「タルタロス迷宮」

[概要]
タルタロス迷宮……。
いつしかその古代遺跡は、旧人類の神話より名を取って、そう呼ばれていた。
バラライカ共和国の中央付近、かつてベリーズと呼ばれていた地域に、ジャングルに埋もれる様にして、ひっそりとそのタルタロス迷宮は存在していた……。
いつしかその古代遺跡は、旧人類の神話より名を取って、そう呼ばれていた。
バラライカ共和国の中央付近、かつてベリーズと呼ばれていた地域に、ジャングルに埋もれる様にして、ひっそりとそのタルタロス迷宮は存在していた……。
その古代遺跡が発見されたのは、聖華暦700年代末、ラ・カルトでの百年戦争が終結して間もない頃である。
厳密に言うならば、地上に出た建造物部分自体は、かなり昔から存在を知られていた。
しかしその下に存在する地下部分への入り口が見つかったのは、聖華暦782年3月2日の事だ。
ここに旧人類の秘密基地が存在すると言う、無責任な噂に踊らされたトレジャーハンターが、巧妙に隠された地下への機装兵用階段を発見したのである。
厳密に言うならば、地上に出た建造物部分自体は、かなり昔から存在を知られていた。
しかしその下に存在する地下部分への入り口が見つかったのは、聖華暦782年3月2日の事だ。
ここに旧人類の秘密基地が存在すると言う、無責任な噂に踊らされたトレジャーハンターが、巧妙に隠された地下への機装兵用階段を発見したのである。
そしてそのトレジャーハンターは、遺跡表層部より莫大な財宝を入手して帰還した。
金銀や宝石、それに様々な高価な錬金金属……。
しかし味をしめたそのトレジャーハンターは再度その遺跡に挑み……。そして戻って来なかった。
その後、様々な冒険者やトレジャーハンターがその遺跡に挑み、そのうち僅かな者だけが戻って富を得たが、多くは……ことに最奥部へ挑んだ者たちは絶対に戻って来なかった。
金銀や宝石、それに様々な高価な錬金金属……。
しかし味をしめたそのトレジャーハンターは再度その遺跡に挑み……。そして戻って来なかった。
その後、様々な冒険者やトレジャーハンターがその遺跡に挑み、そのうち僅かな者だけが戻って富を得たが、多くは……ことに最奥部へ挑んだ者たちは絶対に戻って来なかった。
今ではその古代遺跡は、奈落と言う意味を込めてタルタロス迷宮と呼ばれている。
今なおその迷宮に挑む者はまれに存在する。しかし表層部の財宝は既に発掘され尽しており、必然的に最奥部へと挑んだ彼らが戻る事は無かった……。
今なおその迷宮に挑む者はまれに存在する。しかし表層部の財宝は既に発掘され尽しており、必然的に最奥部へと挑んだ彼らが戻る事は無かった……。

[解説]
このタルタロス迷宮は、虚空戦争時代において精霊たちの拠点の1つとして、精霊たちそのものによって建設された。
この『拠点』の管理者兼守護者は、高位精霊「フィデルタ」。フィデルタは『虚空(ヴォイド)』との最終決戦に直接は参戦せず、この『拠点』の防衛をその主たる更なる高位精霊より任された。
そして世界は『虚空』から護られたのだ。しかし……この『拠点』には、だれも帰って来なかった。
フィデルタの主はおろか、仲間のだれ1人として帰っては来なかったのである。
この『拠点』の管理者兼守護者は、高位精霊「フィデルタ」。フィデルタは『虚空(ヴォイド)』との最終決戦に直接は参戦せず、この『拠点』の防衛をその主たる更なる高位精霊より任された。
そして世界は『虚空』から護られたのだ。しかし……この『拠点』には、だれも帰って来なかった。
フィデルタの主はおろか、仲間のだれ1人として帰っては来なかったのである。
フィデルタは知らなかったが、十聖天級の超高位精霊以外の力弱き精霊たちは、皆すべからく現世に現界できなくなるほどのダメージを受けた。
そして彼らは、聖遺物へと宿る事でかろうじて滅びを避けたのである。
おそらくはフィデルタの主もまた、いずこかで自らを聖遺物に封じたか、あるいはもしかしたら滅んでしまった可能性もあるのだが……。
そして彼らは、聖遺物へと宿る事でかろうじて滅びを避けたのである。
おそらくはフィデルタの主もまた、いずこかで自らを聖遺物に封じたか、あるいはもしかしたら滅んでしまった可能性もあるのだが……。
そしてフィデルタは、今日も主の帰りを待ち、この『拠点』を護り続けるのだ。
自らの姿を、現代(聖華暦830年)で言う機装兵に似た巨人機械の姿に変じさせて。
これは、この形態がもっとも消耗を少なくして最大の物理的戦闘力を発揮できるためである。
