メフィスト(アークナイツ)

「やあ、君たち。クラウンスレイヤーの失礼な態度は、僕が代わって謝罪してあげるよ」
「僕のことは、メフィストと呼んでくれればいい」

Hypergryph開発、Yostar運営によるタワーディフェンスゲーム『アークナイツ』に登場するキャラクター。
非プレイアブルキャラのためゲーム中にボイスは無いが、アニメ版では 天﨑滉平 氏が声を担当している。

同作に登場する敵組織「レユニオン・ムーブメント」(以下「レユニオン」)の構成員。
一見するとまだ若い少年だが、レユニオンでは幹部に位置している。
基本的に相棒のファウスト(医者ではない)と共に行動する。
名前の由来は相棒と合わせて、ドイツの戯曲『ファウスト』に登場する悪魔「メフィストフェレス」と思われる。

彼の性格は一言で表すとサイコパス
常に薄ら笑いを浮かべており、レユニオンによる暴動を「ゲーム」と称して楽しんだり、
ストーリー中盤では暴動による犠牲者(メフィスト曰く「臆病で残忍な虫けらたち」)に火を付け、
「恐怖のシンボルにしてやったんだ!」と嬉々として語るなど、実に分かりやすい悪役ポジション。
その悪辣さと後述のアーツ能力から、ロドスだけでなくレユニオン内部でも印象は非常に悪い。
メフィストもまたロドスのオペレーター達を虫けら呼ばわりするなど、ロドスのことは見下している。
一方で、そのロドスの活躍によって「ゲーム」を破壊されると途端に焦り出したり、怒りを露にするなど冷静さを失う一面もある。

戦闘時は彼が指揮を執り、相棒のファウストが攻撃を担当するフォーメーションをとる。
また、彼の部隊の配下にチェスで例えた独特の指揮を出し、配下もそれに即座に従い行動する。
確かに配下も感染者集団ではあるが同時に暴徒でもあり、「チェスのコマを動かすように」正確に指揮するのは本来容易ではないはずである。
にもかかわらずそのような優れた指揮が可能なのは、彼のアーツ能力が関係している。

+ メフィストのアーツ能力について
メフィストのアーツ能力は「源石を寄生させた人間の肉体変化および洗脳」
つまり、彼の指揮に配下が驚くほど正確に行動を行うことが出来るのは洗脳で意識を飛ばされているため。
また、肉体の変化に関しては彼自身が「不死身の衛兵たち」と呼ぶように常識を逸しており、
都市の壁を破壊できるほどの爆弾を使っても傷一つ付けられないほどの強靱な体に再生させてしまう。
意識が飛んでいるため痛みや恐怖を感じることも無く、その体で肉壁を作ったり、
体の一部を剥ぎ取って武器として投げ付けるという恐ろしい攻撃手段も平然とやってくる。

この特徴が再現された結果、なんとゲーム中での彼は回復役となっている。
ただしゲームバランスの問題で流石に不死身と呼べるほどの耐久力(回復力)は無く、
メフィスト自身は攻撃能力を持っていないため、相棒のファウストの方が厄介な存在である。


物語中の動向

ドクターを救出し、チェルノボーグからの脱出を目指す序章(0章)において早速登場する。
上記のファウストとのフォーメーションや、チェスのような指揮を披露してロドスのオペレーター達を徐々に追い詰めるが、
信号弾を見て駆け付けたニアールの救援により阻止される。
想定外の妨害を受けて「ゲーム」を破壊されただけでなく、
ニアールに「貴様は半錯乱状態になった暴徒をのさばらせているだけ」「自分の低劣な趣味を満足させるために好き放題やっている」と指摘されて逆上。
冷静な指揮が出来なくなったためか、ロドスを取り逃がしてしまった。

その後は4章で再登場。上記の"恐怖のシンボル"をロドスの小隊に見せ付ける。
ここではファウストがおらず、部隊の配下はフロストリーフらロドスの小隊に呆気なく一蹴されてしまう。
しかし、メフィストはこの時「スノーデビル小隊」と呼ばれる精鋭部隊と共に行動しており、
フロストリーフが目前まで迫ったときに「今回の舞台の真の主役」として、
スノーデビル小隊、並びにその隊長であるフロストノヴァをロドスに紹介した。
なお、フロストノヴァには「獣以下の殺人狂のお前を雪原の人柱にしてやるべきか」と言われるなどかなり嫌われてしまっている。
"恐怖のシンボル"も彼女のアーツ能力によって氷漬けにされていた。

