いーななろくなな
諸元
| 乗員 |
操縦士2名、機器操作員19名 |
| 全長 |
48.51m |
| 全高 |
15.85m |
| 翼幅 |
47.57m |
| 翼面積 |
283.3㎡ |
| 空虚重量 |
132,903kg |
| 最大離陸重量 |
174,635kg |
| 動力 |
GE CF6-80C2B6FA ターボファンエンジン |
2基 |
| 推力 |
27,900kg (273.6kN) |
性能
| 最大速度 |
約840km/h(M0.69) |
| 巡航速度 |
722km/h(M0.59) |
| 航続距離 |
9,200km |
| 実用上昇限度 |
12,200m |
| 連続警戒滞空時間 |
進出半径1,000海里(1,852km):9.25時間 進出半径300海里(556km):13時間 |
装備
| アビオニクス |
AN/APY-2 レーダーシステム |
| AN/APX-103 敵味方識別装置 |
| AN/UPX-40 次世代敵味方識別装置(改修機) |
概要
E-767は、ボーイング社が開発した早期警戒管制機E-3Cセントリーと同じレーダーシステムをボーイング767-200ERに搭載した早期警戒管制機である。
国産機ではなく輸入機だが、航空自衛隊が保有する4機しか存在せず、アメリカ軍関係者からJ-WACSとも呼ばれる。
導入までの経緯
早期警戒管制機は空中司令部等とも呼ばれ、近代的な航空戦において要となる存在である。
低空や山谷の影に隠れて接近する敵機は、地上のレーダーサイトからは死角になるため、発見が遅れがちになる。
これに対抗するため考えられたのが、強力なレーダーを搭載した航空機を滞空させるというもので、これがAirborne Early Warning、略してAEWになる。
早期警戒機は高出力レーダーを搭載する関係上、中型以上の航空機になるため、大型の航空機に強力なレーダーに加えて、迎撃にあたる戦闘機に指示を出すオペレーターを沢山乗せれば、地上のレーダーサイトに何かあっても指揮に混乱が生じにくいということで、オペレーター用状況表示コンソールを多数搭載し、高い空中指揮能力をもつのがAirborne Warning And Control System、略してAWACSである。
因みに、AEWより管制能力が高いがAWACSほどではない機体をAEW&C(Airborne Early Warning and Control)とも呼ぶが、基本的な機能は同じである。
航空自衛隊が早期警戒管制機を導入したのは、1976年9月6日に起きた
ベレンコ中尉亡命事件に端を発している。
この事件を簡単に説明すると、ヴィクトル・ベレンコというソ連空軍の中尉が、亡命のため日本に来訪したというもの。
当時は冷戦真っ只中ということもあり、ベレンコ中尉の訪日方法は普通ではなく、当時ソ連の最新鋭戦闘機MiG-25のパイロットだった彼は、訓練飛行中に抜け出して北海道に侵入、そのまま函館空港の滑走路に無理やり着陸してしまったのである。
「誰からも妨害されず」に。
ベレンコ中尉はMiG-25を超低空飛行させることで、航空自衛隊の早期警戒レーダー網と千歳基地からスクランブル発進したF-4EJを潜り抜け、「今の日本が持つ早期警戒レーダーと戦闘機によって構成される防空網は、超低空飛行によって突破できる」ことを全世界に示してしまったのである。
この事件を受けて防空体制の大幅な見直しが行われているが、戦闘機については事件が起きた年の12月にF-15Jイーグルの導入が決定されたことで解決した。
F-15Jは、ルックダウン能力に優れたパルスドップラーレーダーAN/APG-63を搭載しており、F-4EJの様に低空飛行するMiG-25を見逃すことはない。
また既存のF-4EJについても、事件から4年後の1980年から研究開発を開始した近代化改修においてパルスドップラーレーダーAN/APG-66Jへの換装が行われ、優れたルックダウン能力が付与されている。
戦闘機はこれで見通しがついたが、早期警戒レーダーについては簡単にはいかなかった。
とりあえず新型の国産早期警戒レーダーJ/FPS-2への更新が進められたが、地上にレーダーを配置する以上、地平線が邪魔をして超低空飛行する航空機を遠距離で発見することは物理的に困難である。
早期警戒レーダーの性能限界と配置の問題から、日本の防空識別圏に穴があることは、航空自衛隊創設からさほど間を開けずに認識されていた。
地上から見つけられないのなら空中から見つければいいということで、1960年代後半には早期警戒機導入の検討が始まっている。
候補として、当時開発中だったC-1またはPS-1を原型とした国産AEWの開発とE-2A/Bの輸入の比較が行われ、まずE-2を輸入して早期警戒体制を整え、その間に国産AEWの開発を進めるという折衷案が提案される等、かなり具体化していた。
しかし、1974年末に国産AEW開発は白紙化されてしまい、E-2の輸入も具体的な話まで進んでいなかった。
そんな時に起きたこの事件の影響で、早期警戒機の必要性が広く認識される。
候補として目を付けられたのが、事件が起きた1976年に量産が開始されたばかりの最新鋭早期警戒管制機E-3Aセントリー。
