錬金金属
[解説]
錬金術の大きな目的のひとつは、天然に算出しない特殊な素材を得ることにある。
以下はその一例である。
以下はその一例である。
[エーテライト]
雷と水と土の魔石に少量の白金を加え、魔法薬などの錬金触媒を複数組み合わせる事で形成される真っ白な金属。
エーテルの伝達能力に優れ、魔法の情報処理を行うのに適した素材。
その為、エーテライトは機兵の魔道制御回路や魔導炉の内部機構の素材として使われるようになった。
エーテライトの起源は錬金術師パラケルススが研究していた『賢者の石』(ブラッドグレイル)に端を発する。
5色の魔石を合成する上で、雷と水と土の魔石の結合に成功した際に偶然生まれたのがこのエーテライトと呼ばれる金属である。
ブラッドグレイルの様なエーテル増幅能力は持たなかったが、こちらはエーテル伝達に優れるという特性を持っていた為、帝国軍の機兵開発局へと提供された。
最初のエーテライトが生み出されたのは聖華暦158年と記録されている。
エーテルの伝達能力に優れ、魔法の情報処理を行うのに適した素材。
その為、エーテライトは機兵の魔道制御回路や魔導炉の内部機構の素材として使われるようになった。
エーテライトの起源は錬金術師パラケルススが研究していた『賢者の石』(ブラッドグレイル)に端を発する。
5色の魔石を合成する上で、雷と水と土の魔石の結合に成功した際に偶然生まれたのがこのエーテライトと呼ばれる金属である。
ブラッドグレイルの様なエーテル増幅能力は持たなかったが、こちらはエーテル伝達に優れるという特性を持っていた為、帝国軍の機兵開発局へと提供された。
最初のエーテライトが生み出されたのは聖華暦158年と記録されている。
[カルマート]
銀をベースに、ミスライト鋼を加えて触媒と共に調整した、やや薄めのまばゆい金色の金属。
温度変化を遮断し、冷気と熱に対する高い防御力をもつが、最大の特徴は、エーテルの流れを大幅に遮断し、魔法現象の威力を減衰させる性質である。
微細な粉末状にして撒き散らせば魔導レーダーや魔導通信機に激しいノイズを引き起こし、金属表面にメッキすればメッキされたものは温度変化と低位の魔法からはほぼ完全に防御できる。
価格は同じ重さの黄金の10倍。
温度変化を遮断し、冷気と熱に対する高い防御力をもつが、最大の特徴は、エーテルの流れを大幅に遮断し、魔法現象の威力を減衰させる性質である。
微細な粉末状にして撒き散らせば魔導レーダーや魔導通信機に激しいノイズを引き起こし、金属表面にメッキすればメッキされたものは温度変化と低位の魔法からはほぼ完全に防御できる。
価格は同じ重さの黄金の10倍。
[ザントース]
銅にミスライト鋼を加えて調整した、深い黒鉄色の金属。
薄く加工すればするほど切れ味と強度を増し、またしなやかで曲がったり割れたりしにくい性質がある。
この性質を生かして、通常の鋼にザントースの薄板を挟み込んだ強力な剣がザントース刃である。
また、長いリボン状に加工した数枚のザントースを柄に取り付け、切断力のある鞭として振るわれるウルミン、極薄のドーナツ型の円盤に加工したザントースを金属の薄板で挟んだチャクラムなどの、人間用の強力な暗器の素材にもなる。
価格は同じ重さの黄金の5倍。
薄く加工すればするほど切れ味と強度を増し、またしなやかで曲がったり割れたりしにくい性質がある。
この性質を生かして、通常の鋼にザントースの薄板を挟み込んだ強力な剣がザントース刃である。
また、長いリボン状に加工した数枚のザントースを柄に取り付け、切断力のある鞭として振るわれるウルミン、極薄のドーナツ型の円盤に加工したザントースを金属の薄板で挟んだチャクラムなどの、人間用の強力な暗器の素材にもなる。
価格は同じ重さの黄金の5倍。
[ブランジエッジ]
等量の鉛と鉄に、ミスライト鋼を加えて調整した金属。
非常に軽量かつ頑丈だがとても熱に弱く、焚き火の炎であぶられただけで蜜蝋のように柔らかく劣化し使い物にならなくなる。いったん劣化したブランジエッジは、ブランジエッジとしての再利用は不可能。ただし一部では錬金塗料の素材に用いられる事もある。