この姿のとき、フィデルタは精霊機「レ・スパーダ」と呼ばれる。いや、厳密には人の手による精霊機とは別物なのであるが。
自らの姿を、現代(聖華暦830年)で言う機装兵に似た巨人機械の姿に変じさせて。
これは、この形態がもっとも消耗を少なくして最大の物理的戦闘力を発揮できるためである。
この姿のとき、フィデルタは精霊機「レ・スパーダ」と呼ばれる。いや、厳密には人の手による精霊機とは別物なのであるが。
タルタロス迷宮は、大きく分けて上層部分と下層部分に分けられる。
上層部分は表層部とも呼ばれ、ここからは数多くの財宝が発掘されている。
聖華暦830年代では上層部分は既に発掘され尽して「枯れ」ており、何一つとして財宝は残ってはいない。
上層部分は表層部とも呼ばれ、ここからは数多くの財宝が発掘されている。
聖華暦830年代では上層部分は既に発掘され尽して「枯れ」ており、何一つとして財宝は残ってはいない。
だがこの迷宮の本体は、最奥部とも呼ばれる下層部分である。
最奥部にはいまだ数多くの財宝が残されている。だがその財宝は様々なトラップや守護者により護られており、それを獲得する事は至難である。
最奥部は更におおまかに上層、中層、下層の3層に分けられるのだが、守護者の強さやトラップの凶悪さは下層がもっとも強力であり、上層は下層や中層ほど手強くは無い。
だが上層であっても油断できるほどでも無い。
最奥部にはいまだ数多くの財宝が残されている。だがその財宝は様々なトラップや守護者により護られており、それを獲得する事は至難である。
最奥部は更におおまかに上層、中層、下層の3層に分けられるのだが、守護者の強さやトラップの凶悪さは下層がもっとも強力であり、上層は下層や中層ほど手強くは無い。
だが上層であっても油断できるほどでも無い。
守護者には、以下のものが挙げられる。
第1に、迷宮最奥部をうろつき回る機兵群だ。
これは迷宮への侵入者が乗っていた機兵が元になっている。
侵入者の機兵は、トラップや守護者などの障害により黒血油を一定量失ったり、迷宮内で機体を停止させて降りたりすると、フィデルタの放つ強烈な思念の乗ったエーテルに侵される。
あるいはそれらの障害により倒されてしまった機兵は、フィデルタが姿を変えている精霊機レ・スパーダによって「処置」を受ける。
そしてフィデルタの操り人形、疑似的な精霊機となり、最終的には後述の「奉仕者」によって、更に操りやすい様に改造を受けるのだ。
第1に、迷宮最奥部をうろつき回る機兵群だ。
これは迷宮への侵入者が乗っていた機兵が元になっている。
侵入者の機兵は、トラップや守護者などの障害により黒血油を一定量失ったり、迷宮内で機体を停止させて降りたりすると、フィデルタの放つ強烈な思念の乗ったエーテルに侵される。
あるいはそれらの障害により倒されてしまった機兵は、フィデルタが姿を変えている精霊機レ・スパーダによって「処置」を受ける。
そしてフィデルタの操り人形、疑似的な精霊機となり、最終的には後述の「奉仕者」によって、更に操りやすい様に改造を受けるのだ。
だが奉仕者はおおまかな改造は可能だが、細かな整備や修理は不可能である。
そのため操り人形の疑似精霊機の戦闘能力は、素体となった機兵の損傷度合いや、機種によって大きく変わる。
そのため迷宮中枢部である下層には損傷の少ない上物の機体が、上層には損傷だらけだったり従機ベースであったりの弱い機体が配置されている。
そのため操り人形の疑似精霊機の戦闘能力は、素体となった機兵の損傷度合いや、機種によって大きく変わる。
そのため迷宮中枢部である下層には損傷の少ない上物の機体が、上層には損傷だらけだったり従機ベースであったりの弱い機体が配置されている。
第2の守護者は、奉仕者と呼ばれる干乾びた人間の様に見える謎の生命体である。
これは実は、干乾びた人間の屍そのものであり、この迷宮に挑んで来た盗掘者の成れの果てである。
この存在は、フィデルタの放つエーテルにより操られ、疑似的に生命活動「もどき」を行っている。
疑似的にとは言え、生命活動に似たものを行っているだけあり、ある程度の貧弱な自己判断能力を持っている。
だが結局は操り人形であるのだが。フィデルタはこれらを用い、疑似精霊機の改修、盗掘者に奪われた宝物の回収やトラップ整備など細かい作業、生身の盗掘者相手の戦闘行為などを行わせている。
これは実は、干乾びた人間の屍そのものであり、この迷宮に挑んで来た盗掘者の成れの果てである。
この存在は、フィデルタの放つエーテルにより操られ、疑似的に生命活動「もどき」を行っている。
