ぴーわん/ぴーいち
諸元
乗員 |
11名 |
全長 |
38.0m |
全高 |
12.1m |
翼幅 |
35.4m |
最大離陸重量 |
79.7t |
兵装搭載可能重量 |
9t以上 |
動力 |
IHI F7-IHI-10 ターボファンエンジン |
4基 |
推力 |
6,120kg (13,500lb)×4 |
性能
最大速度 |
M0.81(996km/h) |
巡航速度 |
M0.68(833km/h) |
航続距離 |
8,000km |
実用上昇限度 |
13,520m |
装備
固定武装 |
なし |
爆弾 |
150kg対潜爆弾 |
短魚雷 |
97式魚雷(GRX-4) |
12式魚雷(GRX-5) |
ミサイル (最大8発搭載) |
空対艦ミサイル |
AGM-84D ハープーン |
91式空対艦誘導弾(ASM-1C) |
23式空対艦誘導弾(哨戒機用新空対艦誘導弾) |
空対艦/地ミサイル |
AGM-65F マーベリック |
アビオニクス |
HPS-106 捜索レーダー |
HLR-109B 電子戦支援装置 |
HSQ-102 磁気探知装置 |
HAQ-2 光学/赤外線探査装置 |
HYQ-3 戦闘指揮システム |
HQA-7 音響処理装置 |
HLQ-4 自己防御装置 |
概要
P-1は、防衛省技術研究本部と川崎重工によって開発された四発哨戒機である。
航空自衛隊のC-1の後継である
「次期輸送機」(後の
C-2)との同時開発という世界的に見ても珍しい開発体制が採られている。
開発
P-1は「
P-3C」の後継機であり、
「次期哨戒機」開発計画によって開発された。
開発は2000年より開始され、2007年7月に試作1号機が完成、同年9月に初飛行している。
開発においては、
C-2と同様、試作1号機の初飛行直前に
アメリカ合衆国製のリベットに起因する強度不足が明らかになり、リベットの交換と補強工事が必要になったため、計画より遅れて初飛行が行われている。
開発が完了して量産機が引き渡された後、高度約10,000mから約8,000mへ急降下、エンジン出力を低下させながら飛行姿勢を立て直したところ全エンジンが停止、直後に手動で再起動した後に緊急着陸するという事故が発生している。
約4か月後にエンジンの燃料噴射弁の設計変更がこの事故の原因であることが判明、2013年10月に飛行再開している。
先述した通り、C-2と同時開発された関係で、風防、主翼外翼(全体の3分の1)、水平尾翼、補助動力装置、コクピットの統合表示装置等、機体重量に対して約15%、搭載システム品目数に対して約75%の部品が共通化されており、開発費を250億円程度削減できたとされている。
開発総額はC-2と込みで約3,450億円。
特徴
どちらかというと既存の技術を採用して手堅く作られたC-2とは対照的に、これでもかというほど国産の最新技術が投入されている。
機体
直線翼を中翼に配置したターボプロップ機である
P-3Cとは異なり、後退角を持たせた主翼を低翼に配置し、その翼下にエンジンポットを懸架するというジェット旅客機と同様の配置を採用している。
但し、ボーイング737型をベースに開発されたP-8Aと比べると主翼の後退角がかなり緩く設定されている。
これは、低空飛行する任務が多いことを考慮したためである。
機首下部に設けられた爆弾倉に対潜爆弾や短魚雷を搭載できる他、主翼下に設けられた8か所のハードポイントに空対艦誘導弾または空対地誘導弾を搭載できる。
現在はASM-1Cや
ハープーンを運用しているが、今後は令和5年度予算から調達の始まった23式空対艦誘導弾に更新される。
操縦システムとコクピット
操縦システムには、フライ・バイ・ライトを実用機として世界で初めて採用している。
配線に光ファイバーケーブルを使用するフライ・バイ・ライトには、一般的なフライ・バイ・ワイヤと比較してセンサー類や精密電子機器との電磁干渉がほとんどなく、情報伝送が高速かつ発火しにくいという利点があるが、断線時の修理が難しいという欠点がある。
操縦席は先述したようにC-2と同じく計器盤に多数のMFDSを配し、風防の前にヘッドアップディスプレイを備えたグラスコクピットになっている。
操縦席後方には休憩スペースやラバトリー、P-3Cでは未搭載だった電子レンジを備えたギャレー区画があり、温めた弁当を食べたり熱い飲み物を飲みながら休憩することも可能。
尤も搭乗員は自分の席で食事や休息をとるため、休憩スペースは見学者くらいしか使わないとのこと。
エンジン
エンジンは、国産のF7-IHI-10ターボファンエンジンを採用している。
F7は、X-2/ATD-Xに搭載されたXF5-10のエンジンコアに新開発の高バイパスファンを組み合わせたエンジンで、低燃費と低騒音が特徴になっている。
四発機になったのは、北朝鮮工作船事件にP-3CがRPG-7の攻撃を受けた経験から被弾に強い四発機が要望されていたことに加え、双発機よりも燃費や整備性が悪くなるものの、高速性能や騒音軽減、低空飛行時のバードストライク対策に有効であるため。
ジェット化により、P-3Cと比較して巡航速度と上昇限度が約1.3倍、航続距離が約1.2倍に向上している。
電子装備
レーダーは国産のXバンドアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーである
HPS-106を機首レドームと前脚格納部付近のフェアリングに計3面搭載している。
AESAレーダーであるHPS-106は同時探知能力に優れる上、
あきづき型護衛艦のFCS-3Aと同様にGaN素子を採用して高出力化されており、捜索能力の向上や探知距離の延伸を実現している。
HPS-106の動作モードには、水上捜索、陸上捜索、航法気象、合成開口、逆合成開口の他にP-3Cのレーダーにはない対空捜索モードが存在し、しかも水上捜索モードと同時に逆合成開口モードまたは対空捜索モードを作動させることも可能とされる。
