『Missing Link』Terragenによる空とセットエクステンション

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Joe Beckley氏がTerragenで『 Missing Link 』用に作成した多くの拡張セットの一部です。
すべての緑色の画面部分はTerragenでレンダリングされました。

先日、LAIKA社のシニアVFXデザイナーであるJoe Beckley氏と膝を交え、受賞歴のある最新の呼び物『Missing Link』でTerragenを使用した彼の作品について話をする機会を得ました。具体的なシーンの詳細や、Joe氏が映画の中でどのようにTerragenを使用したかについて、以下で詳しく説明していますが、まだ見ていない場合は、ここを クリック してインタビュー全体をご覧下さい。

「LAIKAでの仕事は、ミニチュアセットやパペット(操り人形)、その他の実用的なデジタル効果はもちろんシームレスに組み合わせる必要があるという点で他に類を見ません。これまでに取り組んだプロジェクトの中で、最も興味深く、刺激的で、やりがいのあるプロジェクトにはどのようなものがありましたか?特に誇りに思っているクリエイティブなソリューションがあれば教えて下さい。」

そうですね、ミニチュアセットやパペットを他の実用的なデジタルアセットとシームレスに統合する事は、私の仕事の大きな部分であり、フィルムからフィルムへとユニークな挑戦を続けています。LAIKAのそれぞれの作品は、ストーリーだけでなく視覚的にもユニークです。私たちは、すべての作品で舵輪を再発明するのではなく、長年の間に学んだ事を成長させ、発展させています。私がLAIKAに入社した当初、『 Coraline 』の制作中は、セットの拡張や マットペインティング はすべて2Dでした。 『 ParaNorman 』で平面にいよいよプロジェクションを使ったマットペインティングをするようになり、『 The Boxtrolls 』で、3D形状のものにプロジェクションを使用してより多くのマットペインティングをするようになりました。より正確な3Dデジタルマットペインティングのアプローチを模索し始めたのは、『 Kubo and the Two Strings 』の頃からです。『Missing Link』では、控えめに言っても大変な作業でした。『Missing Link』のセットや拡張の量の多さは別にしても、私の最大の課題は、高度に様式化された実用的なビルドに合わせて、それらをどうやって世界に通じるかの方法を見つける事でした。Terragenのフォトリアリスティックレンダラーの力を最大限に活用したいと思っていましたが、ディレクターとプロダクションデザイナーがこの映画のために作ったような独特のスタイルを持つTerragenを見た事がありませんでした。そこで、スライダーを押したり引いたりしてTerragenの限界を試し、ノードを解体してみたり、ソフトウェアからどんな面白い映像を引き出す事が出来るかを調べるのが、私にとっての挑戦と醍醐味でした。この作品には、たくさんのシーケンスやワンオフセット、拡張部分がありますが、その中でも特にお気に入りのものがいくつかあります。
『Missing Link』用に作成されたTerragenの空

カリフォルニアの砂漠

カリフォルニアの砂漠のショットには本当に満足しています。このセットは、様々な部門との間で、どうやって完成させるのか、誰が担当するのか、という事を考えながら何度もやり直したセットの1つです。最終的にはVFX部門が担当する事になり、最終的には私の手に渡る事になりました。このシーケンスの中の1つのショットでは、カメラを地面に置いて、馬車がカメラの上を走って遠くの方に去って行きます。このショットのすべてがTerragenで構築、レンダリングされ、Terragenアセットがどれだけカメラに近づく事が出来るかを証明してくれました。モニュメントの基本構造は、まずセット部門が作った実用的なミニチュアをスキャンし、Houdiniでハイトマップに変換しました。その後、Terragenのハイトマップをベースの地形ノードとして使用し、そこから構築していきました。表示パターンの使用頻度が高く、より興味深いのは、シェーダ間の遷移用のブレイクアップシェーダとして使用したり、この場合はモニュメントや砂漠の砂面に岩や植物を散りばめたりしました。このユニークな空のセットも、高度にスタイル化された世界を見事に表現しています。
Terragenでレンダリングされた『Missing Link』のカリフォルニア砂漠環境
...Terragenのプロシージャルワークフローにより、個々の背景を簡単かつ瞬時に変更したり微調整する事が出来ました...

