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トンデモ一行知識の逆襲(P.101〜120)

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『トンデモ一行知識』をもっと楽しく読み込むためのガイド

トンデモ一行知識の世界 P.001〜020 P.021〜040 P.041〜060 P.061〜080 P.081〜100
P.101〜120 P.121〜140 P.141〜160 P.161〜180 P.181〜220
トンデモ一行知識の逆襲 P.001〜020 P.021〜040 P.041〜060 P.061〜080 P.081〜100
P.101〜120 P.121〜140 P.141〜160 P.161〜180 P.181〜220

【ダイヤモンド】

ダイヤモンドは「炭素」の固まりである。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.101

ええと、どこが一行知識なのか。
本当に小学生向けの雑学本なのかも知れない。


【ダイヤモンド】

例えば、あらゆる宝石中で最も固いダイヤモンドは、その連想から愛の
不滅を与える力があるとされている。……もっとも、

世界で最初にダイヤを婚約指輪として相手に贈ったのは神聖ローマ皇帝
マクシミリアン一世で、彼がまだその帝位を継ぐ前に、ブルゴーニュ公女
マリーに対して捧げたもの。

であるが、マリーは結婚を待たずに死んでしまっている。あまりアテには
ならないことは覚えておこう。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.103

マクシミリアンとマリーは、ちゃんと結婚したし、夫婦仲もよかったそうだし、マリーが
落馬が原因で亡くなる前に子どもも 3 人生んでいるので、「結婚を待たずに死んで
しまっている」はガセビア。もともと嫌な話でないものを嫌な話に仕立て上げるのは、
いつものことといってよいだろう。

また、マクシミリアンとマリーの子ども 2 人 (3 人のうち一子は夭折) はそれぞれ、
息子のフィリップはカスティーリャ王となり、娘のマルグリッドはフランス王シャルル
8世の妃となった。「マリーは結婚を待たずに死んでしまっている」は、かなりオオゴト
となる歴史改変でもある。

「彼がまだその帝位を継ぐ前に」というのも少しおかしい。「神聖ローマ皇帝」とは、
国王選挙によって選出されるもの。実際、他の資料では「選ばれた」「選出された」
などの表現になっている。


【誕生石】

もちろん、現在の誕生石は、こんな神秘思想とは関係なく、
一九一二年、アメリカの宝石商組合が定めたものと、
一九三七年イギリスの貴金属商組合が定めたものが基本になっている。
日本のみは、このリストに従わず、一九五八年に全国宝石商組合が、
三月に珊瑚、五月にヒスイなど独自のものを入れて、
“日本の誕生石”というのを定めている。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.102 ~ P.103

×全国宝石商組合 
○全国宝石卸商協同組合

「珊瑚」が漢字、「ヒスイ」がカタカナなのは原文ママ。
「現在の誕生石は、こんな神秘思想とは関係なく」などというくらいなら、
そもそも表題の「誕生石の起源は古代バビロニアである」と、
それに続く蘊蓄は何だったのだろうかとも思うが、
おいといて。(さらに、誕生石の由来では、よく引き合いに出される聖書について、
スルーしている理由も不明だが、それもおいといて)。

日本では確かに、3 月にサンゴ、5 月にヒスイ、そして最近では 12 月にラビスラズリを
加えることもあるようだが、それ以外はアメリカやイギリスと大して違わない。

フランスの誕生石では、日本・アメリカ・イギリスでは 7 月の誕生石であるルビーが 3 月 にきて、
日本・アメリカ・イギリスでは 3 月の誕生石であるアクアマリンが 10 月にくる。
フランスではパールも 10 月だが、これは日本・アメリカ・イギリスでは 6 月の誕生石。
日本・アメリカ・イギリスでは 9 月のサファイアがフランスでは 6 月。

「日本のみは、このリストに従わず」どころの話ではない。

また、オーストラリアの 5 月の誕生石のグリーントルマリン、カナダの 10 月のタイガーアイ、
12 月のオニキスといった、他の国の誕生石にはない宝石を追加する例もあり、
日本のサンゴ、ヒスイもこれと同様のバリエーションに過ぎない。


