ムルチ

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ムルチ - (2011/02/19 (土) 08:53:41) の1つ前との変更点

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&ref(m0002.jpg,,left,,title=それは悲しみの叫喚か、怒りの咆哮か,,width=280) #clear() **&color(steelblue){&i(){「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんた達だ!」}} 1971年放映『[[帰ってきたウルトラマン>ウルトラマンジャック]]』の傑作エピソードにして問題作とされている第33話「怪獣使いと少年」に登場した[[怪獣]]。 別名は「巨大魚怪獣」。身長:48メートル、体重:1万トン。 名前の由来はおそらく東アジアに分布する肉食性の大型淡水魚カムルチーだと思われる。 武器は口からの赤い破壊光線。名前が似ているけど[[メイドロボット>マルチ]]ではない。 #region(原作でのムルチの詳しい説明、ネタバレ注意) **33話のあらすじ …偶然にも地球の怪獣ムルチを封印することに成功したメイツ星人は、そもそもは地球の測量を目的にやって来た 善良な宇宙人であったが、彼は地球の大気汚染の影響で衰弱し、地中に隠した自らの[[UFO]]を呼び出せなくなった為、 母星に帰れず、心優しい地球人の孤児・佐久間 良に匿われ、廃墟で共同生活を送っていた。 佐久間少年はそんなメイツ星人に代わってUFOを探すため、一人で誰にも事情を告げず河川敷を掘り返しまくっているのだが そういった奇行や、少年の周囲で度々起こる怪現象(=メイツ星人が虐められる少年を守る為に陰から使った超能力)に 地域の市民は不信や畏怖を抱き、やがて暴徒と化した民衆から少年を庇ってメイツ星人は惨殺されてしまう。&link_anchor(*1){*1} そして彼の施した封印から解かれたムルチが地中より復活し、暴れ出す…… 同じ宇宙人であり地球人でもある主人公・郷秀樹(=[[ウルトラマンジャック]])は最悪の事態を避けようと 奮闘するが結局失敗し、上記の経緯故、人々の悲鳴に対しこの項目冒頭にもある怒りの呟き &b(){「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんた達だ!」}を口にして一時は戦いを拒む。 しかし、やはり怪獣から逃げ惑う地球人を見捨てることはできず、郷はウルトラマンへと変身し戦闘を開始、 豪雨の中の激闘の末にスペシウム光線でムルチに止めを刺すのだった。 佐久間少年は、メイツ星人が死んだ後も穴を掘り続けた。 それを眺めていた郷と仲間たちは、少年がこの星に愛想を尽かし、地球に別れを告げようとしているのだと 思わずにいられなかった… #region(参考動画) &nicovideo(sm10809936) |&nicovideo(sm1330202)|&nicovideo(sm7272096)| #endregion このエピソードは「11月の傑作群」の1つとされていて、ファンの間では特に高い評価を得ている。 また宇宙人と疑われた少年に対して凄惨な仕打ちをする人々や正体を明かしたメイツ星人への仕打ちなど、 差別と偏見、異形の存在を恐れる人間の心に潜む恐ろしさを表現したシリーズ屈指の問題作とも言える。&link_anchor(*2){*2} なお、「傑作群」という呼び名のため誤解されやすいが『帰ってきたウルトラマン』は別に[[社会派作品>ロールシャッハ]]だったり 実験作品ではない。他にも特撮ヒーロー作品としてストレートな方向で面白い話は多いので、誤解なきよう。 どちらかというと、「11月の異色作群」が正しい表現である。ストーリーや演出的に考えて。 とはいえウルトラシリーズは巨大ヒーローを扱った作品であるのは確かだが、 同時にSFとしての側面を色濃く伝える作品でもあって、こういうエピソードが挟まれることは少なくない。 単なるヒーロー物と捉えず、違った視線で見ると面白いのではないだろうか。 **&color(steelblue){&i(){「日本人は美しい花を作る手を持ちながら、}} **&color(steelblue){&i(){ 一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をすることか」}} 後述のゾアムルチの存在もあり、よくメイツ星出身の怪獣と誤解されがちだが、上述したように れっきとした&b(){地球生まれの怪獣}である。 