この金属を利用するためには、別に錬金術で作られた特殊な液体に溶かし込み、型に流し入れて魔力を通して成型する手順が必要になる。
熱に弱い特性から、完成品の上からカルマートで電気メッキを施すことが一般的である。
価格は同じ重さの黄金の3倍。ただしカルマートメッキが事実上必須である。
非常に軽量かつ頑丈だがとても熱に弱く、焚き火の炎であぶられただけで蜜蝋のように柔らかく劣化し使い物にならなくなる。いったん劣化したブランジエッジは、ブランジエッジとしての再利用は不可能。ただし一部では錬金塗料の素材に用いられる事もある。
この金属を利用するためには、別に錬金術で作られた特殊な液体に溶かし込み、型に流し入れて魔力を通して成型する手順が必要になる。
熱に弱い特性から、完成品の上からカルマートで電気メッキを施すことが一般的である。
価格は同じ重さの黄金の3倍。ただしカルマートメッキが事実上必須である。
[レイヴァスキン]
等量の鉛と鉄に、無属性の魔石を加えて調整した錬金金属。ブランジエッジやイシルディンほどでは無いが、非常に軽量かつ頑丈であるため、主に機装兵の装甲材に使われる。
この金属は、ブランジエッジの熱に弱いと言う欠点を克服できないかと言う幾多の実験により、誕生した物である。結果、剛性や強度、軽量さ等はブランジエッジよりはかなり目減りしたものの、それでも充分に実用レベルの高い性能を実現した。しかも熱に対しての脆弱性は無いのだ。
そのため、この錬金金属は普通に熱を用いて叩いて成型加工できる。つまり工業的に見て、非常に扱いやすいのである。価格は同じ重さの黄金の2倍と、かなり高額。だがそれでも、ブランジエッジやイシルディン等の馬鹿みたいに高額な錬金金属よりは、はるかにマシであった。
ちなみにこの金属を錬成する際に、副産物として必ずカイタバと言う粘土質の物質が生成される。これは驚くべき耐久性を誇るレンガの原料となる物質であり、舗装路面に用いられる。
第五世代機兵の時代、その装甲としてレイヴァスキンが大量に錬成された。その副産物として、莫大な量のカイタバが生成されたことにより、更なる副産物としてカイタバ使用レンガも大量生産される。これにより、アルカディア帝国とカーライル王朝・聖王国における道路整備は一気に進んだ。更にワンテンポ遅れたものの、自由都市同盟の道路インフラも整備される事になる。
この金属は、ブランジエッジの熱に弱いと言う欠点を克服できないかと言う幾多の実験により、誕生した物である。結果、剛性や強度、軽量さ等はブランジエッジよりはかなり目減りしたものの、それでも充分に実用レベルの高い性能を実現した。しかも熱に対しての脆弱性は無いのだ。
そのため、この錬金金属は普通に熱を用いて叩いて成型加工できる。つまり工業的に見て、非常に扱いやすいのである。価格は同じ重さの黄金の2倍と、かなり高額。だがそれでも、ブランジエッジやイシルディン等の馬鹿みたいに高額な錬金金属よりは、はるかにマシであった。
ちなみにこの金属を錬成する際に、副産物として必ずカイタバと言う粘土質の物質が生成される。これは驚くべき耐久性を誇るレンガの原料となる物質であり、舗装路面に用いられる。
第五世代機兵の時代、その装甲としてレイヴァスキンが大量に錬成された。その副産物として、莫大な量のカイタバが生成されたことにより、更なる副産物としてカイタバ使用レンガも大量生産される。これにより、アルカディア帝国とカーライル王朝・聖王国における道路整備は一気に進んだ。更にワンテンポ遅れたものの、自由都市同盟の道路インフラも整備される事になる。
[イシルディン]
錬金金属の一種。クリティライトをベースに、少量のバナジウム、微量の鉄とボーキサイト、それにミスライト鋼を加えて調整した合金。当初は聖王国のみが生産していたが、後にアルカディア帝国や自由都市同盟でも作られる様になる。
非常に軽量で、かつブランジエッジほどでは無いものの強靭。耐熱性や耐腐食性も優秀である。機兵の装甲やフレームには、理想的な錬金金属だと言える。ただし大量生産に難が無ければ。
