艦種 |
ミサイル護衛艦 (DDG) |
建造期間 |
2004年~2008年 |
就役期間 |
2007年~就役中 |
前級 |
こんごう型 |
次級 |
まや型 |
排水量 |
基準:7,750トン |
満載:10,000トン |
全長 |
165 m |
全幅 |
21 m |
吃水 |
6.2 m |
深さ |
12 m |
機関 |
COGAG方式 |
LM2500ガスタービンエンジン (25,000馬力) |
4基 |
可変ピッチ・プロペラ |
2軸 |
速力 |
最大30ノット以上 |
電源 |
ガスタービン主発電機 (2,800 kW) |
3基 |
乗員 |
300人 |
兵装 |
62口径5インチ単装砲 |
1基 |
高性能20mm機関砲 (CIWS Mk.15 mod.25) |
2基 |
Mk.41 mod.20 VLS (64+32セル) • SM-2 SAM • VLA SUM を発射可能 |
2基 |
90式SSM 4連装発射筒 |
2基 |
68式3連装短魚雷発射管 |
2基 |
艦載機 |
SH-60J/K哨戒ヘリコプター (常時搭載機なし) |
1機 |
FCS |
Mk.99 mod.8 SAM用 |
3基 |
Mk.160 主砲用 |
1基 |
Mk.116 水中攻撃指揮用 |
1基 |
C4I |
AN/USC-42衛星通信装置 |
MOFシステム (OYQ-31-6 C2T+NORA-1/NORQ-1) |
海軍戦術情報システム (リンク11/14/16) |
イージス武器システム |
SQQ-89(V)15J対潜戦システム |
レーダー |
AN/SPY-1D(V) 多機能型 |
1基 |
AN/SPQ-9B 対水上探索用 ※1番艦「あたご」のみ |
1基 |
OPS-28E 対水上探索用 ※2番艦「あしがら」のみ |
1基 |
OPS-20B 航海用 |
1基 |
ソナー |
AN/SQS-53C 艦首装備型 |
1基 |
AN/SQR-20 MFTA 曳航式 ※1番艦「あたご」のみ |
1基 |
OQR-2D-1 曳航式 ※2番艦「あしがら」のみ |
1基 |
電子戦・ 対抗手段 |
NOLQ-2B電波探知妨害装置 |
Mk.137 6連装デコイ発射機 |
4基 |
曳航具4型 対魚雷デコイ ※後日装備 |
1組 |
防衛省公式紹介動画
概要
あたご型はたちかぜ型2隻の代艦として建造された海上自衛隊の護衛艦。
こんごう型に次いでイージス・システムを搭載したイージス艦である。
耐用年数を迎える旧式のたちかぜ型の後継艦として建造が計画され、あたごは1番艦「たちかぜ」と、あしがらは2番艦「あさかぜ」と交代した。
「あたご」と「あしがら」のイージス・システムはBMD5.0に改修され、BMD能力を付与されている。
これは基盤防衛力を削ってまで捻出した予算である。
ひゅうが型が配備されるまでは最大の護衛艦であり、同型艦は2隻。
つまり、海自で3番目に大きかったが、まや型の就役により4番目になった。
イージス・システムは最新のベースライン7.1Jを搭載するものの、こんごう型と同じくアメリカからの輸入品で日本は一切ノータッチのブラック・ボックスである。
但し、技術的に全く開示されていないわけではなく、民生電子部品を多用したネットワーク構造はひゅうが型や
あきづき型といった新型艦のACDS開発の参考とされた。
ベースライン7以降のイージス・システムはミルスペックコンピュータを排除、民生電子部品でほぼ完全に構成されている。
各部モジュールもホットスワップ方式でネットワークに接続されており、処理速度向上だけではなくCOTSリフレッシュという名前の近代化が極めて容易な長所を持つ。
艦体はアメリカ海軍のイージス艦アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦フライトⅡAを基に、こんごう型以上の指揮通信機能とステルス性を海上自衛隊が要求したため、こんごう型と同じく原型のアーレイ・バークフライトⅡAよりも艦橋が一層大きくなっている。
