合流
聖華暦833年12月15日 19:40
日も落ちて、すっかり闇に包まれた頃、遅れていた暗黒騎士達もようやく到着し、合流した。
「ちょっと待ちなさい。全部で12人のはずではありませんでしたか?」
「ふむ、それについては後で説明しよう。」
そのような英雄が派遣されるという事は、門閥貴族達はともかく皇帝陛下はこの任務に本腰を入れておられるのだろう。
「改めて、よく集まってくれた。これより先、生きて帰還出来る保証の無い危険極まりない任務に命を懸けてもらう事になる。覚悟の無い者は今すぐ立ち去っても構わない。」
「それ、今更じゃないかい? ここに集まってるのは勅命を受けたのばっかでしょうに。」
ファリオン卿達とともに合流した女性の暗黒騎士が茶化すように言う。
背が高く綺麗な女性で、赤みを帯びた茶髪を一本に結っている。
背が高く綺麗な女性で、赤みを帯びた茶髪を一本に結っている。
「イザベラ、ちょっと黙りなさい。そもそも、どうして貴女がここに居るのです。貴女は勅命を受けていないのでしょう?」
ガーランド卿が咎めた。
彼女の事をよく知っている風だ。
彼女の事をよく知っている風だ。
「そう言うなって、シルヴィア。確かに勅命は受けてはいないが、手助けをしてはならないって言われて無いから、こうして馳せ参じたんじゃないか。」
「本当に貴女はいつもそういい加減……」
「まぁ落ち着かんか。言い争っておってもしょうがないわい。それにこの任務には一人でも多くおった方が都合が良いわ。ここはこのバンザ・ジルベールに免じて収めよ。」
少し背の低い、老練な暗黒騎士が仲裁に入った。
白毛で顔にも深い皺が刻まれているけれど、その身体はがっしりとしていて、まるで巌のようにも見える。
白毛で顔にも深い皺が刻まれているけれど、その身体はがっしりとしていて、まるで巌のようにも見える。
「ジルベール卿がそう仰るなら、わたしもこれ以上は申しません。」
結局、紹介もそこそこに、暗黒騎士達はこの後の打ち合わせ、弟子の僕達は時間まで解散という事になった。
*
解散と言われても特にする事もなく、弟子ばかりで自然と集まっていた。
「やァやァ立場を同じくする御同輩諸君!俺の名はバキア・シャック、君らと同じ暗黒騎士見習いさ!恐らく俺は君らよりは強いだろうから、何かあれば庇い立てくらいはしてやろうさ!期待していたまえ!」
真っ先に口を開いた彼は背が高く、女性にモテそうな美形の男性だ。
身長よりもさらに長い槍を携えている。
身長よりもさらに長い槍を携えている。
「随分と大口を叩く。少しは腕に自信があるようだな? ベイン・イルフートだ。せいぜい期待させてもらうぞ。」
「バンザ様の直弟子だからな、強いのは当然の事さ。」
何かバチバチと視線を絡ませながら、男二人はガッチリと握手を交わす。
「私はサヤ・ファリオンです。サヤと呼んでください。皆さん、よろしく。」
肩までのショートカットにした金髪に薄い水色と赤い瞳のオッドアイを持った女性で、やはり美人だ。
年齢はリリィさんに近そう。
年齢はリリィさんに近そう。
「ちーす、ジェラルディン・マルケスでーす。よろー」
こちらはツインテールに纏めた金髪で、小麦色に日焼けした女性。僕と年齢は近そうだ。
喋り方や服装は、なんというか、不良っぽい印象を受けてしまう。
喋り方や服装は、なんというか、不良っぽい印象を受けてしまう。
「リリィ・ハーティスです。よろしくお願いしますね。」
「リコス・ユミアです。よろしくお願いします。」
「私達はこれから生死を共にする間柄です。師匠達の足を引っ張る事の無いよう、お互いに協力して参りましょう。」
サヤさんがみんなの顔を見回してそう言った。
「そーんな固い事言わなくてもいーんじゃない? こんだけガン首揃えてんだから、チョチョイっしょ。」
「マルケスさんでしたね。油断は禁物ですよ。今からの任務はこれまで経験をした事が無いほどの危険が予想されるものです。無事には済まないはずです。」
「んーな事言わなくてもわかってるっつーの。今から気ぃ張ってても疲れるって。」
そう言うとジェラルディンさんは先に休むと行ってしまった。
「確かに、今から気を揉んでも仕方あるまい。今は休む事も重要だ。」
ベインさんもそう言い、結局は皆休む事にした。
出発すれば、休む暇も無いかもしれないから。
出発すれば、休む暇も無いかもしれないから。