Mk.15 ファランクス 高性能20mm機関砲


日本国海上自衛隊等、地球のNATO各国海軍を始め21ヶ国で採用された近接防御火器システム。実在する。
なお日本国内での呼称は高性能20mm機関砲である。
ここでは陸上自衛隊のAH-1S海上保安庁の巡視船に搭載されている20mm機関砲についても取り扱う。レドームがついてないだけで同じ機関砲である。
他、航空自衛隊のVADS対空砲の各型にも搭載されているが、こちらは未登場なのでおいておく。

参考:Block1A

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:JMSDF_DDH-183_SeaRam_InfraredrayCamera_and_ESMsensor1.JPG?uselang=ja

概要


名前からして何だこれはと思ってる人の為にまず書いておくが、かの有名なCIWSである。
近接防御火器システムを英訳して、「Close-In Weapon System」で頭文字をと撮ってCIWSである。
CIWSのCloseは「クローズ」ではないぞ。「クロース」と発音です。
クローズだと「閉じる」という意味の動詞だが、クロースと発音すると「近い、接近した」といった意味の形容詞になるためで、近接防御火器システムなどとも訳されるCIWSでは「クロース」と発音する方が正しい。多分ややこしくしてるのはCQCなんだろうね。

本当に最後の最後の砦である。ここで失敗すると撃沈されかねないという所を守る兵器。
なのでチャフとか赤外線とかデコイとかも同時進行する。



CIWSが正式名称というわけではない。ここ注意。

CIWSというのは防御システムの総称でありファランクス以外にも色々とある。
ロシア海軍のAK-630、コールチク。

※出典:ウィキメディア・コモンズ AK-630(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:30-мм_автоматическая_корабельная_артиллерийская_установка_АК-630М_-_Тульский_Государственный_Музея_Оружия_2016_01.jpg?uselang=ja

オランダ海軍のゴールキーパー・システム。

※出典:ウィキメディア・コモンズ イギリス海軍 「イラストリアス」ゴールキーパー(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Goalkeeper,_HMS_Illustrious._MOD_45143755.jpg

スイスのシーガード・システム。

※出典:ウィキメディア・コモンズ トルコ海軍「ユルドゥルム」 シーガード(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Seaguard.jpg

スペイン海軍のメロカ。

※出典:ウィキメディア・コモンズ スペイン海軍「プリンシペ・デ・アストゥリアス」 メロカ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Meroka_Príncipe_de_Asturias.JPG

イタリア海軍のダルド・システム。

※出典:ウィキメディア・コモンズ ベネズエラ海軍「マリスカル・スクレ」 ダルド・システム(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:ARV_Mariscal_Sucre_(F-21)_-_1987-09864.jpg

中国人民開放海軍の730型。

※出典:ウィキメディア・コモンズ 052C型駆逐艦 730型(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Bridge_of_CNS_Changchun_(DDG-150).jpg
これら全部と他数点を含む。 ややこしいよね。

ちなみにこの中で一番最初に世に出てきたのはロシア海軍のAK-630である。まだファランクスやゴールキーパーも無い時。
ちなみにコールチクというのは、ミサイルと機関砲がセットになってる世界で唯一の複合型CIWSである。


前置きはこの辺にしてファランクスの解説に移ろう。

「Mk.15 ファランクス」とは、アメリカ合衆国海軍が開発した近接防御火器システムである。西側海軍初の近接防御火器で、名前の由来は古代ギリシアの重装歩兵の密集陣形の「ファランクス」から。
ちなみにアメリカ合衆国海軍だと「R2-D2」と呼ばれてたりする。非公式にだけど。
理由はお察しください。

例によってこの手のいちばん有名なのはやはりかわぐちかいじ作品であろう。
沈黙の艦隊ジパングや、空母いぶき等で活躍。ほか、戦国自衛隊やバトルシップ、ルーントルーパーズ、バトルフィールド4等に登場。