疑似的にとは言え、生命活動に似たものを行っているだけあり、ある程度の貧弱な自己判断能力を持っている。
だが結局は操り人形であるのだが。フィデルタはこれらを用い、疑似精霊機の改修、盗掘者に奪われた宝物の回収やトラップ整備など細かい作業、生身の盗掘者相手の戦闘行為などを行わせている。
第3の守護者は、この迷宮内に入り込み住み着いた、魔獣もしくは変異した動物などである。
これらは迷宮内で生態系を形成し、食物連鎖のピラミッド構造を形作っている。
これらの魔獣や動物は、疑似精霊機や奉仕者、迷宮の設備などには害を為さない。
理由はフィデルタの放つエーテルにより、認識を狂わされているからだ。
それに対する抵抗力のある、知性の高い魔獣、力の強い魔獣等々が迷宮に侵入して来た場合は、外敵として排除される。
これらは迷宮内で生態系を形成し、食物連鎖のピラミッド構造を形作っている。
これらの魔獣や動物は、疑似精霊機や奉仕者、迷宮の設備などには害を為さない。
理由はフィデルタの放つエーテルにより、認識を狂わされているからだ。
それに対する抵抗力のある、知性の高い魔獣、力の強い魔獣等々が迷宮に侵入して来た場合は、外敵として排除される。
最後の守護者は、前述したフィデルタの変じた精霊機レ・スパーダである。
いや、ある意味で言えばレ・スパーダは「最初」の守護者とも言えるかもしれない。
本来この迷宮にはトラップ類こそあれど、守護者は一切存在していなかった。
最初の1機目の疑似精霊機は、このレ・スパーダに倒され、「処置」を受けて乗っ取られ、操り人形にされたのである。
いや、ある意味で言えばレ・スパーダは「最初」の守護者とも言えるかもしれない。
本来この迷宮にはトラップ類こそあれど、守護者は一切存在していなかった。
最初の1機目の疑似精霊機は、このレ・スパーダに倒され、「処置」を受けて乗っ取られ、操り人形にされたのである。
次にトラップ類だが、これは多岐に渡る。先に述べた通り、傾向としては下層に行くほどに凶悪さや難易度が増す。
以下にトラップの例を挙げる。
以下にトラップの例を挙げる。
- 機兵の入れない、小さなサイズの宝物庫。操手が機体を降りて宝物を取りに行くと、機能を停止した機兵が乗っ取られ疑似精霊機と化す。戻って来た操手は、かつての愛機に殺される事になる。もっとも宝物庫自体に仕掛けられた毒針や毒ガスによって死ななければだが。
- 機装兵の機体からエーテルを吸収し、操手に魔力切れを起こさせる部屋。操手が無力化された場合、機体を無傷で疑似精霊機にできる。
ところで、この迷宮はマップを作る事ができない。
いや、マップを描いても意味が無いと言うべきか。
まあ迷宮上層部分、表層部と呼ばれていた部分ならば大丈夫だ。
そこのマップは既に完成しており、最奥部と呼ばれる下層部分へ向かう降り口も、しっかりと判明している。
いや、マップを描いても意味が無いと言うべきか。
まあ迷宮上層部分、表層部と呼ばれていた部分ならば大丈夫だ。
そこのマップは既に完成しており、最奥部と呼ばれる下層部分へ向かう降り口も、しっかりと判明している。
しかし最奥部に関しては、マップ作製は無駄である。
最奥部を構成している領域は細かくブロック構造に分かれており、時折……定期的では無く、まったく気まぐれな間隔を空けて、それが組み変わるのである。
場合によっては、最奥部に踏み込んだその瞬間にそのブロックが、最奥部の中の最下層、この迷宮で最強の存在である精霊機レ・スパーダの前へと運ばれてしまう事すらあるのだ。
事実、最初にこの迷宮を発見したトレジャーハンターは、二度目にこの迷宮に挑み、迷宮最奥部へと入った瞬間、迷宮最奥部を荒らされる事を嫌ったフィデルタの思惑で、レ・スパーダの前まで運ばれてしまったのだ。
そして彼の機装兵は栄えある疑似精霊機第1号と化し、彼自身は奉仕者第1号となったのである。
最奥部を構成している領域は細かくブロック構造に分かれており、時折……定期的では無く、まったく気まぐれな間隔を空けて、それが組み変わるのである。
場合によっては、最奥部に踏み込んだその瞬間にそのブロックが、最奥部の中の最下層、この迷宮で最強の存在である精霊機レ・スパーダの前へと運ばれてしまう事すらあるのだ。
事実、最初にこの迷宮を発見したトレジャーハンターは、二度目にこの迷宮に挑み、迷宮最奥部へと入った瞬間、迷宮最奥部を荒らされる事を嫌ったフィデルタの思惑で、レ・スパーダの前まで運ばれてしまったのだ。
そして彼の機装兵は栄えある疑似精霊機第1号と化し、彼自身は奉仕者第1号となったのである。