実際このイシルディンは、生成するのに非常に手間がかかり、なおかつ調整が難しかった。そのためこれを機兵の素材に使うことは至難とも言える。ちなみに、伝説的な機装兵ノヴレスの装甲材にはこれが贅沢に使用されていたとの事。更にこれは噂の類ではあるが、ノヴレスやアイファー・ノヴレスの装甲に使用されたイシルディンだけで、聖王国は保有していた備蓄量を使い切ってしまったと言う。
しかしある時、自由都市同盟の錬金術師、魔導士、技師の研究チームが、イシルディンの画期的な量産方法を確立した。同盟にとって残念なことに、この研究成果はスパイの手によって他国へも流れてしまったのだが。これがフラタニティ・フレームの出現を後押しし、第六世代機兵以降の機兵開発に弾みを付ける原動力となるのである。
非常に軽量で、かつブランジエッジほどでは無いものの強靭。耐熱性や耐腐食性も優秀である。機兵の装甲やフレームには、理想的な錬金金属だと言える。ただし大量生産に難が無ければ。
実際このイシルディンは、生成するのに非常に手間がかかり、なおかつ調整が難しかった。そのためこれを機兵の素材に使うことは至難とも言える。ちなみに、伝説的な機装兵ノヴレスの装甲材にはこれが贅沢に使用されていたとの事。更にこれは噂の類ではあるが、ノヴレスやアイファー・ノヴレスの装甲に使用されたイシルディンだけで、聖王国は保有していた備蓄量を使い切ってしまったと言う。
しかしある時、自由都市同盟の錬金術師、魔導士、技師の研究チームが、イシルディンの画期的な量産方法を確立した。同盟にとって残念なことに、この研究成果はスパイの手によって他国へも流れてしまったのだが。これがフラタニティ・フレームの出現を後押しし、第六世代機兵以降の機兵開発に弾みを付ける原動力となるのである。
[クラライトン]
亜鉛3割、銅6割、アルミニウム1割の混合物に、水と風の魔石を少量反応させ、雷魔法で強圧的な電場を掛けて生成される錬金金属。
何がどうなって、どの様な働きをしてそうなるかは不明なのだが、この錬金金属は光を透過する。まるでガラスの様に、無色透明なのである。
これを開発したのは自由都市同盟の錬金学会であり、偶然の発見だった模様。その後この錬金金属の製法は、各国錬金学会を通じて他の二国にも流れて行った。
そこそこの軽量さと、そこそこの頑丈さを持ち、なおかつ錆びないため、一部建造物の窓などに用いられる。
また従機『センクリクテ・クラーベ』の外板の一部に用いられ、キャノピーとして使われた例もある。
ただし、この錬金金属は製法の問題なのか、平面にしか造る事ができない。曲面キャノピーは造る事ができないのである。また、ガラスよりは頑丈だが強烈なダメージを受けると、ガラスの様に鋭くはないが粉々に砕け散ったりもする。
そして金属であるため、電流を通す性質がある。また同じく金属であるため、熱伝導率はガラスよりもはるかに高い。色々と利点も欠点もあるが、強化ガラスと比較すると一長一短と言うところか。
そのためにこの錬金金属は、ガラスを市場から駆逐することもなく、またガラスにより市場から駆逐されることもなく、用途によって棲み分けがなされている。
何がどうなって、どの様な働きをしてそうなるかは不明なのだが、この錬金金属は光を透過する。まるでガラスの様に、無色透明なのである。
これを開発したのは自由都市同盟の錬金学会であり、偶然の発見だった模様。その後この錬金金属の製法は、各国錬金学会を通じて他の二国にも流れて行った。
そこそこの軽量さと、そこそこの頑丈さを持ち、なおかつ錆びないため、一部建造物の窓などに用いられる。
また従機『センクリクテ・クラーベ』の外板の一部に用いられ、キャノピーとして使われた例もある。
ただし、この錬金金属は製法の問題なのか、平面にしか造る事ができない。曲面キャノピーは造る事ができないのである。また、ガラスよりは頑丈だが強烈なダメージを受けると、ガラスの様に鋭くはないが粉々に砕け散ったりもする。
そして金属であるため、電流を通す性質がある。また同じく金属であるため、熱伝導率はガラスよりもはるかに高い。色々と利点も欠点もあるが、強化ガラスと比較すると一長一短と言うところか。
そのためにこの錬金金属は、ガラスを市場から駆逐することもなく、またガラスにより市場から駆逐されることもなく、用途によって棲み分けがなされている。