太平洋岸北西部

この映画で私のお気に入りのセットの1つは、太平洋岸北西部です。色もスタイルも豊かなのですが、コンセプトアートに命が吹き込まれたような素晴らしい例だと実感しています。特に3Dのセットやその広がりを見ると、何を見ているのかまったくわからなくなります。それは2Dなのか、3Dなのか、実際に作られたものなのか、すべてのものが混在しているのか。実際に撮影されたエレメントや小道具を自分のセットに組み込む事が出来るのは、私の仕事を軌道に乗せておく上で最も便利な方法の1つです。納屋、樽、荷馬車の車輪、その他多くの差セットなど、実用的なエレメントを1つ持っているだけで、そのエレメントを中心に構築する事が出来るので、私の作品の多くの情報を得る事が出来ます。その小道具を机の上に置いて、それがどのように作られ、どのように塗られたのかかを物理的に確認する事が出来るので、照明をつけてセットの中でそれを中心に世界を構築する必要があるかを目に見える形で確認する事が出来ました。
Terragen背景と『Missing Link』の環境で完成された太平洋岸北西部 緑の画面エリアは、Terragenコンテンツが背景で塗りつぶされている場所を示します
メインストリートの建物と道路、そしてライオネルが伐採の町に入る時に目にする前景のエレメントだけが、この特定のシーケンスの中で実用的なエレメントでした。砂漠のモニュメントと同様に、私は村の地形の実用的なミニチュアスキャンから始めました。Terragenにインポートしたアニメーション・ブロッキングカメラを使用して、ディレクターとプロダクションデザイナーの要望に合わせて地形を素早く構築、修正、調整する事が出来ました。ショットが制作中にわずかな変更を加える必要がある場合においても、Terragenのプロシージャルワークフローにより、カメラの更新やセットの詳細化に合わせて、個々の背景を簡単かつ瞬時に変更したり、微調整する事が出来ました。
…Terragenはワークフローを大幅に改善し、外観の開発プロセスを加速させてくれました。

ヒマラヤ山脈

ヒマラヤ山脈は私にとってもう1つの難題でした。登場人物たちはヒマラヤ山脈を何百マイルも旅しますが、ディレクターは彼らの旅の間の各場所が、スタイル的には我々の世界にフィットするようにしたいと考えていましたが、同時に視覚的にも異なるようにしたいと考えていました。ディレクターは、観客にヒーローのキャラクターが同じ山を何度も何度も登っているように感じてほしくなかったのです。Terragenがこれに協力してくれた方法の1つは、同様のテクスチャとパラメータのセットを使用する1つのシェーダを作成し、外観とマテリアルの一貫性を保ちつつ、ストーリーのニーズに合わせて基礎となる地形を大幅に変更出来るようにする事でした。
私たちは4つのメインレイヤーで構成される"Himalayan Mountain shader"を作成しました。1.地面/砂利、2.低地の岩(色が濃い)、3.高地の岩(色が薄い)、4.雪。各レイヤーにはそれぞれの通景のために私に素晴らしい仕掛かりを与えてくれた独自のルールとパラメータのセットがあり、ヒマラヤのほぼすべてのショットで使用しました。それぞれの通景の開始点として優れた表示スタイル固有の外観を提供し、基礎となるパラメータ(分布、密度、散乱など)を持つ事で、基礎的な地形を完全に変更、改良、または修正しても、"スタイル通り"に保つ事が出来る柔軟性がありました。これもまた、Terragenのおかげでワークフローが大幅に改善され、外観の開発プロセスが迅速に進みました。

セットエクステンションは、ヒーローアニメーションのプレートと視覚効果で合成され、最終的に完成します。ヒマラヤ山脈の背景はTerragenでレンダリングされました。

嵐雲

これは目に見えない、または気付かれないようなセットの1つですが、このセットがどのように構築され、どのように統合されたかを見ると、私たちの映画のあらゆる面に施された芸術性とディテールを如実に示しています。よく見ると、映画のほぼすべてのエレメントにプロダクションデザイン特有のパターンがちりばめられており、世界を視覚的に結び付けているのが分かります。これらのパターンは、アセットテクスチャ、モデル化されたエレメント、煙の中に埋め込まれたもの、嵐雲の例で言うと空全体に見られる事にも注目して下さい。晴れた空であれ、雲の厚く覆われた空であれ、すべての空に様々なパターンが織り込まれています。あるものは強調された雲、あるものは雲の形成自体の構造であり、あるものは2つの色を混ぜ合わせて空のベースとなる3つ目の色を作るために使われる模様です。
これらの表示パターンは、Terragenで雲を作ったり形を整えたりする際にも、様々な方法でボリューメトリッククラウドに加える事が出来ました。雲の形がコンセプトアートに合わせてより具体的にしたいと思った時は、一般的にパターンを使用してシルエットをボリューム的に分割し、光と影のモジュレータや密度モジュレータを使用して内部にパターンを微妙に追加する事から始めました。他には、嵐雲のセットアップのように、表示パターンと3Dフラクタルを組み合わせて疑似3Dフラクタルを作成した、より複雑なノードのセットを使用する事もあります。これは、見過ごされがちな微妙なニュアンスの1つですが、頭を悩ませる事なく忠実に世界を統一するためのものです。
Terragenでのアニメーションの雲の表情開発

続きを読む: フルインタビュー


上記をクリックすると、『Missing Link』のショットの詳細とJoe氏のインタビューをご覧いただけます。

もう一度、『Missing Link』での素晴らしい作品を共有してくれたJoe Joe Beckley監督とLAIKA社に、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。ゴールデングローブ賞受賞、アカデミー賞長編アニメーション賞ノミネート、おめでとうございます。

すべての画像と映像は、 Laika, LLC より提供されたものであり、著作権はそれぞれの所有者に帰属します。
最終更新:2020年05月16日 14:53