性能面では全く問題ないものの、最新鋭であるが故に極めて高価で、機体が重いため基地の滑走路を補強する必要があり、しかもアメリカ空軍すら配備を始めたばかりで、注文しても届くまで何年かかるかわからない。
そこで、E-3と比べれば性能は劣るものの安価で、すぐに手に入る
E-2Cホークアイの導入を1979年に決定し、1983年から配備を始めた。
出典:航空自衛隊ホームページ (http://www.mod.go.jp/asdf/equipment/keikaiki/E-2C/index.html)
E-2Cはアメリカ海軍の空母搭載用AEWであり、その能力は低いものではないが、小型の空母艦載機であるため搭乗できるオペレーター数や滞空時間にどうしても限界がある。
そのため、E-2Cの配備後も早期警戒管制機の導入の検討は続けられ、事件から15年後の1991年に早期警戒管制機の導入がついに決定された。
導入と配備
晴れて念願の早期警戒管制機を導入することになったものの、いきなり問題が発生する。
最有力候補であるE-3は旅客機である707型にレーダーシステムを搭載したものだが、707型の生産が1991年に終了してしまったのである。
生産元のボーイング社との相談の結果、生産中の767型にE-3C Block30/35と同じAN/APY-2レーダーシステムを移植した新型の早期警戒管制機E-767を開発することになった。
1993年と1994年に2機ずつ、計4機が発注された。導入価格は1機あたり約550憶円。
非常に高価ではあるが、やや遅れて開発された一回り小型のE-7Aが1機当たり約4憶ドル、航空自衛隊が導入したE-2Dアドバンスドホークアイが1機当たり約240憶円であることを考えると、妥当な価格と言えるのかもしれない。
とは言え高価であるのは間違いなく、オーストラリアや韓国がE-767の導入を考えていたが予算面で諦めざるを得ず、より安価なE-7Aを導入している。
因みに、導入を急ぐためにFMSにより完成機を輸入したE-2C同様、E-767も完成機をFMSにより輸入している。
しばらく後にE-7Aを導入したオーストラリアや韓国が、国内で機体組立や改修工事を行ったことと比べると不利な契約のように思えるが、原型である767型の製造の15%を国内の企業が担当しているため、条件的にはE-7Aとあまり変わらないと言える。
E-767は高価ではあるものの、E-3Cと同じレーダーシステムを搭載しているので、アメリカ軍のE-3改修計画をほぼそのまま踏襲した近代化改修を概ね10年に一度実施している。
一方、E-7Aは当初アメリカ軍が採用していなかったため、オーストラリアや韓国等の採用国が独自に改修を行う必要があった。
運用開始から10年近く経過したことから性能の陳腐化が懸念されていたが、2017年7月にオーストラリア空軍がボーイング社と協力してE-7Aの近代化改修に取り組むと発表した。2022年に改修完了予定で、改修費用は約5.2億ドル(当時の為替レートで約575憶円。1機当たり約94億円)。
E-767は1998年から納入を開始、翌年から警戒監視任務に就き、特に先の事件のような低空からの侵入を警戒している。
配備当初の所属は警戒航空隊第601飛行隊第2飛行班だったが、2005年3月31日の組織改編により警戒航空隊飛行警戒管制隊に改編、更に那覇基地へのE-2C配備による2014年4月20日の組織改編により警戒航空隊第602飛行隊に改編された。
全機が浜松基地に配備されており、4機で警戒管制、待機、訓練、整備のローテーションを組み、常時1機は警戒管制任務に就ける体制が組まれている。
なお、2020年3月26日に警戒航空隊は廃止され、警戒航空団に改編された。
機体の特徴
レーダーシステム
本機のレーダーシステムAN/APY-2は洋上監視能力に優れており、これは全周を海に囲まれたわが国にとって非常に重要な要素である。
なお機体は川崎重工、レーダーシステムは東芝がメンテナンスを担当しているが、転移後はアメリカから輸入している交換部品の代替品の開発・生産に迫られているのではないかと考えられる。
胴体上部の中央よりやや後方に装備されている、直径9.14m、厚さ1.83mのロートドームの白い帯部分の内部には、AN/APY-2のレーダー・アンテナとAN/APX-103 敵味方識別装置のアンテナが背中合わせに配置されており、レーダーシステム作動時は10秒に1回転、レーダーシステム未作動時もロートドーム軸受けのオイル循環のために4分に1回転する。
一見、このロートドームは飛行に支障をきたしそうに見えるが、実は揚力を発生させており、原型になった機体より飛行性能の低下を最低限で抑えられたといわれる。
このレーダーシステムからは、その探知能力に応じた極めて強力な電磁波が放出されるため、地上で作動させることは法律で禁止されており、また電磁波から乗員を保護するために胴体側面の窓は全て塞がれている。
機体
約6.8tもの重量があるロートドームとのバランスをとるため、コンピューターや通信機器、状況表示コンソール等は機体前半部に配置されている。
空いた機体後部はリクライニングシート、旅客型と同じラバトリーや飲食物の保管と準備ができるギャレーを設置した休憩区画になっており、長時間の監視任務に備えている。ラバトリーは操縦席後方にも設置されている。