【誕生石】

そもそも誕生石の起源は、古代バビロニアの昔にさかのぼる。当時の
バビロニア人は天の星からは霊液が流れでて地上に降りそそぎ、それが
人間の行動や運命に影響をおよぼす、と考えた。そして宝石というものは、
その霊液が地上で固まったものだ、と考えたのだ。ロマンチックだねえ。
〈略〉やがてその伝承がイスラエルに伝わったとき、イスラエルの十二支族
やキリストの十二使徒、天使や悪魔の十二階級など、イスラエルの神秘
思想において聖なる数であった十二という数にちなんで、十二種類にまと
められた。
この宝石の分類の十二という数が、さらに後になって、イスラエル神秘
思想を取り入れた星占い師たちによって占星術の方に移入され、彼らは
それにしたがって天の星を分類し、黄道十二宮という今の形を創り上げた。
よく知られている牡羊座、牡牛座、双子座、魚座というあれである。
 >変な話だが、最初、星からの影響を形にしてイメージした宝石の分類が、
後に逆ルートで占星術の方に移入され、黄道十二宮という考え方を生んだ
のである。蛇が自分の尻尾をくわえて飲み込もうとしているような、そんな
イメージのあるエピソードだ。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.101

まとめるとこういう感じだろうか。
(1) 古代バビロニアでは、星の霊液が人間の運命に影響をおよぼし、地上に固まって
  宝石となると考えられていた。
(2) イスラエルにそれが伝わったとき、イスラエルの神秘思想では 12 が聖なる数の
  ため、運命に影響をおよぼす宝石の数は 12 種類にしぼられるようになった。
(3) その後、イスラエル神秘思想を取り入れた星占い師が、「この宝石の分類の十二
  という数」を占星術に移入して、黄道十二宮を創り上げた。

イスラエルの神秘思想を取り入れ黄道十二宮を創り上げたという星占い師が、「イスラ
エルの神秘思想において聖なる数であった十二」にちなんだのではなく、「宝石の分類
の十二という数」を取り入れたと判断した根拠が、何度読み返してもわからないのだが。
ウロボロスの蛇というより、ゴルディアスの結び目という感じの文章である。(しかも、
とけたからといって大したご利益はなさそうな……)。

だいたい、現代の誕生石もそうだけど (「フランスではパールは 10 月の誕生石」参照)、
人の運命に影響をおよぼすとされる宝石が、きっかり 12 種類に限定された時期があっ
たとは考えにくい。実際、唐沢俊一はその 12 種類を列挙してもいないし。

また、「十二使徒」をあげているくらいだから、唐沢俊一は、イスラエルで宝石の分類が
「十二種類にまとめられた」のを 1 世紀頃と想定していると思われる。さらにその後、
それを元に占星術の黄道十二宮が創り出されたと。

しかし、以下に列挙する資料にあるように、そもそも星占いも黄道十二宮も、古代バビロ
ニアが発祥とされているのだ。それも紀元前の頃の。つまり、「星からの影響を形にして
イメージした宝石の分類が、後に逆ルートで占星術の方に移入され」たといった、やや
こしい経緯のものではない。


【クコ】

平安時代の薬学者・竹田千継は、毎日クコ飯を食べクコ酒を飲みクコ風呂に
入っていたので、九十七歳になっても髪の毛が黒々としていた。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.104

×毎日クコ飯を食べ
○クコ茶を飲み

「毎日クコ飯を食べ」という話は伝わっていない。クコ (枸杞) の葉や茎根を 「お茶、枸杞
酒、枸杞風呂に用いた」と、養老律令には書かれているとのこと。また、「毎日」摂取して
いたかどうかも、特に記述はない。

クコ飯をつくるとしたら、芽を使うことが多いようだしなあ。まあ、葉を使ったクコ飯もアリ
みたいだけど。

ちなみに、クコジュースの販売サイトによると、天海僧正はクコ飯の常食がよいといって
いたそうだが……。


【ベルモット】

こういう、酒に植物の葉やエキスをしみださせる方法は、
外国ではリキュールとして、やはり薬用にいろいろ造られている。
ベルモットなどはもともとニガヨモギをワインに漬けて造った酒だが、
最初は風邪の薬として発売された。
マティーニに使用するのになくてはならない存在になったのは後のことだ。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.105

