東宝特撮『
ゴジラ』シリーズに登場する恐竜。
本格的な登場は『ゴジラVS
キングギドラ』で、平成シリーズ以外のゴジラ作品でも言及されていた、
現代まで生き延びていた「怪獣王ゴジラの前身となった生物」である。
二足歩行で大型獣脚類のような形態をしているが、雑食性で性格も大人しい。
しかし、テリトリー意識が強く自分の縄張りを荒らした相手には敢然と立ち向かう性質を有している。
生息範囲は広く、南はマーシャル諸島から、最北はベーリング海まで分布していた古代生物の残存種。
鳥類のように
プテラノドンへの托卵を行う習性があり、幼体の時期は身の危険を感じると眼球が赤く光り、
テレパシーのような波長で仲間や家族を呼ぶ。
ゴジラと比較すると非常に背ビレが小さく、手の指はゴジラと同様に4本だが、足の指はゴジラより1本少ない3本となっており、蹴爪が踵の上にある。
しかしこの頃から並外れた生命力を持っており、恐竜としては非常識なほどに硬い皮膚を備え、
バズーカ砲や銃撃も意に介さず、艦砲射撃を受けても重傷を負いながらしぶとく命を繋ぐほど。
この項目では主に『VSキングギドラ』で登場したマーシャル諸島のラゴス島にひっそり生息していた個体について取り上げる。
1944年2月の太平洋戦争末期に新堂靖明が率いる日本軍守備隊が窮地に陥った時に出現し、
まるで守備隊に加勢するかのように(実際は米軍の攻撃で縄張りを荒らされて怒っていただけと思われる)米軍に襲い掛かり、潰走させる。
その後、洋上からの米軍艦隊の艦砲射撃で深手を負い一度は倒れるが、
そのコンディションでなお、勝利したと思い込んで迂闊に近付いた陸上米軍を全滅させて森に引き返す。
無事に復員した新堂は、このゴジラザウルスに対して強い感謝と崇拝の念を抱く。
しかし艦砲射撃の傷によって余命幾許もないかと思われていたこの恐竜はなおも生き続けており、
後の1954年のビキニ環礁のアメリカ軍による水爆実験で被爆。怪獣王ゴジラに変異したのである。
正確には芹沢博士によって抹殺された初代ゴジラではなく、1984年に再上陸を果たした二代目ゴジラなのだが、
同作ではこの二代目ゴジラによる度重なる襲撃によって日本が荒廃するという結末を回避すべく、
未来人の協力によりゴジラザウルスを核実験に遭遇する前にベーリング海に転送、
ゴジラの存在を無かった事にしようとする計画が実行された。
だが、ゴジラザウルスは転送先でも核廃棄物に触れてゴジラ化し、
しかも民間企業の原潜から奪った核エネルギーにより、以前より強大なゴジラへと成長したのであった。
そして新宿の街を蹂躙していく中で、新堂と48年ぶりの再会を果たすのだが……。
以前の個体は前作『VS
ビオランテ』にて抗核エネルギーバクテリアを打ち込まれ、既に大幅な弱体化が見込まれる中、
結果的に未来人は余計な事をしてしまった形になるが、確かに彼らにとってもこの事態は想定外ではあったものの、
実を言うと未来人の目的は別に存在しており、
その萌芽は密かに撒かれていた事を後に人々は知る事になる。
なお、『VS
メカゴジラ』以後に出てくる
ベビーゴジラは正確には「まだ」ゴジラではなく、一応このゴジラザウルスの幼体扱いである。
その後、ゴジラと一緒に住んでいるうちにゴジラの核エネルギーを吸収して『VS
スペースゴジラ』ではゴジラ化している
(つまりこの世界のゴジラは厳密に言うと「種族」ではなく「ゴジラザウルスが核エネルギーで強化形態のまま戻れなくなってしまった
状態」である)。
ベビーゴジラには『VSキングギドラ』のゴジラザウルスには無いゴジラのような背びれが確認できる。
推測だが、おたまじゃくしがカエルになるとえらや尾が無くなるように、ゴジラ化せず順当に大人になると退化していくのだと思われる。
ベビーゴジラの方はベーリング海アドノア島で発見された卵から孵化した個体のため、
未来人による歴史改変の影響でなければ、ゴジラザウルスはマーシャル諸島からベーリング海まで幅広く分布している事になり、
初代ゴジラに対する山根博士の「水棲爬虫類から陸上哺乳類に進化途中の巨大生物」という推測もあわせて、
その高い潜水能力や海洋航行能力の裏付けになっている。
ただし、繰り返しになるがゴジラザウルスはあくまでも『VSシリーズ』の二代目ゴジラの原型となった存在というだけで、
初代『ゴジラ』に変異した大戸島の竜神「呉爾羅」は一体何者であったのかという点は一切明らかになっていない。
