艦種 |
汎用護衛艦(DD) |
建造期間 |
2009年~2014年 |
就役期間 |
2012年~現在 |
前級 |
たかなみ型 |
次級 |
あさひ型 |
排水量 |
基準 5,050トン (2番艦以降は+50トン) |
満載 6,800トン |
全長 |
150.5 m |
全幅 |
18.3 m |
深さ |
10.9 m |
吃水 |
5.4 m |
機関 |
COGAG方式 |
SM1Cガスタービンエンジン (16,000馬力) |
4基 |
スクリュープロペラ |
2軸 |
速力 |
最大30kt |
電源 |
川崎M1A-35ガスタービン 発電機(2,400kW) |
3基 |
乗員 |
約200名 |
兵装 |
Mk.45 62口径5インチ単装砲 |
1基 |
高性能20mm機関砲(CIWS) |
2基 |
Mk.41 mod.29 VLS (32セル) • ESSM 短SAM • VLA SUM(1番艦) • 07式 SUM(2番艦以降) を発射可能 |
1基 |
90式SSM 4連装発射筒 |
2基 |
68式3連装短魚雷発射管 |
2基 |
艦載機 |
SH-60J/K哨戒ヘリコプター |
1機 |
C4I |
MOFシステム (SUPERBIRD B2) |
海軍戦術情報システム (OYQ-11 ACDS+リンク 11/14/16) |
レーダー |
FCS-3A 多機能型 (捜索用、FC用アンテナ各4面) |
1基 |
OPS-20C 航海用 (主・副アンテナ各1基) |
1基 |
ソナー |
OQQ-22 統合ソナー・システム (バウ・ソナー+OQR-3 TACTASS) |
電子戦 対抗手段 |
NOLQ-3D電波探知妨害装置 |
Mk.137 6連装デコイ発射機 |
4基 |
曳航具4型 対魚雷デコイ |
1基 |
投射型静止式ジャマー(FAJ) |
1基 |
自走式デコイ(MOD) |
1基 |
概要
旧海軍秋月型、海上自衛隊初代あきづき型に連なる三代目。いずれも防空艦の性格が強い艦として建造されている。
初代あきづき型はすでに退役しており、本作に登場しているのは二代目のあきづき型である。
因みに旧海軍の秋月型2隻は、姿を変えて今も日本を守っている。詳しくは「軍艦防波堤」を検索。
あきづき型は16年ぶりの新規設計護衛艦として、当初は欧米の最新鋭艦と同等のステルス性を持たせる計画だった。
しかし、財務省の査定により予算が削減されたため、艦体は
むらさめ型・たかなみ型のものを流用することになった。一番の敵ここなんじゃないだろうか……
そのせいで新規設計とは言い難くなった。実際、両型が並んで停泊する姿を見ると艦体が酷似している。
本艦を語るために、まだ19DDと呼ばれていた時代まで遡る。
2007年、弾道ミサイル迎撃体制を構築していた頃のお話。
迎撃中のミサイル搭載護衛艦……つまりイージス艦が対艦ミサイルに狙われたら対応が難しいと判断された。
その理由は以下の通り。
1:遠距離の目標にレーダービームを全力で当て、追尾している最中に他の目標に割り振るパワーが少ないこと。
2:弾道ミサイルを迎撃中の捜査員たちに同時に他目標の迎撃操作をする余力が無い。
3:低空から侵入してくる対艦ミサイルの迎撃に適したミサイル……つまりシースパローとかを搭載していないこと。
このため、イージス艦が弾道ミサイル警戒及び対処任務に専念している際に航空機、潜水艦、水上艦艇などによる攻撃から防護する等の役割を担う護衛艦を整備する事になった。
この頁みて驚いた人がいると思うけど、イージス艦のVLSにはアスロックの他はSM-2やSM-3等の長距離
艦対空ミサイルしか装填されてなかったりする。
どっかの過去に飛んだイージス艦のようにシースパローとか撃てなかったりします。ESSMならまだ装填すれば撃てるが日本ではイージス艦にESSMを積んだことはない。そもそも漫画とアニメで撃ってるミサイル違うし。
あたご型建造前にあたご型がこうなるであろう、という予想のもとに描かれたからしょうがないんだけど。
……そもそもなんで世界最強の防空艦であるイージス艦を守らにゃならんのだというと、これは日本独自の理由。
ご存知の通り日本の周辺の面倒な国……具体的にどことは言いませんが……は弾道ミサイルとか巡航ミサイルとか核とか物騒なモンを持っている。
専守防衛を掲げる
自衛隊はこれら発射基地に発射の兆候があっても 先制攻撃が出来ない。だからアメリカと共同でBMD(弾道ミサイル迎撃システム)を開発している。
アメリカは80隻以上イージス艦を持っているから数で押せるけど、日本には当時6隻、今は少し増えて8隻しかない。
これでも世界で二番目にイージス艦を保有してる国なんだけど……1番と2番の差がすごすぎるわけで。しかもあっちは完全版で、システムも随時最新に置き換わってる。
これまでの汎用護衛艦の基本形を継承しつつ、低視認性を改良したような艦体になっている。
とくに艦橋のレーダーシステムに注目。
当時、SPY-1F(イージスシステムの小型簡易版)にするのかFCS-3にするのかまだはっきりしてなかったのです。
SPY-1は『パッシブ』フェイズド・アレイ・レーダーで、大量の電気を使って電波を増幅して送信して、それをアンテナが電波を受けて放射……というもの。フェイズド・アレイ・レーダーは
瀬戸 衛しきしま船長が言ってたからわかりますね?
