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『トンデモ一行知識』をもっと楽しく読み込むためのガイド
【香川県と岡山県】
香川県と岡山県の県境は、領主が両岸から桶を流し、
ぶつかったところに定めたと言われている。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.121
×領主が両岸から桶を流し、ぶつかったところに定めた
○漁業権争いから幕府に解決が要請され、南町奉行の大岡越前らが県境を決めた
海に桶を流して、都合よくぶつかってくれるというのは奇跡に近いと思うが。
以下は、香川県のサイトからの引用。
桶を流したという話は全然出てこないし、わざわざ幕府に要請して県境を決めて、
「このときに定められた境界が,現在でも香川県と岡山県の県境となっている」のだから、
桶を流して決めたというエピソードなどというものは、その前にも後にも入る余地がなさそう。
【アンアン】
女性誌『アンアン』はロンドンのパンダの名から命名された。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.122
ロンドンのではなくてモスクワのパンダ。
【バレンタイン】
別項目で→「
バレンタイン」
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.126
【コンドーム】
「rubber」はイギリスでは消しゴムの意味だが、
アメリカではコンドームの意味である。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.127
確かに、イギリスでは消しゴムを rubber というのに対し、アメリカでは eraser だったり、
アメリカ英語では rubber にコンドームという意味があるようだが。
でも、イギリスでもアメリカでも「rubber」は、まず「ゴム」という意味なのであって……。
【ベートーベン】
……ところで、また音楽室の肖像画の話にもどるが、そういったカツラ揃い
のなかで唯一異彩を放っているのがあのベートーベンだ。彼のみはカツラを
かぶらず、トレードマークになっているボサボサのヘアスタイルのままの肖像
画だった。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.130
ベートーベンが「唯一異彩を放っている」「彼のみはカツラをかぶらず」というのは違うの
では。シューベルトの肖像画だって、ブラームスの肖像画だって、バッハやモーツァルト
のような宮廷用のカツラの髪型――唐沢俊一いうところの「髪を両脇に垂らしてその端を
カールさせた髪型」――をしてはいない。
【ヒロポン】
ヒロポンは「疲労をポンと捨てる」ところからその名がついた。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.132
ところで、このヒロポン、正式名称は硫酸メタンフェタミンと言う。
ヒロポンという名は、「疲労をポンと捨てる」という意味である、という説と、
「ギリシア語で労働を意味する言葉からとられた」という説の二通りがある。
ちゃんとした薬品辞典でも、本によって違った説が記載されているところを見ると、
もう語源など誰も覚えていないようだ。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.134
×「疲労をポンと捨てる」ところから
○「仕事を好む」という意味のギリシャ語から
×硫酸メタンフェタミン
○メタンフェタミン または 塩酸メタンフェタミン
ヒロポンの由来は、「仕事を好む」という意味のギリシャ語「philopons」からとされている。
ラテン語で「考えることを好む」 という意味になる「phonnderade」からという説もあるが、
大日本住友製薬が 1943 年に出願した商標は「ヒロポン\PHILOPON」となっている
(第 364346 号の 1) ので、ギリシャ語説が有力と考えてよいだろう。
薬剤の商品名としてよく使われるというギリシャ語、ラテン語、ドイツ語のどれでもなく、
「疲労をポン」と駄洒落めいた名前のつけ方をしたとは考えにくい。
「疲労をポン」というのは、いかにも後づけ、
使っている現場で冗談で言い出されたような感じのものでもあるし。
【コカコーラ】
コカの葉一枚の興奮作用で歩き続けることのできる
距離の単位を「コカーダ」という。
トンデモ一行知識の逆襲』 P.133
「コカーダ」についてそんなことが書いてあるのは、
ググっても、唐沢俊一のトリビアを丸写ししたようなものが 2 件のみ。
それとは別に、下に引用したものもあったけど、真面目に検討する必要があるかどうか。
たとえ本当だとしても、距離の単位を何と呼ぶのかは書かれていないし、
唐沢俊一説の「コカの葉一枚の興奮作用で歩き続けることのできる距離の単位」とは微妙に違うし。
で、本当の (?) コカーダ (cocada) って、ココナッツの実が原料のブラジルのお菓子らしい。
【便秘】
現代医学では五日以上便通がないことを便秘という。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.134
日数だけでは判断しないとするのが現代医学というものではないかという気がするが、
目安としては 3 日前後で、5 日は長過ぎ。
Wikipedia をはじめ、日本内科学会の定義、
「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」
を引用しているところが多い。
【クラウンライター】
クラウンライターの親会社は廣済堂出版。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.135
×クラウンライターの親会社は
○クラウンガスライターと合併したのは
×廣済堂出版
○廣済堂
廣済堂の方の会社沿革のページを見ると、1978 年に廣済堂はクラウンガスライターと
合併。その時点の社名は「廣済堂クラウン株式会社」だったが、1981 年に社名を現在
と同様の「廣済堂」にしている。廣済堂出版の分離独立はそれよりずっと前の 1970 年
だから、廣済堂出版とクラウンガスライターはあまり関係がない。
【人工肛門】
人工肛門に取り付けるストーマパウチの日本語名称は「蓄便袋」である。
『トンデモ一行知識の逆襲』 P.138
「蓄便袋」とする場合も確かにあるようだけど、「糞便袋」とか「ストーマ袋」とかいうことも
あるし、あえて「日本語名称」をひとつに絞るならば、使われることの一番多い「ストーマ
パウチ」ではないか。
ググれば一目瞭然だけど、「蓄便袋」は「糞便袋」同様、「ストーマパウチの日本語名称」
というより、簡易トイレや携帯トイレ、ペットの糞を入れる袋など使用範囲が広く、文脈で
特定できるとき以外は、人工肛門用の蓄便袋などと書かないと多分混乱のもととなる。
ちなみに「ストーマ」は stoma で小孔のこと。 「パウチ」は pouch で、ストーマ袋以外
でのカタカナ表記は、ポーチが通常。人工肛門や人工膀胱を造設した人のことをオスト
メイトという。
最終更新:2017年05月29日 16:16