CIC(戦闘指揮所)が充実しており、FIC(司令部作戦室)まで搭載している。こんごう型はここまで備えていない。
さらに、こんごう型と異なり建造当初から弾道ミサイル迎撃任務(以下BMD)を視野に入れているため、BMDに対応出来るよう設計されている。
ただし、それは船体・VLS等艤装だけ。
あたご型のイージス・システムはBMDシステムに連接されていなかったが、上記の通り改修されている。
あたご型とこんごう型の大きな相違点は、イージスシステム以外にヘリコプター格納庫の設置によるヘリコプター運用能力強化、ステルス能力強化、機関出力強化がある。
細かいことは後で。
あたご型の排水量はイージス艦としては最大級であり、アメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦を上回り、韓国海軍のイージス艦世宗大王級駆逐艦と同等の排水量となっている。
現代の戦闘艦としては、非常に大型の艦となっている。
冷戦終結後の世界では贅沢な装備にも感じられるが、これは対空・対潜戦闘を重視する海上自衛隊独自のドクトリンに加え、新たな課題である不審船対策およびミサイル防衛に対応するため、単艦で何でもこなせる万能艦であることが求められたためと思われる。
こんなあたご型も更に強化型の計画がある。
続く新型のイージス護衛艦
まや型は、平成27年度計画において1番艦1,680億円、翌28年度計画では2番艦1,675億円の予算が計上。
平成30年8月に1番艦「まや」が進水。まや型2隻が就役すると、日本のイージス艦は8隻体制となる。
さて、イージス艦とは、アメリカで作られた「イージスシステム」という対空戦闘システムを載せた軍艦を指す。このシステムはアメリカが提供しない限り、どの国も装備はできない。しかし、アメリカは基本部分のみ提供するため、詳細な部分は自国で開発する必要がある。また、アクティブフェイズドレーダーを搭載し、多数目標探知・交戦能力も必要となる。
イージス艦はとても高価であり、全ての国が装備できるものではない。
そのため、アメリカ、日本、韓国、スペイン、オーストラリア、ノルウェーと限られた国が装備している。
(しばしば中華イージスやミニイージスと言われる艦もあるが、厳密には違う。)
現在、最新のイージスシステムはベースライン9と呼ばれるもので中身に関してはほぼ同一。
船体がどこの国製かというくらいでそれもほとんど違いはない。
元祖イージス艦はアメリカのタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦で、その簡易版としてアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦を開発した経緯がある。
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦は同時に16目標と交戦可能で、アーレイ・バーク級は12目標と交戦可能である。
日本と韓国はアーレイ・バーク級が参考元の準同型艦なので外見が似ている。
スペインとノルウェーのものは小型の艦艇でミサイルなどの機能も差がある。
アメリカ、日本以外では、スペインが10隻(計画5隻含む)、ノルウェーが4隻(事故喪失1隻)、韓国が5隻(計画2隻含む)、オーストラリアが6隻(計画3隻含む)のイージス艦を保有している。
日米のイージスについては対弾道ミサイル用のSM-3を配備していることもあって、他国とはグレード差がある。
当然、日米の艦艇は情報システムで連携をしており、自艦のレーダー以外の情報を共有可能であり、大きい性能差となっている。
逆に日本では巡航ミサイルを持っていないのに対して、アメリカとスペインはトマホークを、韓国は国産のを持っている。
→ 2024年、安保環境の激変が新たな段階を護衛艦にもたらし、日本のイージス艦にもトマホーク搭載が決定。
定期整備のタイミングの都合上、改修は本級ではなくこんごう型4番艦「ちょうかい」から行われる。
こんごう型にもBMD能力があるが、本型には対艦・対空・対潜で劣る。