このタイプは大型のアンテナ以外に電波を作る装置が必要なので、大型かつ重く、電力もかなり必要という欠点があったわけだが、当時はコレが一番無難だった。
FCS-3は防衛庁技術研究本部が開発した射撃管制装置(FCS)や艦載対空レーダーを統合した艦載対空戦闘システム。
こっちは『アクティブ』フェイズド・アレイ・レーダーで、半導体自体が電波生成とアンテナの両方を担うため、小型で効率よく電波を生成してアンテナの機能を持てる他、電子管より冗長で稼働率が良いという利点がある。
その性能は、最大探知距離200km以上、最大追尾目標数300程度とされている。
あきづき型に搭載されたのは『
FCS-3A』と呼称される改良型で、レーダーに窒化ガリウム素子を採用しており、モジュールの出力は
ひゅうが型に搭載された原型のFCS-3の3倍以上に向上している。
これにより、探知距離延伸や同時追尾能力向上は言うまでもなく、電子妨害への耐久性も大幅に改善されたといわれる。
このFCS-3Aを搭載したことで、あきづき型には限定的な艦隊防空能力(僚艦防空能力)が付与されている。
よくわからなかったら、短中距離版の和製イージス・システムだと思えばよいかと。
日本国召喚では、これをベースに次期イージス・システムを開発すると思われる。
実は初めてFCS-3シリーズを搭載した汎用護衛艦は、あきづき型である。護衛艦全体だとひゅうがの方が先なんだけど。
FCS-3のアンテナは探索及び武器管制用Cバンドアンテナと、それよりひと回り小型のミサイル管制用Xバンドアンテナで構成される。
Cバンドは波長が長いので塵などに強く、中遠距離に向いている。
Xバンドは短中距離に向いており、高い解像度……つまり高周波数で目標の姿を捉えることが出来る。
当初はCバンドレーダーだけで捜索とミサイルの管制を行う計画で、専用の国産
艦対空ミサイルXRIM-4も開発されていたけど、諸事情でESSMを搭載する事に決定。
誘導用のXバンドアンテナは、この時に急遽追加されている。
これがESSM、発展型シースパロー。
従来のシースパローに比べ射程が倍以上、そしてVLS1つに4発装填可能と完全に別物になっている。
あきづき型は、最大でVLS32セルの半分の16セルに合計64発のESSMを搭載すると言われる。
同時迎撃可能目標は最良条件で32目標。
現行のアメリカのイージス艦が、最良条件で12から18目標同時迎撃できる事と比較すると、その凄まじさが理解しやすい。
もちろんイージス艦はあきづき型よりさらに数倍遠い距離から迎撃できるため、一概に優劣は論じ得ない。まあ、その代わりイージス艦は近距離に弱いんだけど。
あきづき型とイージス艦を組み合わせると、空を埋め尽くすようなミサイル群でも撃ち込まない限り破れそうもない防空網となるのは間違いない。
そして、そんな大規模攻撃をやった日には、すぐに弾薬が切れる。
ESSMは1セルに収まるキャニスターの中に4発搭載されていて、発射後はXバンドアンテナから目標はもう少し右だー左だー、って感じに誘導する。
目標が近づくと終末誘導と言って、目標から反射してきたFCS-3のレーダー波をミサイルが捉えて突っ込んでいく。
あきづき型では多目標対応の為、間欠連続波照射誘導で複数のESSMを随時誘導するんですが、そのための装置は開発途中で追加することになった関係で、タレスの技術を導入して開発期間を短縮している。
このFCS-3AとESSMを組み合わせる事で、イージス艦を弾道ミサイル対処任務に専念させることが出来るようになったのです。
それまでの汎用護衛艦
むらさめ型・たかなみ型は自身や近隣の僚艦を防衛することは出来ても、 護衛隊全体をカバーするのは不可能であるため、あきづき型がその任務を引き受ける。
但し、あきづき型の指揮下に入ることを想定して既存護衛艦もLink16やESSM対応など近代化改装に努めている。
武装は、艦首に
あたご型と同じ