ファランクスの開発は1960年台にまで遡ることになる。
きっかけは第三次中東戦争の1967年10月21日、イスラエル海軍の駆逐艦エイラート……これは旧英国海軍Z級駆逐艦ゼラスだったりしまして。
参考:イスラエル海軍「エイラート」

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:INSEilat.jpg

北アフリカ北東沿岸を哨戒中にエジプト海軍のコマール型ミサイル艇より発射されましたP-15テルミート対艦ミサイルの攻撃を受けまして沈没。
参考:コマール型ミサイル艇

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:183R.JPG?uselang=ja

小さな戦闘艦が大きな対象を撃沈しうる力を有していることが実証され、でも西側諸国は今まで対艦ミサイルを重要視していなかったのです。
これ以降、近接防御火器の開発が急がれたのです。

1969年、アメリカ海軍はジェネラル・ダイナミクス(現レイセオン)社に対しCWISの開発契約を締結。同社は当時航空機用に開発していたM-61 20mm多銃身機関砲(日本では掃海艇や掃海艦などにも搭載)と、新たに開発された射撃指揮システムを組み合わせまして、1973年にプロトタイプが完成しました。
参考:M61 バルカン

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:M61_Vulcan_nose_mounted_6-barreled_Gatling_cannon_(11472816163).jpg

で、1973年8月からミサイルフリゲートの「DLG-10 キング」に搭載しました。キングはもともと嚮導駆逐艦として建造されておりまして、ミサイルフリゲートになって、またミサイル駆逐艦に戻ったという複雑な経歴をもってた艦である。
アメリカ合衆国海軍ファラガット級五番艦「DLG-10 キング」

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:USS_King_(DLG-10).jpg

で、同艦に搭載したプロトタイプで洋上試験を1974年3月まで実施。ちなみに搭載した場所は我らが護衛艦でいうとヘリコプター甲板のあたり。
これを更に改良を重ねまして1977年まで評価試験を重ねました。
1978年、本格生産に着手。


そんな本砲の二番目に新しい「Block 1B」のスペックはこんな感じ。
重量 5.66トン
初速 1036メートル/秒
有効射程 1,800メートル※
最大射程 3,500メートル※
発射速度 4,500発/分
旋回速度 100度/秒
最大射角 90度
俯仰角度 -25度/+85度
俯仰速度 86度/秒
※機密の為正確には不明

例によって分かりづらいと思うので映像でご覧ください。


さて、ファランクスの外観であるが、特徴的な上の白い円筒形のがレドームで、その下の部分が砲座駆動機である。
参考:海上自衛隊ひゅうが型護衛艦一番艦「DDH-181 ひゅうが」Block1B

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Hyuuga_05.JPG

レドームの中には捜索レーダーと追尾レーダーが入ってる。あと5つの電子装置から構成。
探索、検知、脅威度判定、敵データ解析、追跡、射撃、破壊、射撃停止、以上八つの一連の動作に必要な装備を一体化し自己完結出来ます。
搭載する艦側の支援なしで、自動的に任務を遂行できる。

というわけで電力さえ供給してやればどこにでも搭載できる。前でも後ろでも脇でも重心さえ崩さなければどこでも問題ない。
後日装備が非常に容易なのも普及した理由の一つだろうね。

それと、あの白い円筒形のが弾倉だと思ってた人多いと思うけど違うのよ。


上で書いた類似のシステムの中国の「730型」、ロシアの「AK-630」、オランダの「ゴールキーパー」、イタリアの「ダルド・システム」。
これらはいずれも搭載艦側からの支援が必要であり、作動装備一体化の点でファランクスのほうが優位。

というわけで主観入りまくりの各国のだが……
まずオランダの「ゴールキーパー」だけど、アレは30mm砲で破壊力はあるんだけど高いデカイ重いの三拍子である。
艦の重心にも影響を与えるもんだから搭載艦は多くない。
映像見つけたので一応。

次にロシアの「AK-630」だが、こっちは特に不満要素は聞こえてこない。中国でも使ってるから結構な搭載量。
ただ同ロシアのコールチクの方は一体型になったから対処能力は向上してるんだが、その分大型になって高コスト化。