放映当時の70年代前半から現れ始めた、環境汚染によって生まれた奇形魚がモチーフなのだとか。 ついでに「メイツ星人」という名も、メイツ=mate(英)=『仲間、相棒』という皮肉ぶり。 #region(メイツ星人についての、悲しき余談) 2001年に出版された「空想科学読本」シリーズの兄弟『空想法律読本』第1巻では、 >『日本国憲法3章では宇宙人に基本的人権を認めていないので、 > 日本にいる限り&b(){メイツ星人に生命の保障をする必要は無い。} > よって、宇宙人相手ならいくら残忍にブッ殺そうが民衆も警官も&b(){無罪!}』 という非情の結論で〆られていた。哀れ。 尤も、宇宙人にも基本的人権を認めると、ウルトラマンが活躍できなくなってしまうのだが。 (宇宙人を倒すと殺人罪(+過剰防衛)が適用される) ただし、これを主張するなら宇宙人側も「我々の法律では地球人には(宇宙)人権が無いから何をしても無罪!」 と言い張れる訳で、難しい問題である。 なお、『空想法律読本』ではメイツ星人の検証以後は、「宇宙人にも人権を適応すべきだ!」と主張した上で (ウルトラマン含む)宇宙人も“人間”扱いし、人権を適応した上で検証を行っている。 また、メイツ星人が無断で地球に侵入して環境調査を行ったのも侵略目的の為とも取られかねない微妙な行為であり 朱川湊人氏による小説『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』ではメイツ星の側でも &b(){「地球人の同胞に対する虐殺を追求しない代わりに、こちらの無断侵入と調査についても謝罪しない」} とされており、メイツ星人の存在自体が故郷と地球の両方でタブー扱いされていることが語られた。 ……なんというか、とことん報われない人である。 ちなみに『[[ウルトラセブン]]』に登場するアンノンと[[ペダン星人>キングジョー]]は 「地球の観測ロケットを侵略行為とみなして報復に来た」と言う立場が逆の話である。 #endregion ---- &image(m0003.jpg,title=彼が一体何をしたというのか,width=200) その他、『ウルトラマンA』の「怪獣対超獣対宇宙人」、「太陽の命エースの命」の前後編にも登場。 初代と異なり体色が銀色をしている。出現した動機などは不明。 (Aらの戦闘で目を覚ましたか、妖星ゴラン接近の影響だろうか?) 蛾超獣ドラゴリー、幻覚宇宙人メトロン星人Jr.&link_anchor(*3){*3}と3匹かかりでエースを苦しめるが、戦いの最中に ドラゴリーと正面衝突してしまい、怒ったドラゴリーに半身を引き裂かれてしまう。 このシーンは大変グロテスクで、ファンの間で一種のネタとなっていたりする。 #region(『ウルトラマンA』に登場したムルチの余談) このシーン自体は「超獣が怪獣より強い設定を表すシーン」で、つまりムルチは[[引き立て役>バータ]]なのだが 実は劇中で使用された着ぐるみはイベント用に作られたもので&b(){借り物}であった上、 八つ裂きにしてしまった事により&b(){使用不能}となってしまったため、&b(){撮影班は大目玉を食らってしまった。} 元々借り物な上に、怪獣や星人の着ぐるみを一つ作るのに相当な費用と時間が掛かるので、怒られるのは当然の結果である。 ある意味前作に負けず劣らずの(スタッフの)悲劇だろう。 また、当時カルビーが発売していたカード付きスナック菓子「テレビスナックウルトラマンエース」のカードとして この2代目ムルチのドラゴリーに&b(){引き裂かれた下顎の肉片のスチール写真}が 何故か「さかれたムルチ」としてカード化されている。 いくら第2次怪獣ブーム全盛期だからといってこの斜め上にハイブロウな謎すぎるチョイスが子供にウケるはずもなく ハズレ扱い、捨てられまくった結果、今ではコレクターの間では[[レア>武藤遊戯]][[カード>海馬瀬人]]の一つとなっているとか。 #endregion &nicovideo(sm9940176) &image(m0004.jpg,title=魚分が増しました,width=230) 『ウルトラマンメビウス』でも、強化型の&b(){ゾアムルチ}が登場している。 『怪獣使いの遺産』にてメイツ星人ビオ(実は殺されたメイツ星人の息子)が連れてきた怪獣であり、 過去に密かに地球を訪れた際回収した、帰マンが倒したムルチの細胞を元に再生・改造した個体である。 