62口径Mk.45 5インチ単装砲。最大射程37km。
砲塔下部に弾薬庫があり、そこから砲塔に給弾する。
俯仰角度65度で発射速度がMk.39に毛が生えたぐらいなので、対空戦闘向きじゃないと言われてたりするけど、高い射撃精度と高初速のお陰で十分対空射撃可能。
艦中央部に
90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)の4連装発射筒を2基搭載。
艦橋側に搭載されている短魚雷発射管は、低視認性のために普段はシャッターで見えないようになっている。
右舷の短魚雷発射管の近くに自走式デコイ(MOD)ランチャーがある他、SSM-1Bの近くの艦中央部にあきづき型からの新装備である投射型静止式ジャマー(FAJ)が設置されている。
満載排水量6,800トンのフネを30ノットで動かすために、SM1Cガスタービンエンジン4基搭載しており、合計で64,000馬力を発揮する。
海自としてはイージス艦と同じLM2500ガスタービン4基2軸8万馬力を望んでいたが、山田洋行事件の影響などから採用を自粛。
敢えて1世代古いスペイSM-1Cガスタービン4基を64,000馬力に強化して用いている。
艦体喫水線下にフラップを装備するなどの工夫で機動力は十分なのだが、運用側も開発側も未だに惜しんでいるとかなんとか……
一応、スペイ自体は世代的に古いけど幾度もの改良を経て長年運用されてきたから、信頼性や実用性に問題はない。
ガスタービン類は艦橋すぐ後ろ辺りから後部煙突当たりの下にシフト配置。シフト配置というのはギアの接続を相互にずらし、被弾の際に主機関連が全滅するのを防ぐ配置のこと。
煙突のすぐ近くにある丸い蓋は、艦内にあるガスタービンエンジンを取り出す点検口っぽいもので、簡単に修理などが出来るようになっている。
LCSとか巨大なディーゼルエンジンが壊れると、船体を切って取り出す……細かいパイプやら配線やらまで全部。
海自がディーゼルエンジンに前向きでないのはコレが理由の一つ。
原子力艦もかなり解体するけど、あっちは15年は使えるからね……。
士官居住区は艦橋に二階分。
機関室の上にはCIC/士官室・応急指揮所・科員食堂が設けられている。
艦体下部には100名以上が寝泊まりする科員居住区があり、他の区画にも押し込まれる形で各所科員居住区が設けられている。
そして底部に艦艇余燃料タンクとバラスト。艦尾底部に航空機用燃料タンク。合計500トンほど。
これ漏らして良い情報なんだよね……?
ネームシップ「あきづき」は2009年に建造開始し、2012年に就役。
あきづき型は
こんごう型4隻と組み合わせるために、4隻建造されました。
あたご型も弾道ミサイル対処任務が可能になりましたので、最近建造された
あさひ型も国産の多目標誘導装置を装備して、あきづき型と同様の任務に付くことになるのではと予想されていたんですが、個艦防御のみ可能な対潜特化艦に。
これはイージスシステムの改良により、かつては不可能だった弾道ミサイルと対艦ミサイルの同時対処が可能になったため。あたご型は改修で、
まや型は建造時から同時対処に対応したベースライン9が搭載された。そしてこんごう型は未改修のため今後もあきづき型と組み合わせ続ける。
上述の通り、防衛予算の不足からあきづき型は随所で従来技術を流用し、建造費と維持費の低減を図ったところが多い。
特に護衛艦でもっとも重要な艦体に関しては、むらさめ・たかなみ系列が安定性と冗長性を十分持っていたことが幸いした。
しかし、元開発隊群司令・自衛艦隊司令などから、新型艦体研究の遅延を危惧されているのも事実である。
作中での活躍
DD-115 あきづき
DD-116 てるづき
DD-117 すずつき
DD-118 ふゆづき
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最終更新:2022年09月07日 21:17