勅命
聖華暦833年 12月15日 6:00
「では、これより出発する。目標、ノーアトゥン!」
二隻のファイデリン級軽巡航艦がゆっくりと動き出す。
今回の任務の為、快速を誇る最新鋭軽巡航艦が二隻も駆り出された。
ファイデリン級は第三次聖帝戦争のおり建造された傑作艦であるファルコネット級軽巡航艦の後継艦として開発された最新鋭の軽巡航艦だ。
その戦闘力、巡航速度、機兵搭載能力、どれをとっても今回の任務を遂行するのに必要な能力を備えている。
今回の任務の為、快速を誇る最新鋭軽巡航艦が二隻も駆り出された。
ファイデリン級は第三次聖帝戦争のおり建造された傑作艦であるファルコネット級軽巡航艦の後継艦として開発された最新鋭の軽巡航艦だ。
その戦闘力、巡航速度、機兵搭載能力、どれをとっても今回の任務を遂行するのに必要な能力を備えている。
エーレンヴェルグ城塞第二の砦、その防壁上には出立する僕達に向け、敬礼をするケイ卿とリューディアさんの他、数人の暗黒騎士の姿が確認出来た。
そして、そこからが今回の勅命。
その為の人選が、暗黒騎士七名及びその弟子五名、計十二名。
たったの、十二名。
どうして、たったそれだけの人数なのか。
救援をするならば、帝国軍そのものを動かした方が効率も良く、より多くの人達を救う事も出来るはずなのに。
救援をするならば、帝国軍そのものを動かした方が効率も良く、より多くの人達を救う事も出来るはずなのに。
同盟に対して政治的な恩を売る事にもなり、幾重にも利益のある行為だと、まだ未熟な僕にでもわかる事なのに。
僕は師匠に、その事について疑問をぶつけた。
「どうやら門閥貴族の一派が強く反対したそうだ。今現在での軍事的救援は時期尚早であり、同盟の国力がより低下してからの対応で丁度良い、などとな。」
呆れてしまった。
門閥貴族達は、この先の平和的な関係構築よりも、目先の対外的優位を確保する事に執心しているというのだろうか。
門閥貴族達は、この先の平和的な関係構築よりも、目先の対外的優位を確保する事に執心しているというのだろうか。
確かに政治的に、同盟を弱らせる好機だと捉える事は出来る。
しかし、同盟の戦略ドクトリンは『専守防衛』、つまり帝国と聖王国に対して先制武力攻撃と侵攻の放棄を宣言している。
しかし、同盟の戦略ドクトリンは『専守防衛』、つまり帝国と聖王国に対して先制武力攻撃と侵攻の放棄を宣言している。
そしてその宣言通り、自由都市同盟が成立してから300年あまり、同盟から他国へ先制武力攻撃を行った事は皆無なのだ。
これから先も、そうであるとは限らないかもしれない。
それでも、今現在においてはそんな事を憂慮する事こそ時期尚早なのではないかと、僕は思う。
それでも、今現在においてはそんな事を憂慮する事こそ時期尚早なのではないかと、僕は思う。
*
艦橋で師匠とフギン卿、それと艦長が打ち合わせをしている。
僕も師匠のそばに付いて打ち合わせの内容を記憶する。
僕も師匠のそばに付いて打ち合わせの内容を記憶する。
弟子である僕にはこういった軍事行動に口を挟む権限は無い。
だから打ち合わせの参加では無く、聞いているだけになる。
だから打ち合わせの参加では無く、聞いているだけになる。
同盟自体の入国許可は取り付けていない。
したがって、不法侵入という事になる。
したがって、不法侵入という事になる。
当然、途中には魔獣の大群がいるのだけれど、邪魔になるものだけ蹴散らす事になるそうだ。
その際には巡航艦の火力だけでは到底足りない為、僕らも艦上で応戦する事になる。
その際には巡航艦の火力だけでは到底足りない為、僕らも艦上で応戦する事になる。
作戦らしい作戦も無い、ただ力で押し通り、目的地着いたら、やはり力で退ける。
ただそれだけ。
ただそれだけ。
押し通る道には呆れ返るほどの魔獣の群、退けなければいけないものもやはり、呆れ返るほどの魔獣の群。
聞いているだけで胸焼けを起こしそうなほど、不安が募る。
それでも、フギン卿の表情は窺い知れないけれど、師匠の表情には恐怖や不安の色は浮かんでいない。
そのかわり、眼には勅命を果たす事への使命感がギラギラと燃えたぎっているのが見て取れる。
そのかわり、眼には勅命を果たす事への使命感がギラギラと燃えたぎっているのが見て取れる。
やっぱり師匠達は凄いな。
決して恐れを知らないんじゃない。
決して蛮勇なんかじゃない。
決して蛮勇なんかじゃない。
そして力を過信もしていない。
けれども自分自身は信じている。
けれども自分自身は信じている。
いつか、僕もあんな風になれるだろうか。