ベルモットが、最初は薬として発売されたとする資料は見つからなかった。薬にすると
しても「風邪の薬」というのはまずないだろう。ニガヨモギの薬効からして、可能性が
あるとすれば胃の薬。

まあ、リキュールの原型は酒に薬草を漬けたり溶かしたりしたもの――とされているので、
それを「最初は風邪の薬として発売」に変形してしまっただけという気もする。

で、他に気になったのは、ベルモットはリキュールといえるかどうかということ。上に引用
した文章にも「ワインをベースとしたものはリキュールとは呼ばない」とあるが、蒸留酒を
ベースにしていない酒をリキュールと呼ぶのは、かなり違和感がある。

では、ベルモットは何と呼ぶかというと、下記に引用するように「フレーバードワイン」と
いうことが多いようだ (アロマタイズド・ワインということもあり)。あくまでワイン。

まあ Wikipedia のリキュールの項目では、蒸留酒をベースと主張する一方で、リキュール
の一覧にベルモットも含ませているくらいだから、ベルモットをリキュールだといったからと
いって、完全に間違いとはいえないかもしれないが……。しかしニガヨモギならアブサンが
あるし、梅酒と同様に果実を使って冷浸法 (冷浸漬法) で造る酒ならキュラソーとかいくら
でもあるのに、わざわざベルモットをここであげる理由は不明。マティーニの蘊蓄を語りた
かったというならわかるんだけど、マティーニについて突っ込んで語っているわけでもない。


【ゴマをする】

日本の「ゴマをする」はドイツでは「唇にハチミツを塗る」。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.106

×「唇にハチミツを塗る」 ○「口の周りにハチミツを塗る」

三修社のアクセス独和辞典 http://www5.mediagalaxy.co.jp/sanshushadj/top.html
Honig (ハチミツ) を引くと :
 ◆(3格の名詞)+Honig ums Maul(またはum den Mund)schmieren(口語)…(3格)に
 こびへつらう(←口の周りにみつを塗る)

唇 (Lippe) ではなく、口の周り (ums Maul または um den Mund) であることがわかる。

「唇に蜂蜜を塗る」で検索すると美容法みたいなのばかりが引っかかるんだけど、
「唇に塗る」と「口の周りに塗る」、「唇を避けて塗る」と「口の周りを避けて塗る」は、
塗る範囲からして同じではないでしょうということで。

思うに、外国語ではこれこれを何とかという――といっているのに、その外国語自体が
書かれていないものというのは、唐沢俊一の書いたものに限らず疑ってかかるくらいで
ちょうどよいのではないか。


【精力剤】

徹底して精力剤に用途を絞ったものには、動物性のものが多く用いられる
ようだ。虎のペニスを漬けた海狗腎酒、ムカデを漬けた蜈蚣酒、など、とても
一般の感覚では飲めたものではないようなグロテスクなものもある。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.107

×虎のペニス
○オットセイやアザラシのペニス、睾丸、輸精管

http://www.zenyaku.co.jp/k-1ban/file/kyosei/02.html
 海狗腎というのは、オットセイやアザラシの生殖器である陰茎(ペニス)、睾丸および
 輸精管のことです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/オットセイ
 高価な毛皮や、さらには陰茎や睾丸(生薬名:海狗腎)が精力剤などの漢方薬材料と
 して珍重されたため、乱獲により生息数が激減した。

それと、ムカデの方は、それを漬けた酒や油が火傷に効く (飲むのではなく、塗る) という
話はいくつか見つかったけど、精力剤という話はないみたい。


【マムシ】

しかし、なんといってもこのテだったらマムシ酒がポピュラーだろう。私が
香港に旅行したとき、ホテル近くのコンビニに行ったら、マムシ酒ばかり
か、コブラにクサリヘビも加えた三蛇酒、マムシの胆嚢ばかりを漬けた
蛇胆酒などがポケットびんに入って売られていた。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.108