ベースとなったムルチとは異なり、口から青い破壊光線を発射する。ビオの脳波によって操られており、彼の感情に応じて行動する。 この『ウルトラマンメビウス』では、メイツ星人は過去の怪獣のデータを記録した「アーカイブドキュメント」での 隊長クラス以上でなければ閲覧できない「ドキュメント・フォビドゥン」に分類されており、 [[ジャミラ]]と同様、真実は隠蔽されていると語られている。 メイツ星人ビオはメイツ星と地球との和平の使者として訪れたが、ミライ(メビウス)に近づいて話をしていた所で、 過剰に警戒したリュウ隊員に撃たれた&link_anchor(*4){*4}事で激怒したビオが、父の復讐も兼ねて破壊活動を開始。 止めようとしたメビウスを倒すために出現させた。 その後、かつて殺されたメイツ星人と共に暮らしていた少年に昔会っていたという保育園の園長の説得と その教えを受けた子供達が見せた優しさに思い留まるが、理性では理解しても憎しみという感情自体は消せず メビウスに「私の憎しみを消し去ってくれ!」とゾアムルチを倒すよう懇願。 こちらも雨の中でも戦いとなり、最後はメビウスのメビュームシュートを受けゾアムルチは倒された。 #region(小説版『アンデレスホリゾント』) この話の脚本を手がけた朱川湊人氏が書いた小説版『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では ビオの目的はもっとストレートに &b(){平和使節を口実に地球に侵入し、わざと挑発的な言動を繰り返して攻撃を受けることで} &b(){「地球人は和平の使者も攻撃する野蛮な人種」ということにして地球攻撃の大義名分を手に入れ、} &b(){父の復讐を果たすこと}だと語られている。 最後も改心したりはせず、彼と似たような境遇にある地球人が自らの命を投げ出そうとした所を助け、 地球人という存在全体を見極めるためにゾアムルチを地中に封印して地球に残っている。 なお、前述した通りメイツ星ではあの事件に関しては全てタブー扱いになっており、ビオは故郷に帰ると死刑は確実らしい。 #endregion ちなみに円盤を掘っていた少年は青年になっても諦めずに円盤を掘り続けており、 最終的には恐らくメイツ星に行けたと思われる…というより信じたいものである。 ……と、メイツ星人について中心に語ったが、ムルチ(ゾアムルチ)からしてみれば、 &b(){せっかく生き返ったのに改造されて、更に故郷にやって来たと思ったら操られて殺される}という 何とも不遇な生涯である。 『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』にもゾアムルチが登場。 惑星ボリスの怪獣は全て[[ブルトン]]によって[[あらゆるパラレルワールドから集められた>クロスオーバー]]為、 これもメイツ星人が改造したムルチが転移したものと思われる。 惑星ボリスの海中に棲息しており、[[キングジョーブラック>キングジョー]]に撃墜され海中に没した ZAPの艦[[スペースペンドラゴン]]を襲うが、レイが直前に仲間にしていた[[エレキング]]と戦って敗れた。 尚、この話のサブタイトルは「ペンドラゴン浮上せず!」と、『[[ウルトラマンダイナ]]』の[[類似エピソード>レイキュバス]]へのオマージュになっている。 #region(ホラ! こいつを火で焼くとうまいんだぜ!) 漫画『ウルトラマン STORY 0』では、[[ジャック>ウルトラマンジャック]]の流れ着いた地表の殆どが海に覆われた星(地球ではない)に生息していた。 #image(muruchi_0.jpg,title=この後衝撃の展開が!) ただし怪獣ではなく&b(){ただの魚}で、ジャックと交流した水棲人間達(『[[ウルトラマン]]』のラゴンが元ネタ)の [[主食としての登場>ミスティア・ローレライ]]であった。ついでにタッコングにも食われていた(上の画像の直後)。 **&color(mediumseagreen){&i(){「フン! 焼いたムルチを食ったことないくせに!」}} **&color(forestgreen){&i(){「なんじゃとォ!!」}} 原作との辻褄を合わせるなら、「異星人によって食料として地球に持ち込まれ、その後野生化して怪獣に変異した」 ……と、その辺りが妥当な解釈だろうか。 #endregion #endregion ---- **MUGENにおけるムルチ zektard氏による手書きキャラが存在。