画像で権利上問題ないのは見つけられなかった。

で、その中国でも使ってるのに中国で別に作った「730型」。
高い。高い。高い。大事なことなので三回書きました。
具体的には「AK-630」の二倍弱。にもかかわらず搭載艦のレーダー支援が必要。
とはいえ中国大型艦は標準装備になってる。

これをなんとかした? と思われる「1130型」11銃身30mmガトリング。毎分1万発ばら撒きます。
例の空母に搭載されてるようなんですが、6000発説もあったりして。
他の時期主力艦にも搭載されるらしいので問題はなくなってるのかな? 情報がないので詳しくは不明。
外見は730型を大型にしたもの。

スイスの「シーガード」はみんなこの作品で好きになったであろう「しきしま」の主砲を作ったエリコン社製で、口径も同じ35mm。ただしこっちはリボルバーキャノン。
重い。重い。重い。上でネタのように書いた「ゴールキーパー」より重い。というか警備艇とかの主砲につかわるような代物で、採用されてる。「しきしま」のはこれではないが。
コレ自体を搭載してる国はトルコのみである。

最後にスペインの「メロカ」だが、こっちもエリコンである。KA20mm機関砲横六列縦二列の計十二門が束ねてある。そう、これだけガトリングではないのよ。
でもこれなら機関部が壊れたら終わりのガトリングと違って、一門ジャムなり故障なりしても残りが撃てるから馬鹿にできるもんではない。それでも珍兵器なのは間違いないが。


さて脱線またしたけどファランクスに戻ろう。

発射方式だが、砲の下部に取り付けられているドラム型弾倉マガジンから一発ずつ給弾シュートを通って給弾装填機構に装填します。ここもうちょっとなんとかならないのかなーって毎度思うのよ。
弾倉

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:ファランクス_弾倉.jpg


※出典:アメリカ合衆国海軍公式HP(http://www.dodmedia.osd.mil/Assets/2003/Navy/DN-SD-03-12559.JPEG

6本の各砲身の全てに遊底がありまして、一回転する間に装填、閉鎖、発射、排莢の動作が行われます。
排莢された空薬莢は排莢シュートを通って再びドラム内に戻される。
万が一不発弾があっても大丈夫。空薬莢と一緒に排莢されます。

ちなみに、ファランクスは1500mから500mの近距離で対艦ミサイルを撃破するように設計されているため、ものすごい高い性能が要求されております。リアクションタイムは極めて短い。

弾薬は通常、タングステン弾芯の高性能徹甲弾を使用。
タングステンである。めちゃくちゃ高いぞ。諭吉さんがどんどん去っていきます。レアメタルだもの。
こんなのを毎分三千発ぶっ放す。
だがこんなお高い弾丸でも、ミサイルを撃墜するとなると2発以上命中させる必要があると言われてる。
そこで、アメリカ海軍では貫徹力を高めるために、より強力なMk.86劣化ウラン弾を使用しておりました。最近は各国との融通とかそういうののためにタングステンになったらしいが。
というのも、これ使用済み燃料ででた劣化ウランをプラスチック製の覆いで包んで弾頭に使用してるんです。ちなみに鉄と比べて比重が2.5倍。


海に放射性物質撒くなとか思う人が居ると思うから一応書いておくが、劣化ウランというのは使用済み核燃料というよりは、新品の核燃料を作る際のウラン濃縮時に出るものなんですよ。
核分裂を起こすウラン235の濃度を高める際に出る、余分なウラン238の余りがこれ。ちなみにこれは核分裂起きない。放射能も出ない。
原発もたくさんあるしねアメリカ。核燃料処理の際の副産物として大量に生産されるわけじゃない劣化ウラン。ただし加工コストの面からは劣化ウランよりもタングステン。
ただやっぱ重金属汚染はどうなのよとかいう問題はあるにはある。
で、1978年から生産が本始まりましたファランクスですが
原子力航空母艦「CVN-65 エンタープライズ」