更に胴体前部下には仮眠用の2段ベッドまで設置されており、長時間の警戒飛行による疲労に悩まされる乗員にとっては至れり尽くせりとなっている。
一方、滞空時間が短く、機体の狭いE-2Cにはラバトリーすら装備されておらず、滞空時間が延長されたE-2Dになってようやくラバトリーとギャレーの装備が可能になっている。
E-3と比べてキャビンの床面積が約1.54倍、容積が約2.1倍も広いにも関わらず、大推力エンジンのおかげでE-3より推力重量比が高く、短距離で離陸できる。
空中給油受油装置を後付けしやすいように製造時から配管されているものの、もともとの滞空時間が長いこともあって装備されていない。
但し、
いずも型護衛艦のSTOVL空母改修にあたって、艦載機であるF-35Bの支援にE-767を充てることが構想されており、これが実現した場合はいかなE-767と言えども航続力が不足する可能性があるため、対策として近い将来に空中給油受油装置が追加される可能性もある。
固定武装はなく、ハードポイントがないため誘導弾等も搭載できない上に、E-3やE-737は搭載している自己防御用のチャフ・フレアディスペンサー等も装備されておらず、完全な丸腰である。
近代化改修
現代の航空戦において、早期警戒管制機は要であるとともに、周り中から目の敵にされることもあり、常に能力の向上を図る必要がある。
E-767とE-3に搭載されているAN/APY-2は、1970年代に開発された古いレーダーシステムではあるが、以下の様な度重なるアップデートにより現在でも最高水準の性能を持っている。
レーダー機能向上改修
2005~2010年度にE-3CのRSIP(Radar System Improvement Program。1997年より実施)に準じた改修に関する予算が「早期警戒管制機(E-767)レーダー機能の向上」の名称で計上され、以下の改修が行われた。
- 配電盤と配線の改良
- レーダー用コンピューターの換装
- アンテナ部改良
- 送信出力制御装置と機材保護装置の改良
- 機上レーダー整備員用コンソールの改良
この改修により、以下の能力が付与されている。
- 探知距離の延伸
- 識別能力の向上
- F-15J改とのデータリンクが可能に
- 巡航ミサイルへの対処能力獲得
2010年までに改修を終えており、2011年から運用を開始している。1機当たりの改修費用は約90.5億円。
能力向上改修
2013~2019年度にE-3G Block40/45(2005年より実施。2014年7月初期作戦能力獲得)に準じたMCU改修に関する予算が「早期警戒管制機(E-767)の能力向上」の名称で計上され、以下の改修が行われることになった。
- 中央計算装置等の換装
- 電子戦支援装置(ESM)の搭載
この改修により、以下の能力が付与されている。
改修初号機(機体記号503号機)は2018年3月にボーイング社と契約を締結(契約額6,090万ドル。当時のレートで約646億円)、2019年8月から米国のボーイング社工場で改修を開始、2023年6月に日本側へ引き渡され、その後半年程遅れて改修されていた改修2号機(機体記号504号機)も引き渡されている。
2025年7月に改修3号機分と思われる契約がボーイング社と締結されており、2028年5月に完了予定となっていることから、全機の改修が完了するのは2030年代前半になる模様。1機当たりの改修費用は約245億円。
E-3は原型のボーイング707民間型が退役した関係で運用経費が高騰していることから、2022年4月に26機のE-7Aを2027年から2032年にかけて配備し、配備完了までは16機のE-3Gが現役に留まると発表された。
2025年6月にコスト増大と生残性への疑問を理由としてE-7A調達の白紙撤回が発表されたが、この時に後継とされた人工衛星や無人機を用いた早期警戒網の開発がE-3Gの老朽化に間に合わないことから、2026年1月に2026年度予算案にE-7A調達に約9億ドル(約1,400億円)を追加して合計約11億ドル(約1,700億円)を計上する計画に再変更されている。
レーダーシステム自体は改修により2035年まで運用に耐えられるので、兄弟機といえるE-767も少なくとも同時期まで現役可能だが、令和5年度予算で追加導入が決定した5機のE-2Dで更新する可能性も考えられる。
E-767とは別に、導入から間もなく40年を迎えるE-2Cの後継として
P-1を原型とした国産AEW開発の検討も行われている。
現実の日本ではE-2Dで更新されることになったが、召喚日本ではE-2Dの導入が不可能になった事もあり、P-1AEWの開発が進められる可能性が高いと思われる。
作中での活躍
デュロ空爆時も、爆装したBP-3C、護衛のF-2とF-15J改を支援している。
また、書籍版に実装されなかった小話『
日本視点接触』では、日本の転移直後、「空自のAWACSが朝鮮半島の消失をレーダーで確認した」という趣旨の報告が
防衛省職員から為されている。機種の言及はないものの、恐らくこれもE-767と考えられる。
(随時加筆をお願いします)
ここを編集
〔最終更新日:2026年05月29日〕
最終更新:2026年05月29日 21:35