機首には他に
前方監視型赤外線装置としてHAQ-2光学/赤外線探査装置のターレットが搭載されているが、空気抵抗の増加を避けるため引き込み式になっており、使用時のみ機外に引き出される方式が採用されている。
操縦席後方上部にあるドームはHLR-109B
電子戦支援装置、その後方にあるドームは衛星通信装置のフェアリングで、胴体最後部にはHSQ-102
磁気探知装置を搭載、主脚の後部にはソノブイ発射口が38個設けられている。
これらのセンサーによって収集された情報は人工知能的コンポーネントを備えるHYQ-3情報制御処理機によって一元処理され、戦術航空士等に最適な作戦を提示する。
自機センサーの他にもMIDS-LVT戦術データ交換システム端末の搭載によってリンク16に対応しており、他のP-1やイージス艦を始めとする護衛艦、更には
F-15J改、
F-2(能力向上改修機)、
E-767、
E-2C/D等の航空自衛隊機とも情報共有が可能である。
P-3Cでは未装備だった自己防御装置としてHLQ-4を搭載しており、レーダードームと機体後部の機体側面に搭載されたミサイル警報装置やレーダー警報受信機の情報を統合して脅威判定を行い、防御手段および回避手段の提示等を自動的に行うことができる。
配備
2012年3月から量産機の配備が開始されているが、上記のエンジン停止事故の影響で部隊配備が半年近く停止されている。
事故原因が判明し、対策改修が行われた後に量産・配備が再開されており、2015年度予算では20機もの一括調達が行われている。
これは、法改正により可能になった装備品一括調達の初事例であり、本機にかけられている期待の大きさを示している。
まず試作機と初期の量産機がテスト部隊である厚木基地の第51航空隊に配備され、各種試験が行われた後、2015年から同じ基地の第4航空群第3航空隊への配備が開始され、2017年に全機更新している。
2019年からは鹿屋基地の第1航空群第1航空隊にも配備されており、今後量産が進めば、八戸基地の第2航空群第2航空隊や那覇基地の第5航空群第5航空隊にも配備される。
2024年3月時点での保有機数は34機で、2025年度までに50機分の調達予算が計上済。1機あたりの平均調達価格は約195億円だが、後述する能力向上型は220億円前後になっている。
2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」において洋上監視用UAV導入と引き換えにP-1の取得数を見直すと明記されている。
とはいえ、2023〜2027年の調達機数が19機となっていることから、計画通りならば調達数は最低でも約60機、後述する派生型を含めると70機近くになると考えられる。
韓国海軍レーダー照射問題
2018年12月20日、石川県能登半島沖の日本海において警戒監視・情報収集任務中の第3航空隊所属機が、北朝鮮船に対する救援活動を支援していたと思われる韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」から、火器管制レーダーの照射を受けたことで一躍注目を集めている。
シードラゴン演習
シードラゴン演習は、2019年からアメリカ海軍が主催してグアム島のアンダーセン基地で開催している固定翼哨戒機多国間共同対潜演習。
主催のアメリカ以外では、カナダ、インド、日本、韓国がほぼ常連になっている他、オーストラリア、イギリス、フランス、ニュージーランドも参加実績がある。
海上自衛隊は2020年から参加しており、当初は第51飛行隊のP-3Cが派遣されたが、それ以降は実戦部隊のP-1が交代で派遣されている。
2023年と2024年にP-1が2連覇しており、P-1の性能と各部隊の練度が世界的に見ても高い水準にあることを示している。
派生型
配備開始から間もない最新鋭機だが、計画まで含めると複数の派生型が存在する。
まず2015年6月に試作1号機(5501号機)が多用途機UP-1に改修され、各種試験に用いられている。
次に2019年1月にC-2と共に電子攻撃型を開発、2027年度の導入を計画していると報じられ、実際に2020年度予算において「スタンド・オフ電子戦機」の開発予算が計上されている。
EC-1、YS-11EA及びUP-3Dの後継機と考えられる。
また、2021年度予算では
電子測定機であるEP-3の後継型開発予算が計上されている。
この他に
E-2Cの後継としてP-1の
早期警戒機型の開発が検討されていたが、E-2Dの導入が決定した事で立ち消えになっている。
ただ召喚世界ではE-2Dを導入出来ないので、P-1またはC-2のAEW型を開発する必要があると思われる。
能力向上型
量産開始翌年の2013年度から「哨戒機搭載システムの対潜能力向上の研究」の事業名で能力向上型の開発を行っている。
2020年度予算から調達されているP-1は、この研究成果を元に探知識別能力、飛行性能、情報処理能力等を向上させた能力向上型である。
作中での活躍
グラ・バルカス帝国連合艦隊迎撃戦でも特に登場していないが、戦後の報告にグラ・バルカス帝国潜水艦隊が全滅したとの内容があり、
BP-3Cが水上艦攻撃に忙殺されていたことを考えると、第1~3護衛隊群と本機が共同して挙げた戦果の可能性がある。
転移間もなくして掲げられた「航空機の多目的運用に関する構想」に基づいて本機とP-3Cの爆装案が進められ、後者は
パーパルディア皇国戦末期にBP-3Cとして実現しているが、本機の爆撃機化が進められているかは明らかになっていない。
随時加筆願います。
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最終更新:2025年03月19日 17:37