※出典:アメリカ合衆国海軍公式HP(http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=52658
キティーホーク級三番艦「CV-66 アメリカ」

※出典:アメリカ合衆国海軍公式HP(http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=17984

以上二艦に搭載されました。
ただ1980年にミッドウェイ級の「コーラル・シー」が最初というのもあってどうなんだろうね。


この後で、当時はまだ現役でしたアイオワ級戦艦のすべてにも搭載。

※出典:アメリカ合衆国海軍公式HP アイオワ級戦艦三番艦「BB-63 ミズーリ」(https://www.navysite.de/bb/bb63.htm

で、駆逐艦、フリゲート、巡洋艦、航空母艦、揚陸艦等などの今現役の殆どの米艦船に搭載。というか何に搭載されてないのかを探したほうが早い。

これは評価されまして、イギリス、オーストラリア、サウジアラビア、そして我らが日本なども導入を決定。

ただ、RAM近接防空システムに押され気味なのが現状。RAMというのは早い話ミサイルね。
ロナルド・レーガンはRAMだけど、同じにニミッツ級であってもファランクスだけ、RAMだけ、両方……と言った感じで全然統一されてない。
次世代の航空母艦や強襲揚陸艦は両方搭載予定だけど、試行錯誤やってる途中なわけである。



なお海上自衛隊では最初、ダルド・システムとファランクスのどっちにしようか検討してた。
最終的に評価の高かったファランクスを船艇。
が……通常の装弾筒付徹甲弾ではミサイルの確実な破壊が出来ないとか言われちゃってて、じゃあ日本でも劣化ウラン弾を使おう……とは行かないもので。

※出典:アメリカ合衆国陸軍公式HP パブリックドメイン(http://www.dtc.army.mil/tts/1997/proceed/walton/walton.html

ところが日本と同様に劣化ウラン弾を使用できないオーストラリアがタングステン弾を代用しても目的が達成出来るという情報を得まして、技術研究本部はタングステン弾を開発を行いまして、ファランクスの採用を決定。

そして1981年に就役しましたしらね型ヘリコプター搭載護衛艦の二番艦「DDH-114 くらま」に初搭載。

※出典:海上自衛隊公式HP(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/shirane/143.html

その後1986年に日本版タングステン弾となる86式20ミリ機関砲用徹甲弾薬包を導入。
ちなみに、この86式を導入するまで海上自衛隊はF4ファントム用の20ミリ榴弾を使用しておりました。

その後
しらね型ヘリコプター搭載護衛艦一番艦「DDH-1 しらね」(後日装備)

※出典:海上自衛隊公式HP(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/shirane/143.html

はるな型ヘリコプター搭載護衛艦(後日装備)

※出典:ウィキメディア・コモンズ はるな型二番艦「DDH-142 ひえい」(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:DDH_142_Hiei(060705-N-0641S-139).jpg

たかつき型護衛艦二番艦「DD-165 きくづき」(他は搭載しなかった)

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DD-165_KIKUDUKI.JPG

たちかぜ型ミサイル護衛艦(後日装備)

※出典:ウィキメディア・コモンズ たちかぜ型二番艦「DDG-169 あさかぜ」(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:JS_Asakaze_at_SDF_Fleet_Review_2006_a.jpg

はつゆき型護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP はつゆき型四番艦「DD-125 さわゆき」(https://ja.wikipedia.org/wiki/はつゆき型護衛艦

あさぎり型護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP あさぎり型一番艦「DD-151 あさぎり」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/asagiri/155.html

はたかぜ型ミサイル護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP はたかぜ型二番艦「DD-172 しまかぜ」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/hatakaze/img/172_04l.jpg

あぶくま型護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP あぶくま型四番艦「DD-232 せんだい」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/abukuma/229.html

むらさめ型護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP むらさめ型五番艦「DD-105 いなづま」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/murasame/101.html