まず、イージスシステムがベースライン4.5から7に、フェーズドアレイレーダーがSPY-1Dの改良型に変わり、ミサイル搭載量も増加しているため大幅に強化。
VLSことMk.41垂直発射システムは8セルを1単位としており、あたご型には64セル+32セル、計96セルが裝備されている。
発射する場合には、その筒の先端のフタが開いてそのまま発射する。ヘリコプター格納庫を考慮した結果、VLSの配置がこんごう型と前後逆になった。
VLSからは、SM-2、SM-3という対空ミサイルまたはVLAという対潜ミサイルを発射する。(ちなみにSMってのはスタンダードミサイルの略。VLAはVL-Asroc)
スタンダードミサイルは、西側諸国で標準的に利用されるアメリカ製ミサイルで、主にあたご型のようなイージス艦に搭載され、飛来するミサイルや航空機の迎撃に使用される。
SM-2は通常のミサイルや航空機の迎撃、SM-3は弾道ミサイル防衛に使われる。敵戦闘機や敵艦から発射されたミサイルがあたご型に襲来した場合にはSM-2で迎撃し、弾道ミサイルや偵察衛星などはSM-3で撃ち落とす。SM-2にはいくつかのバリエーションがあるが、だいたい全長4.72m、直径0.35m、重量700kg、射程距離70〜160km。
BMD用のSM-3は、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射実験を契機に、まずSM-3 Block1Aを導入してこんごう型に搭載、更にアメリカと共同で開発した性能向上型のBlock2Aが調達されている
Block1Aは射程距離700kmと中距離弾道ミサイルへの対処が限定的だが、Block2Aではこれに対処し、射程2,500km、最高高度1,500kmと飛躍的に性能向上している。
対艦ミサイルとして国産の
90式艦対艦誘導弾ことSSM-1Bも搭載。VLSからではなく、艦中央部の4連装発射筒2基から発射される。こんごう型の
ハープーン対艦ミサイルと比べると、射程や威力が向上している。
発射後はすぐにシースキミング巡航に移行。
シースキミングとは、海面スレスレを飛行することで地球の丸みを利用し、敵のレーダーに発見され難くする戦術のこと。飛行機が対艦攻撃する際にも用いられる。
グラ・バルカス帝国の研究施設でイージス艦の資料読んで言ってたね?これよ。
ヘリ格納庫も追加されているため対潜ヘリが搭載可能。つまり大幅に対潜能力が強化されている。
一番の変化と言ってもよいのが、この航空機運用能力強化だろう。
こんごう型ではヘリコプター甲板のみだが、あたご型ではSH-60J/K哨戒ヘリコプターを1機搭載可能な格納庫が設けられた。
日米のような強力な艦隊にとって大きな脅威は潜水艦であり、そのため対潜哨戒ヘリコプターの搭載は強化される傾向にある。
対潜装備として、米国製Mk.32単魚雷発射管を日本がライセンス生産したものを装備。米国製Mk.44、Mk.46、97式短魚雷などの魚雷を発射でき、あたご型では2基が装備されている。
62口径5インチ単装砲……つまりアメリカ製のMk.45 mod4は、これぞ戦艦の砲という外観だが、現代の単装砲は完全自動化されており、1分間に20発を発射可能。最大射程は37km。これはあきづき型と同じもの。
連射速度はこんごう型の
オート・メラーラの127mm砲の半分の毎分20発に低下。ただし射程は延長されたため対地攻撃向き。あたご型は主砲射撃管制システムがイージスシステムに組み込まれているため、主砲管制用のFCS-2が廃止されている。射撃に際しては、イージスに統合化されたMk160指揮装置の管制を受ける。
機関砲は20mm、CIWS(Close In Weapon System)というシステムにより射撃統制される。
有効射程は数km程度であり、至近距離にきたミサイルや航空機などを自動的に捕捉、射撃する。最後の防御手段。
昨今は離島奪還訓練のため、陸自弾着観測班の指示に従うFCS非使用射撃訓練も行っている。
上のヘリコプターを使い着弾観測射撃もやる。
