承転結がある、という特徴を分析。自分の強みである「メロディー力」を前面に出した作品を制作。
- 選考の手応え : 作品さえ通れば、面接でよほどのことがない限り大丈夫だろうという見立てだった。
- 入社後の業務 : 研修ではデバッグとサウンド用スクリプトの実務からスタート。現在はBGM制作が本格化してきている段階。
- 社内の雰囲気 : 修正指示が細部まで徹底されている点が印象的で、「これくらい細かく言っていいんだ」と驚いた。クオリティアップが当たり前の基準として根付いている。オフィス全体は静かで、皆が黙々と集中して作業している。
- スクリプト作業について : 前職がSEだったため抵抗はなかったが、音楽一筋で来た人にはベタ書きのスクリプト作業はかなりの壁になりそうとのこと。
- 仕事観 : サウンドクリエイターの仕事は作曲が半分程度で、残りは「ゲームとして成立させるための作業」も含まれると実感している。
- 先輩からの言葉 : 先輩サウンドクリエイターから「先輩たちや他のメンバーと被らない、自分の色を感じられる曲を書いてくれ」と言われており、自分らしさを発揮できる環境が魅力だと感じている。
- 今後の抱負 : 「ゲームをやめても頭の中でずっと鳴っているような曲」を作り、ファンに愛される楽曲を届けたい。
- 得意なこと : 印象に残るメロディー。周囲から「ポジティブ!!!」とよく言われる性格。
- 使用ツール : Cubase 15、SOUND FORGE Pro 18など。
- 休日の過ごし方 : 3割は外出や飲み会、6割は自宅でゲームや映画鑑賞、1割はYouTube Shortsを眺める時間。
みっしぃ氏(インタビュー09) : 音大出身、吹奏楽経験者
- 原点は中学時代 : 中学生の頃に遊んだゲームのオーケストラサウンドに感動し、「自分もこういう音楽を作りたい」と強く思ったことがきっかけ。
- 吹奏楽経験 : 中高と吹奏楽部に所属し、担当楽器はトロンボーン。
- 音大での学び : 大学は音楽大学に進学。演奏家より「作る側」を志望し、作曲を中心に学べる環境を選んだ。所属していた学科は、いわゆる作曲家養成コースとは別枠で、ピアノが弾けなくても入れる自由度の高い学科だった。
- 制作スタイル : 両手で弾く演奏用のピアノは弾けないが、コードを弾く程度は可能。コードなどの土台を組んでから、細部を打ち込みで詰めていく制作方法をとっている。
- 応募のきっかけ : 高校生の頃からゲーム音楽を作りたいという気持ちが強く、就活でゲーム音楽を作れる会社を探す中でファルコムを発見。就活を始めるまでは会社自体を知らなかったとのことで、最初は軽いノリでの応募だった。
- 応募作品 : 制作環境は現在の業務と同じCubase。最初の応募段階ではオーケストラ調の戦闘曲を、自分の得意なスタイルを重視して制作。その後の選考課題曲では、しっかりファルコムのサウンドを意識して取り組んだ。
- 入社前後のギャップ : 入社前は「神曲を詰め込んですごいと言われたい」というイメージだったが、BGMの「B」はバック(背景)であり、音楽そのものを聴かせるためではなくゲームの目的に必要な音を作る「引き算」の技術が重要だと実感するようになった。
- 現在の業務 : 新規タイトルのBGM作曲が中心。開発の進行に応じて、今後はSE入力やボイス入力の作業も担当予定。すでにキャラクターやマップへのSE付け作業を経験しており、思っていた以上に自分に合っていたと感じている。
- 仕事観 : ファルコムのサウンドクリエイターに必要なのは「作曲以外にも興味が持てること」で、ゲームが好きで「ここがいい」「もっとこうしたい」と考えられる人の方が向いていると考えている。
- 今後の抱負 : 効果音の自主録音への挑戦。将来的には自分の曲を自分で編曲・譜面化し、レコーディングして生音の作品として発表したいという野望を持っている。