超必殺技ではゾアムルチに変身して口から光線を発射する。 勝利ポーズは少々グロ注意…だがファン必見である。 また改変自由の為、[[2代目ゼットン>ゼットン]]や[[ガタノゾーア]]を製作したmuu氏が『Fighting Evolution』シリーズ風に改変し、 [[AI]]を搭載したものを公開しており、アニメも数枚追加されている。 ***zektard氏製作版 [[AI]]が搭載されていないせいか、ニコニコではmuu氏改変版の方をよく見かける。 しかし、防御力などの各能力はこちらの方が強力。 また、ゾアムルチに変身する超必殺技が暗転する技なので使用前に相手に動かれて超必が当たらないということも少ない。 AIが無いためAI戦には向かないが、強力な部分も多いので、人操作ならこちらを使ってみていいのかもしれない。 ***muu氏改変版 AIが搭載されておりよく動き、能力も調整されてバランスがいいので、動画使用に適している。 ゾアムルチに変身する技には暗転が無いので回避も可能だがAI戦で避けられることは稀だろう。 口からの光線は威力が高く2足歩行の怪獣相手にはかなり有効だが、相手が背の低い四足怪獣だと当たらないこともある。 また『怒りの同調』という新技が搭載されており、使うと体が緑色になり、画面内のヘルパーの数に応じて攻撃力が増加する。 怪獣の中での強さのランクは同作者のアレンジ版[[ガギ]]や[[ガボラ]]と同じ位で、戦わせると中々いい勝負をしてくれる。 ---- ***出場大会 &b(){zektard氏製作版} #list_by_tagsearch([大会],[ムルチ],sort=hiduke,100) &b(){muu氏改変版} #list_by_tagsearch([大会],[ムルチ(muu氏改変版)],sort=hiduke,100) ***出演ストーリー [[わたしたちのすわこさま]] [[怪獣王 王座復権への道]] [[仮面ライダーMIOMEGA]](第28話) [[サザンクロス街伝>>http://www.nicovideo.jp/mylist/16760195]](初戦闘は第21話) ---- &aname(*1,option=nolink){&color(red){*1}} 当初は&b(){竹槍}で殺害するシーンだったのだが、流石にヤバ過ぎると判断されたのか射殺に変更されている。 ……それを&b(){弱者を守るべき存在であるはずの[[警官>とうやま]]がやっちゃう}分、ヤバさはどっこいな気もするが。 &aname(*2,option=nolink){&color(red){*2}} ちなみに、同じく「11月の傑作群」に数えられる第31話「悪魔と天使の間に…」は、 [[ウルトラマンジャック]]の抹殺を画策するゼラン星人が聾唖の少年に変装して地球人の同情を集め、 一方の郷秀樹はゼラン星人からテレパシーで殺害予告を受けるものの証拠がないために手出しできず苦戦を強いられるという、 「怪獣使いと少年」とは全く対照的なエピソードだったりする。 併せて見てみると、宇宙人と接することの難しさやウルトラマンの苦労が浮かび上がってくる両話でもある。 あと、両話の本筋には関係しないが、メイツ星人のマスクはゼラン星人のマスクを改造したものらしい。 &aname(*3,option=nolink){&color(red){*3}} 『[[ウルトラセブン]]』に登場した幻覚宇宙人メトロン星人の息子とされているが、真偽は不明。 余談だが、メトロン星人Jr.の死に様も&b(){切断されて内臓を散らす}という結構グロい演出だったりする。 &aname(*4,option=nolink){&color(red){*4}} とは言え、この話の直前に地球を狙う圧倒的な力を持つ存在がいることが明らかになっており、 実際に大量の円盤群がメビウス抹殺を目的とする[[円盤生物>シルバーブルーメ]]と共に地球に侵入した事件が起きた直後だった為、 リュウ隊員だけを責める訳にはいかないのも事実であるのだが。 小説版『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では前述の経緯もあり、保育園の子供に近寄って 「子供を襲うのでは?」と疑心暗鬼を煽り、自身を撃たせることでゾアムルチを暴れさせる大義名分を作るという ビオの意図的な策略として描写されている。 **&color(steelblue){&i(){「彼は地球にさよならが言いたいんだ」}} ----