アニメ『ゴジラS.P.』では千葉県南房総の逃尾市に「古史羅(ごじら)」なる竜神の伝説が遺されていたが、
これについてもゴジラとはそもそも「よく分からないもの」であるという制作側の意向から、その正体については語られていない。
令和作品『ゴジラ-1.0』の冒頭では大戸島の竜神「呉爾羅」が初めてスクリーンに登場しているが、
監督の山崎氏により「驚異的な生命力を持ち、現代まで生き延びた」という出自は少しだけ触れられているものの、
詳細な正体の情報は敢えて曖昧にされている。
第1作の劇中では、ゴジラに変異した生物として、
「実は恐竜ではなく、
ジュラ紀から
白亜紀にかけて生息していた
爬虫類と哺乳類の中間の形態である生物の生き残りが放射能により安住の地を追われた」
と説明されていた。
しかし「200万年前のジュラ紀」(実際のジュラ紀は1億9500万年前から1億3500万年前)という発言や、
ジュラ紀生息の根拠にゴジラの足跡から
生きた三葉虫(2億5000万年前に絶滅)の発見が挙げられるなど、大分つっこみ所満載だった。
これについて、特撮研究者にして若い頃に晩年の香山氏と交流のあったSF作家の故・竹内博氏は、
ちくま文庫から2004年に刊行された故・香山滋氏の小説版『ゴジラ』の巻末解説において、
- 「200万年前は(当時の学説で)現在判明している人類の最古の祖先として知られる直立歩行のアウストラロピテクスが、
地球上に生を受けた時期であり、(香山氏は)人類の歴史にゴジラをオーバーラップさせた」
- 「香山氏がゴジラと一連の系列と語る別作品『オラン・ペンデクの復讐』で本来過渡的な生物は生存し得ないのが進化学説の原則と設定されている事から、
全くの架空古代生物として描いた」
と、二つの仮説を挙げ、ミスではなく意図的にこのように書いたのだろうと推測している。
作中描写のみを見て考えるなら、国会での発表で、かつ議員を始めとする出席者からの質問も無かった事、
東京で暴れるゴジラを実況していたキャスター(「我々もいよいよ最後!さようなら、みなさん!さようなら!!」の人と言った方が通りが良いだろうか)も、
「我々の世界は一瞬のうちに200万年の昔に引き戻されたのでありましょうか!」と言っている事から、
本作の世界では200万年前がジュラ紀とされ、三葉虫もその時期に絶滅が確認されていたと判断するのが妥当な所だろう。
ジュラ紀である事を断定する「ビフロカタス層」の土なのだが、これは香山氏愛読の『前世界史』「ビフルカタス層」由来の用語で、他では使われていないため、
こうした用語も合わせて示す事で「この世界の考古学史は現実のそれとは全く異なる」事を示唆していたのかもしれない。
興奮した山根博士がなんか変な事口走っちゃってたのを議員の皆さんが見て見ぬふりしてくれたのかもしれないけど
また、小学館の怪獣シリーズ『新ゴジラのひみつ』の「ゴジラの進化と恐竜」のページでは
ゴジラに進化した生物を恐竜の仲間としながら「ティラノサウルスとは別系統に陸生爬虫類へ進化した海生爬虫類」としており、
北海道で発見されたエゾミカサ竜を候補に挙げている。
当時三笠市立博物館やファミリーランドみかさ遊園、桂沢公園などにエゾミカサリュウとして恐竜像を建てていた北海道三笠市へのフォローかどうかは定かではない
余談だが、現実に発見された化石恐竜に「ゴジラ
サウルス」と命名された者がいる。
発見者並びに復元者が『ゴジラ』好きであり、同作から化石発掘者となった経緯があるため命名したという。
怪獣王の名の通り三畳紀の中では最大級の恐竜と言える個体である……のだが、
まだ獣脚類の大型化が進む前のコエロフィシス科の細身でスマートな恐竜なので、ゴジラの名を冠するにしては正直名前負けである。
体長5~6mで体重150kg~200kg程度と推定されており、丁度『ジュラシック・パーク』に登場する
ヴェロキラプトルくらいの体格と言えば分かり易いか
(しかし後年復元全身骨格の中に別の種の恐竜の骨が混入していた事が判明し、命名規則上「ゴジラサウルス」は無効名となってしまった)。
MUGENにおけるゴジラザウルス
カーベィ氏の製作したキャラが公開中。
熱線攻撃は無く、噛み付きや尻尾攻撃などの近接戦主体の性能となっている。
超必殺技はいずれも1
ゲージ消費で、「必殺噛みつき」「突撃」「必殺尻尾攻撃」の3つ。
AIもデフォルトで搭載されている。
出場大会
最終更新:2025年09月15日 21:15