- ファルコムの魅力 : コンポーザー・サウンドデザイナー・サウンドプログラマーと役割分担されがちな業界の中、新卒からサウンドの幅広い工程(作曲・SE・ボイス)に携われる点を最大の魅力として挙げている。
- 得意なこと : オーケストラ編成の楽曲制作。吹奏楽部と音大での学びが活きている。また、物事のつながりを分析して理解することも得意で、初挑戦だったスクリプトのSE入力作業も大きな壁を感じずに習得できた。
- 使用ツール : 作曲はCubase、波形編集はSound Forge。
- 休日の過ごし方 : 友達とのオンラインゲーム、美味しいごはん・お酒・スイーツ探し、近所の映画館(「極音」上映)での映画鑑賞など。
共通点
両者とも「ファルコムはメロディー・音楽そのものを重視する会社」という印象を入社前から持っており、作曲以外の裏方作業(スクリプト入力、デバッグなど)も含めて「ゲームを成立させる仕事」としてサウンドクリエイター職を捉えている点が共通しています。
なぜ今回、名前が伏せられたのか
これまでの採用インタビューでは、サウンドに限らず全職種で実名が公開されてきました。今回、顔写真は例年通り掲載されているにもかかわらず名前だけが伏せられている点は、当サイトとしても気になったところです。
いくつか考えられる背景を挙げてみます。
1. 個人特定・SNS特定からの保護
実名まで出すとフルネームで検索されて各SNSのアカウントが特定されやすくなります。ファルコムのファン層は海外ファンダムを中心に熱量が高く、新人の実名が出ると入社以前の活動を辿られて晒されるリスクがあります。新入社員を守るための予防線という可能性は十分あります。
2. 「まだ実績のない人」を看板にしないための配慮
今回の2人はどちらも「入社1年目でまだ本格的に曲を出していない」という段階です。実名を出すと、その名前がすぐにファンの間で「新人サウンド」として単独で語られ、先輩たちと比較されたり、期待値だけが先行するリスクがあります。海外ファンダムを中心に、特定のサウンドクリエイターへの称賛と酷評が両極化している状況も、間接的な後押しになったのかもしれません。顔と仕事内容は見せつつ名前を伏せることで、個人としてのプレッシャーを軽減している可能性もあります。
3. 個人情報保護意識の高まり
近年、日本企業全体で採用サイトにおける新入社員の実名掲載を控える動きが少しずつ出てきています(サイバー被害・SNS炎上リスクなどを念頭に)。ファルコムがこの流れに合わせた可能性もあります。今回はサウンド職に限らず、プログラマーやCGデザイナーなど他の職種でも同様に匿名化されていることから、特定の職種を狙い撃ちしたものではなく、新卒採用ページ全体での方針転換である可能性が高いように思われます。
いずれにしても、これは推測の域を出ない話であり、ファルコムから公式な説明があったわけではない、という点はあらかじめお断りしておきます。
推測活動への影響について
少し気がかりなのはインタビュー記事において名前が伏せられたことで、今後おふたりが手掛けられた楽曲を判別する作業が、これまでより少し手間のかかるものになりそうだという点です。今後発売されるゲームタイトルのエンディングクレジットでおふたりの名前が明かされたとしても、どちらがどちらの方なのかが曖昧なままとなるかもしれません。
それでも、こうした状況は「おふたりが本格的に活躍している」という証でもあります。当サイトとしても、決して不安視せずその過程をじっくり追いかけていきたいと思います。
ちなみに、みっしぃ氏はオーケストラが得意とのことでヒントのひとつになるかもしれません。今後出てくるオーケストラ調の曲は要注意です。
最後に
異なる道のりを経てファルコムのサウンドチームに加わられたおふたりですが、インタビューから伝わってくるゲーム音楽への真摯な姿勢が印象的で、これから手掛けられる楽曲を一人のファンとしてとても楽しみにしています。
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