&ref(m0002.jpg,,left,,title=それは悲しみの叫喚か、怒りの咆哮か,,width=280) #clear() **&color(steelblue){&i(){「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんた達だ!」}} 1971年放映『[[帰ってきたウルトラマン>ウルトラマンジャック]]』の傑作エピソードにして問題作とされている第33話「怪獣使いと少年」に登場した[[怪獣]]。 別名は「巨大魚怪獣」。身長:48メートル、体重:1万トン。 名前の由来はおそらく東アジアに分布する肉食性の大型淡水魚カムルチーだと思われる。 武器は口からの赤い破壊光線。名前が似ているけど[[メイドロボット>マルチ]]ではない。 #region(原作でのムルチの詳しい説明、ネタバレ注意) **33話のあらすじ …偶然にも地球の怪獣ムルチを封印することに成功したメイツ星人は、そもそもは地球の測量を目的にやって来た 善良な宇宙人であったが、彼は地球の大気汚染の影響で衰弱し、地中に隠した自らの[[UFO]]を呼び出せなくなった為、 母星に帰れず、心優しい地球人の孤児・佐久間 良に匿われ、廃墟で共同生活を送っていた。 佐久間少年はそんなメイツ星人に代わってUFOを探すため、一人で誰にも事情を告げず河川敷を掘り返しまくっているのだが そういった奇行や、少年の周囲で度々起こる怪現象(=メイツ星人が虐められる少年を守る為に陰から使った超能力)に 地域の市民は不信や畏怖を抱き、やがて暴徒と化した民衆から少年を庇ってメイツ星人は惨殺されてしまう。&link_anchor(*1){*1} そして彼の施した封印から解かれたムルチが地中より復活し、暴れ出す…… 同じ宇宙人であり地球人でもある主人公・郷秀樹(=[[ウルトラマンジャック]])は最悪の事態を避けようと 奮闘するが結局失敗し、上記の経緯故、人々の悲鳴に対しこの項目冒頭にもある怒りの呟き &b(){「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんた達だ!」}を口にして一時は戦いを拒む。 しかし、やはり怪獣から逃げ惑う地球人を見捨てることはできず、郷はウルトラマンへと変身し戦闘を開始、 豪雨の中の激闘の末にスペシウム光線でムルチに止めを刺すのだった。 佐久間少年は、メイツ星人が死んだ後も穴を掘り続けた。 それを眺めていた郷と仲間たちは、少年がこの星に愛想を尽かし、地球に別れを告げようとしているのだと 思わずにいられなかった… #region(参考動画) &nicovideo(sm10809936) |&nicovideo(sm1330202)|&nicovideo(sm7272096)| #endregion このエピソードは「11月の傑作群」の1つとされていて、ファンの間では特に高い評価を得ている。 また宇宙人と疑われた少年に対して凄惨な仕打ちをする人々や正体を明かしたメイツ星人への仕打ちなど、 差別と偏見、異形の存在を恐れる人間の心に潜む恐ろしさを表現したシリーズ屈指の問題作とも言える。&link_anchor(*2){*2} なお、「傑作群」という呼び名のため誤解されやすいが『帰ってきたウルトラマン』は別に[[社会派作品>ロールシャッハ]]だったり 実験作品ではない。他にも特撮ヒーロー作品としてストレートな方向で面白い話は多いので、誤解なきよう。 どちらかというと、「11月の異色作群」が正しい表現である。ストーリーや演出的に考えて。 とはいえウルトラシリーズは巨大ヒーローを扱った作品であるのは確かだが、 同時にSFとしての側面を色濃く伝える作品でもあって、こういうエピソードが挟まれることは少なくない。 単なるヒーロー物と捉えず、違った視線で見ると面白いのではないだろうか。 **&color(steelblue){&i(){「日本人は美しい花を作る手を持ちながら、}} **&color(steelblue){&i(){ 一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をすることか」}} 後述のゾアムルチの存在もあり、よくメイツ星出身の怪獣と誤解されがちだが、上述したように れっきとした&b(){地球生まれの怪獣}である。 放映当時の70年代前半から現れ始めた、環境汚染によって生まれた奇形魚がモチーフなのだとか。 