龍門の攻防を巡る5章でも登場。
近衛局ビルの屋上にて、チェン率いる近衛局と対峙する。
ここで初めて明確にアーツ能力を披露しチェン達を苦戦させるが、土壇場でロドスが介入。
エリートオペレーター・ブレイズの大技により展望デッキに巨大な亀裂が入り、配下の大部分が落下してしまう。
また、ファウストの部隊である迷彩狙撃兵達もブレイズに文字通り炙り出され、手の内が全て見破られた。
メフィストはロドスの小隊はフロストノヴァに倒されたと思い込んでいたため完全に想定外であり、作戦は失敗。
そしてまたもや逆上しロドスのオペレーター達とチェンに攻撃するよう指示するが、
ファウストは冷静に撤退を選択。その場を離脱した。
なお、メフィストは事前に救援を要請しており本来であればレユニオンの援軍が駆け付けるはずだったのだが、
何故かどの部隊も来ることは無かった
(口ぶりからファウストは援軍が来なかった意味を理解していたようである)。

+ 6章以降
錯乱状態となったメフィストを引き連れて龍門から撤退を図るファウスト達。
しかしメフィストはアーツ能力で配下を更に変化させ、もはや敵味方の判断も付かない怪物を生み出してしまう。
それを見たファウストは襲われる同胞達の救助を行った後、配下の狙撃兵達にメフィストを拘束させた。

その後、迫る近衛局とロドスの合同部隊からメフィスト達を生かして逃がすためにファウストは殿を務める。
それは二人の永遠の別れとなることを意味していた。

「サーシャ!」「そんなのダメだ!」
「一人になっても、生きていけ。死ぬな。
 ──これが俺の最後の願いだ」

ファウストとの別れの後、茫然自失するメフィストを連れた狙撃兵の部隊はスノーデビル小隊と合流。
彼らの命をかけた協力により龍門からの撤退に成功する。
「チェルノボーグには行くな」というファウストの遺言に対し、他に行くアテもないとして、撤退後はチェルノボーグへと向かった。

チェルノボーグの中枢エリア一角に到着後、狙撃兵達はタルラに従うサルカズの戦士と遭遇する。
実力差から戦う前から死を覚悟する狙撃兵だったが、そこでメフィストが交渉を持ちかけて彼らを逃がす。
メフィストはロドスの小隊がドクターを連れて石棺の間から出てきたのを録画映像で確認しており、
石棺の間にどのような秘密があるのか、何故ロドスはここからドクターを連れ出したのか、それを探るために訪れたという。

「変な機械。僕をどこに連れてくの?
 もしかして、僕の欠けたところを補ってくれるの?
 それとも傷痕を癒やしてくれるの?
 それとも、あいつみたいに全てを忘れさせるの?
 もし全てを忘れられるのなら……
 僕は、忘れたいの?僕の、望みは……」

一人の少年が、石棺の中で眠りに就いた。

+ 8章では…
「あれ」はもはや感染者ではない。
別の生き物だ。
石棺で眠りに就いたメフィスト。
しかし、石棺によってもたらされた変化は治療ではなく、なんと異形の姿への変異だった。
その姿は巨大な白い鳥。体は白い結晶体で出来ており、翼は脆く飛ぶことはおろか体を支えることもままならない。
また、人間の姿であった頃よりも体の源石結晶がかなり巨大化して体中から飛び出してしまっている。
なお、この姿では会話テキストでの名前がメフィストではなく「???」と表記されており、作中人物からも戦闘前は「あれ」とのみ呼ばれている。

メフィストとしての自我は保てておらず、少年時代の頃のように歌い続けることしか出来なくなってしまった。
人間の姿でなくなることで再び「歌う」ことが出来るようになるとはなんとも皮肉な話であるが、
その歌によって周囲に源石の粉塵をまき散らし、感染させてしまう重大な汚染源となってしまっただけでなく、
粉塵を吸い込んだ感染者の一部をアーツ能力によって石棺を守る洗脳状態としてしまっている
(操られていない者もいるのはメフィスト自身に操ろうという意思が無いため)。
また、操られている感染者も最終的にはメフィストと同じ異形の怪物に成り果てる可能性があるという。

この異形の存在と対峙したドクターとケルシーの小隊は、重大な感染源であるその怪物を制圧し、感染源の拡大を阻止することを余儀なくされる。
元凶である石棺はケルシーの手によって停止させられたが、メフィストがその後どうなったのかは明言されておらず不明。

ゲーム中では「Mephisto・歌う者」表記。
人間の姿であった時と同様に回復能力を持っている(自分を回復することは出来なくなっている)他、
歌によって周囲に源石の粉塵をまき散らす能力が「フィールド全体への毒ダメージ」として再現され、
一定量のHPが減る毎に専用のモーションと共に毒を与えてくる。
また、人間の姿の時には無かった通常攻撃も行うようになった。
毒を防ぐ手段は無く、高火力のスキル攻撃で一気にダメージを与えようとすると一瞬で毒が蓄積し戦線が崩壊する。
さらに一度倒しても黒いバリアのようなものに籠もって回復して復活し攻撃力が上がったり、
ワープで移動するためブロックできず、時間をかけて倒すことも難しい…とかなりの難敵となる。