たかなみ型護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP たかなみ型一番艦「DD-110 たかなみ」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/takanami/114.html

こんごう型ミサイル護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP こんごう型二番艦「DDG-174 きりしま」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/kongou/173.html

あたご型ミサイル護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP あたご型一番艦「DDG-177 あたご」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/atago/178.html

ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP ひゅうが型一番艦「DDH-181 ひゅうが」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/hyuga/img/181_17l.jpg

あきづき型護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP あきづき型一番艦「DD-115 あきづき」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/akizuki/img/115_18l.jpg

いずも型ヘリコプター搭載護衛艦

※出典:海上自衛隊公式HP いずも型一番艦「DDH-183 いずも」(http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/izumo/img/183_03l.jpg




以上に搭載。
今話題の3900t型FFMには搭載予定はない。
SeaRAMというこれのミサイル発射版が搭載される予定で、いずも型護衛艦にも同じのが搭載されてる。
あぶくま型にも搭載するはずだったんだが、結局しなかった。

※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:JMSDF_DDH-183_SeaRam.JPG


ただし、ファランクスは結構高価なので、最新艦だからといって最新版が搭載されているというわけではない。
例えばひゅうが型やあたご型、こんごう型なんかは1Bなのだが、いずも型やあきづき型は1Aである。無い袖は振れない。
ただその護衛艦のコンセプトとしては問題ないから安心してほしい。1Bで一番変わったのは手動制御と水上小型目標を狙えるとかこの辺であるし。


ちなみにだが、一番新しいのは「Block1B BaseLine2」なのだが、これは2019年度の改修予定。
いずも型二番艦「かが」やむらさめ型以降の予算のついたのに適用され、一部改修済みのもあります。
……が、2019年である。転移は2015年、後はお察しください。あとこれはレドームが灰色なので見分けやすい。



これは有名な話だと思うのだが。
1996年6月、ハワイ沖で行われましたリムパック(環太平洋合同演習)に参加しておりましたあさぎり型三番艦「DD-153 ゆうぎり」のファランクスが標的を引っ張っていたアメリカ合衆国海軍第115攻撃飛行隊所属のA-6艦上攻撃機を誤って撃墜したなんて事故があったりする。パイロットは脱出して無事なのでそこはご安心を。

※出典:アメリカ国立公文書記録管理局(https://catalog.archives.gov/id/6379373

これはシステムの性格上、おそらくIFFは搭載されていないからである。
だから味方の航空機が近づいても問答無用しちゃった……というもの。多分米軍艦でも同じことになってたんじゃないだろうか。
基本的にどのCIWSも無人で、敵と判断されたものを全自動かつ無差別に攻撃するものなんです。
難しい表現を取っ払えば「近づくモノを片っ端から粉々にするシステム」で全く間違いではないのでこれ。

これが唯一のファランクスの対空目標の撃墜例だったのだが、なんと2024年の1月30日に米海軍のアーレイバーク級駆逐艦グレーブリーが対艦ミサイルをファランクスで撃墜したことが発表された。撃墜したのは重武装で有名なフーシ派の対艦ミサイルで詳細な状況は不明だが、グレーブリーに接近したところをファランクスで迎撃したとのこと。この際に1.6kmと有効射程の1.5kmより遠い距離で撃墜に成功しており、カタログスペック通りの性能がちゃんとあることが判明した。


恒例の短所だが……
まず射程が短い。これはしょうがない。
多数目標への同時対処能力が低い。
数十秒で弾切れになる。

そんなわけで最新鋭のミサイルだと破壊しきれなくて、そのまま突っ込んできたり、ある程度破壊できても破片が~となる場合が……

でも破壊力などの構造は重量増えるわけですし、大口径版も一応計画はあったんだが流ておりまして。
というわけでRAMのような近接防御ミサイルとかの次世代が採用されつつあります。
今後どうなるのかは不明。