ついでに「メイツ星人」という名も、メイツ=mate(英)=『仲間、相棒』という皮肉ぶり。 #region(メイツ星人についての、悲しき余談) 2001年に出版された「空想科学読本」シリーズの兄弟『空想法律読本』第1巻では、 >『日本国憲法3章では宇宙人に基本的人権を認めていないので、 > 日本にいる限り&b(){メイツ星人に生命の保障をする必要は無い。} > よって、宇宙人相手ならいくら残忍にブッ殺そうが民衆も警官も&b(){無罪!}』 という非情の結論で〆られていた。哀れ。 尤も、宇宙人にも基本的人権を認めると、ウルトラマンが活躍できなくなってしまうのだが。 (宇宙人を倒すと殺人罪(+過剰防衛)が適用される) ただし、これを主張するなら宇宙人側も「我々の法律では地球人には(宇宙)人権が無いから何をしても無罪!」 と言い張れる訳で、難しい問題である。 なお、『空想法律読本』ではメイツ星人の検証以後は、「宇宙人にも人権を適応すべきだ!」と主張した上で (ウルトラマン含む)宇宙人も“人間”扱いし、人権を適応した上で検証を行っている。 また、メイツ星人が無断で地球に侵入して環境調査を行ったのも侵略目的の為とも取られかねない微妙な行為であり 朱川湊人氏による小説『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』ではメイツ星の側でも &b(){「地球人の同胞に対する虐殺を追求しない代わりに、こちらの無断侵入と調査についても謝罪しない」} とされており、メイツ星人の存在自体が故郷と地球の両方でタブー扱いされていることが語られた。 ……なんというか、とことん報われない人である。 ちなみに『[[ウルトラセブン]]』に登場するアンノンと[[ペダン星人>キングジョー]]は 「地球の観測ロケットを侵略行為とみなして報復に来た」と言う立場が逆の話である。 #endregion ---- &image(m0003.jpg,title=彼が一体何をしたというのか,width=200) その他、『ウルトラマンA』の「怪獣対超獣対宇宙人」、「太陽の命エースの命」の前後編にも登場。 初代と異なり体色が銀色をしている。出現した動機などは不明。 (Aらの戦闘で目を覚ましたか、妖星ゴラン接近の影響だろうか?) 蛾超獣ドラゴリー、幻覚宇宙人メトロン星人Jr.&link_anchor(*3){*3}と3匹かかりでエースを苦しめるが、戦いの最中に ドラゴリーと正面衝突してしまい、怒ったドラゴリーに半身を引き裂かれてしまう。 このシーンは大変グロテスクで、ファンの間で一種のネタとなっていたりする。 #region(『ウルトラマンA』に登場したムルチの余談) このシーン自体は「超獣が怪獣より強い設定を表すシーン」で、つまりムルチは[[引き立て役>バータ]]なのだが 実は劇中で使用された着ぐるみはイベント用に作られたもので&b(){借り物}であった上、 八つ裂きにしてしまった事により&b(){使用不能}となってしまったため、&b(){撮影班は大目玉を食らってしまった。} 元々借り物な上に、怪獣や星人の着ぐるみを一つ作るのに相当な費用と時間が掛かるので、怒られるのは当然の結果である。 ある意味前作に負けず劣らずの(スタッフの)悲劇だろう。 また、当時カルビーが発売していたカード付きスナック菓子「テレビスナックウルトラマンエース」のカードとして この2代目ムルチのドラゴリーに&b(){引き裂かれた下顎の肉片のスチール写真}が 何故か「さかれたムルチ」としてカード化されている。 いくら第2次怪獣ブーム全盛期だからといってこの斜め上にハイブロウな謎すぎるチョイスが子供にウケるはずもなく ハズレ扱い、捨てられまくった結果、今ではコレクターの間では[[レア>武藤遊戯]][[カード>海馬瀬人]]の一つとなっているとか。 #endregion &nicovideo(sm9940176) &image(m0004.jpg,title=魚分が増しました,width=230) 『ウルトラマンメビウス』でも、強化型の&b(){ゾアムルチ}が登場している。 『怪獣使いの遺産』にてメイツ星人ビオ(実は殺されたメイツ星人の息子)が連れてきた怪獣であり、 過去に密かに地球を訪れた際回収した、帰マンが倒したムルチの細胞を元に再生・改造した個体である。 ベースとなったムルチとは異なり、口から青い破壊光線を発射する。ビオの脳波によって操られており、彼の感情に応じて行動する。 