原文
La1 sacree pompe2 viendra baisser les æsles3,
Par4 la venue5 du grand legislateur6:
Humble haulsera7 vexera les rebelles,
Naistra sur terre8 aucun æmulateur9.
異文
(1) La : Par 1600 1610 1611 1627 1630Ma 1644 1650Le 1650Ri 1653 1668 1716 1981EB
(2) pompe : Pompe 1672
(3) æsles 1557U 1557B 1588-89 1589PV 1590SJ : aisles T.A.Eds.
(4) Par : Pa 1610
(5) venue 1557U 1557B 1568 1588Rf 1589Rg 1590Ro 1597 1600 1610 1627 1630Ma 1650Ri 1672 : venuë T.A.Eds.
(6) legislateur : Legislateur 1590SJ 1603PL 1649Ca 1650Le 1665 1668 1672
(7) haulsera : haussera 1589PV 1590Ro 1597 1603PL 1605 1610 1611A 1627 1628 1630Ma 1644 1649Xa 1649Ca 1650Le 1650Ri 1653 1665 1668 1672 1981EB
(8) terre : Terre 1672
(9) æmulateur : emulateur 1588-89 1644 1650Ri 1653 1665, æmulrateur 1649Xa, Æmulateur 1672, œmulateur 1840
日本語訳
聖なる華美がその翼を低くすることになるだろう、
偉大な立法者の到来によって。
下層民を高くし、反逆者たちを悩ませるだろう。
(彼と)競える者は地上に一人も生まれないだろう。
訳について
1行目
pompe について、
ピーター・ラメジャラー、
リチャード・シーバースはいずれもそのまま pomp と英訳している。なお、「翼を低くする」は勢力を弱めることを意味するノストラダムスの常用語のようなものである(
百詩篇第1巻6番ほか)。
4行目 æmulateur は現代フランス語では émulateur だが、もとはラテン語の aemulator (競争者、模倣者)である。
既存の訳についてコメントしておく。
大乗訳について。
2行目 「偉大なる法をあたえるためにやってきて」は「偉大」「法」「やってきて」など、単語レベルで部分的な一致は見られるものの、全体としては原文から離れすぎている。ただし、元になったはずの
ヘンリー・C・ロバーツの英訳は at the comming of the great law giverで、そうおかしなものではない。
3行目「彼は謙虚で反逆者をくやしがらせる」は、前半が明らかに不適切。humble は確かに形容詞だと「謙虚な」「卑賤な」などの意味もあるが、それを高くするだろう、とあるのだから、この場合は身分の低い立場を示す名詞的に使われていると見るべきだろう。実際、ラメジャラーやシーバースの英訳でもそうなっているし、そもそもロバーツの英訳でも raise the humble と訳されている。
4行目「競争者がそのほかにでることはない」は大意としては正しいが、naistra sur terre (地上に生まれるだろう)が aucun (誰も)で否定されている原文の意味からすると、やや簡略化された印象がある。
山根訳について。
1行目 「聖なる盛儀が翼を休めに訪れよう」は「翼を低くする」=「翼を垂らして休める」と理解したのだろうが、上述の通り、「勢力を弱める」ことを意味する慣用表現であろうことからすると、その意味合いが読み取りづらい意訳ではないかと思われる。
信奉者側の見解
ロルフ・ボズウェル(1943年)は近未来に現れる偉大なフランス王アンリ5世と解釈していた。
ヘンリー・C・ロバーツ(1947年)はアメリカ大統領リンカーン(リンカン)についてと解釈した。これは娘夫婦や孫の改訂でも変化なかった。
同時代的な視点
コメントらん
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最終更新:2015年11月03日 23:50