「クサリヘビ」というのがクサリヘビ科の蛇という意味なら、ハブも含まれるけれど、
コブラやマムシも含まれてしまうし……まあ単にクサリヘビ属の蛇 Vipera という
意味で書いたのだろう。

唐沢俊一のいう「このテ」は「徹底して精力剤に用途を絞ったもの」ということだが、
三蛇酒を売っている商品サイトの説明を見ると、そういう感じでもない。「リウマチに
効果」とも書いてあるし。蛇胆酒の説明も同様で、こちらは「目に効く」。蛇胆自体、
強精にも効くかもしれないが、滋養強壮にも効くとされているし。


【はなさかじじい】

中国の軍関係のイベントで演奏される『人民開放軍行進曲』。
メロディは『花咲かじいさん』の歌である。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.108

×人民開放軍行進曲
○中國人民解放軍進行曲
×メロディは『花咲かじいさん』の歌である。
○メロディは『はなさかじじい』に似ている。

2ちゃんねるのスレでの指摘書き込みの通り、
本には本当に「開放軍」と書かれている……。
曲名は「中國人民解放軍進行曲」で、「行進曲」ではなく「進行曲」。

本当にこの本、校正ってやってんの?


【ハエ】

ハエの記憶力は三十分である。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.109

×三十分 ○ 一週間以上

短期記憶でも 2 時間、中期記憶で 7 ~ 8 時間、長期記憶は 1 週間以上保持される。

http://www.jst.go.jp/pr/info/info14/zu1.html
 短期記憶は2時間以内に消失し、中期記憶は7-8時間以内に消失する。麻酔耐性
 記憶とは数日で消失するいわゆる"一夜づけ記憶"、その形成にタンパク質の合成を
 必要としない。長期記憶はショウジョウバエで1週間以上も保持される記憶で(ショウ
 ジョウバエの寿命は約40日)、タンパク質の合成を必要とする。


【カイワレ大根】

カイワレ大根の正式名称は「大阪四十日」
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.110

“もやし”に大豆も小豆も緑豆もあるように、“カイワレ”は大根の双葉の総称。
大阪四十日大根が商品化しやすいので、多くのカイワレはこれから作られている。
“カイワレ大根の正式名称は「大阪四十日」”は、“モヤシの正式名称は「小豆」”と言うようなもの。


【メビウスの輪】

メビウスの輪の唯一の実用例は、機械駆動用のベルトの一種。長寿命が売り。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.113

「機械駆動用のベルト」が「唯一の実用例」というわけでもない。「カセットテープ(エンド
レステープ)、プリンターのインクリボン」などの実用例があるし、メビウスの輪をモチーフ
にした指輪もまあ、実用例にいれてよいのではないかと。


【カレー】

カレーにワカメを入れるとまずい
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.117

雑学本で、貧乏学生のお試しレシピのようなもの書いてどうするというか。
もう雑学本の体裁を為していない...。
ちなみに、ネットには「ワカメカレー」を推奨するエントリもいくつかある。


【エスペラント語】

エスペラント語で「ありがとう」は「ダイコン」 。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.120

×ダイコン ○ダンコン

http://vastalto.com/kagi/aisatu.html
 Dankon !  ありがとう!

http://ja.wikipedia.org/wiki/エスペラント
 Dankon. (ダンコン)=「ありがとう」

同じ『トンデモ一行知識の逆襲』でも、これより前に出版された
単行本の P.116 には、「ダンコン」と正しく書かれている。
単行本の出版は 2000 年で、文庫本は 2004 年

なぜ単行本から文庫本化でガセに書き換えるのか?
まさかガセにするのが本来の目的なのか?


トンデモ一行知識の世界 P.001〜020 P.021〜040 P.041〜060 P.061〜080 P.081〜100
P.101〜120 P.121〜140 P.141〜160 P.161〜180 P.181〜220
トンデモ一行知識の逆襲 P.001〜020 P.021〜040 P.041〜060 P.061〜080 P.081〜100
P.101〜120 P.121〜140 P.141〜160 P.161〜180 P.181〜220

最終更新:2017年05月29日 16:14