この『ウルトラマンメビウス』では、メイツ星人は過去の怪獣のデータを記録した「アーカイブドキュメント」での 隊長クラス以上でなければ閲覧できない「ドキュメント・フォビドゥン」に分類されており、 [[ジャミラ]]と同様、真実は隠蔽されていると語られている。 メイツ星人ビオはメイツ星と地球との和平の使者として訪れたが、ミライ(メビウス)に近づいて話をしていた所で、 過剰に警戒したリュウ隊員に撃たれた&link_anchor(*4){*4}事で激怒したビオが、父の復讐も兼ねて破壊活動を開始。 止めようとしたメビウスを倒すために出現させた。 その後、かつて殺されたメイツ星人と共に暮らしていた少年に昔会っていたという保育園の園長の説得と その教えを受けた子供達が見せた優しさに思い留まるが、理性では理解しても憎しみという感情自体は消せず メビウスに「私の憎しみを消し去ってくれ!」とゾアムルチを倒すよう懇願。 こちらも雨の中でも戦いとなり、最後はメビウスのメビュームシュートを受けゾアムルチは倒された。 #region(小説版『アンデレスホリゾント』) この話の脚本を手がけた朱川湊人氏が書いた小説版『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では ビオの目的はもっとストレートに &b(){平和使節を口実に地球に侵入し、わざと挑発的な言動を繰り返して攻撃を受けることで} &b(){「地球人は和平の使者も攻撃する野蛮な人種」ということにして地球攻撃の大義名分を手に入れ、} &b(){父の復讐を果たすこと}だと語られている。 最後も改心したりはせず、彼と似たような境遇にある地球人が自らの命を投げ出そうとした所を助け、 地球人という存在全体を見極めるためにゾアムルチを地中に封印して地球に残っている。 なお、前述した通りメイツ星ではあの事件に関しては全てタブー扱いになっており、ビオは故郷に帰ると死刑は確実らしい。 #endregion ちなみに円盤を掘っていた少年は青年になっても諦めずに円盤を掘り続けており、 最終的には恐らくメイツ星に行けたと思われる…というより信じたいものである。 ……と、メイツ星人について中心に語ったが、ムルチ(ゾアムルチ)からしてみれば、 &b(){せっかく生き返ったのに改造されて、更に故郷にやって来たと思ったら操られて殺される}という 何とも不遇な生涯である。 『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』にもゾアムルチが登場。 惑星ボリスの怪獣は全て[[ブルトン]]によって[[あらゆるパラレルワールドから集められた>クロスオーバー]]為、 これもメイツ星人が改造したムルチが転移したものと思われる。 惑星ボリスの海中に棲息しており、[[キングジョーブラック>キングジョー]]に撃墜され海中に没した ZAPの艦[[スペースペンドラゴン]]を襲うが、レイが直前に仲間にしていた[[エレキング]]と戦って敗れた。 尚、この話のサブタイトルは「ペンドラゴン浮上せず!」と、『[[ウルトラマンダイナ]]』の[[類似エピソード>レイキュバス]]へのオマージュになっている。 #region(ホラ! こいつを火で焼くとうまいんだぜ!) 漫画『ウルトラマン STORY 0』では、[[ジャック>ウルトラマンジャック]]の流れ着いた地表の殆どが海に覆われた星(地球ではない)に生息していた。 #image(muruchi_0.jpg,title=この後衝撃の展開が!) ただし怪獣ではなく&b(){ただの魚}で、ジャックと交流した水棲人間達(『[[ウルトラマン]]』のラゴンが元ネタ)の [[主食としての登場>ミスティア・ローレライ]]であった。ついでにタッコングにも食われていた(上の画像の直後)。 **&color(mediumseagreen){&i(){「フン! 焼いたムルチを食ったことないくせに!」}} **&color(forestgreen){&i(){「なんじゃとォ!!」}} 原作との辻褄を合わせるなら、「異星人によって食料として地球に持ち込まれ、その後野生化して怪獣に変異した」 ……と、その辺りが妥当な解釈だろうか。 #endregion #endregion ---- **MUGENにおけるムルチ zektard氏による手書きキャラが存在。超必殺技ではゾアムルチに変身して口から光線を発射する。 勝利ポーズは少々グロ注意…だがファン必見である。 