それと……忘れられがちであるが、巡視船も上のレドームがついてない本機関砲を搭載している。高性能とはつかないがこれである。
別にするのもどうかと思ったので一応。忘れてなかっただろうか。
こちらはレドームではなく巡視船の射撃指揮システムであるRFS(Remote Firing System)によって狙い撃つ。
目標追尾・外部環境による修正等を行うFCSの一種である。ようはFCSをなんとか安価にして海上保安庁の巡視船に搭載できる額にしたもの。最大対処距離や演算能力の面で簡単なものになっている。
その上で性能は低いのかというと、そうでもない。3メートル以上のうねりがあるという厳しい海象状況の中でも十分な命中精度を発揮した実例がある。九州南西海域工作船事件である。
連射力については上で書いたとおりなのだが、弾種は別。こっちはミサイルの迎撃とか予定にないのでタングステンなんてものは必要ない。
曳光弾をフルオートと数発ごとのバーストで発射します。
あとやはり警察機関なので、撃つときはビデオカメラおよび赤外線採証装置による証拠映像の撮影も並行してる。
こちらも搭載船書いてまわろうと思ったのだが、多すぎるので省略。本作に登場した巡視船にはすべて搭載されている。

※出典:唐津海上保安部公式HP(http://www.kaiho.mlit.go.jp/07kanku/karatsu/gyoumu/shozokusentei/inasa.html


そして陸上自衛隊のAH-1Sにも搭載されている。
ただしM61を基に砲身を3本に減らして軽量化したものである。M197三砲身ガトリング砲という名前になってる。
機首下に機関砲を搭載する。これは後に各国で開発されることになる戦闘・攻撃ヘリコプターでも、広く採用されることになった。
700発のベルトリンク弾薬が弾倉から供給され、給弾システム内の弾薬とあわせて750発の弾丸を携行する。射撃レートは1分間に650発。射撃訓練では通常、30-50発のバースト射撃を行う。一分撃てないのはファランクスと同じ。
砲身が減ったので連射速度は減ったが、反動も大幅に減ったことで航空機に適したものとなった。軽くもなったし。
ただジャム率が高く、多いときは30%にも登ったのだそうな。
そのため、このリスクを最小化するための訓練もパイロットに課している。
最大毎分3,000発の発射能力を持ち、ガンナーのヘルメットに連動してターレットが可動する。
TSUに追従させるモードやパイロットのヘルメットに連動させるモードもあるぞ。

ちなみに、この弾薬庫だが駐屯地祭なんかだと荷物入れになってたりする。だからどうしたということはないのだが。

AH-64Dは? と思っただろうが、こっちは30mm砲なので別物。

※出典:陸上自衛隊公式HP(https://www.flickr.com/people/90465288@N07


ちなみに、この機関砲だが、JM61-MとJM61-RFSをライセンス生産している。
よって機関砲の方は問題なく転移後も生産し配備することが出来るものと思われる。
AH-1Sもライセンス生産してるので砲身も大丈夫だろう。

……が、上のレドームに関してはライセンス生産に関する記述が見つけられず、おそらくはしていない。
頑張れ防衛装備庁、作るもの多いぞ。



※出典:アメリカ合衆国海軍公式HP(http://www.navy.mil/view_image.asp?id=26862


作中での活躍


基本的に近づかれる前に圧倒的な射程と命中率のミサイルと主砲の活躍により撃破してしまうのでほとんど出番はない。
活躍しないで済むほうが良い兵器なので。

現状、本作での出番はロデニウス沖大海戦の1回のみである。
本戦ではワイバーン250騎を航空機による支援なしの護衛艦8隻で迎え撃ったため、流石に数が多すぎて対空ミサイルと主砲では近づかれるまでに撃墜が間に合わず火を噴く事となった。本砲により3騎を撃墜。
これにより被害は無しであった。


海上保安庁の装備としての活躍は、まずフェン王国軍祭において奇襲してきたパーパルディア皇国ワイバーンロード20騎のうち一騎を巡視船PS-03「いなさ」が一騎撃墜している。残りは第3護衛隊群の砲撃によって撃墜。
一度砲身を冷却しての二度目の射撃においての撃墜であった。
この時騎手は撃ち殺さず生存しており、後に事情聴取となる。