戦時中に水上機を使ってやっていたことを現代もヘリでやっている。最新のレーダーを使っても、地形に邪魔されるため地上の目標を攻撃することは難しい。そのため、地上部隊とヘリコプターとの連携が重要になる。ここでヘリコプターを自分で持ってるというのが重要となる。海からは見えない地上の目標を空から正確に把握することで、正確な攻撃が可能となる。
地球の自転や波、自艦の動きや風を受けるため、海上からの砲撃は難しい。
そのため、試射として実際に砲撃して風速や風向きなどを調べる。この時、撃った弾を自艦のレーダーで観測し、動きなどを確認する。また、ヘリコプターからも弾道が伝えられる。
その後、効力射として、目標が逃げる前に本格的に撃つ。敵が移動する前に複数撃って囲うように着弾、破壊する。
パーパルディア皇国戦で、敵海軍本部を破壊した後に何もしてこないヘリコプターが飛んでる描写があったのはこれ。このように対地攻撃能力も高い。
これらのことから総合的にこんごう型よりあたご型の方が優秀になっている。
2022年の安保三文書によって、トマホーク巡航ミサイルのイージス艦搭載が決定された。国産巡行ミサイル完成までの繋ぎとして400発ほどが購入される。対地能力を更に高めることが可能となった。
あたご型は弾道ミサイル防衛を想定した艦ではあるが、当初は能力が付与されていなかった。平成24年度の予算に組み込まれており、新型イージス艦「まや」が進水した平成30年にBMD能力の付与が完了した。
日本政府は平成30年度までに海上自衛隊のイージス艦を現在の6隻体制から8隻体制へ増強する方針を掲げている。海上自衛隊関係者は「この2隻分の差が大きな変化をもたらす」としている。
最新版のベースライン9へ改修されているため、まや型との差はない。
こんごう型のベースライン5や建造当初のあたご型のベースライン7でも弾道ミサイルと航空機や対艦ミサイルの同時対処能はあるが、ベースライン9はこれらの上位互換版で、対空か対弾道ミサイルかという選択に迫られることはない。
2015年度の計画で、イージスシステムをベースライン9にアップデートすることが決まった。同年、アメリカで許可がおり、改修が2017年度に開始、2018年中に終了。しかし、
日本国召喚では2015年頭に日本自体が転移している。
つまり、ベースライン9になることは無いだろう。
ベースライン7以降の改修は日本の独力となる。
このあたりからこちらと召喚世界の装備に差異が出ざるをえないのだろう。
あたご型は3番艦の予定はない。
しかし、残念なことにまや型でも哨戒ヘリ関連設備は格納庫を除けば「後日装備」扱いである。
計画通り完成した場合、満載排水量は11,400トンであり、弾道弾迎撃能力を持つイージスシステム搭載艦の最大規模を更新することとなるだろう。
ただまぁアメリカが無いからベースラインの9の入手手段も無いわけで……
頑張れ、
防衛装備庁。
作中での活躍
DDG-177 あたご
名前は出ていないが、「
みょうこう」とともに
フェン王国軍祭に訪れたうちの1隻であり、こちらでもワイバーンロードを撃墜しているはずである。
なお、本艦は2016年7月から定期検査とBMD(弾道ミサイル防衛)能力付与のため、JMU舞鶴事業所に長期入渠。2017年6月から、JMU横浜事業所磯子工場に回航し、改修の最終調整と同時に次期イージスシステム搭載のミサイル護衛艦の艤装に向けノウハウを取得する工事を同年末まで行ったのだが、この時は
パーパルディア皇国との講和2ヶ月前なので、やったとしても予定は遅らされているものと思われる。
2017年4月よりあたごのイージスシステム改修の一環として、OPS-28EがAN/SPQ-9Bに換装されているが、やはりイージスシステムBL9の入手手段がないため、こちらはやっているかどうかも不明である。
DDG-178 あしがら
2017年7月3日から定期検査とBMD能力付与のため、三菱重工業長崎造船所に長期入渠し、その工事が2018年末まで行われた。
「あたご」の予定が押した為、多分遅れて始まっているものと思われる。この時グラ・バルカス帝国はまだ宣戦布告していない。
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最終更新:2024年09月04日 06:40