また、戦闘開始時には怪獣映画のような重々しい雰囲気のBGMが流れているが、
第一形態を倒すと『Lullabye』というBGMに変化する*2
公式チャンネルの動画

6章と8章では彼らの過去について知ることが出来る。

+ メフィストの過去について
"メフィスト"はコードネームで、本名はイーノ。出身地はウルサス帝国。
幼年時代のイーノは現在とは真逆の臆病な性格で、その性格からいじめられっ子であった。
さらに家族からは日常的に虐待を受けていた。
相棒のファウストと出会ったのはこの時期であり、ファウストの本名はサーシャ
浮浪児であるサーシャにイーノは食事を差し出したり、本の読み方を教えた。
いじめと虐待を受ける日々を過ごすイーノにとってサーシャとの交流は大きな心の支えであった。

だが虐待は次第にエスカレートしていき、イーノの精神も狂っていく。
さらに、源石を喉に詰められるという凄惨な仕打ちを受け、鉱石病に感染してしまう。
歌うことが好きだったのだが、喉が侵された影響で歌えなくなってしまう。
しかし、感染者となったイーノはアーツ能力に覚醒。
いじめっ子達をアーツ能力で操作し、虐待していた家族を皆殺しする。
サーシャはこのアーツ能力の危険性を察し「もうこんなことはするな」と釘を刺したが…。

その後は二人で街を離れ、凍原の採掘場にいた所をタルラに発見・保護される。
発見された当時は当然戦闘を行える年齢ではなかったため、アリーナの下でサーシャと教育を受けていた。
アリーナはその中でイーノが内に秘めた凶暴性を感じ取っており、特に気に掛けていた。
そしてアリーナの死後、イーノの成長と共に性格は歪み、アリーナが危惧していたように残酷になっていく*1

成長後、タルラが用意した新しい名前の中から"メフィスト"を選び、以後メフィストを名乗るようになった。
タルラが「あの村での惨劇」から別人のように変化してしまったことには気付いていたものの、
「サーシャとタルラ姉さん以外に誰も信じられないから」「何をするのか自分で選ぶのも嫌だから」
という理由で、彼女の言うことには常に従っていた。


MUGENにおけるメフィスト(アークナイツ)

名無しのぽろろ氏が原作のスプライトを使用して製作したものが存在する。
「歌う者」形態で、概ね原作再現志向で作られている。
基本動作は通常攻撃、ワープ移動、粉塵放出の3種類と少なく、さらにステータスがLIFE60000・ATK450・DEF450とんでもないことになっている
(原作でのステータスをそのまま反映したらしい)。
一定のダメージを受けると粉塵放出によって相手に毒ダメージを与える点や、体力を削り切ると形態変化の演出が入る点も再現されている。
ただし、味方への回復は再現されていない模様(勝利モーションで回復行動と同じ動きをする)。
なお、毒ダメージの再現は永続ターゲットではなく隔離技術が用いられており、
紹介動画では通常本体ターゲットを取るのが困難なF1(ただしLifeSet無し改変)を倒している。

ステータスが高すぎることや、毒が通用する相手には非常に強い一方効かない相手には通常攻撃しかできないことから、
狂以上の凶悪キャラではあるものの非常に相性が出やすく、名無しのぽろろ氏曰く「性能はある意味ネタ」とのこと。

なお、隔離技術を多数使用しているため当然WinMUGEN専用。
また直接フォルダ内のBGMを再生するAudioPlayという技術を使っているが、
当時のAudioPlayの不具合によりCharaRegisterや十徳ナイフといったMUGEN用ツールでは起動不可能になっている。
ツールで起動したい場合はdefファイルを開き、
;st6=AudioPlay/DLLCALL.cns
のようにAudioPlay記述をコメントアウトするか消しておくこと。

出場大会

  • 「[大会] [メフィスト(アークナイツ)]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
ロドスのオペレーターに「源石の影響で性格が変わる」「二重人格を持つ」という人物らがおり、
メフィストの性格が幼年時代とかけ離れたものになってしまったのはこれと似たような理由ではないか、との推測もある。

*2
余談だがこの曲、物悲しい曲調であるにもかかわらず、
公式twitterにて「さらなる決戦の支えに、ぜひこの曲をお聞きください。」 紹介され
プレイヤーからは「支えとは?」総突っ込みを受けていた。


最終更新:2023年01月17日 10:16