二度目はPLH-31「しきしま」の船体前部の2基の活躍である。
こちらはフォーク海峡海戦にて低空より侵攻してきたグラ・バルカス帝国リゲル型雷撃機をエリコン35mm連装機銃と併用して撃墜。

陸上自衛隊のAH-1Sはロデニウス沖大海戦、ジン・ハーク攻防戦、竜の伝説において活躍。
基本的に人を狙わない人道的な攻撃において成果を上げる。
竜の伝説においてマウリ・ハンマンと大魔導師オルドの切り札でもあった大型魔獣を本機関砲で穴を空けた。


また本機関砲はラ・カサミの第一次改修においても搭載されている。
しかも4基。通常は2基。
これは単艦戦闘が起きる可能性が高いため、防空を万全とする目的からである。

本砲は日本では製造していなかったはずなのだが、公式曰くコピー品とのこと。

具体的な発砲シーンは無いが、軽空母一隻の艦載機をほぼ全機撃墜しているので、流石に出番はあったのではないかと思われる。

他、何かありましたら加筆願います。
詳細化希望。

関連項目
兵器自衛隊海上保安庁あさぎり型護衛艦はたかぜ型護衛艦むらさめ型護衛艦たかなみ型護衛艦こんごう型護衛艦あたご型護衛艦ひゅうが型護衛艦あきづき型護衛艦いずも型護衛艦まや型護衛艦おおすみ型輸送艦AH-1SPLH-31「しきしま」PS-03「いなさ」ラ・カサミ改

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過去のコメント
  • そういやCIWSもだが、RAMも生産大丈夫か - ドリフ提督 (2018-06-27 14:28:22)
    • 大丈夫じゃない、問題だ - 名無しさん (2018-06-27 20:43:49)
  • 同じ20ミリバルカン砲のM61はどうする? - ドリフ提督 (2018-06-28 10:35:01)
    • JM61-MとJM61-RFSをライセンス生産してるから大丈夫と書いてある。 - 名無しさん (2018-06-28 14:05:29)
      • いや、こっちも解説書いていいのではと言おうと… - ドリフ提督 (2018-06-28 17:15:37)
        • 最後のあたりに書いてある内容をより詳細化ですかね。 - 名無しさん (2018-06-29 03:24:18)
  • 取り敢えずミレニアム書いとく - 名無しさん (2018-07-14 17:58:22)
  • 魔帝の誘導魔光弾には有効なのかな?こちらの世界では近年の対艦ミサイルに力不足と言われたりしていたが - 名無しさん (2018-10-10 18:36:43)
  • 「チャフとか赤外線とかデコイとか」は表記が揺らいでいて誤解を招きそう。「チャフ(対電波)とかフレア(対赤外線)とかアクティブデコイ(対電波)」のような表現にした方が分かりやすいのではと愚考します。 - 名無しさん (2018-10-10 18:50:47)
  • M61シリーズだけがバルカン(登録商標)他はガトリング砲又は銃。Mk.15 ファランクスは、目標の前に弾幕をはり、そこにミサイル等が突っ込んでくるもの。よって、完全に破壊されることは無く、それなりに壊れながらそのまま突っこんでくる可能性が高い。 - 名無し (2018-10-10 21:04:53)
  • コレも「ラ・カサミ改」に搭載されていたな。レドーム部分のコピーに成功したのか、退役艦から剥がした奴を流用したのか… - ドリフ提督 (2019-02-26 08:45:25)
  • 実はあさぎりがA-6を誤撃墜した件で、米海軍自身が本当に使えるんだと納得したらしい - 名無しさん (2019-03-29 02:23:17)
    • それでいいんか米海軍… - ドリフ提督 (2019-03-29 08:50:12)

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〔最終更新日:2024年02月02日〕

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最終更新:2024年02月02日 00:46