また改変自由の為、[[2代目ゼットン>ゼットン]]や[[ガタノゾーア]]を製作したmuu氏が『Fighting Evolution』シリーズ風に改変し、 [[AI]]を搭載したものを公開しており、アニメも数枚追加されている。 ***zektard氏製作版 [[AI]]が搭載されていないせいか、ニコニコではmuu氏改変版の方をよく見かける。 しかし、防御力などの各能力はこちらの方が強力。 また、ゾアムルチに変身する超必殺技が暗転する技なので使用前に相手に動かれて超必が当たらないということも少ない。 AIが無いためAI戦には向かないが、強力な部分も多いので、人操作ならこちらを使ってみていいのかもしれない。 ***ムルチFE(muu氏改変版) AIが搭載されておりよく動き、能力も調整されてバランスがいいので、動画使用に適している。 ゾアムルチに変身する技には暗転が無いので回避も可能だがAI戦で避けられることは稀だろう。 口からの光線は威力が高く2足歩行の怪獣相手にはかなり有効だが、相手が背の低い四足怪獣だと当たらないこともある。 また『怒りの同調』という新技が搭載されており、使うと体が緑色になり、画面内のヘルパーの数に応じて攻撃力が増加する。 怪獣の中での強さのランクは同作者のアレンジ版[[ガギ]]や[[ガボラ]]と同じ位で、戦わせると中々いい勝負をしてくれる。 ---- ***出場大会 &b(){zektard氏製作版} #list_by_tagsearch([大会],[ムルチ],sort=hiduke,100) &b(){ムルチFE(muu氏改変版)} #list_by_tagsearch([大会],[ムルチFE],sort=hiduke,100) ***出演ストーリー [[わたしたちのすわこさま]] [[怪獣王 王座復権への道]] [[仮面ライダーMIOMEGA]](第28話) [[サザンクロス街伝>>http://www.nicovideo.jp/mylist/16760195]](初戦闘は第21話) ***その他 [[ワラキア_ex布教動画]](ムルチFE、Part135) ---- &aname(*1,option=nolink){&color(red){*1}} 当初は&b(){竹槍}で殺害するシーンだったのだが、流石にヤバ過ぎると判断されたのか射殺に変更されている。 ……それを&b(){弱者を守るべき存在であるはずの[[警官>とうやま]]がやっちゃう}分、ヤバさはどっこいな気もするが。 &aname(*2,option=nolink){&color(red){*2}} ちなみに、同じく「11月の傑作群」に数えられる第31話「悪魔と天使の間に…」は、 [[ウルトラマンジャック]]の抹殺を画策するゼラン星人が聾唖の少年に変装して地球人の同情を集め、 一方の郷秀樹はゼラン星人からテレパシーで殺害予告を受けるものの証拠がないために手出しできず苦戦を強いられるという、 「怪獣使いと少年」とは全く対照的なエピソードだったりする。 併せて見てみると、宇宙人と接することの難しさやウルトラマンの苦労が浮かび上がってくる両話でもある。 あと、両話の本筋には関係しないが、メイツ星人のマスクはゼラン星人のマスクを改造したものらしい。 &aname(*3,option=nolink){&color(red){*3}} 『[[ウルトラセブン]]』に登場した幻覚宇宙人メトロン星人の息子とされているが、真偽は不明。 余談だが、メトロン星人Jr.の死に様も&b(){切断されて内臓を散らす}という結構グロい演出だったりする。 &aname(*4,option=nolink){&color(red){*4}} とは言え、この話の直前に地球を狙う圧倒的な力を持つ存在がいることが明らかになっており、 実際に大量の円盤群がメビウス抹殺を目的とする[[円盤生物>シルバーブルーメ]]と共に地球に侵入した事件が起きた直後だった為、 リュウ隊員だけを責める訳にはいかないのも事実であるのだが。 小説版『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では前述の経緯もあり、保育園の子供に近寄って 「子供を襲うのでは?」と疑心暗鬼を煽り、自身を撃たせることでゾアムルチを暴れさせる大義名分を作るという ビオの意図的な策略として描写されている。 **&color(steelblue){&i(){「彼は地球にさよならが言いたいんだ」}} ---- &hiduke(1971/11/19)

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